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図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 3

高 3: 環境応答と生態を学ぶ

高 3 では、生物の後半の「生物の環境応答」と「生態と環境」を学びます。神経や植物ホルモンが環境の変化にどう応えるかを数字と実験で確かめながら、共通テストや個別試験に向けて 3 年分をまとめ直す 1 年です。

高校の生物室で、透明な袋に入れた豆の芽生えとリンゴを並べて芽の長さを比べる高校 3 年生たち、ガラスの器の中の白いガの触角をルーペでのぞく生徒、時計を横に置いて問題に取り組む生徒

ひとことで言うと

周りの明るさで変わる、スマホの画面

スマートフォンの画面は、周りが暗くなると自動で明るさを落とします。光のセンサーで変化を受け取り、命令を出すしくみがあるからです。生き物も、目や葉で環境の変化を受け取り、神経や植物ホルモンで体に命令を出しています。高 3 の生物は、この受け取りと命令のしくみを学びます。

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高 3 の内容: 動物の反応、植物の応答、生態と環境

高 3 では、生物の 5 つの内容のうち、後半の 2 つを学ぶのが一つの例です。「生物の環境応答」では、動物が刺激を受け取って反応するしくみと行動、植物の成長にかかわる植物ホルモンを学びます。「生態と環境」では、個体群・生物群集・生態系を学びます。単元の順は学校によって異なります。

動物の単元では、刺激を受け取る受容器として眼を、反応する効果器として筋肉を取り上げます。刺激を受けてから反応するまでの流れを追い、神経細胞に生じる活動電位、シナプスでの伝達、記憶のしくみにも触れます。

植物の単元では、エチレン・オーキシン・ジベレリンなどの植物ホルモンと、光を受け取るフィトクロムを学びます。生態の単元では、種内競争や種間競争、相利共生、生態系の物質生産と、炭素と窒素の循環を扱います。

どの単元でも、グラフや表から変化の理由を説明する力が求められます。解説も、実験の結果や資料を分析して解釈する活動を、多くの単元で例に挙げています。授業で見たグラフは、軸と単位を言葉で説明できるようにしておきます。

高 3 では、環境の変化に生き物がどう応えるかを、動物・植物・生態系の 3 つの目で学びます。

図解高 3 で学ぶこと(例)

生物の後半
  • 刺激の受容眼のしくみ・盲斑
  • 神経と筋肉活動電位・シナプス・筋収縮
  • 動物の行動フェロモン・学習と記憶
  • 植物ホルモンエチレン・オーキシン・ジベレリン
  • 光の受容フィトクロムなどの光受容体
  • 個体群と群集種内競争・種間競争・相利共生
  • 物質生産と循環炭素と窒素の循環

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神経の計算: 興奮が伝わる速さを求める

動物の単元の計算の代表が、興奮の伝導速度です。神経と筋肉をつないだ標本(神経筋標本)で神経の 2 か所を刺激し、筋肉が縮み始めるまでの時間を比べた結果を使います。解説も、神経筋標本の実験の結果を示す資料から考える活動を挙げています。

ポイントは、2 か所の時間の差を使うことです。神経の端に興奮が届いてから筋肉が縮み始めるまでの時間は、どちらの刺激でも同じです。差をとるとその時間が消え、神経を伝わった距離と時間だけが残ります。

神経と行動の研究には、日本の研究も登場します。解説は、カイコガのオスがメスの性フェロモンをたどる行動を、神経系のはたらきと結びつける例に挙げています。オスのガがメスのにおいをたどる行動は、ファーブルが『昆虫記』に書いたことで知られ、のちにドイツのブテナントらが性フェロモンを取り出しました。

2014 年には、東京大学の研究グループが、カイコガの脳の中の経路を明らかにしました。性フェロモンのにおいの情報が、行動の命令に変わるまでの全経路です。JST サイエンスポータルは、『昆虫記』の記述から約 120 年を経て、その神経回路が浮かび上がったと伝えています。

時間の差をとると、神経を伝わるのにかかった時間だけを取り出せます。

図解興奮の伝導速度を求める(例)

入力筋肉から 5 cm の点を刺激すると 4.0 ミリ秒後、2 cm の点では 3.4 ミリ秒後に筋肉が縮み始めた
  1. 1距離の差は 5 − 2 = 3 cm = 0.03 m
  2. 2時間の差は 4.0 − 3.4 = 0.6 ミリ秒 = 0.0006 秒
  3. 30.03 ÷ 0.0006 = 50
結果伝導速度は 50 m/秒。共通の時間は、差をとると消える
白くふわふわした体のガを正面から写した写真。くしの歯のように枝分かれした大きな触角が 2 本ある
カイコガの成虫(オーストラリア連邦科学産業研究機構の写真)。オスは触角でメスの性フェロモンを感じ取り、においをたどってメスを探します。写真: CSIRO(CC BY 3.0・Wikimedia Commons)

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植物の環境応答: 種なしブドウは、植物ホルモンでつくる

植物は動けない代わりに、光や重力、季節の変化を受け取り、植物ホルモンで成長を調節しています。学習指導要領は、植物ホルモンを 3〜4 種類取り上げ、植物ホルモンにかかわる光受容体にも触れるとしています。

解説が例に挙げる実験が、エンドウの芽生えとリンゴです。芽生えをリンゴの果実といっしょに袋に入れて密閉したものと、芽生えだけを密閉したものを数日育て、芽生えの長さと太さを比べます。リンゴの果実が芽生えの伸び方や太り方に影響することを確かめ、その理由を考えます。

植物ホルモンは、果物づくりにも使われています。農研機構によると、日本では 1957 年に産学官のジベレリン研究会が発足し、1958 年からブドウでの利用が調べられました。種ありの品種だったデラウェアは、開花前にジベレリンを処理すると種なしになることが分かりました。

さらに、開花後にもう一度処理すると、種なしの実が種ありと同じくらい大きくなり、熟すのも 2 週間ほど早まりました。今では、シャインマスカットなどの大粒の品種も、2 回のジベレリン処理で種なしになります。ジベレリンは、世界に先駆けて日本人が発見した植物ホルモンです。

植物ホルモンのしくみは、種なしブドウのような身近な果物を支えています。

クイズ高 3 の生物クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1種なしのデラウェアをつくるのに使われている植物ホルモンは?

  2. Q2神経の 2 点を刺激したときの、距離の差が 3 cm、時間の差が 1.0 ミリ秒。伝導速度は?

  3. Q3オスのガがメスのにおいをたどる行動を書き残したことで知られるのは?

0 / 3 問に回答
棚からつり下がった、黄緑色の大粒のブドウの房
シャインマスカット。もとは種ありの品種ですが、2 回のジベレリン処理で、大粒で種なしの実になります。写真: 黒崎一男(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

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共通テストの生物基礎・生物: 時間と配点、受験者数

大学入学共通テストの理科は、5 つの出題科目から最大 2 つを選んで受けます(令和 9 年度試験の出題方法)。『生物』は 1 科目で 60 分・100 点です。生物基礎は『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』として出題され、4 つのうち 2 つを選んで、60 分で各 50 点の問題を解きます。

出題範囲は、学習指導要領の科目の内容を総合したものです。『生物』なら、進化から生態と環境まで、生物の 5 つの内容すべてが範囲になります。高 3 の後半に学ぶ単元も出題されるので、教科書を最後まで読み通しておくことが大切です。

受験者数と平均点(100 点満点に換算)を見てみます。『生物』は、令和 7 年度が 5 万 7,985 人・52.21 点、令和 8 年度が 5 万 6,314 人・55.01 点でした。生物基礎は、令和 8 年度に 11 万 4,187 人が受けました。4 つの基礎の中で、受験者がいちばん多い科目です。

平均点は、年によって大きく変わります。生物基礎は、令和 7 年度の 62.78 点から、令和 8 年度は 72.92 点になりました。点数そのものより、どの大問で時間を使ったかを記録して、復習する単元を決めるのに使います。

試験の時間と配点を知り、大問ごとの時間配分を練習しておきます。

図解共通テストの生物基礎と生物(令和 9 年度試験)

生物基礎

  • 4 つの基礎から 2 つを選ぶ
  • 2 つで 60 分・各 50 点
  • 令和 8 年度は 11 万 4,187 人

生物

  • 1 科目で 60 分・100 点
  • 生物の 5 つの内容すべてが範囲
  • 令和 8 年度は 5 万 6,314 人

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高 3 の 1 週間: 新しい単元と、資料の問題の演習を並べる

高 3 の前半は、環境応答と生態の新しい単元が続きます。並行して、高 1・高 2 で学んだ遺伝情報や代謝の復習を進めます。下の図は、高 3 の 1 週間の例です。時間割や単元の順は、学校によって異なります。

大学入試センターのサイトでは、過去の試験問題と正解を見られます。最初は大問 1 つを時間を計って解き、慣れてきたら 60 分で 1 回分に挑戦します。資料の問題は、先に問いを読んでから、グラフの軸と単位を確かめると速く読めます。

計算の問題は、伝導速度・組換え価・細胞周期の時間など、型が決まっています。式を丸ごと覚えるより、何と何の比なのかを言葉で書いてから数字を入れると、初めて見る問題にも対応しやすくなります。

個別試験を記述式で行う大学では、実験の結果から言えることを、理由とあわせて文章で書く問題が出されることがあります。1 つの問いに 2〜3 文で答える練習を、週に 1 回でも続けておくと安心です。

計算は言葉の式から、資料の問題は軸と単位から始めると、初めての問題にも落ち着いて取り組めます。

図解高 3 の 1 週間(例)

  1. 月生物(授業)神経と筋肉のしくみを学ぶ
  2. 火計算の練習伝導速度と組換え価を 2 問ずつ
  3. 水生物(授業)植物ホルモンの実験を考える
  4. 木大問 1 つ時間を計り、かかった分を記録
  5. 金記述の練習実験の結果を 2〜3 文で説明
  6. 土・日60 分で 1 回分大問ごとの時間配分を見直す

高校生のうちに試せること

  • 豆苗とリンゴで、植物ホルモンの実験をする

    スーパーで売っている豆苗は、発芽したエンドウの若芽です。豆苗を 2 つに分けて根元を水にひたし、片方だけリンゴといっしょに透明なポリ袋に入れて口を閉じましょう。数日後に、芽の長さと太さを比べてください。解説が例に挙げるエンドウの芽生えとリンゴの実験を、家で試す方法です。

    農畜産業振興機構「野菜情報」2024 年 4 月号 今月の野菜(PDF)
  • 盲斑を自分の目で見つける

    白い紙の左に小さな十字、右に黒い丸を、8 cm ほど離して描きましょう。左目を閉じ、右目で十字を見つめたまま、紙をゆっくり顔に近づけたり遠ざけたりします。ある距離で黒い丸が見えなくなったら、そこが盲斑に映った所です。

  • 植物の疑問を研究者の答えで調べる

    日本植物生理学会の「植物Q&A」では、研究者などが植物の疑問にボランティアで答えています。これまでの質問と答えは 3,000 件を超え、だれでも読めます。植物ホルモンや花が咲くしくみなど、気になる語で探してみましょう。

    日本植物生理学会「植物Q&A」
  • 共通テストの『生物』を時間を計って解く

    大学入試センターのサイトで、令和 8 年度の本試験の『生物』と『生物基礎』の問題を見られます。まず大問 1 つを時間を計って解き、慣れたら 60 分で 1 回分に挑戦しましょう。

    大学入試センター 令和 8 年度 本試験の問題

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よくある質問

生物の授業が、入試に間に合うか心配です。

単元の順や進み方は、学校によって異なります。共通テストの『生物』は、生物の内容全体が出題範囲です。教科書の後半の章を早めに読み、分からない用語を書き出して先生に質問しておくと安心です。

資料の問題で時間が足りません。

先に問いを読んでから、グラフの軸・単位・条件の違いを確かめると、読む所を絞れます。大問ごとにかかった時間を記録し、時間がかかる型の問題をくり返し練習すると、時間配分が安定します。

生物基礎だけで共通テストを受ける場合は?

『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』として、4 つのうち 2 つを選んで、60 分で各 50 点の問題を解きます。どの学部の入試で基礎の科目を使えるかは大学によって異なるので、募集要項で確かめてください。