科研費の応募は、種目によって公募の時期が違います。令和 9(2027)年度の基盤研究(A・B・C)、挑戦的研究、若手研究は、2026 年 7 月 14 日に公募が始まり、9 月 17 日の午後 4 時 30 分に締め切られました(日本学術振興会「令和9(2027)年度 公募要領」2026 年 7 月)。基盤研究(A・B・C)と若手研究の審査結果は 2027 年 2 月 26 日、交付内定は 2027 年 4 月上旬の予定です。

大学院生、ポスドク、若手の教員、研究室の事務の人に向けて、公募から交付内定、報告までの 1 年の流れを、日本学術振興会(JSPS)の資料で整理しました。2026 年 10 月 22 日の今は、令和 9 年度の分は審査の最中です。今からできることは、後半の「今から何ができるか」にまとめています。

種目ごとに公募の時期が違う 令和 9 年度の分

令和 9 年度の予定は、公募の始まる月で 3 つに分かれます。JSPS の「スケジュール」のページと公募要領に載っている日付です。すべての種目は載せず、大学院生や若手の研究者が関わりやすいものを中心にしました。

公募の時期種目公募期間審査結果通知交付内定
4〜6 月特別推進研究2026/4/10〜6/162027 年 1 月上旬2027 年 4 月上旬
4〜6 月基盤研究(S)2026/4/10〜6/162027 年 2 月中旬2027 年 4 月上旬
4〜6 月学術変革領域研究(A・B)2026/4/10〜6/162027 年 2 月中旬2027 年 4 月上旬
7〜9 月基盤研究(A・B・C)、若手研究2026/7/14〜9/172027 年 2 月 26 日2027 年 4 月上旬
7〜9 月挑戦的研究(開拓・萌芽)2026/7/14〜9/172027 年 6 月 30 日(事前の選考結果は 2 月下旬)2027 年 6 月 30 日
7〜9 月奨励研究2026/7/14〜9/172027 年 1 月 29 日2027 年 4 月上旬
3〜5 月研究活動スタート支援令和 8 年度分は 2026/3/1〜5/82026 年 7 月 31 日2026 年 7 月 31 日

(日本学術振興会「科研費スケジュール」「令和9(2027)年度 公募要領(基盤研究(A・B・C)、挑戦的研究、若手研究)」2026 年 7 月。いずれも予定で、2026 年 10 月 22 日に確認。学術変革領域研究は、公募と審査を文部科学省が行います)

令和 9 年度科研費の公募時期を 4〜6 月・7〜9 月・3〜5 月に分けた種目の表、基盤研究(B・C)・若手研究の審査から送金までの流れ、採択後の報告の期限、2026 年 10 月 22 日の今からできることを 1 枚にまとめた図

図: 科研費の応募から交付内定・報告までの流れ(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 日本学術振興会の科研費スケジュール、令和 9 年度公募要領、基金分の研究者使用ルール)

4〜6 月に公募する特別推進研究や基盤研究(S)は、審査にヒアリングが入るため、審査の期間が 7 月から翌年 2 月までと長く取られています(JSPS のスケジュール資料)。7〜9 月の種目は、2 段階の書面審査などで 10 月から翌年 1 月に審査します。大学院生や若手が最初に応募するのは、たいてい 7〜9 月の基盤研究(B・C)か若手研究です。若手研究の要件(学位取得後 8 年未満の数え方)・金額・採択率は、科研費の若手研究の記事に書いたので、ここでは繰り返しません。

研究活動スタート支援は、研究機関に採用されたばかりの人や、育児休業などから復帰する人のための種目です。公募の時期は 3〜5 月で、ほかの種目に応募できなかった人が対象です(JSPS「研究活動スタート支援」)。

日本学術振興会の特別研究員(DC・PD など)に採用されると、研究費は科研費の「特別研究員奨励費」として交付されます。使用ルールも別に定められているので、採用されたときは、この記事の流れではなく特別研究員の案内に従ってください(JSPS「使用ルール」)。

応募から結果まで 学内の締切が先にくる

応募の書類は研究代表者が作りますが、JSPS に送るのは所属する研究機関です。研究者が機関に出し、機関が確認して送るため、学内の締切は JSPS の締切より前になります。学内の日付は公募要領になく、機関ごとに違います。e-Rad への研究者情報と応募資格の登録も、機関の事務が行います(公募要領)。

令和 9 年度の基盤研究(B・C)と若手研究の例では、順番は次のとおりです。

時期できごと
2026 年 7 月 14 日公募開始
機関ごとに設定学内の提出期限
2026 年 9 月 17 日 午後 4 時 30 分JSPS への提出期限
2026 年 10 月〜2027 年 1 月審査
2027 年 2 月 26 日審査結果通知
2027 年 4 月頃審査結果の開示

審査結果の通知は、採否が電子申請システムで研究代表者と研究機関に届きます。結果が「採択」でも、契約などの手続きは交付内定後に行うよう公募要領は求めています。事前の準備は始められます。

採択されたあと 交付内定から報告まで

採択後の手続きは、研究費を受け取るまでと、使ったあとの報告に分かれます。科研費の管理は、研究者が所属する研究機関が行います(JSPS「使用ルール」)。使い方も機関の事務の手続きを通すので、買い物や出張の前に事務へ確認します。

基金分の種目(基盤研究(B・C)、若手研究、挑戦的研究、研究活動スタート支援など)の流れは次のとおりです。令和 9 年度に採択された基盤研究(B・C)と若手研究の予定の日付で書きます。

時期手続き
2027 年 4 月上旬交付内定。内定通知日から研究を始め、契約などをしてよい
2027 年 4 月下旬交付申請。申請の前に、研究倫理教育を受けておく
2027 年 6 月中旬交付決定
2027 年 7 月上旬送金(前期分)。その年度の直接経費が 300 万円以上なら、10 月頃に後期分
各年度の終了後、翌年度の 5 月 31 日まで実施状況報告書(最終年度を除く)
最終年度の翌年度の 5 月 31 日まで実績報告書。未使用の助成金があれば返還
最終年度の翌年度の 6 月 30 日まで研究成果報告書

(日本学術振興会「令和9(2027)年度 公募要領」、「学術研究助成基金助成金 研究者使用ルール(交付条件)」2026 年 6 月 5 日改正。2026 年 10 月 22 日に確認)

内定から送金までは約 3 か月あります。内定通知日から契約などをしてよいのですが、必要な経費は、直接経費を受け取ったあとに支出するか、研究機関が立て替えて受領後に精算します(研究者使用ルール 2-6)。予算成立の状況で、交付内定の時期が変わることもあります。

報告の期限は、研究期間によって何年後かが変わります。たとえば 3 年の研究期間で、最終年度が令和 11(2029)年度なら、実績報告書は 2030 年 5 月 31 日まで、研究成果報告書は 2030 年 6 月 30 日までです。研究成果報告書を理由なく出さないと、次の科研費に応募して採択されても交付されないことがあります(公募要領)。報告書は研究機関が取りまとめて提出するので、学内の期限も事務に聞いてください。

基盤研究(A)のように補助金分の種目は、別の「研究者使用ルール(補助条件)」が決まっていて、様式も違います。基金分と同じ日付とは限らないので、採択された種目のルールを読んでください。

不採択のとき 結果の開示と次の準備

基盤研究(B・C)と若手研究で採択されなかった人は、希望すれば 1 段階目の審査の結果の開示を受けられます。小区分でのおおよその順位、審査委員の評定の素点(平均点)、定型所見が、電子申請システムで開示されます。令和 9 年度の開示は、2027 年 4 月頃の予定です(公募要領)。

開示の使い方は、順位と所見を見て、次の応募で直す点を絞ることです。素点は評定要素ごとに出るので、どの点が弱かったかを探す手がかりになります。研究室の先生や先輩にも見てもらうと、計画調書の書き方まで直せます。

今から何ができるか 2026 年 10 月 22 日の時点

読み手の状況で、できることが違います。

  • 令和 9 年度の分に応募した人: 審査は 2027 年 1 月まで続き、結果は 2 月 26 日の予定です。結果が出るまでは研究の準備を進め、契約などは内定後にします。
  • 応募しなかった、できなかった人: 研究活動スタート支援の令和 9 年度の公募は、2027 年 3 月に予定されています。応募要件の案は、2026 年 9 月 18 日以降に科研費の応募資格を得て、令和 9 年度の基盤研究などに応募していない人などです。詳しくは 2027 年 3 月に公表される公募要領で確かめます(令和 9 年度 公募要領)。
  • 令和 10 年度の公募を目指す人: 令和 10 年度の日程は、2026 年 10 月 22 日の時点でスケジュールのページに出ていません。令和 9 年度は 7 月中旬に公募が始まり 9 月中旬に締め切られたので、2027 年の夏に向けた準備を春までに始めておくと余裕が出ます。

準備の具体的な中身は 3 つです。

  1. 所属先の事務に、e-Rad の登録状況(応募資格、博士の学位取得日)と、学内の締切の例年の時期を聞く
  2. 自分の分野の小区分で、過去に採択された課題をKAKENで調べる
  3. 令和 9 年度の様式を読み、研究計画調書の分量を知っておく。令和 10 年度の様式は変わることがあるので、公募要領が出たら読み直す

次の所属先を探している人は、大学カタログの研究室の一覧で分野から探し、科研費の応募の扱いを受け入れ先の事務に確かめておくと安心です。

よくある迷い

大学院生は科研費に応募できますか?

大学院生などの学生は、応募資格を満たしません。応募資格は、研究機関が研究活動を職務に含む者として所属させ、e-Rad に「科研費の応募資格有り」と登録している研究者に認められます。詳しくは若手研究の記事に書きました。

公募開始の日に応募の準備を始めればいいですか?

間に合わないことがあります。学内の締切は JSPS の締切より前で、e-Rad と電子申請システムの連携にも 30〜60 分、混雑時は数時間かかるためです(公募要領)。学内の締切は公募要領に載っていないので、公募が始まる 7 月には事務へ聞いてください。

審査結果が出る前に、研究費は使えますか?

使えません。研究を始めて契約などをしてよいのは、交付内定の通知日以降です。採択の通知を受けた時点で準備は始められますが、契約は内定後に行います。経費の支出は、直接経費を受け取ったあとか、研究機関が立て替えて精算します(公募要領、研究者使用ルール)。

4 月の交付内定が遅れることはありますか?

あります。予算成立の状況などで、交付内定の時期が変更されることがあると公募要領に書かれています。変更があれば、JSPS のウェブページと研究機関を通じて知らされます。

採択されたら、いつまでに何を出せばいいですか?

最初の期限は、交付申請(4 月下旬の予定)です。そのあとは、各年度の終了後に翌年度の 5 月 31 日までの実施状況報告書、最終年度の翌年度の 5 月 31 日までの実績報告書、6 月 30 日までの研究成果報告書の順です。機関ごとの期限は事務が案内します。