
ひとことで言うと
マンションの管理人と警備員を、一度に引き受ける
管理人は電気や水道、エレベーターを毎日止めずに保ち、警備員は不審な人が入らないように見張ります。インフラエンジニアは管理人の役目を、セキュリティエンジニアは警備員の役目を、目に見えないネットワークの世界で受け持ちます。

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インフラ: サービスを止めない土台
アプリや Web サイトの裏では、データセンターに並んだサーバーと、それらをつなぐネットワークが動いています。この土台(インフラ)を設計して組み立て、24 時間止まらないように保つのがインフラエンジニアです。
いまは、自分の会社でサーバーを持たずに、ネットワーク越しに借りて使うクラウドが広く使われています。総務省の 2025 年の調査では、従業員 100 人以上の企業の 8 割以上がクラウドを使っていました。
人気のチケットの発売日のように、アクセスが一気に増える日もあります。前もってサーバーの台数を増やしておく、1 台が壊れても別の 1 台が引き継ぐようにしておく、といった備えがインフラの大切な仕事です。
利用者に気づかれないことが、インフラがうまく動いているしるしです。
図解サービスを支える層
- アプリ利用者が触れる画面と機能
- OS・ミドルウェアアプリを動かす基本のソフト
- サーバー計算とデータの保存を受け持つ
- ネットワークサーバーどうしと利用者をつなぐ
- データセンター電源・冷房・建物で機器を守る


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セキュリティ: 備える・見つける・立て直す
インターネットにつながった機器には、休みなく攻撃のための通信が届きます。情報通信研究機構(NICT)は、使われていない IP アドレスに届く通信を観測しています。攻撃に関係する通信は、2025 年の 1 年間で約 7,010 億パケットでした。1 つのアドレスあたり約 250 万パケットで、平均すると約 13 秒に 1 回の計算です。
IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ 10 大脅威 2026」では、組織にとっての 1 位がランサム攻撃による被害でした。データを使えなくして、元に戻す代わりにお金を求める攻撃です。2 位は取引先や委託先を狙った攻撃、3 位は AI の利用をめぐるリスクでした。
セキュリティエンジニアは、弱点を前もって探して直し、怪しい通信を見張り、被害が出たら原因を調べてサービスを立て直します。システムの弱点を攻撃者より先に見つける、脆弱性診断の専門家もいます。
守りは一度で終わらず、知る・防ぐ・見つける・対応する・立て直すをくり返します。
図解組織を守るくり返し
- 1知る守るべき機器とデータを洗い出す
- 2防ぐ更新・パスワード・暗号で備える
- 3見つける怪しい通信を 24 時間見張る
- 4対応する被害を広げないよう切り離す
- 5立て直す元に戻し、原因を次に生かす


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暗号: 守るための数学
通信を盗み見られても、中身を読まれないようにするのが暗号です。古代ローマのカエサルは、文字を 3 つずつずらして手紙を書いたと伝えられています。A を D に、B を E にずらすこの方法は、シーザー暗号と呼ばれます。
ただし、アルファベットのずらし方は 25 通りしかないため、全部試せばすぐに解けてしまいます。いまの暗号は鍵の長さを 128 ビット以上にすることが多く、組み合わせは 2 の 128 乗、つまり 39 けたの数になります。全部を試すことは、現実にはできません。
Web サイトのアドレスが「https」で始まるときは、こうした暗号で通信が守られています。セキュリティの仕事では、暗号のしくみを理解して正しく設定することが欠かせません。暗号の理論は、大学の離散数学や代数学の授業につながっています。
鍵の組み合わせを、全部は試せないほど多くするのが、いまの暗号の考え方です。

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システムを守るチームの 1 日(例)
ここでは、会社のシステムを守るチームで働く人の 1 日の例を紹介します。24 時間の見張りを交代で受け持つ職場や、夜に呼び出しを受ける当番を決めている職場もあります。
大きな作業は、利用する人が少ない夜間や休日に行うこともあります。サーバーのソフトの更新は、まず試験用の環境で確かめてから本番に反映します。
サーバーの設定を手作業ではなくプログラムとして書き、自動で組み立てる方法も広がっています。インフラの仕事でも、プログラミングの力が生きます。
起きたことを記録に残し、同じことをくり返さない工夫を重ねます。
図解システムを守る人の 1 日
- 9:00引き継ぎ夜の担当から、起きたことを聞く
- 9:30警告の確認見張りの画面で異常がないか見る
- 11:00更新の準備ソフトの更新を試験環境で確かめる
- 12:00昼休み
- 13:00調査怪しい通信の中身と送り元を調べる
- 15:00自動化サーバーの設定をプログラムで書く
- 17:00報告対応の記録と次の対策をまとめる

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資格・入り方と、その先
大学では、ネットワーク、OS、情報セキュリティ、暗号の授業が直接の土台になります。新卒で IT の会社や、大きなシステムを持つ通信・金融・鉄道などの会社に入り、運用の仕事から経験を積む道があります。
国家資格の情報処理安全確保支援士は、2016 年の法律の改正で生まれた、サイバーセキュリティの専門家の資格です。試験に合格して登録すると名乗れるようになり、登録後も決められた講習を受けて更新します。試験は 2026 年度からコンピュータを使う CBT 方式になり、2027 年度からは新しい試験制度に移る予定です。
経験を積むと、攻撃を受けたときに組織の対応をまとめるチーム(CSIRT)のリーダーへ進む道があります。攻撃の手口を調べる研究者や、会社全体のセキュリティの責任者になる人もいます。
国家試験は、学んだことを確かめる道しるべとして使えます。
図解守りの力をはかる国家試験の例
- 1IT パスポートIT と社会の基礎を広く問う
- 2セキュリティマネジメント情報セキュリティマネジメント試験
- 3基本情報技術者プログラムとしくみの基礎
- 4情報処理安全確保支援士合格後に登録する専門家の資格
高校生のうちに試せること
セキュリティ・キャンプに応募する
IPA などが 2004 年から開いている、若い人向けのセキュリティの講座です。全国大会は 13〜22 歳の学生・生徒が対象の合宿で、これまで参加費・交通費・宿泊費は無料でした。1 日程度の「ミニ」も各地で開かれています。
セキュリティ・キャンプ(IPA)SecHack365 に挑戦する
情報通信研究機構(NICT)が開く、25 歳以下を対象にした 1 年がかりの講座です。セキュリティに関わる作品を、専門家の助言を受けながらつくります。
SecHack365(NICT)情報セキュリティマネジメント試験を受ける
IPA の国家試験で、年齢の制限はなく、コンピュータを使って都合のよい日に受験できます。情報の管理やウイルスへの備えなど、身近な守りの知識が問われます。IT パスポート試験から始める方法もあります。
情報セキュリティマネジメント試験(IPA)家の Wi-Fi の設定を家族と見直す
Wi-Fi のパスワードが買ったときのままになっていないか、ルーターのソフトが最新かを、家族と一緒に確かめてみましょう。守りの第一歩は、身近な機器の設定からです。
「セキュリティ・インフラ」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 112 件から探せます。

金子研究室
東京大学(東京都)
情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻・無線ネットワーク・移動体通信・金子 めぐみ 教授

基盤ソフトウェア/セキュリティ学
岡山大学(岡山県)
工学部 情報・電気・数理データサイエンス系 情報工学コース・OS・セキュリティ・山内 利宏 教授
OSや仮想マシンモニタの新しい構成法と、OS・モバイル・IoTのセキュリティ技術を研究する。

暗号理論研究室
筑波大学(茨城県)
メディア工学・知能情報工学

ロバストネットワーク工学領域
大阪大学(大阪府)
工学研究科電気電子情報通信工学専攻・ロバストネットワーク工学・滝根 哲哉 教授
医用情報ネットワーク学
岡山大学(岡山県)
工学部 情報・電気・数理データサイエンス系 ネットワーク工学コース・ネットワーク工学・三浦 秀芳 助教
高速・高信頼で故障にも強い新しいインターネットの仕組みとIoTのセキュリティを研究する。

ワイヤレス情報通信研究室
北海道大学(北海道)
メディアネットワーク

静岡学習支援ネットワーク
静岡大学(静岡県)
学習支援
地球っ子ネットワーク
九州工業大学(福岡県)
情報工学部・ボランティア
情報セキュリティ・スキルアッププロジェクト
金沢工業大学(石川県)
情報セキュリティ

ネットワーク大学コンソーシアム岐阜
中部(岐阜県)
高校生向け大学生向け
大学の連携
岐阜県内の大学・短大などが連携し、単位互換や社会人向け公開授業を行う組織。

静岡大学学生防災ネットワーク
静岡大学(静岡県)
防災
公益社団法人学術・文化・産業ネットワーク多摩
関東(東京都)
高校生向け大学生向け
大学の連携
多摩地域の大学を核に企業・行政が加盟し、人材育成と地域づくりを進める法人。
よくある質問
攻撃の方法を学ぶのは、法律で禁じられていませんか?
守るためには攻撃の手口を知る必要があり、大学や講座では、許可された練習用の環境で学びます。一方、他人のシステムに許可なく入ることは、不正アクセス禁止法で禁じられています。試すのは、自分の機器か、許可を得た環境だけにしてください。
夜勤はありますか?
職場によって異なります。24 時間の見張りを交代で受け持つ職場もあれば、夜は当番の人だけが呼び出しに備える職場もあります。就職先を選ぶときに、働き方を確かめておくと安心です。
資格がないと就けませんか?
資格がなくても就けます。ただ、情報処理安全確保支援士などの国家試験は、知識を示す目安になり、何を学べばよいかの道しるべにもなります。
