2026 年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で 1,177 円(前年度は 1,121 円)に決まりました。いちばん高い東京都が 1,280 円、いちばん低い宮崎県が 1,085 円で、差は 195 円です。大学生のアルバイトにも、パート・正社員と同じく、住んでいる(働く)都道府県の最低賃金が適用されます(厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」令和 8 年度、2026 年 10 月 22 日確認)。この記事は、バイトを探している大学生と保護者に向けて、最低賃金と公的統計の「相場」を並べ、求人の時給を見るときの確かめ方を整理したものです。

2026 年度の最低賃金:額は同じでも、発効日は県ごとに違う

最低賃金は都道府県ごとに決まり、毎年改定されます。厚生労働省の一覧は、令和 8 年度の改定額と、改定前の額、発効日を並べています。2026 年 10 月 22 日の時点で、発効日がまだ先の県が 47 のうち 15 あります。「新しい額」と「いま払われている額」を混ぜないよう、住んでいる県と大学のある県の発効日を先に見てください。

都道府県令和 8 年度の額改定前の額発効日
東京1,280 円1,226 円2026 年 10 月 1 日
神奈川1,279 円1,225 円2026 年 10 月 1 日
大阪1,231 円1,177 円2026 年 10 月 1 日
愛知1,195 円1,140 円2026 年 10 月 1 日
京都1,180 円1,122 円2026 年 11 月 16 日
北海道1,131 円1,075 円2026 年 10 月 1 日
福岡1,114 円1,057 円2026 年 10 月 4 日
宮城1,098 円1,038 円2026 年 10 月 1 日
沖縄1,086 円1,023 円2026 年 12 月 2 日
宮崎1,085 円1,023 円2026 年 10 月 24 日
全国加重平均1,177 円1,121 円-

令和 8 年度の地域別最低賃金を都道府県別に並べた棒グラフ、公的統計の時給、学生の週あたりのバイト時間の分布、求人を見るときの確かめ方の手順を 1 枚にまとめた図。

図: 最低賃金・統計の時給・バイトの時間・確かめ方(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 厚生労働省・日本学生支援機構)

表は主な都府県だけで、47 都道府県すべての額と発効日は厚生労働省の全国一覧にあります。京都府(1,122 円から 1,180 円へ)のように、大学が多い府県でも発効が 11 月になるところがあります。その日までは、改定前の額が適用されます。引き上げ額は多くの県で 54〜65 円、率にして 4.4〜6.3% で、全国加重平均では 56 円(5.0%)の引き上げです。

最低賃金は、バイト代が最低でもこの額以上でなければならないという下限です。「研修中だから」という理由で、これより低い時給にすることは認められません。厚生労働省は、最低賃金を下回る時給を契約で決めても、その部分は無効になり、最低賃金と同じ額とみなされると説明しています(厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A、労働基準法・最低賃金法の条文に基づく説明)。

「相場」は公的統計で見る:20〜24 歳の短時間労働者は 1,287 円

最低賃金は下限で、実際の時給はこれより高いのがふつうです。目安になる公的な統計が、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の短時間労働者の「1 時間当たり賃金」です。令和 7(2025)年の結果は次のとおりです(厚生労働省「令和 7 年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)。

区分(男女計)1 時間当たり賃金
19 歳以下1,192 円
20〜24 歳1,287 円
25〜29 歳1,513 円
卸売業・小売業(全年齢)1,268 円
宿泊業・飲食サービス業(全年齢)1,234 円
製造業(全年齢)1,298 円

読むときの注意が 3 つあります。

  • 学生だけの数字ではありません。 年齢階級で区切っているだけで、学生に限った集計ではありません。20〜24 歳には、学生でない人も入っています。
  • 2025 年 6 月分の所定内給与です。 調査は 10 人以上の常用労働者がいる民営事業所が対象で、残業代など所定内でない給与は含みません。1 時間当たり賃金は、各人の賃金を所定内の実労働時間で割った値の平均です(同「主な用語の定義」「利用上の注意」)。
  • 産業別は全年齢の平均です。 飲食は 1,234 円、小売は 1,268 円と、製造業(1,298 円)より低い一方、学習支援業は 2,541 円と高く、職種で大きく違います。学生のバイトが多い業種の数字を、そのまま学生の相場とは言えません。

つまり、2025 年の統計では 20〜24 歳の短時間労働者の平均が 1,287 円なので、2026 年度の最低賃金(全国加重平均 1,177 円)は、その約 9 割の水準です。計算はこの記事の割り算で、公式の数字ではありません。最低賃金は毎年上がるため、次の調査の相場も上がる可能性がありますが、推測の域を出ません。

学生の収入とバイトの時間:日本学生支援機構の調査から

学生本人の実態は、日本学生支援機構(JASSO)の「学生生活調査」で見られます。令和 6(2024)年度の結果(大学学部・昼間部)では、次のとおりです(日本学生支援機構「令和 6 年度学生生活調査結果」)。

項目(大学学部・昼間部)令和 6 年度令和 4 年度
調査前 1 年間にアルバイトをした学生の割合86.4%83.8%
アルバイト収入の平均(年間)507,700 円375,900 円
収入全体に占めるアルバイト収入の割合25.0%19.1%

アルバイト収入の 507,700 円を 12 で割ると月約 4 万 2 千円ですが、これは割り算した値で、調査が示す月額ではありません。これは学生全体の平均で、国立・公立・私立や住まいの形で金額は違います(集計表 1-1 表)。

週のバイト時間は、授業期間中の典型的な 1 週間について聞いた結果があります。「アルバイト・定職」の時間は、0 時間が 19.3%、1〜5 時間が 10.4%、6〜10 時間が 19.0%、11〜15 時間が 23.1%、16〜20 時間が 16.9%、21〜25 時間が 5.9%、26〜30 時間が 1.9%、31 時間以上が 3.1% です。もっとも多いのは週 11〜15 時間で、16 時間以上の合計は 27.8% です(この合計は足し算)。この項目は定職の時間も含みます。

家計の事情でも違いが出ます。全学生に対する割合で、「家庭からの支援のみでは修学がやや困難・非常に困難」「支援無し」と答えてバイトをしている学生は 35.1%、「家庭からの支援のみで十分修学可能」と答えてバイトをしている学生は 51.3% です(同 4-1 表)。支援が足りる学生もバイトをしている人が多く、必要度だけでは決まらないことが分かります。

時給と月の収入:求人を見たときの計算のしかた

求人の時給は、週に入れる時間と掛けて、月の収入にすると比べやすくなります。1 か月を 4 週とした目安は次のとおりです(割り算・掛け算した値で、公式の数字ではありません)。

時給週 8 時間週 12 時間週 16 時間
1,100 円35,200 円52,800 円70,400 円
1,200 円38,400 円57,600 円76,800 円
1,300 円41,600 円62,400 円83,200 円

実際の月の収入は、シフトの回数、交通費の扱い、深夜の割増しなどで変わります。月ごとの収入が年にいくらになるかで、税金や親の控除が変わる場合があります。年収の線(2026 年の基準)は大学生の扶養と 103 万の壁に、親の健康保険の扶養は大学生の健康保険に書きました。ここでは、時給の計算に絞ります。

求人を見たら確かめること:学業との両立も条件のうち

厚生労働省は、アルバイトを始めるときに、時給や働く時間などの条件を書いた書面をもらって保存するよう勧めています。会社は、期間、仕事の内容と場所、働く時間と休日、時給、辞めるときのきまりなどを、書面(労働者が希望すればメールや SNS でも可)で示すことになっています(厚生労働省「確かめようアルバイトの労働条件」)。

確かめる順番の例です。

  1. 時給が、その県の最低賃金以上か。 発効日の前後で額が違います。研修中の時給も同じです。
  2. 深夜の時給。 午後 10 時から午前 5 時の勤務には、25% 以上の割増賃金がつきます(労働基準法 37 条)。時給 1,200 円なら 1,500 円以上で、22 時以降の時給がいくらかを書面で確かめます。厚生労働省のQ&Aは、割増率や額を含めて、労働契約を結ぶ際に書面で示すよう求めるものとしています。18 歳未満は、原則として深夜に働かせることができません。
  3. 働く時間と休憩。 6 時間を超えれば 45 分以上、8 時間を超えれば 1 時間以上の休憩が必要です。開店準備や片付けの時間も、会社の指示で行うなら時給の対象です。
  4. シフトの決め方。 決めた曜日や時間を、会社が一方的に変えることはできません。変更には、働く人と雇う人の事前の合意が必要です。試験や授業の日は、はっきり断る、早めに相談する、と厚生労働省は案内しています。
  5. 残業の扱い。 1 日 8 時間・週 40 時間を超えれば、アルバイトでも 25% 以上の割増賃金です。

学業との両立は、時給の高さより「週に何時間入るか」で決まります。JASSO の調査で最も多い週 11〜15 時間は、1 回 4〜5 時間の勤務なら週 3 回前後です(この回数は割り算)。テスト期間やレポートの時期にシフトを減らせるか、採用の面接で聞いておくと、後で困りません。サークルや部活との両立を考えるなら、先にコミュニティの一覧で活動の頻度を見ておくのも手です。

留学生は、在留資格「留学」で働くには資格外活動の許可が必要です。包括許可は、1 週について 28 時間以内(教育機関の長期休業期間は 1 日 8 時間以内)の活動が対象です(出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」)。

よくある迷い

最低賃金より低い時給でも、「学生だから」と言われたら?

最低賃金は学生にも適用されます。研修中でも下回れません。時給が最低賃金に満たない場合は、最寄りの労働基準監督署に相談できます(厚生労働省「確かめようアルバイトの労働条件」)。

大学のある県と実家の県で、最低賃金は違う?

最低賃金は都道府県ごとに決まるので、大学のある県と実家の県で額も発効日も違うことがあります。どの県の額が当てはまるかは、働く場所(バイト先)で確かめてください。細かい扱いは確かめていないので、迷ったら都道府県労働局か労働基準監督署に聞いてください。

「相場」より低い求人は避けたほうがいい?

時給だけで決めると、交通費、深夜の割増し、休憩、シフトの融通など、ほかの条件を見落とします。統計の平均は、さまざまな産業の短時間労働者の平均で、学生向けの求人の平均ではありません。最低賃金以上であることを確かめたうえで、書面の条件を比べてください。

時給が上がったのに、手取りが減る?

収入が増えて、税金や親の扶養の線を超えるときは、手取りや世帯の負担が変わる場合があります。2026 年の線は大学生の扶養と 103 万の壁で確かめてください。

次にやること

  1. 働く県の令和 8 年度の最低賃金と発効日を、厚生労働省の一覧で調べる。
  2. 気になる求人の時給で、「時給 × 週の時間 × 4 週」の月の収入を出す。
  3. 面接の前に、深夜の時給、休憩、シフトの変更の決まり、テスト期間の休みを質問にまとめる。
  4. 採用されたら、労働条件の書面(またはメール)を保存する。
  5. 大学選びの段階の高校生と保護者は、大学の一覧で、通う地域の見当をつけておく。住む県が決まれば、最低賃金も決まります。

最低賃金は毎年秋に変わります。この記事の確認日は 2026 年 10 月 22 日です。発効日が過ぎたか、各県の労働局のページでもご確認ください。