図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 3
3 年: ゼミで分析する
専門ゼミに入り、自分たちで立てた問いをデータで分析し始める 1 年です。財政・金融・国際経済・労働などの応用の科目も本格的に学び、学外で発表する機会も増えます。

ひとことで言うと
部活で、ポジションを決めて練習試合に出る
基礎練習を終えた部員は、ポジションを決めて練習試合に出ます。試合で見つかった課題を持ち帰り、また練習するくり返しで強くなります。3 年のゼミも、テーマを決めて分析し、発表して指摘をもらうくり返しで力をつけます。

01
専門ゼミに入る: 先生とテーマを選ぶ
専門ゼミ(演習)は、1 人の先生のもとに少人数の学生が集まり、1 つのテーマを深める授業です。始まる時期は大学によって違います。同志社大学の経済学部では 2 年の秋学期に始まり、4 年の秋学期まで 2 年半続きます。関西大学では、3 年から 50 を超えるゼミのどれかに入ります。
ゼミのテーマは先生の専門で決まり、活動の形もさまざまです。関西大学の開発経済学のゼミでは、学生がインドネシアのジョグジャカルタの農村で 10 日間の現地調査を行いました。計量経済学のゼミでは、学内外の相手と相談しながら統計調査を計画しています。
選ぶときは、説明会に出て、先生の研究や先輩の卒業論文の題を確かめます。同志社大学の案内も、入ってすぐの内容だけでなく、3 年次の演習と卒業研究まで見通して慎重に選ぶよう求めています。説明会のあとに選考がある大学もあるので、志望の理由を言葉にしておくと安心です。
図解ゼミが決まるまで(例)
- 1先生を調べる研究分野や卒論の題を読む
- 2説明会に出る活動や雰囲気を先輩に聞く
- 3志望を出す志望の理由をまとめて出す
- 4選考・登録選考を経て所属が決まる
- 5ゼミが始まる大学により 2 年秋〜3 年春


02
ゼミの 1 日: 報告・質問・討論
多くのゼミでは、担当の学生の報告から授業が始まります。教科書や論文を分担して読んで説明する輪読と、自分たちの研究の進み具合の報告が中心です。報告のあとは、ほかのゼミ生からの質問と討論が続きます。
討論でよく問われるのは、「そのデータで本当にそう言えるか」「ほかの原因はないか」です。答えに詰まった点が、次に調べる点になります。同志社大学の 3 年次の演習のように、ゲストを招いたり、現地調査をしたりするゼミもあります。
成果を外で発表する機会もあります。関西大学の経済学部と商学部が合同で開くゼミナール大会は、2025 年度に 61 回目を迎えました。経済学部からは約 100 チームが参加しています。学部案内には、ゼミナール大会のテーマとして「キャッシュレス決済の普及が経済に与える影響」「J リーグとガンバ大阪の経済効果」などが紹介されています。
仲間の前で何度も説明するうちに、分かったつもりだった点がはっきりしてきます。
図解ゼミの日の流れ(例)
- 13:00報告担当の班が分析の結果を説明する
- 13:40質問ほかの班が分かりにくい点を聞く
- 14:00討論データの読み方や結論を話し合う
- 14:20先生の講評次に試す分析の助言をもらう
- 15:00班の打ち合わせ次の報告までの分担を決める
- 夜資料づくりデータを集め、グラフを直す


03
応用の科目とコース: 関心に合わせて選ぶ
3 年には、2 年で学んだ理論を社会の課題に当てはめる科目が増えます。財政学・金融論・国際経済学・労働経済学など、ニュースでよく見る話題を扱う科目です。
関西大学では 3 年から、経済政策・歴史と思想・産業と企業経済・国際経済の 4 つのコースに分かれて学びます。ただし、ほかのコースの科目も、コースの枠を越えて受けられます。
応用の科目は、ゼミのテーマとつながっています。財政のゼミなら税と社会保障、国際経済のゼミなら貿易や為替というように、授業で学んだ道具をそのままゼミの分析に使います。授業とゼミを行き来するのが 3 年の学び方です。
図解3 年で学ぶ応用の科目(例)
- 財政学税と国の予算の使い方
- 金融論銀行・株式・日本銀行の役割
- 国際経済学貿易・為替・関税
- 労働経済学賃金・雇用・働き方
- 開発経済学途上国の貧困と成長

04
データ分析と、学外で発表する大会
3 年には、データ分析の演習も本格的になります。関西大学の計量経済学のゼミでは、相関分析や回帰分析を学び、調査の計画からデータの整理、統計分析、研究発表までを経験します。
分析の基本の流れは、下の図のとおりです。キャッシュレス決済を使う人ほど買い物の額が多くても、もともと収入が多い人が両方をしているだけかもしれません。収入などの条件をそろえて比べる工夫が、ゼミで鍛える分析の力です。
学生が政策を提案するコンテストもあります。日本銀行は 2005 年度から、学生の小論文コンテスト「日銀グランプリ」を開いています。わが国の金融・経済の現状評価と未来への提言を求めるもので、ゼミの仲間とチームで挑む学生もいます。
ほかの大学のゼミと合同で研究を発表し合う「インゼミ」もあります。ISFJ 日本政策学生会議は、学生がゼミ単位で政策を研究する、インゼミ形式の団体です。9 月の中間発表会と 12 月の政策フォーラムで成果を発表します。
図解ゼミの分析の進め方(例)
- 1先行研究を読み、仮説を立てる
- 2国や自治体の統計を集める
- 3回帰分析で関係を調べる
- 4収入などほかの原因の影響を取り除く

05
インターンシップと就職活動の準備
3 年は、卒業後の進路を考え始める年でもあります。企業や官庁で仕事を体験するインターンシップに参加し、自分に合う仕事を探す人もいます。
2027 年度に卒業する人までの政府の要請では、企業の広報活動は 3 年の 3 月 1 日以降が原則です。面接などの選考は 4 年の 6 月 1 日以降、正式な内定は 4 年の 10 月 1 日以降とされています。日程は年度ごとに決まるので、最新の情報を確かめてください。
ゼミの経験は、仕事につながることがあります。日銀グランプリの第 10・11 回に応募した学生の 1 人は、のちに日本銀行に入りました。大学の講義と違い、「問いを立てるところ」から考えた経験だったと振り返っています。関西大学の卒業生の体験談でも、自治体との共同研究で政策を提案した経験が、就職活動で評価されたと紹介されています。
高校生のうちに試せること
自分の町の経済を地図とグラフで見る
地域経済分析システム(RESAS)は、地域の人口や産業、人の流れのデータを地図やグラフで見られる国のサイトです。自分の住む市の特徴を 3 つ見つけて、友だちに説明してみましょう。
RESAS 地域経済分析システムニュースの記事を 3 分で報告する
新聞やニュースサイトの経済の記事を 1 つ選び、「何が起きたか」「なぜか」「この先どうなりそうか」を 3 分で話してみましょう。家族や友だちに質問してもらうと、ゼミの報告の練習になります。
大学生の政策提言の論文を読む
ISFJ 日本政策学生会議のサイトでは、大学生がゼミ単位で書いた政策提言の論文を公開しています。気になる題を 1 つ選び、問いと結論だけでも読んでみましょう。
ISFJ 日本政策学生会議
「3 年: ゼミで分析する」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 25 件から探せます。
よくある質問
ゼミはどうやって選べばよいですか?
説明会に出て、先生の研究分野と、先輩の卒業論文の題を確かめるのが基本です。同志社大学の案内のように、入ってすぐの内容だけでなく、卒業研究までの流れを見通して選ぶことが勧められています。
財政や金融の科目は、数学をたくさん使いますか?
科目によって異なります。グラフと式で考える場面が多い一方で、制度や歴史の説明が中心の授業もあります。2 年までに学ぶミクロ・マクロ経済学と統計学の基礎があると、理解しやすくなります。
学外の大会やコンテストには、どうやって出るのですか?
ゼミの仲間とチームで応募する学生もいます。日銀グランプリは学生向けの小論文コンテストで、応募の条件や締め切りは回ごとに決まるので、日本銀行の案内で確かめてください。
