図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 1
1 年: 教育の土台を学ぶ
教育学概論(教育原理)・教職入門・教育心理学・教育史から始まる 1 年です。12 年間「教わる側」にいた自分の経験を、「教える側」から見直していきます。

ひとことで言うと
客席から舞台袖へ回る
劇を客席から見ているときは、役者の動きしか見えません。舞台袖に回ると、照明や道具、出番の合図など、劇を支えるしかけが見えてきます。教育学の 1 年は、見慣れた教室を「先生の側」から見直す最初の一歩です。

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1 年の科目: 教育学の入口に立つ
1 年では、教育学概論(教育原理)・教職入門・教育心理学・教育史など、教育学の土台になる科目を学びます。教員免許に必要な「教育の基礎的理解に関する科目」の多くが、ここに入ります。
教育職員免許法施行規則は、この科目で学ぶ内容を決めています。教育の理念と歴史・思想、先生の役割と仕事、子どもの発達と学習の過程などです。小学校の一種免許状なら、教科と教職の科目をあわせて 59 単位以上が必要です。
幼稚園から高校までの教員免許では、日本国憲法・体育・外国語コミュニケーションを 2 単位ずつ取ることも決まっています。情報の科目(数理・データ活用と AI、または情報機器の操作)も 2 単位が必要です。
これが分かると、毎日通ってきた学校のしくみを、歴史と理由をもって説明できるようになります。
1 年の科目は、2 年からの授業づくりと 3 年の教育実習の土台になります。
図解1 年で学ぶ科目(例)
- 教育学概論教育とは何かを考える
- 教職入門先生の仕事と役割を知る
- 教育心理学子どもの発達と学び方
- 教育史学校のしくみの移り変わり
- 日本国憲法教員免許に必要な 2 単位


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教育学概論: 「教育」は人間だけのもの?
教育学概論では、「教育とは何か」という問いから始めます。日本学術会議の参照基準は、教育学を、人が育ち学ぶ過程とそれに働きかける営みを研究する学問の総称としています。教育は学校だけでなく、家庭や地域、職場でも、生まれてから亡くなるまで続きます。
参照基準は、動物行動学での「教育」の考え方も紹介しています。自分の得にならないのに、わざわざ他者が学ぶために行う行動のことで、一部の動物で観察されています。
たとえば野生のミーアキャットの大人は、毒針を取ったサソリを子どもに渡し、捕り方を練習させます。英国ケンブリッジ大学の研究者が、2006 年に科学誌『Science』で報告しました。
一方で参照基準は、いくつもの教育行動を組み合わせた教育活動や、それを計画的に組み立てた制度は、人間にしか見られないとしています。「当たり前」の教育を問い直すことが、教育学の出発点です。
「教育とは何か」を考えることが、教育学のすべての分野の入口になります。
図解動物の教育と人間の教育
ミーアキャット
- 毒針を取ったサソリを渡す
- 子の成長に合わせて渡し方を変える
- その場その場の教育行動
人間
- 教育行動を組み合わせた教育活動
- 計画的に組み立てた学校などの制度
- 生まれてから亡くなるまで続く


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教職入門: 「教わる側」から「教える側」へ
教職入門では、先生の仕事の全体像を学びます。静岡大学教育学部の教職入門では、目指す教師像や教師の学びと成長を考えます。教育制度と教育改革、子どもの生活、教師の職務とやりがいも扱います。
同じ学部では、1 年の 10 月に、若手の先生が教師の魅力を語る授業があります。4 年生の振り返りを聞く「学年交流」もあり、3 年後の自分の姿が具体的に見えてきます。
参照基準は、教育学の特徴の一つに「再帰性」を挙げています。学ぶ学生自身がすでに多くの教育を受けてきていて、その経験も考える材料になるという意味です。
小学校から高校までの 12 年間、あなたは毎日、授業を受ける側にいました。好きだった授業や苦手だった授業を思い出し、なぜそう感じたのかを言葉にすることが、教える側への第一歩です。
自分が受けてきた授業の記憶も、教育学では大切な材料になります。
図解1 年の教職の学び(静岡大学の例)
- 1新入生セミナー学び方と 4 年間の見通しを持つ
- 2教職入門目指す教師像や教育制度を学ぶ
- 3教職キャリア入門若手の先生から教師の魅力を聞く
- 4学年交流4 年生の振り返りを聞く

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1 年生の 1 週間: 教養と教職の科目を組み合わせる
下の図は、教育学部で小学校の先生をめざす 1 年生の 1 週間の例です。教育学概論や教育心理学に、英語などの教養の科目と、免許に必要な日本国憲法や体育が加わります。実際の科目や曜日は大学によって異なります。
教員免許をめざす場合は、取る免許ごとに必要な科目が決まっています。大学の履修の手引きを見ながら、4 年間の計画を立てます。小学校と中学校など、2 つ以上の免許を取る人は、特に早めの計画が大切です。
空いた時間や週末に、地域の学習支援や学校のボランティアに参加する学生もいます。参照基準も、教育や福祉の場でのボランティアや、部活・サークルでの経験が、教育学の学びを深めるとしています。
図解1 年生の 1 週間(例)
- 月教育学概論・英語教育の目的を考える
- 火教育心理学・教養子どもの発達と学び方を学ぶ
- 水教職入門先生の仕事と役割を知る
- 木教育史・日本国憲法学校の歴史と憲法を学ぶ
- 金体育・情報免許に必要な科目を取る
- 土・日学習支援ボランティア地域の小学生の宿題を見る

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つまずきやすい点と乗り越え方
1 年でつまずきやすいのは、「早く教室に立ちたいのに、理論の授業ばかり」と感じることです。教育哲学や教育史は、すぐに授業で使える技術には見えにくいかもしれません。
そんなときは、学んだ考えを自分の受けてきた授業に当てはめてみます。たとえば「なぜ学校では同じ年齢の子どもが 1 つの学級に集まるのか」と考えると、制度の歴史が身近な問いに変わります。
参照基準は、教育学で身につけたい態度として、答えが 1 つとは限らない問題に取り組もうとすることを挙げています。すぐに答えが出なくても大丈夫です。問いを持ち続けることが、2 年からの授業づくりで生きてきます。
高校生のうちに試せること
忘れられない授業を 3 つ書き出す
小学校から今までで、忘れられない授業を 3 つ書き出しましょう。先生が何をしたから心に残ったのかを考えると、教職入門で考える「よい授業とは何か」の入口になります。
地域の学習支援に参加する
市区町村や社会福祉協議会のボランティアセンターでは、子どもの学習支援や行事の手伝いを募集していることがあります。高校生が参加できるものを探してみましょう。
ミーアキャットの研究を英語で読む
ケンブリッジ大学のサイトで、ミーアキャットが子どもに狩りを教える研究の紹介(英語)を読めます。辞書を使いながら、大人が獲物をどう渡しているかを確かめましょう。
Wild meerkats school their young(ケンブリッジ大学)教育学部の 4 年間の地図を見る
静岡大学教育学部の「学びのマップ」は、教育実習や教職の授業が 4 年間でどう並ぶかを 1 枚の図にしています。1 年で何をするのかを確かめましょう。
学びのマップ(静岡大学教育学部)
「1 年: 教育の土台を学ぶ」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 56 件から探せます。
よくある質問
教育学部の 1 年から、学校に行く機会はありますか?
大学によって異なります。静岡大学教育学部のように、2 年で 1 週間、学校の 1 日を観察する実習を置く大学もあります。授業とは別に、学校支援のボランティアで早くから学校に通う学生もいます。
高校で特に勉強しておくとよい科目はありますか?
国語で文章を正確に読み、書く力は、どの授業でも使います。教育心理学や教育統計ではデータを読むので、数学 I の「データの分析」も役立ちます。今受けている授業を「教える側ならどうするか」と考えながら受けるのも、よい準備になります。
教員免許に必要な単位は多いですか?
小学校の一種免許状なら、教科と教職の科目で 59 単位以上が必要です。これに日本国憲法などの 8 単位が加わります。卒業に必要な単位と重なる科目も多いので、大学の手引きに沿って計画的に取ります。

