図 4 学ぶために必要な科目・学問学ぶために必要な科目 3
英語
経営の専門用語、決算の資料、海外の取引先とのやり取り。経営学では英語に出会う場面がたくさんあります。「英語コミュニケーション」で読む力を、「論理・表現」で伝える力を身につけておくと、大学の授業と仕事の両方で役立ちます。

ひとことで言うと
海外のチームと練習試合をするとき
ルールは同じでも、作戦を伝え合う言葉が通じなければ、うまく試合を進められません。会社の世界でも、取引の条件や決算の数字は英語で伝え合う場面が多くあります。英語は、世界の会社と同じ試合に出るための共通の言葉です。

01
経営の言葉には、英語から来たものが多い
マーケティング、ブランド、イノベーション、コンプライアンス。経営学の授業では、カタカナの言葉がたくさん出てきます。その多くは英語から来た言葉です。
日本学術会議の参照基準は、経営学で身につける知識の例に、専門用語を理解して仕事で使えることを挙げています。例に出てくるのは「マーケティング・ミックス」や「EVA(経済的付加価値)」などです。参照基準の文章にも、CSR(企業の社会的責任)のような英語の略語が出てきます。
英語のもとの意味を知ると、言葉の中身がつかみやすくなります。例えば「説明責任」と訳されるアカウンタビリティ(accountability)は、account(勘定、会計簿)に由来する言葉です。以前は「会計責任」と訳されることもありました。会計と説明が、もとは一つの言葉でつながっていたことが分かります。
英語のもとの意味をたどると、経営の言葉の中身がつかめます。
図解授業でよく出る英語の略語
- CSR企業の社会的責任
- M&A会社の合併と買収
- IPO株式を新しく市場に公開すること
- CEO最高経営責任者
- KPI目標にどれだけ近づいたかをはかる指標

02
決算の数字を英語で読む
会社の成績表である決算書には、英語の決まった呼び方があります。貸借対照表は Balance Sheet、損益計算書は Income Statement です。売上高は Revenue や Net sales と書かれます。
東京証券取引所は 2025 年 4 月から、プライム市場の会社に新しい決まりを設けました。決算の情報と適時開示の情報を、日本語と同時に英語でも出す義務です。英語は一部や概要でもよいとされています。海外の投資家が、日本の会社の情報を読みやすくするための取り組みです。
東証によると、2025 年 8 月の時点で、95% の会社が英語の決算短信を日本語と同時に出していました。決算短信を全文英訳している会社は 56% です。英語が読めると、日本の会社と海外の会社の資料を、同じ目で比べられるようになります。
決算の英語が読めると、世界の会社を同じ物差しで比べられます。
図解決算の言葉 日本語と英語
日本語
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 売上高
- 営業利益
英語
- Balance Sheet
- Income Statement
- Revenue / Net sales
- Operating income

03
海外との取引: 3 文字の略語で決まること
海外の会社と物を売り買いするときは、運ぶ途中の費用や危険を、売り手と買い手のどちらが受け持つかを決めます。国によって言葉の受け取り方が違うと、もめごとの原因になります。
国際商業会議所(ICC)は 1936 年に、貿易の条件をまとめた規則「インコタームズ」を初めて発表しました。FOB や CIF など、3 文字の略語で条件を表します。最新の改訂は 2019 年 9 月に発表された 2020 年版で、11 の規則があります。
例えば FOB では、売り手が港で荷物を船に積み込むまでを受け持ちます。CIF では、売り手が相手の国の港までの運賃と保険料も払います。略語 1 つで、誰が何を払うかが変わるのです。
取引では、見積書(Quotation)、注文書(Purchase Order)、請求書(Invoice)などを英語でやり取りします。大学のビジネス英語の授業では、こうした書類やメールの書き方を学びます。
取引の英語は、お金と責任の分け方を決める言葉です。
図解海外のお店から注文を受けるまで(例)
- 1見積書(Quotation)で値段と条件を伝える
- 2FOB か CIF かなど、運ぶ条件を決める
- 3注文書(Purchase Order)を受け取る
- 4出荷して、請求書(Invoice)を送る


04
大学では: 英語で読み、英語で伝える
経営学の古典には、英語で書かれた本が多くあります。日本学術会議の参照基準も、チャンドラーの『Strategy and Structure』(1962 年)を紹介しています。「組織は戦略に従う」という考えを示した研究です。海外の新しい研究や事例を読むには、英語の論文や記事に当たることが多くなります。
参照基準は、経営学を学んだ人が身につける力の一つに、世界に広がる組織を世界的な視野で経営できることを挙げています。異なる文化の中で生きる人の考え方を理解し、コミュニケーションをとる力も大切だとしています。
高校の「論理・表現」では、ディベートやディスカッション、スピーチやプレゼンテーションを学びます。理由や根拠を示して意見を伝える練習は、大学のゼミの発表や、会社で企画を説明する場面にそのまま生きます。
読む力と伝える力の両方が、大学のゼミと仕事で生きます。
図解高校から大学・仕事への英語
- 1英語コミュニケーション社会的な話題の文章の要点をつかむ
- 2論理・表現ディベートや発表で意見を伝える
- 3大学の英語ビジネス英語や英語の事例を読む
- 4仕事の英語決算の資料や海外とのメールを扱う

05
苦手でも大丈夫: 英語との付き合い方
学習指導要領では、「英語コミュニケーション」の I〜III で新しく学ぶ単語は、合わせて 1,800〜2,500 語程度です。経営の専門用語は、その上に少しずつ積み上げていけば十分です。最初から難しい論文を読む必要はありません。
学び直すなら、中学の文法と、会社のニュースによく出る単語から始めるのが近道です。日本の会社の英語の決算資料は、同じ内容の日本語の資料と見比べながら読めます。分からない言葉を日本語版で確かめられるので、教材として使いやすい資料です。
英語の資料を読むときは、翻訳のツールも助けになります。ただし、略語や専門用語は誤訳されやすいので、意味を自分で確かめる習慣をつけておくと安心です。高校の英語の科目のページや、外国語の学問のページもあわせて読むと、学び方のヒントが見つかります。
中学の英語と決算の資料から、少しずつ経営の英語に慣れていけます。
高校生のうちに試せること
英語の決算資料を日本語と見比べる
知っている会社のウェブサイトで、投資家向け(IR)のページの英語版を開いてみましょう。日本語の資料と並べて読むと、Revenue や Operating income が何を指すかが分かります。
英語ディベートに挑戦する
全国高校生英語ディベート大会(HEnDA)では、都道府県の予選を経て全国大会が開かれます。部活や授業で、論題に賛成・反対の立場から理由を述べる練習をしてみましょう。
HEnDA(全国高校生英語ディベート大会)英語の経済ニュースを毎日 1 本読む
NHK WORLD-JAPAN では、日本の会社や経済のニュースを英語で読めます。知らない略語をノートに集めていくと、自分だけの経営の英語の単語帳ができます。
NHK WORLD-JAPAN
「英語」に関連するコミュニティ
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よくある質問
英語が苦手でも、経営学部で学べますか?
学べます。多くの大学で授業の中心は日本語で、英語の専門用語は少しずつ覚えていけば大丈夫です。英語で行う授業やコースがある大学もあるので、志望校のカリキュラムで確かめてください。
英語以外の外国語も役に立ちますか?
役に立ちます。取引先や進出先の国によっては、中国語やスペイン語なども使われます。多くの大学では、英語に加えてもう 1 つの外国語を学べます。
翻訳のツールがあれば、英語を学ばなくてもよいですか?
資料を読む助けにはなります。ただし、略語や専門用語は誤訳されやすく、取引の条件を取り違えると損をすることもあります。意味を自分で確かめられる力があると安心です。


