図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 2
高 2: 情報 II で深める(選択)
情報 II は、情報 I を学んだ後に選んで学ぶ科目です。データサイエンス、情報システムの開発、コンテンツの制作に取り組み、最後は自分で立てた問いを情報技術で探究します。

ひとことで言うと
基本の弾き方から、バンドで 1 曲へ
情報 I で、楽器の基本の弾き方をひととおり覚えました。情報 II は、仲間とパートを分けて 1 曲を仕上げる段階です。データを読み、システムを分担してつくり、最後は自分たちの曲を発表します。

01
情報 II: 情報 I の続きを選んで学ぶ
情報 II は標準 2 単位の選択科目で、情報 I を学んだ後に学ぶのが原則です。情報 I と同じく、原則として 1 つの学年でまとめて学びます。内容は 5 つあり、最初の「情報社会の進展と情報技術」が導入、最後の「問題発見・解決の探究」がまとめです。
あいだの 3 つは、コンテンツの制作、データサイエンス、情報システムの開発です。学習指導要領の解説は、人工知能やネットワークにつながった機器と、これからの社会との関わりも考えさせるとしています。大学の情報学の入口に近い内容です。
ただし、情報 II を開いている高校はまだ多くありません。文部科学省の調査では、令和 5 年度の入学生に情報 II を開く予定の公立高校は、3,081 校のうち 557 校(18.1%)でした。開く予定の学校がない県もありました。
そこで文部科学省は、情報 II の解説動画や教員研修用教材を公開しています。情報処理学会も 2024 年、各地の大学と連携し、大学院生を中心に情報 II の授業を支えることを決めました。学校で選べなくても、教材や動画で学べます。
情報 II は、情報 I を学んだ後に選んで学ぶ、大学の学びに近い科目です。
図解情報 II の 5 つの内容
- 1情報社会の進展導入: AI や機器のネットワークと社会
- 2コンテンツ文字・音声・動画を組み合わせて発信
- 3データサイエンス回帰・分類・クラスタリング
- 4情報システム分担して設計し、統合してテスト
- 5探究まとめ: 自分の問いを情報技術で解く

02
導入: AI が広がると、人の仕事はどう変わる?
情報 II の最初の単元は、情報技術の歴史をたどり、これからの社会を考える導入です。インターネットや携帯電話の普及で、生活や仕事がどう変わってきたかを調べます。情報セキュリティの技術や、情報に関する法律が整えられてきた流れも学びます。
解説が挙げる題材の 1 つが、人工知能と仕事の関係です。専門家や職人の知識を AI に学ばせられる社会になったら、人の仕事はどう変わるかを予想します。AI の普及が雇用に与える影響について、賛成と反対の立場に分かれて討論する活動も例に挙がっています。
高齢者に話しかけたり、体操を一緒にしたりするコミュニケーションロボットの例もあります。人と機械が気持ちよくやり取りするには、どんな話し方や画面がよいかを考えます。技術の使い道を決めるのは人だと確かめるところから、情報 II は始まります。
情報 II の導入では、情報技術と社会のこれからを、討論しながら考えます。

03
データサイエンス: 写真を 5 色に減らして「分類」を知る
情報 II のデータサイエンスは、データの集め方と整え方から始まります。欠けた値や極端な値を処理し、分析しやすい表の形に直す作業です。そのうえで、回帰(予測)、分類、クラスタリング(似たもの集め)を、ソフトウェアを使いながら学びます。
解説が挙げる面白い例が、カラー写真を決まった 5 色に減らす活動です。写真の 1 つ 1 つの点について、5 色のどれに一番近いかを判断するプログラムをつくります。下の図のように、色を赤・緑・青の 3 つの数で表すと、「近さ」を計算で比べられます。
「いちばん近いものの仲間にする」という考え方は、近傍法と呼ばれる分類の方法につながります。解説には、手書きの文字をたくさん読み込ませて、自分の書いた文字の認識率を学習の前後で比べる活動も載っています。
学習に使ったデータではよく当たるのに、新しいデータでは外れることがあります。これを過剰適合といい、情報 II でも扱います。データに合わせすぎた予測は、かえって役に立たないことがあるのです。
色を数で表せば、「どの色に近いか」をコンピュータで判断できます。
図解写真の 1 点を 5 色のどれかに置きかえる(例)
- 15 色を決める: 赤・緑・青・白・黒
- 2色ごとの差を 2 乗して足し、「距離」とする
- 3赤 (255, 0, 0) までの距離は 6,225
- 4黒は 43,200、緑と青は 87,825、白は 95,475


04
情報システムの開発: 掲示板を 3 つに分けてつくる
情報システムとプログラミングでは、グループで小さな情報システムをつくります。解説が例に挙げるのが掲示板です。掲示板を、文字をサーバに送る部分、文字をファイルに保存する部分、内容をブラウザに表示する部分の 3 つに分けます。それぞれを分担して制作します。
分けた部分(モジュール)をつなぐには、関数の機能・引数・戻り値を先に決めておく必要があります。決め方があいまいだと、最後に組み合わせたときに動きません。進み具合を管理し、作業を割り振るプロジェクト・マネジメントも学びます。
解説は、一人暮らしの高齢者を見守るシステムの例も挙げています。センサーの部分、異常かどうかを判断する部分、離れて暮らす家族のスマートフォンに知らせる部分に分けてつくるものです。だれのどんな困りごとを解決するかを考えることが、開発の出発点です。
部分ごとの約束を先に決めておくと、分担してつくった部品がつながります。
図解掲示板を 3 つのモジュールに分ける(例)
送る
- 入力された文字を受け取る
- 空の書き込みは送らない
- サーバへ送る
保存する
- サーバで文字を受け取る
- 時刻と一緒にファイルに書く
- 書き込みの順番を守る
表示する
- 保存した内容を読み出す
- 新しい順に並べる
- ブラウザに一覧を出す


05
コンテンツと探究: 情報 I・II のまとめに挑む
コミュニケーションとコンテンツでは、文字・音声・静止画・動画を組み合わせた作品を協働で制作し、発信します。解説は、作品に求めることを最初に整理し、発信する側と受け取る側の両方の視点で評価することを求めています。文部科学省の解説動画には、学校紹介の動画や文化祭の Web サイトをつくる回があります。
科目のまとめが、情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究です。解説は、外国人観光客のデータから観光案内に使う言語を考える例や、スポーツの記録から勝つための方策を見つける例を挙げています。拡張現実(AR)と GPS を組み合わせ、今いる場所の観光案内を表示するシステムも例の 1 つです。
探究は、大学との連携などで効果がある場合は、時期を分けて行うこともできます。情報 II で身につけた探究の方法は、高 3 の総合的な探究の時間でもそのまま使えます。
探究は、情報 I と情報 II で学んだことを総合して取り組む、科目のまとめです。
高校生のうちに試せること
情報 II の解説動画で手書き数字の認識を見る
文部科学省の情報 II 解説動画には、「手書きの数字をコンピュータに認識させよう」や、性格の近い人を探すクラスタリングの回があります。学校で情報 II を選べなくても、スライドと一緒に見て学びましょう。
文部科学省 情報 II 解説動画方眼紙で 5 色の減色を試す
色鉛筆で 10 マス × 10 マスの絵を描き、各マスを赤・緑・青・白・黒のうち近い色で塗り直しましょう。どの色に近いか迷ったマスが、コンピュータでは距離の計算で決める部分です。
身近なシステムを 3 つに分けて図にする
学校の図書室の貸し出しや、部活の連絡網などを 1 つ選びましょう。情報を「受け取る」「しまう」「見せる」の 3 つの部分に分けて図にすると、情報システムの設計の第一歩になります。
教員研修用教材で先取りする
文部科学省は、情報 II の教員研修用教材を章ごとに公開しています。データサイエンスや情報システムの章から、興味のあるところを読んでみましょう。
文部科学省 情報 II 教員研修用教材(本編)
「高 2: 情報 II で深める(選択)」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 33 件から探せます。

行動情報学研究室
九州大学(福岡県)
高度ソフトウェア工学・岡田 昌也 准教授
Hacking Reality 研究室
九州大学(福岡県)
高度ソフトウェア工学・福嶋 政期 准教授

ソフトウェア工学・プログラミング言語研究室
九州大学(福岡県)
情報知能工学・亀井 靖高 教授
データ工学・ソフトウェア工学・アルゴリズム研究室
熊本大学(熊本県)
工学部 情報電気工学科 情報工学教育プログラム・データ工学・有次 正義 教授
ビッグデータ処理やデータベース、クラウド、ソフトウェア開発支援を研究する。
富井研究室
横浜国立大学(神奈川県)
理工学部 数物・電子情報系学科 情報工学教育プログラム・データ工学・富井 尚志 教授
データベース技術で専門家の知見をデータから再現する。
機械学習・データマイニング・AI研究室
九州大学(福岡県)
情報学・鈴木 英之進 教授
よくある質問
学校に情報 II がない場合、どうすればよいですか?
文部科学省が公開している情報 II の解説動画や教員研修用教材で、自分で学べます。データサイエンスや情報システムの開発は、多くの大学で 1・2 年の授業でも扱うので、大学に入ってから学び始めることもできます。
情報 II は、共通テストに出ますか?
大学入学共通テストの「情報」の科目は「情報 I」で、情報 II の内容は出題されません。情報 II で学ぶデータサイエンスやシステム開発は、大学の授業で生きてきます。
データサイエンスには、数学のどの単元が関わりますか?
解説は、中学の数学の「データの活用」を踏まえ、数学 B の「統計的な推測」との関連が深いとしています。ただし情報 II では、数学の専門的な内容に深入りせず、可視化やソフトウェアの結果から考え方を理解します。


