図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 2
2 年: 専門の柱を学ぶ
経営戦略論・経営組織論、財務会計・管理会計、消費者行動論、ミクロ経済学など、経営学の専門の柱を本格的に学ぶ 1 年です。実際の会社の成功や失敗を、理論を使って説明できるようになります。

ひとことで言うと
試合の映像で作戦を分析する
スポーツでは、試合の映像を見返して、なぜ勝てたのか、どこで流れが変わったのかを話し合います。2 年の経営学も同じです。実際の会社の決断を、戦略・組織・会計・お客さんの理論で振り返り、勝ち負けの理由を説明します。

01
経営戦略論と経営組織論: 会社の分かれ道を読み解く
2 年の中心は、経営戦略論と経営組織論です。法政大学の経営戦略論は、企業が実際にとっている戦略を学ぶ科目です。企業が戦略をどう決めて実行しているのかを、説明できるようになることを目指します。
写真フィルムの会社の分かれ道を例に考えてみます。デジタルカメラが広がり、写真フィルムの世界の需要は、2000 年を 100 とすると 2011 年には 1 桁台まで落ち込みました。当時の富士フイルムでは、写真フィルムなどの事業が利益の 3 分の 2 を占めていました。
富士フイルムは、フィルムづくりで育てた技術を全社で洗い出し、2006 年に「第二の創業」を掲げました。社名から「写真」の 2 文字を外し、化粧品や医薬品へ事業を広げています。一方、写真フィルムで世界をリードしたアメリカのイーストマン・コダックは、2012 年に経営が破綻しました。
同じ変化に直面しても、会社の選択で結果は大きく変わります。なぜ違いが生まれたのかを、戦略と組織の両面から説明するのが 2 年の授業です。
写真フィルムの約半分は、肌の成分と同じコラーゲンでできています。この共通点が、化粧品の開発につながりました。
図解写真フィルムが売れなくなったとき
富士フイルム
- フィルムの技術を全社で洗い出す
- 2006 年に「第二の創業」を掲げる
- 化粧品や医薬品へ事業を広げる
イーストマン・コダック
- 写真フィルムで世界をリード
- デジタル化への対応が遅れる
- 2012 年に経営が破綻する


02
財務会計と管理会計: 外に見せる数字と、中で使う数字
1 年の簿記に続いて、2 年からは会計学を本格的に学びます。会計には大きく 2 つの方向があります。株主や銀行など会社の外の人に成績を報告する財務会計と、社長や店長が社内の判断に使う管理会計です。
法政大学では、2 年からの会計学入門で、決算書の「作り方」と「読み方」を体系的に学びます。そのうえで、財務会計論や管理会計論に進みます。管理会計論では、経営の問題ごとに違う会計の情報が使われることを学びます。
管理会計の考え方は、文化祭の模擬店でも使えます。テントや鉄板の借り賃のように、売れても売れなくてもかかる費用を固定費といいます。1 枚売るごとのもうけで固定費をまかなえる枚数が、赤字と黒字の境目(損益分岐点)です。
何枚売れば赤字にならないかが分かると、値段や仕入れの量を、根拠をもって決められます。
財務会計も管理会計も、1 年で学ぶ簿記が土台です。
図解損益分岐点の計算(例)
- 11 枚売るごとのもうけ: 300 − 150 = 150 円
- 2固定費をもうけで割る: 12,000 ÷ 150
- 380 枚で、借り賃をちょうどまかなえる
- 481 枚目からが黒字になる

03
消費者行動論: 品ぞろえが多いほど売れる?
消費者行動論は、人がどのように商品を知り、気に入り、買うのかを考える科目です。法政大学の消費者行動論は、消費者の「認知・態度・行動」という 3 つの視点から、マーケティング戦略を考えます。
有名な実験があります。アメリカ・カリフォルニア州のスーパーで、ジャムの試食台に 24 種類を並べた時間と、6 種類だけを並べた時間を比べました。24 種類のときは通りかかった人の 60% が立ち止まり、6 種類では 40% でした。
ところが、実際に買った人の割合は逆でした。24 種類の台で立ち止まった人のうち、買ったのは 3% だけです。6 種類の台では、約 30% が買いました。選択肢が多すぎると、かえって選べなくなることがあるのです。この研究は 2000 年に発表されました。
ただし、話はここで終わりません。2010 年には、50 の実験をまとめて分析した研究が発表されました。選択肢の多さが買う気を下げる効果は、平均するとほぼゼロで、実験ごとに結果が大きく違っていました。どんな条件のときに起きるのかを確かめるのが、消費者行動論の研究です。
図解ジャムの試食の実験(2000 年発表)
24 種類を並べる
- 立ち止まった人: 60%
- そのうち買った人: 3%
- 多くの人を引きつけた
6 種類を並べる
- 立ち止まった人: 40%
- そのうち買った人: 約 30%
- 買う人の割合が高かった


04
ミクロ経済学と、2 年から始まるゼミ・インターンシップ
経営学部でも、2 年でミクロ経済学を学びます。法政大学のミクロ経済学入門は、人々や企業がどう意思決定し、それが経済全体にどう影響するかを学ぶ科目です。市場・競争・情報をキーワードに、身近なビジネスや消費者行動の例を理論で分析します。
2 年からゼミが始まる大学もあります。法政大学の経営学部では、2 年から演習(ゼミ)が始まり、4 年まで続きます。3 年からゼミに入る大学もあるので、時期は志望する大学で確かめてください。
企業の現場に触れる機会も増えます。法政大学のインターンシップは、2 年から受けられる科目です。実際の企業の活動に触れて、経営やマーケティングを実践的に理解することを目指します。授業で学んだ理論を、現場で確かめる準備が 2 年に始まります。
高校生のうちに試せること
文化祭の模擬店で損益分岐点を計算する
文化祭やバザーの模擬店の計画で、固定費と 1 個あたりの材料費、売値を書き出しましょう。何個売れば赤字にならないかを計算して、値段や仕入れの量を決める材料にします。
棚の品ぞろえを数えて比べる
スーパーのジャムやドレッシングの棚で、種類の数を数えてみましょう。お店の迷惑にならないように少しの時間だけ、種類の多い棚と少ない棚で、手に取る人の様子に違いがあるかをメモします。
日経 STOCK リーグで会社を調べる
日本経済新聞社が開く、中学生・高校生・大学生向けの金融・経済の学習コンテストです。チームで会社を調べ、仮想の投資でポートフォリオ(投資する会社の組み合わせ)を組んで、レポートにまとめます。募集の時期は公式サイトで確かめましょう。
日経STOCKリーグ技術の変化で生まれた「分かれ道」を調べる
フィルムカメラ、CD、紙の地図など、技術の変化で需要が減った商品を 1 つ選びましょう。その商品を作っていた会社が、その後どんな事業に進んだかを調べ、1 枚の紙にまとめます。
「2 年: 専門の柱を学ぶ」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 34 件から探せます。
学生団体・機関はまだ掲載していません
よくある質問
経営戦略論では、どんなことを学びますか?
企業が実際にとっている戦略の例と、それを説明する理論を学びます。法政大学の経営戦略論は、企業が戦略をどのように決めて実行しているかを、説明できるようになることを目指しています。
財務会計と管理会計は、どう違いますか?
財務会計は、株主や銀行など会社の外の人に成績を報告するための会計です。管理会計は、値段や仕入れの量など社内の判断に使う会計です。どちらも 1 年で学ぶ簿記が土台になります。
ゼミは 2 年から始まりますか?
大学によって異なります。法政大学の経営学部のように 2 年から演習がある大学もあれば、3 年から始まる大学もあります。志望する大学のカリキュラムで確かめてください。
出典
- 法政大学 経営学部「カリキュラム・ツリー(2019 年度以降入学者)」
- 法政大学 経営学部「カリキュラム・マップ(2019 年度以降入学者)」
- リクルートワークス研究所『Works』115 号「野中郁次郎の成功の本質 Vol.64 アスタリフト/富士フイルム」(2012 年 12 月)
- Iyengar, S. S. & Lepper, M. R.「When Choice is Demotivating」Journal of Personality and Social Psychology 79(6)(2000 年)
- Scheibehenne, B., Greifeneder, R. & Todd, P. M.「Can There Ever Be Too Many Options?」Journal of Consumer Research 37(3)(2010 年)