図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 2
2 年: 学校のしくみを知る
教育社会学・教育課程論・教育方法と ICT 活用・各教科の指導法を学ぶ 1 年です。学校で教える内容がどう決まるかを知り、模擬授業で初めて先生役を体験します。

ひとことで言うと
時刻表を、作る側から見る
電車に乗る人は時刻表を見るだけですが、作る人は車両の数や乗る人の多さ、乗り換えまで考えて決めます。2 年では、毎日の時間割や教科書のもとにある「学習指導要領」と、1 時間の授業の組み立て方を、作る側から学びます。

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2 年の科目: 学校を「しくみ」として見る
2 年では、学校で起きていることを、社会や制度と結びつけて考える科目が増えます。教育社会学では、学力や進学、不登校などを、家庭や地域、社会の変化との関係から考えます。
教育課程論は、学校で何をどの順番で教えるかという「カリキュラム」を学ぶ科目です。教育方法の授業では、板書や問いかけの技術に加えて、端末を使った授業づくりも学びます。
各教科の指導法では、教科ごとの教え方を学びます。小学校の一種免許状では、10 教科すべての指導法を 1 単位以上ずつ学ぶことが決まっています。国語・社会・算数・理科・生活・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語です。
これが分かると、ふだんの時間割や教科書が、どんな考えで作られているかが見えてきます。
2 年の科目は、3 年の教育実習で授業をするための準備になります。
図解2 年で学ぶ科目(例)
- 教育社会学学校と社会の関係を考える
- 教育課程論何をどの順に教えるか
- 教育方法と ICT板書・発問・端末の使い方
- 各教科の指導法教科ごとの教え方
- 道徳・特別活動学級活動や行事の指導

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教育課程論: 桜の花は 4 月に咲くとは限らない
学校で教える内容の基準は、文部科学省の「学習指導要領」が定めています。全国どこの学校でも一定の水準が保てるようにするための基準で、教科書や時間割もこれをもとに作られます。
最初の学習指導要領は、1947 年に「試案」として出されました。その序論は、それまでの教育の問題点を例を挙げて書いています。4 月の初めには、どこでも桜の花のことを教えると決められていたというのです。花がとっくに散った土地でも、つぼみが固い土地でも、同じことを教えていました。
試案は自らを、教師が自分で研究していくための「手びき」だと説明しています。学習指導要領は 1958 年から国の告示になり、ほぼ 10 年ごとに改訂されてきました。2024 年 12 月には、次の改訂に向けた話し合いが中央教育審議会で始まっています。
決められた内容を、目の前の子どもに合わせてどう教えるかを考えるのが、教育課程論の中心です。
学習指導要領は、時代や社会の変化に合わせて見直されてきました。
図解学習指導要領の移り変わり
- 11947 年最初の学習指導要領(試案)
- 21958 年国の告示の形になる
- 31989 年小学校 1・2 年に生活科
- 41998 年総合的な学習の時間ができる
- 52008 年小学校 5・6 年に外国語活動
- 62024 年次の改訂の話し合いが始まる


03
教育方法と指導法: 45 分の授業を設計する
教育方法の授業では、板書の書き方や、考えを引き出す問いかけ(発問)、話し合いの進め方など、授業の基本の技術を学びます。
今は端末を使った授業づくりも欠かせません。文部科学省の GIGA スクール構想で、学校には 1 人 1 台の端末と高速大容量の通信ネットワークが整えられました。教員免許の制度も変わりました。2021 年の省令改正で、「情報通信技術を活用した教育の理論及び方法」を 1 単位以上学ぶことが必修になっています。
各教科の指導法では、学習指導案を書く練習をします。学習指導案は、単元の目標や 1 時間の流れ、問いかけ、評価の観点などをまとめた授業の設計図です。授業の長さは法令で決まっていて、1 単位時間は小学校が 45 分、中学校が 50 分です。
書いた指導案をもとに、大学の教室で模擬授業をします。先生役の学生が授業をし、ほかの学生が子ども役になります。終わったら、声の大きさや板書の見やすさ、問いかけの言葉について意見をもらって指導案を直します。
授業の 1 時間は、目標から逆算して組み立てる設計の仕事です。
図解模擬授業ができるまで(例)
- 1教科書を読み、子どもがつまずきそうな点を予想する
- 2最初の問いかけと、まとめの言葉を決める
- 3時間配分と板書の計画を指導案に書く
- 4仲間を子ども役にして授業し、意見をもらう


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2 年生の 1 週間: 理論と実践を行き来する
下の図は、教育学部で小学校の先生をめざす 2 年生の 1 週間の例です。教職の科目に、各教科の指導法が加わります。実際の科目や曜日は大学によって異なります。
2 年のうちに、初めて学校で実習をする大学もあります。静岡大学教育学部では、2 年の 11 月に 1 週間の教育実習 I があります。授業をはじめ、学校の 1 日を通して観察し、先生の役割を理解することがねらいです。
同じ学部では、2 年から学校支援ボランティアの授業もあります。大学で学んだ理論を学校で確かめ、学校で感じた疑問を大学に持ち帰ります。2 年は、この行き来が始まる年です。
図解2 年生の 1 週間(例)
- 月教育課程論・英語学習指導要領を読む
- 火算数科の指導法割合の教え方を考える
- 水教育社会学学校と社会の関係を考える
- 木教育方法と ICT端末を使った授業を試す
- 金国語科の指導法模擬授業で先生役をする
- 土・日指導案づくり来週の模擬授業の準備をする

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つまずきやすい点と乗り越え方
2 年でつまずきやすいのは、初めての模擬授業です。準備した内容の半分しか進まなかったり、子ども役の質問に答えられなかったりします。
時間が足りなかったら、45 分の中で何分を何に使ったかを書き出します。問いかけが伝わらなかったら、子ども役の答えをそのまま記録し、どの言葉で迷ったのかを探します。
うまくいかなかった点は、次の指導案を直すいちばんの手がかりです。失敗を記録に残すことが、3 年の教育実習への準備になります。
高校生のうちに試せること
1947 年の学習指導要領を読む
国立教育政策研究所の学習指導要領データベースでは、1947 年の試案から今までの学習指導要領を読めます。一般編(試案)の序論を開き、桜の花の例を探しましょう。
学習指導要領 一般編(試案)(国立教育政策研究所)小学生のころの学習指導要領を調べる
文部科学省のサイトには、これまでの学習指導要領の改訂の流れがまとめられています。自分が小学生だったころの改訂で、何が新しく始まったのかを調べましょう。家族が小学生だったころと比べるのも面白い方法です。
「学習指導要領」とは?(文部科学省)授業の時間配分をメモする
好きな授業を 1 つ選び、始めの導入、中心の展開、終わりのまとめに、それぞれ何分使っているかをメモしましょう。先生が 1 時間をどう組み立てているかが見えてきます。
「2 年: 学校のしくみを知る」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 42 件から探せます。
よくある質問
小学校の先生をめざすと、全部の教科を学ぶのですか?
学びます。小学校の一種免許状では、国語・算数から音楽・図画工作・体育まで、10 教科すべての指導法を 1 単位以上ずつ学ぶことが決まっています。そのうえで、得意な教科を専門として深める大学が多くあります。
模擬授業は、人前で話すのが苦手でもできますか?
できます。模擬授業は、話のうまさを競う場ではなく、授業の組み立てを試して直す場です。指導案をしっかり準備し、仲間からの意見で少しずつ直していきます。
ICT が苦手でも大丈夫ですか?
大丈夫です。教職課程には、端末を使った授業の理論と方法を学ぶ科目が必修として置かれていて、基本から学べます。高校の「情報 I」で学んだことも役に立ちます。

