公募制は、学校推薦型選抜のうち、大学が高校を指定せず、出身高校の校長の推薦を受けた生徒が出願できる入試を指して使われる呼び方です。2027 年度入試(2027 年 4 月入学)では、学校推薦型選抜の出願は 11 月 1 日以降、合格発表は 12 月 1 日以降と決まっています(文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」2026 年 5 月)。この記事は公募制を、筑波大学・横浜市立大学・大妻女子大学・産業能率大学の 2027 年度の募集要項で確かめます。指定校の仕組みは指定校推薦とは 仕組み・校内選考・合格までの流れ、総合型の仕組みは総合型選抜とは 仕組み・流れ・出願から合否までに任せます。
実施要項では「公募制」をどう書いているか
実施要項は学校推薦型選抜を、出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料として評価する入試方法と定めています。本人の意志だけで出願できるものではないので、大学は推薦の要件をできるだけ具体的に募集要項に示します(文部科学省、実施要項)。
この中に「公募推薦」の定義は、確かめた範囲では見つかりませんでした。出てくるのは、面接の必須化の例外として書かれた「非公募型」(高校との緊密な連携でマッチングが図られ、合格したら入学を確約して受けるもの)です。「公募制」という言葉は、総合型選抜の説明に「入学志願者自らの意志で出願できる公募制という性格」として出てきます(同実施要項)。
学校推薦型選抜の「公募制」は、各大学が募集要項で使う呼び方です。この記事では、非公募型(指定校)ではない学校推薦型をそう呼びます。
公募制の特徴 校長の推薦は要るが、高校は指定されない
4 校の募集要項から、共通することは次の 3 つでした。
- 校長の推薦が要る: 筑波大学は「学校長が責任をもって推薦」、横浜市立大学と大妻女子大学も学校長の推薦を出願の要件にしています。産業能率大学は出願書類に推薦書を挙げています
- 高校の指定がない: 4 校とも、出願できる高校を指定していません。指定校は枠が高校に別途通知されて要項では分かりませんが、公募制は要項を読めば出願できるか分かります。筑波大学は 1 校で推薦できる人数に上限があります
- 出願の条件を募集要項で示す: 評定や共通テストの受験などです
違いが大きいのは、専願か併願できるかです。同じ公募制でも、大学・学科で分かれます。次の表は国公立の 2 校です。
| 筑波大学(国立) 推薦入試 | 横浜市立大学(公立) 公募制学校推薦型選抜 | |
|---|---|---|
| 出願 | インターネット登録は 10 月 23 日〜11 月 9 日、書類は 11 月 2 日〜9 日必着 | 2027 年 1 月 5 日〜22 日(郵送必着) |
| 共通テスト | 課さない(人間学群心理学類だけ課す) | 課す。本学が指定する教科・科目をすべて受験した人が対象 |
| 専願か | 合格したら入学することを確約できる人 | 本学を第一志望とし、合格したら入学することを確約できる人。本学や他大学の一般選抜との併願は可能 |
| 出願の条件 | 学類ごとの推薦要件。多くの学類に「調査書の学習成績概評 A 段階、または個別学力検査等に合格できる程度以上の学力」がある | 評定の基準はこのページに載っていない |
| 選考 | 書類審査・小論文・面接など(学類で違う) | 共通テスト 1,000 点満点と書類審査 |
| 発表・手続 | 発表は 12 月 10 日(心理学類は最終発表が 2 月 10 日)。手続は 12 月 10 日〜14 日 | 発表は 2027 年 2 月 10 日、手続は 2 月 17 日 |
(筑波大学「令和 9 年度 推薦入試 学生募集要項(学校推薦型選抜)」2026 年 9 月、横浜市立大学「公募制学校推薦型選抜」2026 年 6 月 10 日更新)
私立の 2 校は次のとおりです。
| 大妻女子大学(私立) 学校推薦型選抜(公募制) | 産業能率大学(私立) 公募制方式一般推薦(併願型) | |
|---|---|---|
| 専願か | 学科で違う。被服学科・食物学科・児童学科児童学専攻・社会生活情報学専攻・データサイエンス学科は第一志望の人。他の学科は他大学との併願が可能 | 他大学との併願が可能 |
| 出願の条件 | 全体の学習成績の状況 3.0〜3.4 以上(学科で違う)。一部の学科は英検などの基準を満たせば基準に届かなくても出願できる | 評定平均値は問わない。2027 年 3 月卒業見込みなど |
| 選考 | 小論文(一部の学科は実施なし)・面接・調査書 | 基礎学力テスト(英語・国語・数学から 2 教科、120 分)200 点と書類審査 50 点。面接なし |
| 日程 | 出願締切は総合型(基礎学力型)と同日。入学手続は 12 月 2 日〜7 日 | 出願 11 月 1 日〜18 日、試験 11 月 22 日、発表 12 月 1 日 |
(大妻女子大学「2027 年度 学生募集要項」2026 年 10 月、産業能率大学「公募制方式一般推薦(併願型)」)
産業能率大学は面接を行いません。2027 年度入試から面接は原則必須ですが、前から行われている区分には猶予があります。この方式がどちらに当たるかは確かめられませんでした。猶予は2027 年度の推薦・総合型選抜 日程と面接・併願の決まりにあります。
国公立大学の学校推薦型選抜は、実施要領で 1 人 1 大学・1 学部までと決まっています。合格者は 2 月 17 日までに入学手続をし、他の大学・学部を受けても合格者になれません。辞退できるのは、特別な事情があり校長が推薦入学辞退願を出して許可された場合だけで、実質的に専願に近い使い方です(国立大学協会「国立大学の 2027 年度入学者選抜についての実施要領」2026 年 6 月)。
指定校・公募制・総合型の違いと、どれが自分に合うか
3 つを並べると、次のようになります。
| 指定校推薦(非公募型) | 公募制 | 総合型選抜 | |
|---|---|---|---|
| 出願のしかた | 大学が指定した高校の生徒が、高校を通じて出願する | 大学が高校を指定せず、条件を満たす生徒が高校を通じて出願する | 本人の意志で出願できる |
| 校長の推薦 | 要る | 要る | 要らない |
| 専願か | 合格したら入学する確約が前提(実施要項の位置づけ) | 専願も併願可もある。大学・学科ごと | 大学・学部ごと |
| 主な評価 | 調査書・推薦書。面接は大学が判断できる | 調査書・推薦書に、面接・小論文・共通テスト・基礎学力テストなど | 本人が書く資料と面接 |
| 時期(実施要項) | 出願 11 月 1 日以降・発表 12 月 1 日以降 | 同じ | 出願 9 月 1 日以降・発表 11 月 1 日以降 |

図: 指定校推薦・公募制・総合型選抜の違いと、公募制の 4 校の例(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」、各大学の 2027 年度の募集要項)
どれが合うかは、資料から言える範囲で、次の順に考えると整理しやすくなります。
- 指定校の枠があるかを進路指導の先生に聞く。枠があれば、専願の約束を確かめて決める
- 校長の推薦を受けられるかを考える。推薦の可否は高校が判断します。推薦を頼まず出願したいなら、総合型選抜が候補です
- 一般選抜も続けたいかを考える。併願できる公募制や総合型を持つ大学があります
- 出願の条件に届くかを見る。評定の基準は大学で違い、問わない大学もあります
どの方式が受かりやすいかは、資料からは言えません。違うのは「何で見るか」です。
志望校が決まっていないなら、大学の一覧で候補を広げ、入試方式を要項で見比べてください。
よくある迷い
公募推薦は併願できますか。
大学・学科によります。横浜市立大学は一般選抜との併願はできますが、公募制で合格したら必ず入学します。大妻女子大学は学科で専願と併願可に分かれ、産業能率大学は他大学と併願できます。募集要項の「併願」の欄で確かめてください。
評定が足りないときはどうなりますか。
評定の基準を出願の条件にしている大学では、満たさないと出願できません。大妻女子大学は、学科により 3.0〜3.4 以上で、英語英文学科・比較文化学部・人間共生学部などは英検などの基準を満たせば出願できます。筑波大学は、概評 A 段階のほか、分野の優れた能力などを推薦要件に並べる学類があります。産業能率大学は評定を問いません。届かないときは、評定を問わない方式や総合型選抜、一般選抜を要項で探してください。
公募推薦と総合型選抜の両方に出せますか。
大学で違います。大妻女子大学は、総合型選抜(基礎学力型)と公募制に同時に出願でき、専願の学科に公募制で合格したら公募制での手続になります。国公立は大学ごとに決まりがあり、大阪大学は総合型選抜・学校推薦型選抜のどちらか 1 つしか出願できず、同大学の学校推薦型選抜に出願するなら、他の国公立大学の学校推薦型選抜との併願は一切できません(大阪大学「令和 9 年度 総合型選抜・学校推薦型選抜 学生募集要項」)。
落ちたら一般選抜は受けられますか。
受けられます。国公立大学では、推薦を受けた人は、不合格に備えて前期・後期から合計 2 つまで出願できます(国立大学協会の実施要領)。私立の大妻女子大学は一般選抜との併願を認めています。一般選抜の準備は止めないでください。
