図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 4
4 年: 卒業論文
ゼミで育てた問いを、卒業論文にまとめる 1 年です。テーマ決め、データ集め、分析、執筆、発表までを、先生とゼミの仲間の意見を受けながら進めます。

ひとことで言うと
1 本のドキュメンタリー番組をつくる
ドキュメンタリー番組は、テーマを決めて取材し、撮った映像を編集して、最後に放送します。卒業論文も、問いを決めてデータを集め、分析した結果を文章にまとめて発表します。仲間に見てもらい、直すほど良くなるところも同じです。

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卒業論文のテーマ: 身近な疑問から始める
卒業論文は、経済学部の 4 年間の集大成です。日本学術会議の参照基準は、自分で決めた課題に経済学の知識を使って取り組むことを、学士課程の集大成として重要だとしています。卒業論文を書くかどうかや分量は、大学やゼミによって異なります。
テーマは、思いのほか身近です。慶應義塾大学の経済学部は、2024 年度に合格した 558 本の卒業論文から先生が推薦した優秀卒業論文の題を公開しています。そこには、NBA の移籍市場から所得税率の影響を調べた論文や、家庭用のごみ袋の有料化でごみが減ったかを調べた論文があります。
新しい鉄道の開業が沿線の地域にもたらした効果や、部活動で競技を続ける理由の心理を調べた論文もあります。関西大学の卒業生は、食品を売る店が値段を細かく変える「ダイナミック・プライシング」の効果を扱いました。好きなことや気になることが、そのままテーマになります。
卒業論文のよいテーマは、「データで確かめられる、身近な疑問」です。
図解卒業論文のテーマの例
- スポーツNBA の移籍と所得税率
- ごみごみ袋の有料化でごみは減るか
- 鉄道新しい路線と沿線の経済効果
- お店の値段値段を細かく変える売り方の効果
- 部活競技を続ける理由の心理
- 働き方最低賃金と雇用(ベトナム)

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卒業論文の 1 年: 問いから提出まで
4 年の春にテーマを決めて先行研究を読み、夏までにデータを集める流れがよく見られます。秋に分析を進めて中間発表をし、冬に書き上げて提出します。日程は大学やゼミによって異なります。
書き始めて分かるのは、問いを小さくする大切さです。「日本の景気をよくするには」のような大きな問いは、1 年では答えきれません。「ごみ袋を有料にした市で、1 人あたりのごみは減ったか」のように、データで確かめられる形に絞ります。
確かめるときは、比べる相手を選びます。有料にした市の前後だけを見ると、景気や人口の変化も混ざってしまいます。有料にしなかった似た市の変化と比べると、有料化そのものの効果に近づけます。
4 年は就職活動と重なる時期もあります。関西大学の卒業生の体験談では、研究と就職活動を両立させ、秋からは卒業論文の執筆に集中したと紹介されています。同志社大学の経済学部では、卒業論文が年度末に各ゼミの「卒業研究」として刊行されます。
図解卒業論文の 1 年(例)
- 14〜5 月問いを決め、先行研究を読む
- 26〜8 月データを集め、分析の方法を決める
- 39〜11 月分析を進め、中間発表で意見をもらう
- 412〜1 月書き上げて提出する
- 52 月発表会で研究を説明する


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ゼミでの発表と討論で、論文を磨く
卒業論文は、1 人で黙々と書くものではありません。ゼミでは進み具合を何度も報告し、先生や仲間から質問や意見を受けます。参照基準も、教員がゼミなどを通じて、卒業論文の作成と発表を積極的に指導することが望ましいとしています。
よく出る質問は、「何と比べたのか」「ほかの原因はないか」「そのデータで本当に言えるか」です。答えに詰まった点が、次に直す点になります。指摘を受けるほど、論文は強くなります。
卒業論文で使う比べ方やデータの読み方は、研究の最前線と同じ道具です。その最前線に贈られるのがノーベル経済学賞で、スウェーデンの中央銀行が 1968 年に設け、1969 年から毎年贈られてきました。

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卒業後の道: 仕事と大学院
経済学部の卒業生が進む道は幅広く、金融・保険、メーカー、情報通信、公務員などに分かれます。関西大学の経済学部の 2025 年度の就職先では、金融業・保険業が 17.8% でした。情報通信業が 16.5%、製造業が 16.3% と続きます。
卒業論文で身につく、問いを立ててデータで確かめる力は、多くの仕事で使えます。銀行で企業にお金を貸すかを判断する、メーカーで新しい商品の値段を決める、自治体で政策の効果を確かめる、といった場面です。
研究をさらに深めたい人は、大学院に進みます。修士課程は 2 年です。関西大学のように、成績が優秀な学生が学部を 3 年で早く卒業できる大学もあります。大学院と合わせて、5 年で修士号を取れる制度です。
図解卒業後の 2 つの道
就職する
- 金融・メーカー・公務員など
- 分析と説明の力を仕事に生かす
- 就職活動と卒論を両立する
大学院へ
- 修士課程の 2 年で研究を深める
- エコノミストや研究者を目指す
- 早期卒業で 5 年で修士の大学も
高校生のうちに試せること
論文を検索して要旨を読む
CiNii Research では、日本の論文を無料で検索できます。「最低賃金」「ふるさと納税」など気になる言葉で検索し、経済学の論文の要旨を 1 本読んでみましょう。
CiNii Research自分の市と近くの市をデータで比べる
統計センターの「SSDSE-市区町村」には、全国 1,741 市区町村の人口・経済・教育などのデータが入っています。自分の市と近くの市を比べ、気になる違いを 1 つ見つけて、理由の仮説を立ててみましょう。
SSDSE(統計センター)身近な疑問を「確かめられる問い」にする
「部活の練習時間を増やすと、成績は下がる?」のような疑問を 1 つ書き出し、何のデータを、何と比べれば確かめられるかを考えましょう。探究の授業のテーマ決めにも使えます。
「4 年: 卒業論文」に関連するコミュニティ
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よくある質問
卒業論文は全員が書きますか?
大学やゼミによって異なります。同志社大学の経済学部では、4 年の卒業研究で原則として卒業論文を完成させます。志望する大学の履修の案内で、卒業論文が必要かどうかを確かめてください。
テーマが思いつかないときはどうすればよいですか?
身近な疑問を書き出すことから始めます。ニュースで気になった値段の変化や、部活・アルバイトで感じた疑問も出発点になります。大学が公開している卒業論文の題を読むと、問いの立て方の例が見つかります。
就職活動と両立できますか?
両立している人もいます。関西大学の卒業生の体験談では、研究と就職活動を両立させ、秋から卒業論文の執筆に集中したと紹介されています。早めにテーマとデータを決めておくと、時間のやりくりがしやすくなります。

