図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 2
企業の企画・マーケティング
売上や市場のデータをもとに、新しい商品の値段や売り方を考える仕事です。人がどんなときに、いくらならお金を使うのかを考える経済学が、そのまま武器になります。

ひとことで言うと
文化祭の模擬店で、値段と売り方を決める
焼きそばを 300 円にするか 400 円にするか。去年の売れ行きや、近くの模擬店の値段、来てくれそうなお客さんの顔ぶれを考えて決めます。企画・マーケティングの仕事は、これを全国の店や何万人ものお客さんを相手に行うものです。

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どんな仕事?: 何を・いくらで・どう売るか
企画の担当者は、どんな商品やサービスをつくるかを考えます。マーケティングの担当者は、だれに、いくらで、どこで、どう知らせて売るかを組み立てます。営業の担当者は、お店や取引先に足を運んで商品を提案し、売り場の声を持ち帰ります。
どの仕事でも、出発点はお客さんを知ることです。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、マーケティング・リサーチャーの仕事を次のように説明しています。市場調査を企画して実施し、データを集計・分析して報告書にまとめる仕事です。
食品、家電、化粧品、鉄道、ゲームなど、商品やサービスを売るあらゆる会社に、この仕事があります。企画とマーケティングを 1 つの部署で受け持つ会社もあります。
「だれが、なぜ買うのか」を考えることが、すべての出発点です。
図解3 つの仕事の違い
企画
- 新しい商品やサービスを考える
- 費用と売上の見込みを計算する
マーケティング
- だれに売るかを決める
- 値段と知らせ方を考える
- 売れ行きのデータを分析する
営業
- 店や取引先に商品を提案する
- 売り場の声を持ち帰る

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値段の決め方: 経済学の「需要」が生きる
値段を下げると、たいてい買う人は増えます。ただ、どれだけ増えるかは商品によって違います。毎日使う物は値段が変わっても買う量があまり変わらず、ほかの物で代わりがきく物は値段に敏感です。経済学では、この違いを需要の価格弾力性とよびます。
同じ商品でも、買う人や時期によって値段を変えることがあります。航空券やホテルの料金が、混み具合や予約の早さで変わるのはその例です。混み具合や、人によって払ってもよいと思う金額が違うことを生かした値段のつけ方です。
値段のつけ方で成功した例は、江戸時代にもあります。江戸の呉服店・越後屋は、店頭で現金で売るという、当時としては画期的な商法で成功しました。店内には「現金かけねなし」と書いた札が下がっていました。
値段は、原価だけでなく、買う人の気持ちと行動から決まります。
図解新しいおにぎりの値段を決める
- 1いくらなら買うかをアンケートで聞く
- 2値段ごとに売れる数を見積もる
- 3売上と利益を計算して比べる
- 4一部の店で試しに売ってみる


03
お客さんを知る: 調査とデータの読み方
お客さんを知る方法は、大きく 2 つあります。1 つは、アンケートや試食会、聞き取りで直接たずねる方法です。もう 1 つは、レジで記録される売れ行きのデータ(POS データ)など、実際の行動の記録を読む方法です。
国の統計も手がかりになります。総務省の家計調査は、全国の約 9 千世帯の収入や支出を毎月調べています。品目ごとに、都市によって買う金額がどう違うかも分かります。どの地域で何がよく買われるかが分かれば、売り出す地域や時期を考えられます。
アンケートで「買いたい」と答えた人が、実際に買うとは限りません。そのため、答えと実際の行動の記録を組み合わせて判断します。
答えと行動の両方を見ると、お客さんの本当の姿に近づけます。

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マーケティング担当の 1 日(例)
ここでは、食品メーカーでお菓子のマーケティングを受け持つ人の 1 日の例を紹介します。数字を見る時間と、人と話す時間の両方があります。
朝は、前の日の売れ行きを店ごとに確かめます。売れ方が変わっていれば、天気のせいか、近くで売り出された別の商品のせいかなど、理由を考えます。
午後は、試作品をお客さんに食べてもらう調査や、広告の打ち合わせがあります。結果は、次の商品の企画や、売り方の見直しにつなげます。
数字と人の声を行き来するのが、この仕事の面白さです。
図解マーケティング担当の 1 日(例)
- 9:00売れ行きの確認店ごとの販売データを見る
- 10:30企画会議新商品の値段と発売の時期を話す
- 12:00昼休み
- 13:30消費者の調査試作品を食べてもらい感想を聞く
- 15:30広告の打ち合わせ伝え方とのせる場所を決める
- 17:00分析とまとめ調査の結果を資料にする

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大学で学ぶことと入り方・その先
企画やマーケティングの仕事に、決まった資格はありません。多くは新卒で会社に入り、営業や店舗の仕事などを経験してから、企画やマーケティングの部署へ移ります。配属の時期や流れは、会社によって異なります。
大学では、価格と需要を考えるミクロ経済学、データを読む統計学、広告などの効果を確かめる計量経済学が役立ちます。人の選び方のくせを調べる行動経済学や、経営学部のマーケティング論も、つながりの深い科目です。
人の行動に興味がある人、身の回りの商品を見て「なぜこの値段なのか」と考えるのが好きな人に向いています。経験を積むと、商品ブランドの責任者や、事業全体を企画する立場、データ分析の専門家などへ進む道があります。
経済学の理論とデータ分析の両方が、そのまま仕事の道具になります。
図解大学の科目と仕事のつながり
- ミクロ経済学値段と需要の関係を考える
- 統計学売れ行きのデータを読む
- 計量経済学広告の効果を確かめる
- 行動経済学人の選び方のくせを知る
- マーケティング論売り方の組み立てを学ぶ
高校生のうちに試せること
家計調査で地元の買い物を調べる
総務省統計局のページでは、県庁所在市と政令指定都市が、どの品目にいくら使っているかのランキングを見られます。自分の県の県庁所在市が何位なのか、調べてみましょう。
家計調査 品目別ランキング(総務省統計局)模擬店で値段を試す
文化祭の模擬店などで、時間帯によって値段を変え、売れた数を記録してみましょう。売上と利益がいちばん大きかった値段を比べれば、需要の考え方を実際に確かめられます。
同じ商品の値段の違いを探す
同じペットボトルの飲み物でも、自動販売機、コンビニ、スーパーで値段が違うことがあります。なぜ違うのかを、買う人と売る人の両方の立場から考えてみましょう。
「企業の企画・マーケティング」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 55 件から探せます。
よくある質問
経済学部と経営学部、どちらがマーケティングの仕事に向いていますか?
どちらの学部からも目指せます。経済学部では、値段と需要の理論や、データで効果を確かめる方法を深く学べます。経営学部では、マーケティング論や会計を学べます。大学ごとに科目は異なるので、カリキュラムを比べてみてください。
ひらめきやセンスがないと、企画の仕事はできませんか?
ひらめきも大切ですが、多くの企画は、調査やデータでお客さんを知るところから始まります。売れた理由と売れなかった理由を確かめ、次に生かすことをくり返すうちに力がついていきます。
マーケティングの仕事で、統計はどう使いますか?
売れ行きのデータの平均やばらつきを見たり、広告を出した店と出していない店の売上を比べたりするときに使います。高校の数学 I で学ぶ「データの分析」が、その入り口です。



