「年内入試」は、文部科学省の決まりにある入試の名前ではありません。この記事では、年内に合否が出る総合型選抜と学校推薦型選抜(指定校推薦・公募制)をまとめた通称として使います。2027 年度入試(2027 年 4 月入学)では、総合型選抜の出願は 2026 年 9 月 1 日以降・発表は 11 月 1 日以降、学校推薦型選抜の出願は 11 月 1 日以降・発表は 12 月 1 日以降と決まっています(文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」2026 年 5 月)。日程や書類などの細かい決まりは、それぞれの記事に任せ、この記事は「年内入試」で調べ始めた高校 2〜3 年生と保護者の入口にします。

「年内入試」は正式な名前ではない

実施要項は、大学の入学者選抜の方法を「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の 3 つに分けています(実施要項 第 3)。実施要項と、2026 年 5 月 27 日付の文部科学省の通知の本文を確かめましたが、「年内入試」という言葉は見つかりませんでした。

文部科学省の資料で使われている例は、大学入学者選抜協議会の議事録にありました。2026 年 3 月 30 日の第 21 回で、座長が委員の発言を「いわゆる年内入試で基礎学力検査を課すことがよろしくないという、そういう御意見ですかね」と確かめています(文部科学省「大学入学者選抜協議会(第 21 回)議事録」)。「いわゆる」を付けた通称で、制度の名前としては定義されていません。

実際に「年内」に結果が出るかどうかは、区分と大学で変わります。

  • 国公立大学は、共通テストを課す学校推薦型選抜と総合型選抜の合格発表を 2027 年 2 月 10 日までに行います(国立大学協会「国立大学の 2027 年度入学者選抜についての実施要領」2026 年 6 月)
  • 横浜市立大学の公募制学校推薦型選抜は、共通テストの成績と書類で選び、合格発表は 2027 年 2 月 10 日、入学手続は 2 月 17 日です(横浜市立大学「公募制学校推薦型選抜」2026 年 6 月 10 日更新)
  • 筑波大学の推薦入試は、人間学群心理学類を除く学群・学類の合格発表が 2026 年 12 月 10 日です。心理学類の最終発表は 2027 年 2 月 10 日です(筑波大学「令和 9 年度 推薦入試 学生募集要項」2026 年 9 月)

「年内入試だから年内に決まる」とは限りません。志望校の募集要項で、発表日と入学手続の日を確かめてください。

入学者の何割が総合型選抜・学校推薦型選抜か

文部科学省の「令和 7 年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(2025 年 11 月 26 日)から、2025 年 4 月に入学した人の選抜区分別の内訳を、国立・公立・私立に分けて並べます。

選抜区分国立大学公立大学私立大学計
総合型選抜7,714 人(7.7%)2,183 人(6.0%)116,869 人(22.8%)126,766 人(19.5%)
学校推薦型選抜12,706 人(12.7%)9,732 人(26.9%)198,977 人(38.8%)221,415 人(34.1%)
一般選抜79,542 人(79.6%)24,321 人(67.1%)196,386 人(38.3%)300,249 人(46.3%)
入学者の合計99,962 人36,236 人512,232 人648,430 人

(文部科学省「令和 7 年度国公私立大学入学者選抜実施状況」。総合型・学校推薦型の割合は資料の値。一般選抜の割合は資料に記載がないため、入学者数から編集部が計算し、小数第 2 位を四捨五入した)

2025 年度入学の国公私立大学の入学者を、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜の別に、全体と国立・公立・私立で比べた横棒の図。全体は一般選抜 46.3%、学校推薦型選抜 34.1%、総合型選抜 19.5%。私立は総合型と推薦型を足すと 6 割を超え、国立は一般選抜が約 8 割

図: 入学者に占める選抜区分の割合(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 7 年度国公私立大学入学者選抜実施状況」)

読み方の注意が 3 つあります。

  1. 区分によって、使われ方がかなり違います。 国立は一般選抜が約 8 割です。総合型選抜と学校推薦型選抜を足すと、国立は約 2 割(20,420 人)、公立は約 3 割(11,915 人)、私立は 6 割を超えます(315,846 人。足し算は編集部)。私立では、入学者の多くが通る入り口です
  2. 区分の割合であって、年内に合否が出た人の割合ではありません。 2 月発表の推薦や総合型も入っています。文部科学省は、このページの冒頭にあったポイントの記載を、誤認を招く表現を含んでいたとして 2025 年 12 月 1 日に削除しています。数字は表のとおりに読んでください
  3. 前の年度とは比べられません。 令和 7 年度の実施要項から「一般選抜とそれ以外」という整理を改め、3 区分に整理し直したためです。この数字には外国人留学生を対象とする選抜も含まれ、調査は 2025 年 5 月 1 日現在です

年内入試の種類を 1 枚に

年内入試にあたる実施要項の区分は、総合型選抜と学校推薦型選抜の 2 つです。学校推薦型選抜は、大学が高校を指定するかどうかで使い方が分かれます。次の 3 つが、「年内入試」と呼ばれるものの中身です。

総合型選抜学校推薦型選抜 指定校(非公募型)学校推薦型選抜 公募制
出願のしかた本人の意志で出願できる大学が指定した高校の校長の推薦校長の推薦が要る。高校の指定はない
出願・発表(実施要項)9 月 1 日以降・11 月 1 日以降11 月 1 日以降・12 月 1 日以降同じ
専願か大学・学部ごと合格したら入学する確約が前提大学・学科ごと
詳しい記事総合型選抜とは指定校推薦とは公募制と 3 つの違い

(文部科学省、実施要項。指定校は、実施要項の「非公募型」にあたると考えられます)

受かりやすさは、資料から比べられません。違うのは見る材料で、総合型選抜は本人が書く資料と面接、学校推薦型選抜は調査書・推薦書が中心です。日程、面接の猶予、2 月 1 日より前の学力テストの決まりは、2027 年度の推薦・総合型選抜 日程と面接・併願の決まりにまとめてあります。

一般選抜との両立 勉強を続けるのはどんなときか

高校 3 年の 1 年は、おおむね次の順に進みます。

高校 3 年の 1 年の時間軸。9 月以降に総合型選抜の出願、11 月以降に学校推薦型選抜の出願、12 月以降に学校推薦型選抜の発表、2027 年 1 月 16 日と 17 日に共通テスト、2 月 1 日から 3 月 25 日に一般選抜の試験。その下に、年内入試のあとも一般選抜の勉強を続ける 3 つの場面を並べている

図: 高校 3 年の 1 年の流れと、勉強を続ける 3 つの場面(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」、国立大学協会の実施要領)

共通テストの本試験は 2027 年 1 月 16 日・17 日、一般選抜の個別テストは 2 月 1 日から 3 月 25 日の間で、合格者の決定発表は 3 月 31 日までです(実施要項 第 4)。勉強を続けたほうがよい場面を、決まりから言える範囲で 3 つ挙げます。

1. 専願ではないとき。 専願は、合格したら必ず入学すると約束して出願することです。併願できる総合型選抜や公募制は、入学手続をするまでは、ほかの受験の道が残っています。手続のあとに気持ちが変わっても、元に戻せるとは限りません。

2. 共通テストを課す国公立大学の推薦・総合型のとき。 共通テストの成績が選考の一部なので、年明けの共通テストが本番です。大学が成績を請求できるのは 2 月 2 日からです(国立大学協会の実施要領)。勉強を続けることが、そのまま準備になります。

3. 不合格に備えるとき。 国公立大学では、学校推薦型選抜も総合型選抜も、不合格に備えて一般選抜の前期日程・後期日程に合計 2 つまで出願できます(国立大学協会の実施要領)。

一方、国公立大学で入学手続まで済ませると、前期・後期日程の合格者になれません。専願の入試に合格して入学する場合は、いつ一般選抜の勉強を切り替えるかが問題になります。その時期は資料からは言えないので、高校の先生と相談してください。

合格したあと 入学前の課題・手続・ほかの大学

実施要項は、大学が入学手続をとった人に、入学までに取り組む課題を課すなど、入学後の学修の準備を講じるよう求めています。特に 12 月以前に入学手続をとった人には、積極的に講じるとしています(実施要項 第 13)。課題を課す場合は、募集要項に書くことになっています。

手続と、ほかの大学の受験との関係は次のとおりです。

国公立大学私立大学
入学手続の期限2027 年 2 月 17 日(総合型・学校推薦型とも)大学ごと。募集要項で確かめる
他の大学の受験学校推薦型選抜で手続すると、ほかに出願した大学・学部を受けても合格者になれない。総合型選抜で手続すると、前期・後期日程の合格者になれない専願か併願できるかは大学・学部ごと
辞退学校推薦型は、特別の事情があり、校長が 2 月 17 日までに「推薦入学辞退願」を出して許可された場合だけ大学ごと
学納金3 月 31 日までに入学を辞退した人には、原則として授業料などを返す。ただし専願や学校推薦型選抜で合格し、在学契約を結んだ人は対象外同じ(実施要項)

(国立大学協会の実施要領、文部科学省、実施要項)

専願の入試は、合格したら入学する約束で受けるものなので、出願の前に、本当にその大学に行くかを決めておきます。迷うなら、併願できる入試方式や一般選抜に切り替える道もあります。志望校の候補は、大学の一覧で学部や所在地から広げられます。

よくある迷い

年内入試で合格したら、一般選抜の勉強はやめていいですか。

入学手続を済ませるまでは、進学先が決まったとは言えません。共通テストを課す国公立の推薦や総合型は、年明けまで選考が続きます。第一志望がほかにあるなら、続けます。

年内入試のほうが受かりやすいですか。

資料からは言えません。上の表は入学した人の内訳で、受かりやすさを示す数字ではありません。違うのは、何で見るかです。

年内入試で不合格だったら、一般選抜は受けられますか。

受けられます。国公立大学は、学校推薦型選抜も総合型選抜も、不合格に備えて一般選抜の前期・後期日程に合計 2 つまで出願できます。私立大学は、募集要項で確かめます。

10 月下旬のいまから、年内入試に間に合いますか。

出願が始まっていない入試もあります。学校推薦型選抜の出願は 11 月 1 日以降で、総合型選抜は、大学によって出願期間が過ぎているものも、これからのものもあります。学校推薦型選抜は校長の推薦が要るので、まず担任や進路指導の先生に伝えます。