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図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 3

公務員・政策づくり

国や自治体、日本銀行で、景気や物価、税や社会保障を調べ、政策を考えて実行する仕事です。何百万人もの暮らしにかかわる決定を、データと経済学の考え方で支えます。

石造りの庁舎が並ぶ官庁街を背に、グラフの資料を広げて話し合う若い職員と学生たち

ひとことで言うと

生徒会で、全校の予算と行事を決める

部活や行事に、限られた予算をどう配るか。全員の声を聞き、去年の記録を見て、いちばん良い配り方を考えます。政策づくりは、これを国や町の大きさで、税金と法律を使って行う仕事です。

01

どんな仕事?: 国・自治体・日本銀行

国家公務員として省庁で働く人は、政策の案をつくり、予算を組み、国会での審議に向けた準備をします。全国にある出先の機関では、決まった政策を実際に動かします。

地方公務員は、都道府県や市町村で、地域の産業や福祉、税などの仕事を受け持ちます。住民にいちばん近いところで、暮らしの困りごとに向き合う仕事です。

日本銀行は、国の役所ではなく、日本銀行法にもとづいてつくられた法人です。お札を発行し、物価の安定を目指して金融政策を決めます。全国の支店では、地域の景気を調べて「地域経済報告(さくらレポート)」にまとめています。

経済学を生かせる職場は、経済を担当する省庁だけではありません。総務省統計局のように、消費者物価指数や家計調査など、国の大事な統計をつくる職場もあります。

職場は違っても、社会全体のためにお金とルールを考える仕事です。

図解3 つの職場

国の省庁

  • 法律や予算の案をつくる
  • 国全体の政策を考える
  • 国会に向けて準備する

自治体

  • 地域の産業や福祉を支える
  • 住民の相談にこたえる
  • まちの計画をつくる

日本銀行

  • お札を発行する
  • 金融政策を決める
  • 景気や物価を調べる
青空の下に建つ、横に長い灰色の石造りの庁舎と、正面の 3 つのアーチの入口
東京・霞が関にある財務省と国税庁の庁舎。霞が関には、多くの省庁の建物が集まっています。写真: Rs1421(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

02

政策ができるまで: 調べて、決めて、確かめる

政策づくりは、いまの経済を正しくつかむところから始まります。内閣府は毎月、消費や雇用、生産、物価などの動きを分析し、政府の景気の判断を「月例経済報告」にまとめています。

次に、課題を解決するための案をいくつか考え、効果と費用を比べます。たとえば子育ての支援を広げるなら、どれだけの家庭に届き、どれだけお金がかかるかを統計で見積もります。案は、国会や地方議会の話し合いを経て決まります。

実行したあとに、効果があったかを確かめることも大切です。たとえば、支援を受けた地域と受けていない地域を比べて、効果を数字で確かめます。データにもとづいて政策を考える取り組みはEBPM(証拠に基づく政策立案)とよばれ、国も力を入れています。

「効果と費用を比べる」経済学の考え方が、政策づくりの中心にあります。

図解政策づくりのくり返し

  1. 1調べる統計で経済の今をつかむ
  2. 2案をつくる効果と費用を比べる
  3. 3決める国会や議会で話し合う
  4. 4実行する予算を使って動かす
  5. 5確かめるデータで効果を検証する

03

日本銀行の仕事: お札と金融政策

金融政策の方針は、総裁、副総裁 2 人、審議委員 6 人の合わせて 9 人からなる政策委員会が、金融政策決定会合で決めます。職員は、景気や物価の分析、市場の調査などで、その判断を支えます。

お札を世の中に送り出すのも日本銀行の仕事です。お札は国立印刷局がつくり、日本銀行が費用を払って引き取ります。銀行が日本銀行に預けているお金を引き出すときに、お札として世の中に出ていきます。

経済学部で学ぶマクロ経済学や金融論、統計学は、こうした分析の土台です。物価とお金の流れを見守る仕事に、大学での学びがそのままつながります。

物価とお金の流れを見守ることが、日本銀行の役目です。

クイズ日本銀行のクイズ

答えを 1 つ選んでください。

  1. Q1100 円玉などの硬貨(貨幣)を発行しているのは?

  2. Q2日本銀行の金融政策決定会合は、ふつう 1 年に何回開かれる?

  3. Q3日本銀行本店の本館を設計した辰野金吾が、ほかに設計した建物は?

0 / 3 問に回答

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経済の官庁で働く若手職員の 1 日(例)

ここでは、国の経済の官庁で、統計の分析や政策の資料づくりを受け持つ若手職員の 1 日の例を紹介します。

新しい統計が発表されると、すぐに数字を読み、何が起きているのかを資料にまとめます。幹部への説明では、短い時間で要点を伝える力が求められます。

国会の会期中は、議員からの質問に答えるための資料づくりで、夜まで忙しくなる日もあります。働き方は、部署や時期によって大きく異なります。

分析する力と、分かりやすく伝える力の両方が求められます。

図解経済の官庁で働く若手職員の 1 日(例)

  1. 9:30統計の確認発表された消費や物価の数字を読む
  2. 11:00課の打ち合わせ政策の案と論点を整理する
  3. 12:00昼休み
  4. 13:30資料づくり経済の動きをグラフにまとめる
  5. 15:30幹部への説明分析の結果を短く伝える
  6. 17:00調整ほかの省庁や自治体と意見を合わせる

05

入り方: 公務員試験と経済学のつながり

国家公務員になるには、人事院の採用試験に合格し、各省庁の選考を受けて採用が決まります。政策の企画を担う総合職試験(大卒程度)には「経済」の区分があります。専門試験では、経済理論、財政学・経済政策、経済事情、統計学・計量経済学が全員に出題されます。

つまり、大学のミクロ経済学・マクロ経済学や財政学、統計学の授業が、そのまま試験の土台になります。総合職試験には、専門試験の代わりに企画提案試験などを行う「教養区分」もあり、19 歳(主に大学 2 年生)から受けられます。

地方公務員は、都道府県や市町村ごとの採用試験を受けます。日本銀行は、職員を独自に採用しています。入ったあとは、数年ごとに部署を移りながら経験を積みます。海外の大学院への留学や、国際機関で働く機会がある職場もあります。

大学で学ぶ経済学が、そのまま試験と仕事の土台になります。

図解国家公務員(総合職)への道(例)

  1. 1大学で学ぶミクロ・マクロ・財政学・統計学
  2. 2採用試験人事院の総合職試験(経済区分など)
  3. 3各省庁の選考面接などで採用が決まる
  4. 4政策の仕事部署を移りながら経験を積む

高校生のうちに試せること

  • 地方創生★政策アイデアコンテストに出る

    内閣府が開く、地域の課題を解決する政策のアイデアのコンテストです。地域経済分析システム(RESAS)などのデータで地域の現状を分析して提案します。高校生以下の部があり、2026 年は 11 月 16 日が募集の締め切りです。

    地方創生★政策アイデアコンテスト(内閣府)
  • 月例経済報告を読み比べる

    内閣府が毎月公表する、政府の景気の判断です。最初の「景気は、…」という 1 文が、先月からどう変わったかを見比べてみましょう。

    月例経済報告(内閣府)
  • 自分の町の予算を調べる

    住んでいる市町村のホームページで、今年度の予算の説明資料を探してみましょう。何にいくら使っているかを知ると、地方公務員の仕事の広さが見えてきます。

「公務員・政策づくり」に関連するコミュニティ

研究室・部活・サークルなど、全国の 28 件から探せます。

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よくある質問

公務員は法学部の人が多いと聞きます。経済学部からも目指せますか?

目指せます。国家公務員の総合職試験には「経済」の区分があり、専門試験は経済理論や財政学、統計学などから出題されます。経済の分析は、多くの政策の土台になります。

国家公務員と地方公務員は、どう違いますか?

国家公務員は国全体にかかわる政策を、地方公務員は都道府県や市町村で住民に身近な仕事を受け持ちます。どちらにも経済の知識を生かせる仕事があり、採用試験はそれぞれ別に行われます。

日本銀行の職員は公務員ですか?

公務員ではありません。日本銀行は、日本銀行法にもとづいてつくられた法人だからです。ただし仕事の公共性が高いため、日本銀行法で「法令により公務に従事する職員とみなす」と定められています。