国立大学の授業料は、国の省令が決める「標準額」の年 535,800 円をもとに、それぞれの大学が決めています。上げられるのは標準額の 120% にあたる 642,960 円までです。2026 年度の入学生からは名古屋工業大学・埼玉大学・山口大学・電気通信大学が、2027 年度からは熊本大学・岡山大学・香川大学が学部の授業料を上げます。多くの大学では、上がるのはこれから入学する人の授業料で、在学生の授業料は変わりません。熊本大学は、在学生を含む全学年の授業料を上げます。

国が決めている標準額と上限

もとになる決まりは「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」です。第 2 条で学部の授業料の標準額を年 535,800 円、入学料を 282,000 円と定め、第 10 条で「特別の事情があるとき」は標準額の 120% まで上げられるとしています。

文部科学省の検討会の参考資料「国立大学法人等に関する参考資料」(2026 年 2 月 24 日)によると、国立大学の法人化のときの上限は 110% で、2007 年度に 120% に引き上げられました。標準額そのものは 2005 年度を最後に変わっていません。大学が授業料を上げても、国から配られる運営費交付金は減らない仕組みです。2025 年 6 月の時点で、標準額より高い授業料にしていた大学は 7 大学でした。

外国人留学生の授業料は、2024 年 4 月の省令の改正で、標準額にかかわらず大学が決められるようになりました(文部科学省の通知、2024 年 4 月 1 日)。たとえば東北大学は、2027 年 4 月以降に学士課程と大学院の前期 2 年の課程・修士課程に入学する留学生の授業料を、年 900,000 円にすると発表しています(2025 年 12 月 1 日)。

値上げを決めた国立大学

学部の授業料を標準額より高くした、または高くすると決めた大学です(各大学の発表で確かめたもの)。東京科学大学は、旧 2 大学の系統で額が違います(東京科学大学「検定料・学費・入学金」)。

大学年額学部で新しい額になる人在学生の授業料
東京科学大学(旧 東京工業大学)635,400 円2019 年度の入学生から据え置き
東京藝術大学642,960 円2019 年度の入学生から据え置き
千葉大学642,960 円2020 年度の入学生から入学したときの額
一橋大学642,960 円2020 年度の入学生から2019 年度以前の入学生は 535,800 円
東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)642,960 円2020 年度の入学生から2019 年度以前の入学生は 535,800 円
東京農工大学642,960 円2024 年度の入学生から据え置き
東京大学642,960 円2025 年度の入学生から適用しない
名古屋工業大学642,960 円2026 年度の入学生から適用しない(2025 年度以前の入学生は 535,800 円)
埼玉大学642,960 円2026 年度の入学生から適用しない
山口大学642,960 円2026 年度の入学生から適用しない
電気通信大学642,960 円2026 年度の入学生から2025 年度以前の入学生は 535,800 円
熊本大学594,600 円2027 年度から全学年上がる(全学年で一斉に実施)
岡山大学642,960 円2027 年度の入学生から変更なし
香川大学642,960 円2027 年度の入学生から改定しない

お茶の水女子大学も、2027 年 4 月の学部入学生から 642,960 円にする案を示し、「10月末を目途に最終的な決定を行う予定」としています(2026 年 10 月 1 日更新。10 月 20 日の時点で、決まったという発表はまだありません)。大学院だけの政策研究大学院大学の授業料も 642,960 円です。

大学院の授業料は、学部より遅れて上げる大学が多くあります。東京大学は修士課程と専門職学位課程(法科大学院を除く)を 2029 年度の入学生から、岡山大学は博士前期課程などを 2031 年度の入学生から上げます。博士後期課程(東京大学では博士課程)は、東京大学・名古屋工業大学・山口大学・電気通信大学・岡山大学・香川大学が据え置くとしています。

値上げとあわせて広げた支援

国の「高等教育の修学支援新制度」で、国立大学の授業料を減らせる額の上限は標準額の 535,800 円です(大学等における修学の支援に関する法律施行令 第 2 条)。標準額を超える部分をどうするかは大学が決めており、千葉大学は差額を「千葉大学の財源により追加で減免」すると案内しています。値上げにあわせた主な支援は次のとおりです。

大学主な支援
東京大学世帯収入 600 万円以下は全額免除に(それまでは 400 万円以下)。父母が東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県以外に住む学生は、900 万円以下なら 4 分の 1 を免除(条件あり)。どちらも 2025 年度以降の入学生で、留学生は除く
東京農工大学大学の財源で、授業料免除の対象者のうち希望する人の免除率を 100% に
名古屋工業大学学士課程は世帯収入約 460 万円以下で全額免除、約 670 万円以下で半額免除を申請できる(4 人世帯の目安。審査あり)
埼玉大学・香川大学修学支援新制度の対象者は、上がった分も減免
山口大学これまでの減免の割合を、上がったあとの授業料にも当てはめて減免
熊本大学修学支援新制度で授業料の 3 分の 2 または 3 分の 1 を減免される世帯は、値上げ分も免除。大学独自に、この対象の世帯年収の基準を 380 万円以下から 425 万円以下に広げ、新たに当てはまる世帯も値上げ分を免除
岡山大学修学支援新制度で採用された人の負担額を据え置き。成績が上位の学生に授業料相当額の奨学金

受験生と保護者が確かめること

授業料は、同じ大学でも入学する年度によって違います。志望校の授業料は、2027 年度の募集要項か、大学の学費のページで確かめてください。642,960 円と標準額の差は年 107,160 円で、4 年間では 428,640 円になります。

一方で、上の表のように免除の対象を広げた大学もあり、世帯の収入によっては負担が増えない人もいます。修学支援新制度と大学独自の免除は、基準も申し込みの時期も別です。入学前に、大学の学生支援のページで世帯収入の目安と申し込みの方法を見ておくと安心です。

入学したあとに授業料が上がるかどうかも、大学によって違います。多くの大学は在学生には新しい額を当てはめないとしていますが、熊本大学は 2027 年度から全学年の授業料を上げます。この記事は国立大学の話です。公立大学と私立大学の授業料は別の仕組みで決まるので、志望校ごとに確かめてください。大学ごとの情報は、大学カタログの大学一覧から各大学のページを開くと、公式サイトへのリンクがある大学はそこからたどれます。