図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 1
学校の先生
小学校・中学校・高校・特別支援学校で授業をし、子どもが「分かった!」と顔を上げる瞬間に毎日立ち会う仕事です。教育学で学ぶ子どもの見方と授業のつくり方が、そのまま仕事の道具になります。

ひとことで言うと
道案内は、相手のいる場所から始まる
道を聞かれたとき、相手がいまどこにいるかが分からなければ、正しく案内できません。先生の仕事も同じで、子どもがいまどこでつまずいているかを見きわめ、そこから目的地までの道を一緒に歩きます。教育学は、その「いる場所」を見る目を育てます。

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3 つの職場: 小学校・中学校と高校・特別支援学校
全国の小学校で働く先生は約 42 万 5,000 人です(2025 年 5 月)。中学校は約 24 万 7,000 人、高校は約 22 万 2,000 人です。どの学校で働くかによって、子どもとの関わり方は大きく変わります。
小学校では、1 人の担任がほとんどの教科を教えるのが基本です。朝から帰りまで同じ子どもたちと過ごすので、友だち関係や体調の小さな変化にも気づきやすい立場です。2022 年度からは、高学年の理科や算数などを専門の先生が教える教科担任制も進められています。
中学校と高校では、教科ごとに専門の先生が教えます。好きな教科を深く教えられるのが魅力で、部活動の顧問や進路の相談も大切な仕事です。
特別支援学校では、障害のある子ども一人ひとりに合わせて目標を立て、生活や将来の自立に向けた力も育てます。特別支援学校で学ぶ子どもは 15 万 8,910 人で、過去最多です(2025 年 5 月)。
どの学校でも、子どもの成長をいちばん近くで見られる仕事です。
図解3 つの学校の先生
小学校
- ほぼすべての教科を担任が教える
- 生活全体で子どもを見る
- 高学年は教科担任制も広がる
中学校・高校
- 教科ごとに専門の先生が教える
- 部活動や進路の相談も担う
- 教科の深い知識が生きる
特別支援学校
- 一人ひとりの計画で教える
- 生活や自立の力も育てる
- 少人数の学級で学ぶ


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教育学が生きる場面: 「分かった!」の瞬間をつくる
先生の仕事の中心は授業です。ただ、同じ説明をしても、すぐに分かる子と、どこかで止まってしまう子がいます。大事なのは、子どもがどこでつまずいたのかを見きわめることです。
たとえば、小学 5 年の算数で学ぶ「割合」は、つまずきやすいとされる単元です。「20 本のくじのうち 5 本が当たり」という問題で手が止まる子がいます。計算ではなく、どちらを「もとにする量」にするかで迷っている場合があります。
ノートや発言からその迷いを見抜き、テープの図で 2 つの量を見える形にすると、子どもの表情が変わります。授業の途中で理解を確かめ、教え方を変えていくことを、教育学では形成的評価と呼びます。
大学では、教育心理学で子どもの考え方の道すじを、教科教育学で図や教材の使い方を学びます。どちらも、次の日の授業ですぐに使える知識です。
つまずきの理由が分かると、教え方を変えられます。
図解「割合」でつまずいた子への授業(例)
- 1ノートを見て、どこで止まったかを確かめる
- 2「もとにする量」と「比べる量」をテープの図に表す
- 3部活の試合の勝ち数など、身近な例で言いかえる
- 4似た問題を自分で作り、友だちと解き合う

03
先生の働き方: データで見る課題と、変わり始めたこと
先生の仕事は、授業だけではありません。文部科学省の 2022 年度の調査では、小学校の先生(教諭)が学校にいる時間は、平日 1 日あたり平均 10 時間 45 分でした。そのうち、自分が中心になって行う授業は 4 時間 13 分です。残りは、授業の準備や採点、会議、保護者への対応などにあてられています。
長く働く先生が多いことは、正直に知っておきたい課題です。教育委員会を通じた別の調査もあります。2024 年度の 1 か月の時間外の在校等時間は、平均で小学校の先生が約 31 時間、中学校の先生が約 40 時間でした。一方で、2016 年度の調査と比べると、学校にいる時間は小・中学校とも平日 1 日で約 30 分減っています。
国も動いています。2025 年 6 月には給特法などが改正されました。先生の給料に上乗せされる教職調整額は、2026 年から毎年 1% ずつ上がり、4% から 10% になります。時間外の在校等時間を 2029 年度までに月平均 30 時間程度に減らすことも、目標として法律に書かれました。
学校の中の分担も変わり始めています。2024 年度からは、プリントの準備や電話の対応などを手伝う教員業務支援員を、すべての小・中学校に置くための予算がつきました。先生が子どもと向き合う時間を増やすための取り組みです。
課題も、それが変わっていく様子も、数字で確かめられます。

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小学校の担任の先生の 1 日(例)
ここでは、公立小学校で 5 年生の担任をする先生の 1 日の例を紹介します。授業のほか、給食や昼休み、掃除の時間も子どもと一緒に過ごします。
子どもが下校したあとは、翌日の授業の準備や、ノートへのコメント書き、学年の先生との打ち合わせをします。校内の研究授業に向けて、ほかの先生と指導案を検討する日もあります。
働き方は、学校や時期によって異なります。運動会や卒業式の前は準備が増え、子どもの長い休みの期間には、研修や授業の準備に時間をかけられます。
子どもと過ごす時間と、授業を準備する時間の両方で 1 日ができています。
図解小学校の担任の先生の 1 日(例)
- 8:00職員の打ち合わせ今日の予定と子どもの様子を共有
- 8:25朝の会健康観察をして、1 日の見通しを話す
- 8:45授業(1〜4 時間目)国語・算数・理科・体育など
- 12:20給食・昼休み子どもと一緒に食べ、校庭で遊ぶ
- 13:45授業・帰りの会5 時間目のあと、明日の連絡をする
- 15:30学年の打ち合わせ行事の準備や気になる子を相談
- 16:15授業の準備明日の割合の授業で使う図をつくる

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向いている人と、免許・採用・その先
公立学校の先生になるには、教員免許状を取り、都道府県や政令指定都市などが行う採用選考試験に合格します。大学で取る普通免許状には、専修(大学院修了程度)・一種(大学卒業程度)・二種(短期大学卒業程度)の区分があります。どれも教えられる範囲は同じです。一種免許状には、小・中・高校とも 67 単位以上が必要です。
特別支援学校の先生には、小学校などの免許に加えて、特別支援学校の免許も必要です。大学で単位を取る以外にも、小学校の二種免許状を取れる教員資格認定試験や、社会人の専門性を生かす特別免許状という道があります。
採用されると、1 年目は法律で決められた初任者研修を受けながら働きます。経験を積むと、学年主任や、若手の先生を支える主務教諭(2025 年の法改正でできた職)、教頭・校長へ進む道があります。教育委員会の指導主事として、地域の学校全体の授業づくりを支える先生もいます。
子どもが好きなことに加えて、人の話を最後まで聞ける人、うまくいかなかった授業を次に生かせる人に向いています。中学校や高校の免許は、教育学部以外の教職課程でも取れます。
免許の取り方は 1 つではなく、社会人になってから先生をめざす道もあります。
図解公立学校の先生になるまで(例)
- 1教職課程で学ぶ一種免許状なら 67 単位以上
- 2教育実習など小・中は介護等体験も 7 日以上
- 3採用選考試験筆記・面接・模擬授業など
- 4卒業・免許状教育委員会から免許状を受ける
- 5初任者研修1 年目は研修を受けながら働く
高校生のうちに試せること
地元の「先生の仕事」紹介を見る
文部科学省のページには、都道府県や市の教育委員会が作った、先生の仕事を紹介するサイトや動画がまとめられています。高校生が小学校で教師の仕事を体験する横浜市の動画もあります。住んでいる地域のものから見てみましょう。
各教育委員会等における教育人材募集等に関する情報(文部科学省)5 分の「分かった!」授業をする
自分が前につまずいた単元を 1 つ選び、きょうだいや友だちに図を使って 5 分で教えてみましょう。最後に相手に自分の言葉で説明してもらうと、どこまで伝わったかが分かります。
先生に「授業以外の仕事」を聞く
担任や部活の先生に、放課後にどんな仕事をしているのかを聞いてみましょう。授業の準備、会議、行事の準備など、教室からは見えない仕事が見えてきます。
「学校の先生」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 77 件から探せます。
よくある質問
先生の仕事は忙しいと聞きます。続けていけるか不安です。
長く働く先生が多いのは事実です。一方で、時間外の在校等時間が月 45 時間以下の先生の割合は増えていて、支援スタッフの配置や教職調整額の引き上げも進んでいます。1 年目は初任者研修があり、先輩の先生から助言を受けながら働けます。
特別支援学校の先生になるには、どうすればよいですか?
小学校・中学校・高校などの免許に加えて、特別支援学校の教員免許状が必要です。教育学部などで両方を取れる大学があります。先生になってから、講習などで特別支援学校の免許を取る人もいます。
教育学部でないと、小学校の先生になれませんか?
小学校の免許を取れる学部は限られますが、教育学部以外に小学校の教職課程を置く大学もあります。大学で単位を取る以外に、教員資格認定試験に合格して小学校の二種免許状を取る方法もあります。