
ひとことで言うと
教習所のコースから路上へ
自動車の教習では、教習所のコースで練習したあと、指導員を隣に乗せて本物の道路を走ります。教育実習も同じです。大学の模擬授業で練習した授業を、指導の先生に見守られながら、本物の子どもたちの前で行います。

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教育実習: 準備は前の年から始まる
教育実習は、大学で学んだことを実際の学校で試す授業です。教員免許の法令では、小学校と中学校の免許で 5 単位、高校の免許だけなら 3 単位と決まっています。どちらも、大学での事前と事後の指導 1 単位を含みます。
期間や時期は大学によって異なります。静岡大学教育学部では、3 年の 5 月に 3 週間、9 月に 2 週間、別々の学校で実習をします。2 回目は、1 回目とは違う学校の教育を知ることがねらいです。
実習先へのお願いは、前の年から始まります。たとえば福岡県立学校では、実習を希望する年度の前年度の 9 月に、学生が依頼書を学校に持っていき、校長先生と面談して内諾を得ます。実習の 2 週間前までには書類を出し、学校での事前の指導を受けます。
子どもの前に立つ前に、大学と学校の両方で準備を重ねるのが教育実習です。
教育実習は、大学・実習校・学生の 3 者で準備を進めます。
図解教育実習の流れ(例)
- 1内諾のお願い前の年に実習校の校長と面談
- 2大学の事前指導心構えや指導案の書き方を学ぶ
- 3学校での打ち合わせ担当の学級や授業の範囲を聞く
- 4観察と参加授業を見て、学級の活動に加わる
- 5授業実習指導の先生と相談して授業する
- 6研究授業複数の先生に見てもらう授業
- 7事後指導大学で振り返り、課題を整理する

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実習の 1 日: 教壇に立つ緊張と手ごたえ
実習は、授業の観察から始まります。担当の学級に入り、先生の授業や休み時間の様子を見ながら、子どもの名前と顔を覚えていきます。学級の活動や行事にも加わり、先生の仕事を体験します。
慣れてきたら、指導の先生と相談しながら、自分で授業をする時間が増えていきます。放課後は、先生から授業の感想を聞き、次の授業の指導案を直します。
初めての授業では、準備した問いかけに反応がなかったり、時間が足りなくなったりします。それでも、自分の問いかけで手が挙がり、子どもの考えが広がった瞬間は、模擬授業では味わえない手ごたえになります。
観察から始めて、少しずつ自分で授業をする時間を増やしていきます。
図解教育実習の 1 日(例・中学校)
- 7:50出勤・打ち合わせ職員の打ち合わせで予定を確かめる
- 8:20朝の会担当の学級で出欠と連絡
- 9:00授業の観察指導の先生の授業を見て記録する
- 10:50授業実習自分の指導案で授業をする
- 12:20給食・昼休み生徒と一緒に食べて話す
- 15:20清掃・帰りの会学級の活動に加わる
- 16:00振り返り先生の意見を聞き、指導案を直す

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研究授業: 多くの先生に見てもらう 1 時間
実習の終わりごろには、研究授業があります。法政大学の教職課程の資料によると、研究授業は、実習生の授業を複数の先生に見てもらう授業です。指導の先生や校長、同じ教科の先生などから、意見や助言を受けます。
見られるのは授業の中身だけではありません。同じ資料は、時間どおりに始めて終えたか、板書の文字が読みやすいか、生徒と目を合わせて話しているかなどを、確かめる点に挙げています。教卓から離れ、机の間を回って指導しているかも大切な点です。
実習校の先生たちは、ふだんの仕事に加えて実習生を受け入れ、指導してくれます。授業のあとにもらう意見には厳しいものもありますが、どれも次の授業をよくするための言葉です。指摘を指導案に書き込むことで、研究授業は先生としての出発点になります。
図解研究授業で見られる点(例)
- 時間時間どおりに始めて終える
- 板書文字が丁寧で読みやすい
- 話し方はっきりした発音と声の大きさ
- 目線生徒と目を合わせて話す
- 机間指導教卓を離れて机の間を回る
- 準備指導案と資料を前もって渡す


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生徒指導・教育相談・特別支援教育: 一人ひとりを見る
3 年では、子ども一人ひとりの悩みや困りごとに向き合う科目も学びます。生徒指導の授業では、文部科学省の「生徒指導提要」を読みます。小学校から高校までの生徒指導の考え方と方法をまとめた、先生向けの基本書です。
生徒指導提要は 2010 年に初めて作られ、2022 年 12 月に 12 年ぶりに改訂されました。改訂版はデジタルテキストとして公開されていて、文部科学省のサイトで誰でも読めます。
今の教職課程では、特別な支援が必要な子どもを理解する科目も必修です。小学校と中学校の免許を取る人は、特別支援学校や高齢者・障害者の福祉施設で、7 日間以上の介護等体験もします。時期は大学によって異なります。
文部科学省は、介護等体験のねらいを、一人ひとりの尊厳と、社会で支え合うことへの理解を深めることだとしています。教室にはさまざまな子どもがいます。一人ひとりに合わせた支え方を考える力は、すべての先生に必要です。
授業の力と同じくらい、子ども一人ひとりを理解する力が求められます。

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ゼミ: 教育の問いを自分で調べる
3 年からは、多くの大学でゼミ(専門演習)が始まります。教育哲学・教育史・教育社会学・教育方法学・特別支援教育など、関心のある分野の先生のもとで、少人数で文献を読み、調べたことを発表します。
日本学術会議の参照基準は、教育学の演習として、文献を読み解く講読演習や、アンケートやインタビューで調べる研究法の実習を挙げています。学習支援のボランティアや模擬授業、教育実習のように、現場で学ぶ演習も大切だとしています。
教員にならず、教育そのものを研究したい人にとっても、ゼミは学びの中心になる場です。教育実習で感じた「なぜ」を持ち帰り、4 年の卒業論文のテーマにすることもできます。
高校生のうちに試せること
教育実習生の授業を観察する
高校にも、教育実習生が来ることがあります。授業の始め方や板書、問いかけの工夫を観察し、ふだんの先生の授業と比べてみましょう。
生徒指導提要をのぞく
文部科学省の「生徒指導提要(改訂版)」は、誰でも読めます。目次から気になる項目を 1 つ選び、先生が子どもとどう関わろうとしているかを読みましょう。
生徒指導提要(改訂版)(文部科学省)最初の 1 分を考えて教える
友だちに数学や英語の問題を 1 つ教えるとき、最初の 1 分で何を言えば興味を持ってもらえるかを考えましょう。問いかけから始めるか、身近な例から始めるかで、相手の反応が変わります。
「3 年: 学校の現場に立つ」に関連するコミュニティ
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よくある質問
教育実習は、どの学校で行いますか?
大学によって異なります。大学の附属学校や大学の近くの公立学校で行う場合と、自分の出身校(母校)にお願いする場合があります。福岡県立学校のように、前の年に受け入れのお願いを受け付ける学校もあります。
実習中に授業で失敗したらどうなりますか?
授業がうまくいかないことは、実習ではよくあります。大切なのは、指導の先生の意見を聞き、次の授業で直そうとすることです。遅刻をしない、あいさつをするといった社会人としての態度も、大切に見られます。
教育実習は 1 回だけですか?
大学や取る免許によって異なります。静岡大学教育学部のように、2 年で 1 週間の観察の実習をし、3 年で 3 週間と 2 週間の実習を重ねる大学もあります。
