指定校推薦は、大学が指定した高校の校長が推薦した人だけが出願できる入試です。公表されている入試結果では、志願者全員が合格している例が多く見つかります。ただ、不合格や合格取り消しが「ない」とは、どの大学も書いていません。募集要項には、面接などの結果によって不合格にすることがある、と明記している大学があります。11 月に試験を受ける高校 3 年生と保護者の方に向けて、大学の公式の資料で、何がどこまで書かれているかを確かめました。仕組みや校内選考は指定校推薦とは 仕組み・校内選考・合格までの流れにまとめています。

公表された入試結果では、全員合格の例が多い

まず結果を見ます。指定校の区分だけを分けて公表している大学は多くありません。確かめられたのは 2 校です。

大学・年度区分志願者数受験者数合格者数
慶應義塾大学 2026 年度経済・法(法律・政治)・商・理工・薬の 6 区分26・74・77・261・215・23資料に記載なし26・74・77・261・215・23(全区分で志願者数と同じ)
津田塾大学 2026 年度学芸学部121121121
同総合政策学部373737
津田塾大学 2025 年度学芸学部108108108
同総合政策学部272323

(慶應義塾大学「学校推薦型選抜 指定校による推薦入試(2026 年度 入試結果)」、津田塾大学「2026 年度入試結果(学部)」「2025 年度入試結果(学部)」)

津田塾大学の 2025 年度の総合政策学部は、志願者 27 人に対して受験者が 23 人で、受験した 23 人は全員合格しています。受験しなかった 4 人の理由は、資料に書かれていません。

数字では、受験した人が全員合格した年度が続いています。ただし 2 大学の結果で、ほかの大学も同じとは言えません。大切なのは、大学が何を見て、どんな場合に合否を分けると書いているかを知って、準備に使うことです。

募集要項に書かれている合否の判定方法

指定校推薦の募集要項は、高校だけに送る大学が多いので、公開されているものは限られます。公開されている範囲で、判定方法の書き方を並べます。

大学(年度)判定に使うもの合否について書かれていること
東京未来大学(通信教育課程・2027 年度入学生募集)調査書・推薦書などの書類審査と集団面接「書類審査、面接試験の結果、学力・資質等が適格でないと判断した場合は、推薦基準を満たしていても不合格となることがあります」
島根県立大学 看護学科(令和 9 年度)ポートフォリオと面接「面接の評価が著しく低い場合は、総合点の順位に関わらず合否を判定することがあります」
横浜市立大学(2027 年度)書類審査と面接「面接ではこの資格を有するかを判断するための質問をし、合否を決定します」
上智大学(2027 年度)調査書・自己推薦書・レポート等・面接「指定校学校長からの推薦であることを尊重し、極力、入学を許可することを旨とします」
江戸川大学(2026 年 8 月 3 日現在)出願書類 60 点、口頭試問を含むグループ面接 40 点総合的に判定する
嘉悦大学(2027 年度)志望理由書 50 点、面接 50 点、口頭試問 50 点(計 150 点)総合的に評価する

(各大学の指定校推薦のページ・募集要項。出典は記事の最後に並べています)

同じ「指定校推薦」でも、書き方は 2 通りに分かれます。上智大学のように、校長の推薦を重く見て、できるだけ入学を許可する方針を書く大学があります。一方で、東京未来大学(通信教育課程)や島根県立大学のように、推薦の条件を満たしていても、面接や書類の結果によっては不合格にすることがある、と書く大学もあります。島根県立大学の指定校推薦 A は、日本文理大学とともに指定校推薦とはでも紹介した大学で、今回は面接の評価の書き方に注目しています。

なぜ面接で見られるのかは、江戸川大学の説明が分かりやすいです。面接は出願書類をもとに質問し、「学びたいことが明確で、目的意識をしっかりと持っているか」が重要な評価だとしています。大学や学部・学科への理解、学修意欲、高校時代に力を入れたことを自分の言葉で話すこと、さらに面接中のマナー、身だしなみ、言葉遣いも評価項目だと書いています。校内選考を通ったあとでも、大学は面接で、本人が大学での学びを理解して来ているかを確かめています。

口頭試問がある大学もあります。江戸川大学は基礎学力と社会の出来事への意見を聞き、嘉悦大学は、最近 6 か月で最も印象に残ったニュースを 1 つ選び、内容、関心を持った理由、感じたこと、報道のされ方を説明する課題で、自作の資料を持ち込めます。どちらも事前に準備できます。

文部科学省の実施要項で、面接はどう変わるか

文部科学省の令和 9 年度大学入学者選抜実施要項(2026 年 5 月)は、学校推薦型選抜で、志望する学問分野への意欲や適性に関する面接による評価を「必ず行う」としました。ただし書きがあり、「高等学校との緊密な連携により、意欲や適性等を含め丁寧なマッチングが図られていると考えられる非公募型の学校推薦型選抜であって合格した際には入学することを入学志願者が確約して受験するもの」は、「大学の実情に応じて面接の要否を判断することができる」とされています。

多くの指定校推薦は、非公募で、合格したら入学する約束をして受けるので、この例外にあたりうると考えられます。ただし、どの入試がこの例外にあたるかは、実施要項には書かれていません。実際には、上の表のとおり、面接を課すと公表している大学が複数あります。面接の有無は、志望大学の募集要項(高校に届く要項)で確かめてください。実施要項の備考には、令和 9 年度から面接を導入することが難しい選抜区分は、遅くとも令和 11 年度までに導入する、という経過措置もあります。

出願資格の欠席日数・評定は、大学で数え方が違う

欠席日数や評定平均の条件は、公開されている大学と、高校にだけ知らせる大学があります。

大学(年度)欠席日数・成績について書かれていること
江戸川大学(2026 年 8 月 3 日現在)出願時までの欠席日数が合計 20 日以内。本人の責任でない身体・健康上の理由で超える場合は、出願前に入学課へ連絡する。全体の学習成績の状況は 3.0 以上で、指定校推薦は在籍している高校に尋ねる
四天王寺大学 指定校(専願制)各学年の欠席日数が 20 日以内(転校した場合は前の学校の分も含む)。全体の評定平均値は学部・学科により 3.0 以上から 3.8 以上
嘉悦大学(2027 年度)3 年次 1 学期までの欠席日数が 25 日以上の人は、欠席理由書を出す。推薦の条件は、高校に通知する依頼状に書かれている
沖縄国際大学(2027 年度)指定校は学習成績の状況が 3.7 以上。募集要項は対象の高校にだけ、パスワードつきで公開
上智大学・横浜市立大学・東京未来大学成績の基準は、指定校へ送る入試要項や在籍する高校で知らせるとしている(欠席日数の条件は公開ページに記載なし)

同じ 20 日でも、江戸川大学は「出願時までの合計」、四天王寺大学は「各学年」で数えます。数え方が違うので、友達や先輩の「何日までなら大丈夫」を、そのまま自分に当てはめることはできません。欠席の理由が病気やけがのときの扱いも違い、江戸川大学は事前の連絡、嘉悦大学は欠席理由書という形で書いています。欠席日数の条件を、高校の校内基準より先に大学の条件で確認したい人は、進路指導の先生に「大学の出願条件の欠席日数は、どの期間の何日ですか」と聞いてください。

出願のあとに欠席が増えた場合の扱いは、今回確かめた資料には書かれていませんでした。大学の募集要項と高校の先生に確認が必要です。

書類の不備と、合格後の取り消し

書類のことでは、東京未来大学が「出願資格などの立証責任は、志願者本人にあります。必要書類の不足や証明内容の不備がある場合は、志願者にとって不利になる場合があります」と書いています。島根県立大学も、出願書類に不備があると受理しないことがあり、出願期間内に書類が届かなかった場合は受け付けられない、としています。調査書や推薦書は高校が作る書類なので、期限の何日前に高校へ頼むかを、先生と決めておくと安心です。

合格後の取り消しは、指定校推薦に限った規定が公開されているものは少なく、次の 2 つを確かめました。

  • 島根県立大学(令和 9 年度)は、出願書類等に虚偽の記入をした人は、入学後でも入学許可を取り消すことがある、と書いています。
  • 筑波大学の令和 9 年度学校推薦型選抜(指定校ではない一般の推薦入試の要項)は、「卒業見込み」で出願した人が令和 9 年 3 月 31 日までに要件を満たさなかった場合は入学許可を取り消すとしています。出願書類の記載が事実と違うと分かった場合も、取り消すことがあるとしています。

指定校推薦でも、卒業できなければ入学できない点は同じと考えられますが、大学ごとの文言は志望校の要項で確認してください。合格が決まったあとも、卒業まで高校生活を続けることと、大学から出される入学前の課題(既存の記事に例があります)を期限どおりに出すことが、大切な準備です。

11 月の試験までにやること

不安をあおる必要はありません。大学の資料から分かる、準備の順番は次のとおりです。

  1. 志望大学の出願資格(欠席日数の数え方、評定)を、募集要項か先生の資料で確かめる
  2. 高校が作る書類(調査書・推薦書)の依頼日と、自分で書く志望理由書の締切を逆算して、手帳に書く
  3. 志望理由書に書いた内容を、声に出して 1 分で話す練習をする。学びたいこと、その大学を選んだ理由、高校で力を入れたことの 3 つを自分の言葉にする
  4. 面接の練習を先生や家族に頼む。言葉遣い、服装、入室の仕方も見てもらう
  5. 口頭試問や時事の質問がある大学は、最近のニュースを 1 つ選んで、内容と自分の考えを話せるようにする

年内入試全体の流れは年内入試とは、日程と併願の決まりは2027 年度の推薦・総合型選抜 日程と面接・併願の決まりにあります。志望大学がまだ決まっていない人は、大学の一覧から、学部や所在地で比べるところから始められます。

指定校推薦の流れを、出願前の資格、試験の書類と面接、合格後の卒業と取り消しの 3 段に分け、各段の注意を大学の例で並べた図。下に文部科学省の実施要項の面接の決まりと、公表された入試結果の数字を載せている

図: 指定校推薦で確かめておくこと 出願前・試験・合格後(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」、各大学の募集要項・入試結果)

よくある迷い

面接が苦手です。それだけで不合格になりますか。

面接の点数だけで決まるとは、どの資料にも書かれていません。江戸川大学は書類 60 点と面接 40 点の合計、嘉悦大学は志望理由書・面接・口頭試問の合計で判定します。一方で、島根県立大学は面接の評価が著しく低い場合に、総合点の順位に関わらず合否を判定することがあるとしています。上手に話すことより、志望理由を自分の言葉で、聞かれたことに答える形で話せるようにしておくことが、準備の中心です。

病気で欠席が多くなりました。出願できませんか。

江戸川大学は、本人の責任でない身体・健康上の理由で欠席が 20 日を超える場合に、出願前の連絡を求めています。嘉悦大学は、欠席が 25 日以上の人に欠席理由書の提出を求めています。条件を超えてもすぐに出願できなくなるとは書かれていませんが、扱いは大学ごとに違います。早めに高校の先生へ相談してください。