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図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 3

セキュリティ・インフラ

サーバーとネットワークを 24 時間止めずに動かし、不正なアクセスからデータとサービスを守る仕事です。

サーバーが並ぶデータセンターと見張りの画面のある部屋で、ネットワークの図を指さしながら守りの手順を確かめる学生たち

ひとことで言うと

マンションの管理人と警備員を、一度に引き受ける

管理人は電気や水道、エレベーターを毎日止めずに保ち、警備員は不審な人が入らないように見張ります。インフラエンジニアは管理人の役目を、セキュリティエンジニアは警備員の役目を、目に見えないネットワークの世界で受け持ちます。

01

インフラ: サービスを止めない土台

アプリや Web サイトの裏では、データセンターに並んだサーバーと、それらをつなぐネットワークが動いています。この土台(インフラ)を設計して組み立て、24 時間止まらないように保つのがインフラエンジニアです。

いまは、自分の会社でサーバーを持たずに、ネットワーク越しに借りて使うクラウドが広く使われています。総務省の 2025 年の調査では、従業員 100 人以上の企業の 8 割以上がクラウドを使っていました。

人気のチケットの発売日のように、アクセスが一気に増える日もあります。前もってサーバーの台数を増やしておく、1 台が壊れても別の 1 台が引き継ぐようにしておく、といった備えがインフラの大切な仕事です。

利用者に気づかれないことが、インフラがうまく動いているしるしです。

図解サービスを支える層

  1. アプリ利用者が触れる画面と機能
  2. OS・ミドルウェアアプリを動かす基本のソフト
  3. サーバー計算とデータの保存を受け持つ
  4. ネットワークサーバーどうしと利用者をつなぐ
  5. データセンター電源・冷房・建物で機器を守る
データセンターの部屋に、配線されたサーバーの棚(ラック)が何列も並んでいる
データセンターに並ぶサーバーのラック。クラウドのサービスも、こうした建物の中の計算機で動いています。写真: Carl Lender from Sunrise, USA(CC BY 2.0・Wikimedia Commons)

02

セキュリティ: 備える・見つける・立て直す

インターネットにつながった機器には、休みなく攻撃のための通信が届きます。情報通信研究機構(NICT)は、使われていない IP アドレスに届く通信を観測しています。攻撃に関係する通信は、2025 年の 1 年間で約 7,010 億パケットでした。1 つのアドレスあたり約 250 万パケットで、平均すると約 13 秒に 1 回の計算です。

IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ 10 大脅威 2026」では、組織にとっての 1 位がランサム攻撃による被害でした。データを使えなくして、元に戻す代わりにお金を求める攻撃です。2 位は取引先や委託先を狙った攻撃、3 位は AI の利用をめぐるリスクでした。

セキュリティエンジニアは、弱点を前もって探して直し、怪しい通信を見張り、被害が出たら原因を調べてサービスを立て直します。システムの弱点を攻撃者より先に見つける、脆弱性診断の専門家もいます。

守りは一度で終わらず、知る・防ぐ・見つける・対応する・立て直すをくり返します。

図解組織を守るくり返し

  1. 1知る守るべき機器とデータを洗い出す
  2. 2防ぐ更新・パスワード・暗号で備える
  3. 3見つける怪しい通信を 24 時間見張る
  4. 4対応する被害を広げないよう切り離す
  5. 5立て直す元に戻し、原因を次に生かす
壁の大きな画面に地図やグラフが映り、机に何台ものモニターが並ぶネットワークの監視室
ネットワークの監視室の例。大きな画面で通信の状態を確かめ、異常があればすぐに対応します。写真: Alan Levine from United States(CC BY 2.0・Wikimedia Commons)

03

暗号: 守るための数学

通信を盗み見られても、中身を読まれないようにするのが暗号です。古代ローマのカエサルは、文字を 3 つずつずらして手紙を書いたと伝えられています。A を D に、B を E にずらすこの方法は、シーザー暗号と呼ばれます。

ただし、アルファベットのずらし方は 25 通りしかないため、全部試せばすぐに解けてしまいます。いまの暗号は鍵の長さを 128 ビット以上にすることが多く、組み合わせは 2 の 128 乗、つまり 39 けたの数になります。全部を試すことは、現実にはできません。

Web サイトのアドレスが「https」で始まるときは、こうした暗号で通信が守られています。セキュリティの仕事では、暗号のしくみを理解して正しく設定することが欠かせません。暗号の理論は、大学の離散数学や代数学の授業につながっています。

鍵の組み合わせを、全部は試せないほど多くするのが、いまの暗号の考え方です。

動かしてみるシーザー暗号を試す

ずらす数を変えると、文がどう暗号になるかを見られます。暗号文から、もとの文を当てられるかも試してください。

暗号文PHHW DW WKH OLEUDUB

04

システムを守るチームの 1 日(例)

ここでは、会社のシステムを守るチームで働く人の 1 日の例を紹介します。24 時間の見張りを交代で受け持つ職場や、夜に呼び出しを受ける当番を決めている職場もあります。

大きな作業は、利用する人が少ない夜間や休日に行うこともあります。サーバーのソフトの更新は、まず試験用の環境で確かめてから本番に反映します。

サーバーの設定を手作業ではなくプログラムとして書き、自動で組み立てる方法も広がっています。インフラの仕事でも、プログラミングの力が生きます。

起きたことを記録に残し、同じことをくり返さない工夫を重ねます。

図解システムを守る人の 1 日

  1. 9:00引き継ぎ夜の担当から、起きたことを聞く
  2. 9:30警告の確認見張りの画面で異常がないか見る
  3. 11:00更新の準備ソフトの更新を試験環境で確かめる
  4. 12:00昼休み
  5. 13:00調査怪しい通信の中身と送り元を調べる
  6. 15:00自動化サーバーの設定をプログラムで書く
  7. 17:00報告対応の記録と次の対策をまとめる

05

資格・入り方と、その先

大学では、ネットワーク、OS、情報セキュリティ、暗号の授業が直接の土台になります。新卒で IT の会社や、大きなシステムを持つ通信・金融・鉄道などの会社に入り、運用の仕事から経験を積む道があります。

国家資格の情報処理安全確保支援士は、2016 年の法律の改正で生まれた、サイバーセキュリティの専門家の資格です。試験に合格して登録すると名乗れるようになり、登録後も決められた講習を受けて更新します。試験は 2026 年度からコンピュータを使う CBT 方式になり、2027 年度からは新しい試験制度に移る予定です。

経験を積むと、攻撃を受けたときに組織の対応をまとめるチーム(CSIRT)のリーダーへ進む道があります。攻撃の手口を調べる研究者や、会社全体のセキュリティの責任者になる人もいます。

国家試験は、学んだことを確かめる道しるべとして使えます。

図解守りの力をはかる国家試験の例

  1. 1IT パスポートIT と社会の基礎を広く問う
  2. 2セキュリティマネジメント情報セキュリティマネジメント試験
  3. 3基本情報技術者プログラムとしくみの基礎
  4. 4情報処理安全確保支援士合格後に登録する専門家の資格

高校生のうちに試せること

  • セキュリティ・キャンプに応募する

    IPA などが 2004 年から開いている、若い人向けのセキュリティの講座です。全国大会は 13〜22 歳の学生・生徒が対象の合宿で、これまで参加費・交通費・宿泊費は無料でした。1 日程度の「ミニ」も各地で開かれています。

    セキュリティ・キャンプ(IPA)
  • SecHack365 に挑戦する

    情報通信研究機構(NICT)が開く、25 歳以下を対象にした 1 年がかりの講座です。セキュリティに関わる作品を、専門家の助言を受けながらつくります。

    SecHack365(NICT)
  • 情報セキュリティマネジメント試験を受ける

    IPA の国家試験で、年齢の制限はなく、コンピュータを使って都合のよい日に受験できます。情報の管理やウイルスへの備えなど、身近な守りの知識が問われます。IT パスポート試験から始める方法もあります。

    情報セキュリティマネジメント試験(IPA)
  • 家の Wi-Fi の設定を家族と見直す

    Wi-Fi のパスワードが買ったときのままになっていないか、ルーターのソフトが最新かを、家族と一緒に確かめてみましょう。守りの第一歩は、身近な機器の設定からです。

「セキュリティ・インフラ」に関連するコミュニティ

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よくある質問

攻撃の方法を学ぶのは、法律で禁じられていませんか?

守るためには攻撃の手口を知る必要があり、大学や講座では、許可された練習用の環境で学びます。一方、他人のシステムに許可なく入ることは、不正アクセス禁止法で禁じられています。試すのは、自分の機器か、許可を得た環境だけにしてください。

夜勤はありますか?

職場によって異なります。24 時間の見張りを交代で受け持つ職場もあれば、夜は当番の人だけが呼び出しに備える職場もあります。就職先を選ぶときに、働き方を確かめておくと安心です。

資格がないと就けませんか?

資格がなくても就けます。ただ、情報処理安全確保支援士などの国家試験は、知識を示す目安になり、何を学べばよいかの道しるべにもなります。