図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 2
経理・財務・会計の専門職
会社のお金の動きを毎日記録し、1 年の成績を決算書にまとめ、お金の集め方や使い方を考える仕事です。公認会計士や税理士のように、国家資格を持つ会計の専門家として働く道もあります。

ひとことで言うと
部活の会計係を、会社の大きさで
部費を集め、ボールや遠征のバス代を払い、残りがいくらかをノートにつけて、年度の終わりにみんなに報告する。経理の仕事は、この会計係の仕事を何千倍、何万倍もの取引で行うものです。その報告が正しいかを外から確かめるのが、公認会計士の監査です。

01
どんな仕事?: 記録する・まとめる・確かめる
経理は、商品の仕入れや売上、給料の支払いなど、会社のお金の動きを 1 件ずつ記録する仕事です。記録を月ごと、年ごとに締めて、会社の成績表である決算書をつくります。財務は、銀行から借りたり株を発行したりして事業に必要なお金を集め、どう使うかを考えます。
公認会計士は、会社がつくった決算書が正しいかを、独立した立場で外から確かめる「監査」の専門家です。監査は公認会計士だけに認められた仕事 です。監査があるから、株主やお金を貸す人が、安心して決算書を読めます。
税理士は、会社や個人の依頼を受けて、税の申告の手続きや書類づくりを行い、税の相談にのります。町の小さな会社やお店にとって、身近なお金の相談相手です。公認会計士も、税理士として登録すれば税の仕事ができます。
会社の中で数字をつくる人と、外から確かめる人がいて、決算書の信頼が守られます。
図解3 つの仕事の違い
経理・財務
- 会社の中で取引を記録する
- 決算書をつくる
- お金の集め方と使い方を考える
公認会計士
- 決算書が正しいかを確かめる
- 監査は公認会計士だけの仕事
- 経営の相談にものる
税理士
- 税の申告の手続きを行う
- 税の書類をつくる
- 税の相談にのる

02
経理の 1 年: 毎日の記録が決算書になる
経理の仕事には、決まったリズムがあります。毎日の取引を帳簿に記録し、月の終わりには 1 か月分をまとめる「月次決算」をします。会社の 1 年(事業年度)が終わると、1 年分の成績を決算書にまとめる「年次決算」があります。
いまの経理では、取引の多くを会計ソフトに入力し、銀行の記録や請求書のデータを取り込んで帳簿をつくります。それでも、どの取引をどう記録するかを決めるのは人です。大学で学ぶ簿記の知識が、毎日の判断の土台になります。
こうして積み上げた記録から、1 年の利益や、会社が持っている財産と借りているお金の残高が分かります。決算書は税の申告に使われ、株主に成績を報告する株主総会でも読まれます。
毎日の正確な記録が、会社の成績表の土台になります。
図解経理の 1 年(例)
- 1毎日の記録売上や支払いを帳簿につける
- 2月次決算毎月の成績をまとめる
- 3年次決算1 年分の決算書をつくる
- 4税の申告決算書をもとに税を計算する
- 5株主への報告株主総会で成績を伝える


03
公認会計士試験: 経営学がそのまま試験科目に
公認会計士になるには、国家試験の公認会計士試験に合格します。受験資格の制限はなく、年齢や学歴、国籍に関係なく、だれでも受けられます。まずマークシートの短答式試験(年 2 回)に合格し、次に論文式試験に進みます。
論文式試験は、会計学・監査論・租税法・企業法と、受ける人が選ぶ選択科目の 5 科目です。選択科目の 1 つが経営学で、経営学部で学ぶ内容が、そのまま試験の科目になっています。
2025 年の試験では、22,056 人が出願し、1,636 人が合格しました。最終合格率は 7.4% です。合格者の平均年齢は 24.6 歳で、学生と専門学校などの受講生が合格者の 61.1% をしめました。
大学で学ぶ経営学や統計学が、国家試験の科目に直結しています。

04
メーカーの経理部員の 1 日(例)
ここでは、機械をつくるメーカーの経理部で働く人の、月初めの 1 日の例を紹介します。月の初めは、前の月の数字を締める月次決算があり、1 か月でいちばん忙しい時期です。
午前中は、売上の入金や取引先への支払いを確かめ、帳簿と銀行の記録が合っているかを照らし合わせます。数字が 1 円でも合わないときは、原因が分かるまで調べます。
午後は、工場や営業の部署から届いた数字をまとめ、前の月の利益を計算します。予算より利益が少ない部署があれば、理由を聞きに行くこともあります。経理は、数字を通して会社全体を見渡せる仕事です。
数字の裏にある、現場の動きを読み取るのが経理の腕の見せどころです。
図解メーカーの経理部員の 1 日(例)
- 9:00入金の確認売上の入金を銀行の記録と照らす
- 10:30支払いの準備請求書を確かめて支払う
- 12:00昼休み
- 13:00月次決算前の月の利益を計算する
- 15:00部署に聞き取り予算との差の理由を聞く
- 17:00上司に報告月の成績を表にまとめる

05
向いている人と入り方・その先
経理・財務の仕事には、多くの場合、新卒で会社に入って配属されます。決まった資格は必要ありませんが、日本商工会議所の簿記検定(日商簿記)を取る人が多くいます。2 級と 3 級は、ネット試験でも受けられます。
公認会計士は、試験に合格したあと、監査法人などで 3 年間の実務経験を積みながら、実務補習所で学びます。最後の修了考査に合格すると、資格が得られます。税理士は、5 科目の試験に合格し、2 年以上の実務経験を積んで登録します。税理士試験は 1 科目ずつ受けられ、合格した科目は一生有効です。
コツコツと正確に作業できる人、数字の裏にある会社の動きに興味がある人に向いています。経験を積むと、会社のお金全体に責任を持つ財務責任者(CFO)になる人がいます。金融機関や官公庁で働く道や、独立して会計事務所や税理士事務所を開く道もあります。
大学の簿記と会計の授業が、資格の勉強の入り口になります。
図解公認会計士への道
- 1短答式試験マークシート・年 2 回
- 2論文式試験選択科目に経営学もある
- 3実務経験監査法人などで 3 年間
- 4実務補習最後に修了考査を受ける
- 5登録公認会計士として働ける
高校生のうちに試せること
日商簿記 3 級に挑戦する
簿記の入門となる検定です。3 級と 2 級はネット試験でも受けられます。合格を目標にすると、取引を記録するしくみが一通り身につきます。
簿記(日本商工会議所)お金の管理をしている人に話を聞く
家族や親せきに、会社でお金の管理をしている人や、お店で税の申告をしている人はいませんか。どんな書類をいつつくっているかを聞いてみましょう。1 年のどの時期が忙しいかを聞くと、経理のリズムが見えてきます。
公認会計士の働き方を知る
日本公認会計士協会の Q&A には、公認会計士と税理士の違いや、監査法人・企業・独立開業などの働き方がまとまっています。気になる働き方を 1 つ選んで読んでみましょう。
公認会計士よくある質問 Q&A(日本公認会計士協会)
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よくある質問
経理の仕事は、どんな会社にもありますか?
あります。会社は、お金の動きを記録して決算書をつくり、税の申告をしなければならないので、業種や大きさに関係なく経理の仕事があります。小さな会社では、記録や申告を税理士に頼むこともあります。
公認会計士と税理士は、どう違いますか?
公認会計士は、主に決算書が正しいかを確かめる監査の専門家で、監査は公認会計士だけに認められた仕事です。税理士は、税の申告や相談の専門家です。公認会計士は、税理士として登録すると税の仕事もできます。
会計の仕事は、AI に置きかわりませんか?
伝票の入力や記録の照らし合わせなど、決まった作業は会計ソフトが手伝う場面が増えています。一方で、数字が動いた理由を現場に聞いて経営者に説明したり、決算書が正しいかを判断したりするのは、人が受け持つ仕事です。


