国公立大学の学校推薦型選抜は、共通テストを課す方式と課さない方式に分かれます。課さない方式は書類・小論文・面接などで選び、合格発表は 12 月ごろです。課す方式は 2027 年 1 月 16 日・17 日の共通テストの成績も使うので、選考は年明けまで続き、合格発表は 2 月 10 日までです(国立大学協会・公立大学協会「2027 年度入学者選抜についての実施要領」2026 年 6 月)。国公立の推薦をめざす高校 3 年生・2 年生と保護者に向けて、文部科学省の全体の数字と、5 大学の募集要項(2027 年度入試・2027 年 4 月入学)で確かめた違いをまとめます。出願が 11 月に始まる大学が多いので、10 月下旬のいまが募集要項を読む時期です。
共通テストを課す推薦と課さない推薦の違い
国公立の推薦は、共通テストの扱いで次のように分かれます。日付は実施要領にある期限で、実際の発表日は大学ごとに決まります。
| 共通テストを課さない | 共通テストを課す | |
|---|---|---|
| 選考の材料 | 書類・小論文・面接など(大学ごと) | 共通テストの成績に、書類・面接などを加える |
| 合格発表の期限 | 2027 年 1 月 22 日 | 2027 年 2 月 10 日 |
| 入学手続の締切 | 2027 年 2 月 17 日 | 2027 年 2 月 17 日 |
| 今回見た大学の発表日 | 島根県立大学(国際関係コース)12 月 1 日、山口大学(Ⅰ)12 月 8 日、筑波大学(心理学類を除く)12 月 10 日 | 東京大学・筑波大学心理学類・山口大学(Ⅱ)・横浜市立大学 2 月 10 日、島根県立大学(地域公共コース)2 月 9 日 |
なぜ分かれているのかは、大学の資料に手がかりがあります。東京大学の募集要項は、共通テストを「入学後の学修を円滑に行い得る基礎学力を有しているかどうかを判断する観点」で使うと書いています。山口大学のアドミッション・ポリシーは、課す方式では「高等学校で履修した教科の幅広い基礎学力を大学入学共通テストで評価」し、課さない方式では出願書類・小論文・総合問題・面接で基礎学力や知識・技能を測るとしています。基礎学力を共通テストで確かめるか、大学が行う試験で確かめるかの違いと読めます。
同じ大学でも、学部やコースで方式が分かれることがあります。山口大学は学部ごとに「学校推薦型選抜Ⅰ」(課さない)と「Ⅱ」(課す)を分けています。島根県立大学は、コースによって課すか課さないかが違います。日付の決まりと、推薦は 1 人 1 大学 1 学部までという併願の決まりは、2027 年度の推薦・総合型選抜 日程と面接・併願の決まりにまとめてあります。年内入試の全体は年内入試とはを見てください。
2027 年度入試 国公立の推薦の全体の数字
文部科学省の「令和 9 年度国公立大学入学者選抜の概要」(2026 年 10 月公表)は、学校推薦型選抜を行う大学・学部の数を、共通テストを課す・免除の別に載せています。表は資料のとおりで、2026 年 7 月末現在の集計です(今後変わる可能性があると資料に注記があります)。
| 令和 9 年度 | 国立 | 公立 | 計 |
|---|---|---|---|
| 学校推薦型選抜を行う | 76 大学・308 学部 | 98 大学・223 学部 | 174 大学・531 学部 |
| うち共通テストを課す | 60 大学・205 学部 | 36 大学・79 学部 | 96 大学・284 学部 |
| うち共通テストを免除 | 60 大学・175 学部 | 84 大学・182 学部 | 144 大学・357 学部 |
(文部科学省「令和 9 年度国公立大学入学者選抜の概要」の総括表)
読み方の注意が 2 つあります。
- 課す・免除の数を足しても、実施数にはなりません。 資料の注に「学部内の募集単位により選抜方法が異なる場合には、それぞれの箇所に計上している」とあります。同じ大学・学部が、両方の方式を持つ場合があるためです
- この資料から、学校推薦型選抜だけの募集人員は分かりません。 大学別の募集人員表は、総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせた人数で載っています。人数は大学の募集要項で確かめます
国立は課す大学・免除の大学がどちらも 60 です。公立は免除が 84 大学、課すが 36 大学で、公立のほうが課さない大学が多くなっています。前の年度(令和 8 年度)は、課すが 97 大学・280 学部、免除が 145 大学・358 学部で、大きな変化はありません。

図: 課す推薦と課さない推薦の比べ方(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度国公立大学入学者選抜の概要」、国立大学協会・公立大学協会の実施要領)
5 大学の募集要項で見る共通テストの扱い
国立 3 校・公立 2 校の、2027 年度の学校推薦型選抜の募集要項(または公式ページ)を確かめました。共通テストを課す大学、課さない大学、両方を持つ大学を入れています。
| 大学 | 共通テストの扱い | 基準・配点の書き方 |
|---|---|---|
| 東京大学(国立) | 課す(全学部)。学部が指定する教科・科目をすべて受験する。法・経済・文・教育・教養学部は 6 教科 8 科目または 7 教科 8 科目(配点合計 1000 点) | 「概ね 8 割以上の得点であることを目安」。提出書類・面接等・共通テストの成績を総合して評価する |
| 筑波大学(国立) | 心理学類(12 名)だけ課す。ほかの学群・学類の推薦入試は課さない | 心理学類は 6 教科 7 科目(530 点)。「個別学力検査等の合格者とほぼ同等の水準の学力と判断し得る者」を最終合格者とする。割合の数字は書かれていない |
| 山口大学(国立) | 学部・学科で「Ⅰ(課さない)」と「Ⅱ(課す)」に分かれる。人文学部はⅡで 4 教科 4 科目 | Ⅱは配点に入る。人文学部は共通テスト 600 点と面接 100 点で合計 700 点 |
| 島根県立大学(公立) | 国際関係コース・経済経営コースなどは課さない。地域公共コースは課す | 地域公共コースは共通テスト 200 点と個別面接 200 点で合計 400 点。どちらかの成績が著しく低いと、総合点での順位に関わらず合否を判定することがある |
| 横浜市立大学(公立) | 公募制学校推薦型選抜は全員が課す。国際教養・国際商学部は 6 教科 8 科目 | 共通テストの合計点(1,000 点満点)と出願書類で総合評価する |
(各大学の募集要項・公式ページ。東京大学 2026 年 7 月 10 日公表、筑波大学 2026 年 9 月、山口大学 2026 年 9 月掲載、島根県立大学 2026 年 8 月現在、横浜市立大学 2026 年 6 月 10 日更新)
「共通テストは何割必要か」への答えは、大学ごとに書き方が違います。割合の目安を明記しているのは、確かめた 5 校では東京大学だけでした。筑波大学は「個別学力検査等の合格者とほぼ同等の水準」と書くだけで、割合は示していません。山口大学・島根県立大学・横浜市立大学は、共通テストの点数を配点に入れて合計点で見る書き方で、確かめたページには基準点の記載がありませんでした。ただし、必要な点数は、その年の志願者の成績と募集人員で変わります。目安が書かれていない大学は、募集要項と大学の入試のページで確かめます。
出願要件・推薦人数・日程
出願できる人、1 つの高校から推薦できる人数、日程は、次のとおりです。
| 大学 | 出願できる人 | 1 校から推薦できる人数 | 日程(2026〜2027 年) |
|---|---|---|---|
| 東京大学 | 2025 年 4 月以降の高校卒業者と、2027 年 3 月の卒業見込みの者。合格したら必ず入学できる者 | 合計 4 人まで(男女各 3 人まで)。同じ学部へは男女各 1 人まで | 出願 11 月 1 日〜6 日、第 1 次発表 12 月 1 日、面接等 12 月 12 日・13 日、最終発表 2 月 10 日 |
| 筑波大学(心理学類) | 2027 年 3 月の卒業見込みの者など。推薦要件は「概評 A」または個別学力検査に合格できる学力など | 2 名(推薦要件(1)または(2))、1 名(要件(3)) | 出願 10 月 23 日〜11 月 9 日、第 1 次選考 11 月 26 日・27 日、第 1 次発表 12 月 10 日、最終発表 2 月 10 日 |
| 山口大学 | Ⅱは 2027 年 3 月の卒業見込みの者が中心。Ⅰは学部により全体の評定 3.5 以上などの条件がある | Ⅱの人文学部は 1 校 2 名以内 | Ⅰは出願 11 月 4 日〜10 日・試験 11 月 24 日・発表 12 月 8 日。Ⅱは出願 12 月 11 日〜17 日・試験 1 月 21 日・発表 2 月 10 日 |
| 島根県立大学 | 島根県内の高校の 2027 年 3 月卒業見込みの者。全体の学習成績の状況 3.5 以上。合格したら必ず入学する者 | 国際関係コースは 1 校 1 名まで、地域政策学部の各コースは 2 名まで | 出願 11 月 1 日〜5 日、試験 11 月 14 日。発表は課さないコース 12 月 1 日、地域公共コース 2 月 9 日 |
| 横浜市立大学 | 第一志望で、2026 年 3 月以降の卒業者と 2027 年 3 月の卒業見込みの者。合格したら入学を確約できる者 | 確かめたページには記載がない | 出願 2027 年 1 月 5 日〜22 日、発表 2 月 10 日、入学手続 2 月 17 日 |
(東京大学・筑波大学・山口大学・島根県立大学・横浜市立大学の募集要項または公式ページ)

図: 5 大学の学校推薦型選抜(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 各大学の 2027 年度学校推薦型選抜の募集要項・公式ページ)
ここから分かることが 3 つあります。
- 推薦人数は 1 校 1〜4 人と幅があります。 東京大学のように学校全体で 4 人までの大学、筑波大学のように学類ごとに 1〜2 名の大学、島根県立大学のようにコースごとに 1〜2 名の大学があります。高校の中で選ばれることが最初の関門になるので、早めに進路の先生に希望を伝えます
- 現役のみか、既卒も出願できるかも違います。 東京大学(2025 年 4 月以降の卒業者)と横浜市立大学(2026 年 3 月以降の卒業者)は、既卒者も出願できます。筑波大学は学類により違い、日本語・日本文化学類と知識情報・図書館学類は卒業した者も出願できます。山口大学の農学部の一部の募集単位は、2026 年 3 月以降の卒業者も対象です
- 評定や要件は大学・学部ごとに違います。 島根県立大学は全体の学習成績の状況 3.5 以上と数字で示し、山口大学のⅠは学部により 3.5 以上や 4.0 以上、東京大学は学部ごとの推薦要件です。筑波大学心理学類の推薦要件は、調査書の学習成績概評が A の段階に属することなどです
迷いやすい点と、次にやること
どちらを選べばよいですか
方式は、志望する大学・学部が決めるもので、同じ大学の中で自由に選べるとは限りません。山口大学のように同じ学部群の中でⅠとⅡが分かれ、両方に出願することもできない大学があります(山口大学の募集要項)。まず志望校の募集要項で、自分の学部・学科が課す方式か課さない方式かを確かめます。
共通テストを課す推薦は、勉強をいつまで続けますか
最終発表が 2 月 10 日までなので、1 月の共通テストを受けて、結果が出るまで勉強を続ける必要があります。指定された教科・科目を 1 つでも受験しない場合、東京大学の募集要項は「合格者にはなりません」、筑波大学の募集要項は「選考の対象としません」と書いています。共通テストの出願は 2026 年 10 月 2 日に締め切られているので、高校で出願が済んでいるかを確かめてください。共通テストの日程と出願は2027 年度共通テストは 1 月 16・17 日にあります。
不合格のときは、一般選抜に出願できますか
出願できます。国公立の推薦に不合格になった場合に備えて、一般選抜の前期日程から 1 つ、後期日程から 1 つの合計 2 つの大学・学部に出願できます(東京大学・筑波大学の募集要項。公立は中期日程もあります)。ここで順番に気をつけます。一般選抜の出願は 2027 年 1 月 25 日〜2 月 3 日(文部科学省「令和 9 年度国公立大学入学者選抜の概要」)で、共通テストを課す推薦の発表は 2 月 10 日までです。つまり、推薦の結果が出る前に、一般選抜の出願先を決めます。一般選抜の日程と手続は国公立大学の 2027 年度一般選抜で確かめてください。
1 校から何人まで推薦してもらえますか
上の表のとおり、大学・学部ごとに決まっています。筑波大学の医学類のように、過去の入学者の実績で人数が変わる学類もあります。募集要項の「1 校から推薦できる人数」の欄を、担任や進路の先生と一緒に読むのが確実です。
次にやること
- 志望校の募集要項で、自分の学部・学科が共通テストを課すかどうかを確かめる(大学の一覧は大学カタログから探せます)
- 出願要件(評定・現役か既卒か・地域の条件)を満たしているか、先生に確認する
- 課す方式なら、指定された教科・科目の受験と、一般選抜の出願先を決める日を、手帳に書く
- 募集要項が未公表の大学は、公表の時期を大学のページで確かめる。この記事は、2026 年 10 月 23 日までに公表されていた募集要項を見ています
