
ひとことで言うと
旅行者が出会う「日本の顔」
初めて日本に来た旅行者が最初に話す日本の人は、空港やホテルのスタッフかもしれません。言葉が通じて困りごとがすぐに解決すると、その安心は旅の思い出として残ります。観光の仕事は、旅行者が出会う日本の顔になる仕事です。

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どんな仕事?: 空・宿・街で旅を支える
客室乗務員は、機内で食事や飲み物を出すだけでなく、非常時に乗客を安全に避難させる役目も担います。国際線では、機内のアナウンスや乗客との会話を英語などで行います。空港でも、搭乗の手続きや乗り継ぎを案内する係員が外国語を使って働いています。
ホテルのフロントやコンシェルジュは、チェックインの手続きのほか、レストランの予約や観光地への行き方の案内など、滞在中の困りごとに応えます。
全国通訳案内士は、外国語で旅行者に付き添い、観光地を案内する通訳ガイドの国家資格です。日本政府観光局(JNTO)は、この仕事を「民間外交官」とも言える国際親善の担い手と紹介しています。
空港・機内・ホテル・観光地と、旅の場面ごとに外国語の出番があります。
図解外国語が生きる観光の仕事
- 客室乗務員機内の安全とサービスを担う
- 空港の係員搭乗や乗り継ぎを案内する
- ホテルのスタッフ滞在中の困りごとに応える
- 全国通訳案内士観光地を外国語で案内する
- 旅行会社訪日旅行の行程をつくる


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数字で見るインバウンド: 1 年で 4,268 万人
JNTO によると、2025 年に日本を訪れた外国人旅行者は 4,268 万 3,301 人で、過去最多でした。東京オリンピックが開かれた 1964 年は 35 万 2,832 人で、それと比べると約 121 倍です。
国・地域別では、韓国(945 万 9,711 人)が最も多く、中国(909 万 5,931 人)が続きます。3 位は台湾(676 万 3,424 人)、4 位はアメリカ(330 万 6,820 人)です。アジアからの旅行者が、全体の約 8 割を占めます。
スペイン(24 万 5,576 人)やイタリア(30 万 9,377 人)からの旅行者も、前の年より 3 割以上増えました。英語に加えてもう 1 つの言葉ができると、旅行者に喜ばれる場面が広がります。
旅行者の国や言葉が多様になるほど、外国語ができる人の出番が増えます。

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全国通訳案内士: 日本の魅力を外国語で語る
全国通訳案内士の試験は年に 1 回で、英語・中国語・韓国語・タイ語など 10 の言語から選んで受けます。筆記試験は、外国語、日本地理、日本歴史、産業・経済・政治・文化の一般常識、通訳案内の実務の 5 科目です。2025 年度は 585 人が合格しました。
筆記試験に合格すると口述試験に進み、観光地などを題材に、実際に案内するように外国語で説明します。合格したあとは、住んでいる都道府県に登録します。
2018 年からは、資格がなくても報酬を受けて通訳ガイドができるようになりました。それでも「全国通訳案内士」と名乗れるのは、試験に合格して登録した人だけです。登録している人は、言語ごとに数えたのべ人数で 2 万 7,950 人です(2025 年 4 月 1 日時点)。
よいガイドは、知識をそのまま話すのではなく、旅行者の疑問に先回りして答えます。たとえば浅草の雷門なら、正式な名前が「風雷神門」であることや、高さ 3.9m・重さ約 700kg の大ちょうちんの話から始めると、興味を引けます。
知識を、相手が知りたいことに合わせて話せる人が、よいガイドです。
図解雷門を英語で案内する(例)
- 1風神と雷神の像だと答え、それぞれの役目を話す
- 2正式な名前が「風雷神門」であることを伝える
- 3大ちょうちんの高さと重さを数字で伝える
- 4写真をとるのによい場所を案内する


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全国通訳案内士の 1 日(例)
ここでは、英語の全国通訳案内士が、海外から来た家族を 1 日案内する例を紹介します。ガイドの仕事は、旅行会社などから依頼を受けて行うことがあります。
案内の前には、旅行者の国や年齢、食べられないものなどを確かめておきます。宗教や体質によって、食べられない食材がある人もいるからです。
電車の乗り方を教えたり、具合の悪くなった人を病院へ案内したりすることもあります。試験の「通訳案内の実務」で、旅程の管理や、災害や急病のときの対応が問われるのはこのためです。
旅行者の安心を守ることも、ガイドの大切な仕事です。
図解全国通訳案内士の 1 日(例)
- 8:30ホテルで出迎えその日の予定と天気を伝える
- 9:30お寺を案内参拝の作法を英語で説明する
- 12:00昼食食べられない食材を店に伝える
- 13:30街歩き商店街での買い物を手伝う
- 16:00電車で移動IC カードの使い方を教える
- 17:30ホテルへ翌日の行き方を地図で伝える

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向いている人と入り方・その先
航空会社やホテル、旅行会社には、外国語学部や観光学部などから新卒で入る人が多くいます。人を迎えるのが好きな人、予定外のことにも落ち着いて対応できる人に向いています。
全国通訳案内士の試験は、学生のうちから受けられます。英語の場合、実用英語技能検定(英検)1 級に合格していると外国語の筆記試験が免除されるなど、ほかの資格を生かせるしくみもあります。
経験を積むと、ホテルの支配人や、機内・空港のチームをまとめる立場、訪日旅行の企画を立てる仕事などへ進む道があります。自治体の研修を受けて登録する「地域通訳案内士」として、地元の案内を仕事にする人もいます。
外国語と、日本の地理・歴史の知識の両方が武器になります。
図解観光の仕事への道(例)
- 1大学で学ぶ外国語・観光学・日本の歴史
- 2現場を知る観光地や空港の見学、アルバイト
- 3就職・資格航空・ホテル・旅行会社、通訳案内士
- 4専門を深める支配人・旅行の企画・ガイドの指導
高校生のうちに試せること
通訳案内士試験の過去問を解く
JNTO は、全国通訳案内士試験の筆記試験の過去問題(一部)を公開しています。日本地理や日本歴史の問題は日本語で出されるので、高校で学んだ地理や歴史の知識で挑戦してみましょう。
全国通訳案内士試験 過去問題(JNTO)地元の名所を 1 分間、英語で紹介する
住んでいる町の名所を 1 つ選び、旅行者に 1 分で紹介する英語の台本を書いてみましょう。「なぜ有名か」「どう楽しめばよいか」を入れると、ガイドの考え方が分かります。
駅や観光地の多言語の案内を観察する
近くの駅や観光地で、英語・中国語・韓国語などの案内板やパンフレットを探してみましょう。どんな情報が何語で書かれているかを見ると、旅行者がどこで困りやすいかが見えてきます。
好きな国からの旅行者数を調べる
JNTO の訪日外客統計では、国・地域別の旅行者数の移り変わりを調べられます。興味のある国を 1 つ選び、どの月に多く来ているかを見て、その理由を考えてみましょう。
訪日外客統計(JNTO)
「観光・航空・ホテル」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 36 件から探せます。
よくある質問
全国通訳案内士の試験は、高校生でも受けられますか?
受けられます。受験資格は問われず、年齢・性別・学歴・国籍に関係なく受験できます。日本地理や日本歴史の科目もあるので、高校の地理・歴史の授業がそのまま役立ちます。
客室乗務員やホテルの仕事には、どの学部がよいですか?
決まった学部はありません。外国語学部や観光学部のほか、さまざまな学部から航空会社やホテルに入る人がいます。語学の力に加えて、チームで安全や快適さを守る仕事が好きかどうかが大切です。
英語以外の言語も役に立ちますか?
役立ちます。2025 年の訪日客は、韓国・中国・台湾などアジアからが約 8 割でした。全国通訳案内士の試験も、英語のほかに中国語・韓国語・タイ語など 9 つの言語で受けられます。