扶養する子どもが 3 人以上いる世帯(多子世帯)の学生は、2025 年度(令和 7 年度)から、所得制限なく大学・短期大学・高等専門学校(4・5 年)・専門学校の授業料と入学金を、国が決めた上限額まで減額・免除してもらえます。私立大学なら授業料は年 70 万円、入学金は 26 万円が上限です(文部科学省「令和 7 年度からの多子世帯に対する大学等の授業料等減免について」)。高等教育の修学支援新制度を広げたもので、新入生だけでなく在学生も対象です。2027 年 4 月に進学する人も同じしくみで、日本学生支援機構(JASSO)の給付奨学金に申し込むことで審査を受けます。

対象になる条件:扶養する子どもが 3 人以上

この制度でいう「扶養」は、家族や親族から経済的な支援を受けていて、自治体に納税するときに扶養する人数として数えられていることです。子どもを 3 人以上同時に扶養している間は、大学などに在学している子が第 1 子から全員対象になります(文部科学省「令和 7 年度からの多子世帯への授業料等無償化に係る FAQ」2026 年 9 月 16 日更新)。

扶養する子の数は、JASSO が本人と生計維持者(原則として父母)のマイナンバーを通じて、住民税の情報で確かめます。JASSO の説明では、次の 2 つの数のうち小さいほうが 3 以上で、申し込む本人も生計維持者に扶養されていることが条件です(JASSO「多子世帯支援について」)。

  • 申し込みのときに申告した、生計維持者の扶養親族のうちの「子ども」の数(生計維持者の子と、扶養されている生計維持者より年下の人が当たります)
  • 生計維持者全員の住民税の情報にある、扶養親族の数の合計

2026 年度の住民税を使う判定から、数え方が少し広がりました。給与収入が 123 万円を超え 160 万円以下で扶養親族に入らない 19〜22 歳(18 歳の早生まれを含む)の子も「子ども」に数えます(金額は 2026 年度の住民税を使う判定のもの)。本人以外のきょうだいの場合は、別に申告が必要です。12 月 31 日の基準日のあとに生まれた子を加えられる場合もあります(文部科学省の FAQ、JASSO「多子世帯支援について」)。

世帯の例支援
第 1 子が大学生、第 2 子・第 3 子が高校生以下第 1 子が対象
第 1 子・第 2 子が大学生、第 3 子が高校生以下2 人とも対象
第 1 子が大学院生(扶養されている)、第 2 子が大学生、第 3 子が高校生以下第 2 子が対象。大学院生は支援の対象外だが、子の数には入る
第 1 子が就職して扶養から外れ、第 2 子が大学生、第 3 子が高校生以下扶養する子が 2 人になるので対象外

(文部科学省の FAQ の例をもとに作成。扶養の状況をいつの時点で見るかは「申し込み方」と「よくある勘違い」を参照)

ほかにも、次の条件があります。

  • 進学先: 国の要件を満たすと確認された大学など。対象校は文部科学省の「確認大学等の一覧」で調べられます
  • 資産: 本人と生計維持者の資産(現金・預貯金・有価証券など。土地や建物は含まない)の合計が 3 億円未満(授業料・入学金の減免の場合)。給付奨学金は 5,000 万円未満が条件なので、5,000 万円以上 3 億円未満の世帯は減免だけを受けます
  • 学業: 採用のときは学ぶ意欲を確かめます(予約採用では、高校の評定平均が 3.5 以上か、レポートや面談で確認)。採用後は毎年、修得した単位数、GPA、授業への出席率で確かめ、基準を下回ると警告や支援の打ち切りがあります
  • 進学までの期間: 高校などを初めて卒業した年度の翌年度の末日から、入学までが 2 年以内であること(高卒認定試験の合格者などには別の決まりがあります)
  • 国籍・在留資格: 日本国籍のほか、特別永住者、永住者などに限られます
  • 対象外: 大学院生本人と、海外の大学に通う学生

上限額:国公立と私立

授業料と入学金の減免の上限は次のとおりです(授業料は年額)。

学校の種類国公立 入学金国公立 授業料私立 入学金私立 授業料
大学28 万円54 万円26 万円70 万円
短期大学17 万円39 万円25 万円62 万円
高等専門学校(4・5 年)8 万円23 万円13 万円70 万円
専門学校7 万円17 万円16 万円59 万円

(同 FAQ、JASSO「多子世帯支援について」。JASSO は、万円未満を四捨五入した額と説明しています)

文部科学省の説明資料は、国公立は原則として家計の負担がなくなり、私立は負担が減る、としています。私立大学の場合、4 年間で最大「70 万円×4 年+26 万円」の支援です。上限を超える授業料は自分で払います。

授業料・入学金の減免と、生活費などに使える給付奨学金は別のものです。世帯の収入が第Ⅰ〜第Ⅳ区分に当てはまれば給付奨学金も受けられますが、多子世帯でも収入が基準を超えれば、授業料・入学金の減免だけになります。第Ⅰ〜第Ⅳ区分で多子世帯の場合、授業料・入学金は満額支援です(同 FAQ)。

申し込み方:予約採用と在学採用

申し込みの窓口は在籍している学校で、学校を通じて JASSO へ申し込みます。授業料・入学金の減免だけが目当ての人も、JASSO の給付奨学金に申し込む必要があります(JASSO「給付・貸与奨学金早わかりガイド」2027 年度進学予定者向け)。

予約採用在学採用
申し込む時期高校 3 年生のうち(2027 年度進学予定者は 2026 年 4 月下旬〜7 月末。締切は学校ごと)入学後。春は 4 月から、秋は 9 月から
窓口在籍する高校進学先の奨学金の窓口
扶養する子の数を確かめる時点申し込む前の年の 12 月 31 日春は前々年、秋は前年の 12 月 31 日

(文部科学省「令和 7 年度からの多子世帯への授業料等無償化に係る FAQ」、JASSO・文部科学省のリーフレット「高校生のみなさんへ」2027 年度進学予定者向け)

採用されたあとは、毎年 10 月に前の年の 12 月 31 日時点の扶養の状況で、多子世帯に当たるかを確かめ直します。予約採用で採用候補者になった人も、進学先で授業料・入学金の減免の手続きを別に行います。高校生のときに申し込んで対象外だった人も、進学後の秋以降にもう一度申し込むと、対象になる可能性があります(同リーフレット)。

給付奨学金の支給と授業料・入学金の減免は進学後に行われるので、入学前に払うお金にはそのまま使えません(同ガイド)。予約採用の候補者になっていると、入学金や授業料の納入を待ってもらえる場合があるので、進学先の窓口に確かめます。2027 年 4 月に入学する人で予約採用に申し込んでいない人は、入学後の在学採用で申し込めます。進学後に申請しても 4 月分からの支援を受けられますが、支援が始まるのは申請から数か月後です。

進学先を考えている段階なら、大学の一覧で候補を並べ、それぞれが対象校かどうかを文部科学省の一覧で確かめておくと、学費の見通しが立てやすくなります。

よくある勘違い

子どもが 3 人いれば、手続きなしで無料になる? なりません。給付奨学金への申し込みが必要です。数えるのは子どもの人数ではなく、扶養している子の数です。

授業料がいくらでも全額タダになる? 上限額までです。私立大学で授業料が年 70 万円を超えれば、差額は自分で払います。減免されるのは授業料と入学金で、施設設備費などそのほかの納付金は制度の説明に含まれていません。進学先の学費の内訳を確かめておきます。

授業料・入学金の分のお金が振り込まれる? 振り込まれません。在籍する学校が授業料・入学金を減額・免除し、国がその費用を学校に払います。給付奨学金の対象になる人には、それとは別に給付奨学金が振り込まれます。

一番上の子が就職したら、すぐに打ち切られる? すぐには外れません。扶養の状況は毎年 10 月に前年 12 月 31 日時点で確かめるため、2026 年 3 月に第 1 子が卒業して就職した場合、第 2 子以下は 2027 年 9 月まで多子世帯と判定されることがあります(同 FAQ)。

大学生のきょうだいがアルバイトをしても関係ない? 収入が一定を超えると、扶養する子に数えられなくなります。2026 年 10 月〜2027 年 9 月の判定では、2025 年の給与収入が 123 万円以下(2025 年 12 月 31 日時点で 19 歳以上 23 歳未満の人は 160 万円以下で、生計維持者が特定親族特別控除を申告していること)が目安です。2027 年 10 月以降の判定では、2026 年の給与収入が 136 万円以下(19 歳以上 23 歳未満の人は 169 万円以下)に変わります(同 FAQ)。

所得が高い家庭は対象外? 授業料・入学金の減免に所得制限はありません。資産の合計が 3 億円未満であることが条件です。