指定校推薦は、大学が高校を指定して、その高校の校長の推薦を受けた生徒だけが出願できる入試です。高校 3 年生の 2026 年 10 月は、高校で「校内選考」が進み、11 月に出願が始まる時期にあたります。文部科学省の実施要項はこの入試を「学校推薦型選抜」の一つとして扱い、出願は 11 月 1 日以降、合格発表は 12 月 1 日以降と決めています(文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」2026 年 5 月)。この記事では、枠が高校に来る仕組み、校内選考、専願の意味、落ちることがあるのか、辞退できないのはなぜかを、大学の募集要項で確かめながら整理します。日程を一覧で見たい人は、2027 年度の推薦・総合型選抜 日程と面接・併願の決まりを先に読んでください。
指定校推薦の枠が高校に届くまで
実施要項に「指定校推薦」という言葉は出てきません。出てくるのは「非公募型」という呼び方です。高校との緊密な連携で丁寧なマッチングが図られ、合格したら入学することを確約して受けるタイプの学校推薦型選抜を指しています(同実施要項)。大学が高校を指定して推薦を受ける方式は、この非公募型にあたると考えられます。
実施要項には、学校推薦型選抜は本人の意志だけで出願できず、「高等学校長が判断するもの」だとも書かれています。だから大学は推薦の要件をできるだけ具体的に決めて、募集要項で示さなければなりません。
枠は、大学から高校へ文書で届きます。慶應義塾大学は、指定校による推薦入試の募集要項などを「例年 6 月頃に、推薦をお願いする高等学校宛に」送っていて、詳しくは高校の進路指導の先生に確認するよう案内しています。出願は 11 月頃です(慶應義塾大学「学校推薦型選抜」2026 年度の入試結果ページ)。日本文理大学の 2027 年度募集要項も、高校ごとの推薦人員枠は「各高等学校等に別途お知らせ」するとして、募集要項には人数を載せていません。つまり、自分の高校が指定校かどうか、何人の枠があるかは、募集要項を見ても分かりません。高校の先生に聞くのが、最初の一歩です。
学校推薦型選抜全体では、募集人員は学部などの入学定員の 5 割を超えない範囲で大学が決めます(文部科学省、実施要項)。
校内選考で決まること
枠の数より希望者が多いと、高校が校内で推薦する人を決めます。これが校内選考です。ここで押さえておきたいのは、実施要項も大学の募集要項も、校内選考のやり方までは決めていないことです。大学の募集要項に載っているのは、大学が出す出願の条件だけです。
| 日本文理大学(私立) | 島根県立大学 看護学科(公立) | |
|---|---|---|
| 出願資格 | 本学を第 1 志望とする人。指定した学校から、学校長が推薦する人 | 本学が指定する中山間・離島の高校の卒業見込みの人(指定校推薦 A) |
| 成績の基準 | 全体の評定平均値 3.0 以上 | 調査書の全体の学習成績の状況 4.0 以上 |
| 高校ごとの枠 | 各高校に別途通知。枠に達すると、あとの入試は受けられない | 推薦できる人数は高校に別途通知 |
| 選考 | 基礎学力テスト 100 点と面接 100 点(合計 200 点)に、推薦書・志望理由書・調査書を合わせて判定 | ポートフォリオ 100 点と面接 100 点(合計 200 点) |
(日本文理大学「2027 年度 入学者選抜要項 学校推薦型選抜 指定校推薦入試」、島根県立大学「令和 9 年度 学生募集要項 看護学科 学校推薦型選抜(指定校推薦)」2026 年 8 月上旬現在)
評定平均の基準ひとつを見ても、大学の条件は 3.0 以上から 4.0 以上まで幅があり、大学の側の条件はこれだけ違います。日本文理大学は「募集対象学科は各高等学校等により異なります」とも注記していて、高校によって受けられる学科が違います。そのうえで、高校はこの条件を満たす生徒の中から、校長が責任をもって推薦できる人を選びます。何を見て選ぶか(成績、欠席、活動、面談、志望理由など)、いつ希望を取るか、希望者が重なったらどうするかは、高校によって違います。資料からは確かめられないので、知り合いの先輩の話を、そのまま自分の高校に当てはめないでください。
実際にできる動き方は次のとおりです。
- 進路指導の先生に、自分の高校に志望大学の枠があるか、校内選考の時期と基準を早めに聞く
- 校内選考の前に、大学の募集要項(公開されていなければ高校に届いた資料)で、出願資格と専願かどうかを読んでおく
- 志望理由書や面接に備えて、その大学・学部のアドミッション・ポリシーを読み、学びたいことを自分の言葉にしておく
志望の大学・学部が決まっていないなら、大学の一覧で学部や所在地から比べて、枠の有無を聞く相手を決めるところから始められます。
専願の意味と、辞退できない理由
専願は、合格したら必ずその大学に入学すると約束して出願することです。日本文理大学の指定校推薦入試は「専願」と明記され、島根県立大学の指定校推薦も、出願できるのは「合格した場合には必ず入学することを確約できる者」です。島根県立大学の指定校推薦 A は、さらに卒業後にその高校のある地域で看護職として就職することの誓約も求めています。慶應義塾大学のページには専願かどうかの記載がありません。同じ指定校推薦でも、約束の重さは大学ごとに違います。
辞退しにくい理由は、決まりが重なっているからです。
| 決まり | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 学納金の返還 | 3 月 31 日までに入学を辞退した人には、原則として授業料などを返す。ただし専願や学校推薦型選抜の合格者で、在学契約を結んだ人は対象外 | 文部科学省、実施要項 |
| 国公立の辞退 | 推薦を受けられるのは 1 人 1 大学・1 学部まで。辞退できるのは特別の事情があり、校長が 2 月 17 日までに「推薦入学辞退願」を出して大学が許可した場合だけ | 国立大学協会・公立大学協会の実施要領(2026 年 6 月) |
| 他大学の受験 | 入学手続をすると、他の国公立大学を受けても合格者になれない | 同上、島根県立大学の募集要項 |
実施要項が非公募型を「合格した際には入学することを入学志願者が確約して受験するもの」と位置づけているのが、根本の理由です。大学は高校を信頼して枠を渡し、高校は校長の名前で推薦します。出願の前に、本当にこの大学に行くかを決めてください。迷いがあるなら、併願できる公募の推薦や一般選抜に切り替える選択肢もあります。
合格までの流れと、落ちる場合
流れは、大学から高校への通知、高校での希望調査と校内選考、校長の推薦、出願、選考(面接など)、合格発表、入学手続です。

図: 指定校推薦の流れと、専願・辞退の決まり(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」、各大学の募集要項)
大学の日程の例は次のとおりです。
| 出願 | 試験 | 合格発表 | 入学手続 | |
|---|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 | 11 月頃 | 資料に記載なし | 資料に記載なし | 資料に記載なし |
| 日本文理大学 1 期 | 11 月 1 日〜11 月 6 日 | 11 月 14 日 | 12 月 1 日 | 第 1 次 12 月 25 日、第 2 次 2027 年 1 月 15 日 |
| 日本文理大学 2 期 | 12 月 16 日〜2027 年 1 月 12 日 | 2027 年 1 月 19 日 | 2027 年 1 月 26 日 | 第 1 次 2 月 12 日、第 2 次 3 月 5 日 |
| 島根県立大学(指定校推薦 A) | 11 月 4 日〜11 月 11 日(消印有効) | 11 月 28 日または 29 日 | 12 月 4 日 | 12 月 5 日〜12 月 11 日 |
いつ決まるかは、大学によって 12 月上旬から年明けまで幅があります。実施要項は、合格発表を 12 月 1 日以降と決めています。国公立大学は、共通テストを課さない学校推薦型選抜なら 2027 年 1 月 22 日まで、課すなら 2 月 10 日までに発表し、入学手続は 2 月 17 日までです(国立大学協会・公立大学協会の実施要領)。
「指定校推薦は落ちない」と聞くことがあります。慶應義塾大学が公表した 2026 年度の指定校による推薦入試結果では、経済学部・法学部(法律学科・政治学科)・商学部・理工学部・薬学部で、どの学部・学科も志願者数と合格者数が同じでした。ただ、これは 1 大学の 1 年度の結果です。日本文理大学は筆記の基礎学力テストと面接の点数を合わせて合否を決め、島根県立大学は、面接の評価が著しく低い場合には総合点の順位に関わらず合否を判定することがあるとしています。大学によっては、校内選考を通ったあとにも、試験と面接で見られます。面接の準備をしておくと安心です。
よくある迷い
校内選考に落ちたら、その大学はあきらめるしかありませんか。
指定校の枠は、大学が高校に渡したものなので、校内選考に通らなければ使えません。ただ、同じ大学に公募の推薦や総合型選抜、一般選抜がある場合は、本人の意志で出願できます。たとえば日本文理大学のように、指定校のほかに複数の入試方式を持つ大学の募集要項で、ほかの入試方式の有無を確かめてください。
指定校推薦で合格したあと、一般選抜は受けられますか。
国公立大学では、学校推薦型選抜の合格者が入学手続をすると、ほかに出願した大学・学部を受けても合格者になれません(実施要領)。島根県立大学の指定校推薦は、同じ大学の一般選抜への出願はできますが、総合型選抜との併願はできません。専願の入試は、合格すれば入学する約束なので、ほかの大学の合格を待つ使い方はできません。併願できるかどうかは、大学ごとの募集要項の「併願」の欄で確かめてください。
不合格に備えて、ほかの大学も受けておけますか。
国公立大学の学校推薦型選抜では、推薦を受けた人は、不合格に備えて一般選抜の前期日程・後期日程(公立は中期日程も)にも出願できます(実施要領)。共通テストを使う人は、共通テストを受けて、勉強を止めないでおきます。
入学前にしておくことはありますか。
実施要項は、12 月以前に入学手続をとった人には、大学が入学までに取り組む課題を課すなどの準備をするよう求めています。日本文理大学は有料の入学前教育を用意しています(e ラーニングなどの費用 3,000 円〜5,000 円は入学予定者の負担)。
