図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 3
3 年: ゼミで実践する
専門ゼミで議論を重ね、企業の事例を分析し、企業と組んだプロジェクトや大学対抗の大会に挑む 1 年です。人的資源管理や国際経営など、人と世界に広がる科目も学びます。

ひとことで言うと
稽古場から本番の舞台へ
演劇では、台本を読み込んで稽古を重ねてから、観客の前の舞台に立ちます。客席の反応を受けて、次の公演に向けて演技を直します。3 年のゼミも、2 年までに学んだ理論を企業や市場という本番の舞台で試し、反応を受けて直していく 1 年です。

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専門ゼミ: 少人数で問いを深める
3 年の学びの中心は、専門ゼミ(演習)です。1 人の先生のもとに少人数の学生が集まり、マーケティング・会計・人事など、先生の専門のテーマを深めます。学習院大学の経営学科では、3 年生の演習の単位数が、2 年生・4 年生の演習の 2 倍に設定されています。
日本学術会議の参照基準は、経営学の演習を「問題解決型の学修」と位置づけています。組織が抱える課題を自分で見つけ、その構造を分析し、解決策を探す学び方です。先生と個別に意見を交わし、調査の方向を相談しながら、自分の力で解決の糸口を見つけていきます。
答えが 1 つに決まらない問いを、仲間と議論しながら考え続けるのが、ゼミならではの学び方です。
ゼミのテーマは先生の専門で決まります。2 年までの授業で面白かった分野が、選ぶときの手がかりになります。
図解ゼミでの学びのくり返し
- 1課題を見つける企業や地域の困りごとを探す
- 2調べる文献・データ・聞き取りで調べる
- 3発表する分析と提案をゼミで報告する
- 4議論する先生や仲間から質問を受ける
- 5直す指摘をもとに分析をやり直す

02
ケーススタディ: 経営者の立場で決める
経営学の授業で欠かせないのが、ケーススタディ(事例研究)です。実際の会社で起きた出来事を読み、「自分が経営者ならどうするか」を決めて、理由を説明します。正解が 1 つではないので、仲間との議論で考えが深まります。
ケースを使う教え方で知られるのが、アメリカのハーバード・ビジネス・スクールです。最初のケースは 1921 年に書かれた「ゼネラル・シュー社」で、わずか 1 ページでした。従業員がいつも 45 分早く工場を出てしまい、注文に生産が追いつかないという問題を扱っています。
日本の経営学部でも、事例を使う授業は多くあります。法政大学の国際経営論では、トヨタ、全日空(ANA)、東京ディズニーランド、吉野家やユニクロなどの事例を学びます。グローバル化を進める会社が、経営の失敗を避ける方法を考える科目です。製品開発論では、ケーススタディを通して製品開発の進め方を体験的に理解します。
正解のない問いに、根拠を示して答える練習は、仕事の会議や企画の場面でそのまま役に立ちます。
図解ケーススタディの進め方(例)
- 1ケースを読む会社の状況と数字を整理する
- 2問題をしぼるいちばんの課題は何かを決める
- 3自分の案を出す経営者ならどうするかを考える
- 4討論する仲間の案と比べ、根拠を示す
- 5結果と比べる実際の会社の選択と比べて学ぶ


03
企業と組むプロジェクト: 商品の企画を売り場へ
3 年には、企業と組んで商品やサービスを企画する機会もあります。参照基準も、企業や工場、商業施設の視察や調査、インターンシップ、商店街ウォッチングなど、現場で考える学び方を勧めています。
大学のゼミが商品企画を競う大会の一つが「Sカレ」です。2026 年の大会には、32 大学 37 ゼミの 3 年生 499 人が、151 チームに分かれて参加しています。企業が出したテーマは、段ボールの商品、紙おしぼり、宝物を入れる缶、次世代の「ながら」菓子など 8 つです。
学生は企画を Facebook で公開し、「いいね!」で支持を集め、コメントを受けて改善します。10 月の大会でコンセプトを競い、12 月の大会で商品化の権利を争います。翌年の秋には、実際に発売した商品の売れ行きをもとに総合優勝が決まります。
企画が選ばれれば、自分たちの商品が実際に店に並びます。お客さんの反応を見て企画を直す経験は、教室の講義だけでは得にくいものです。
図解商品企画の大会の流れ(例)
- 1若者の「ながら時間」の不満や不便を調べる
- 2企画を Facebook で公開する
- 3「いいね!」とコメントで企画を直す
- 4大会で商品化の権利を競う

04
人的資源管理と国際経営: 人と世界に広がる科目
3 年には、人と世界に関わる科目も増えます。法政大学の人的資源管理は、採用や人材育成、配置転換、昇進、人事評価、賃金、福利厚生といった、働く人に関わる制度を考える科目です。アルバイトのシフトや時給の決め方も、この分野の身近な例です。
国際経営の科目では、海外で事業をする会社の戦略を学びます。学習院大学の経営学科には、3 年から受けられる多国籍企業論や新興国企業論があります。法政大学のグローバル経営戦略論は、外国という環境の中で競合企業とどう競い、海外の子会社をどう経営するかを考える科目です。
3 年の後半からは、卒業後の進路も考え始めます。ゼミや企業との企画で、調べて提案する経験を重ねておくと、自分に合う仕事を考える材料が増えます。
高校生のうちに試せること
1 ページのケースを書いてみる
近所のお店や部活で起きている困りごとを 1 つ選び、状況と数字を A4 の紙 1 枚にまとめましょう。友だちと「自分が店長ならどうするか」を話し合えば、ケーススタディの練習になります。
大学生の商品企画のテーマを見る
Sカレのサイトでは、企業が出したテーマと、各テーマで上位になったゼミを見られます。気になるテーマを 1 つ選び、自分ならどんな商品を企画するかを書き出してみましょう。
Sカレ(Student Innovation College)地元の商店街を観察する
参照基準も勧める「商店街ウォッチング」をしてみましょう。にぎわっている店とそうでない店の違いを、品ぞろえ・値段・お客さんの年齢などの面からメモし、理由の仮説を立てます。
「3 年: ゼミで実践する」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 85 件から探せます。
よくある質問
ゼミはどうやって選べばよいですか?
先生の専門分野と、ゼミの活動の形を確かめるのが基本です。企業と組んで商品を企画するゼミもあれば、文献や事例を読み込むゼミもあります。説明会や先輩の話から、卒業まで続けたいテーマを探してください。
ケーススタディには正解がありますか?
決まった 1 つの正解はありません。大切なのは、会社の状況と数字を読み取り、根拠を示して自分の案を説明することです。実際の会社の選択と比べて、考え方の違いを学びます。
企業と組むプロジェクトには、全員が参加できますか?
大学やゼミによって異なります。Sカレのように、ゼミ単位で参加する大会もあります。志望する大学の学部案内で、企業と連携した授業やゼミの活動を確かめてください。



