大学カタログ

図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 1

高 1: 情報 I で基礎を学ぶ

高校の情報は、全員が学ぶ「情報 I」から始まります。中学の技術で触れたプログラミングを土台に、伝え方のデザイン、ネットワークのしくみ、データの分析までをひととおり学ぶ 1 年です。

コンピュータ室で初めて動いたプログラムに喜ぶ高校 1 年生たちと、気温の折れ線グラフを見せ合う生徒、ロッカーの扉を数えながら考える生徒

ひとことで言うと

使う側から、つくる側の目へ

スマートフォンのアプリは毎日使っていても、中のしくみは見えません。情報 I は、その裏側をのぞく 1 年です。天気のアプリが「今週いちばん暑い日」を出す手順も、自分で書けるようになります。

01

高 1 の科目: 全員が学ぶ情報 I

情報 I は、2022 年度に高校に入学した人から、全員が学んでいる科目です。標準は 2 単位です。それまでは「社会と情報」と「情報の科学」から 1 つを選ぶ形でしたが、今は全員がプログラミングやデータの分析まで学びます。

内容は次の 4 つです。情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザイン、コンピュータとプログラミング、情報通信ネットワークとデータの活用です。1 つ目は科目の導入で、情報モラルや法律、問題解決の考え方を学びます。

情報 I は、原則として 1 つの学年でまとめて学びます。1 年で学ぶなら授業は週 2 時間ほどで、4 つの内容を 1 年でひととおり学ぶことになります。どの学年で学ぶかは学校によって異なり、高 2 で学ぶ学校もあります。

コンピュータとプログラミングでは、コンピュータのしくみも学びます。日本で最初の電子計算機 FUJIC は、1956 年 3 月に完成しました。カメラのレンズを設計するために富士写真フイルムの岡崎文次さんが開発し、人の手の計算の約 2,000 倍の速さを実現しました。

情報 I は全員が学ぶ科目で、4 つの内容をひととおり学びます。

図解情報 I の 1 年(例)

  1. 1情報社会の問題解決導入: 情報モラル・法・問題解決の考え方
  2. 2情報デザイン伝わる形・デジタル化のしくみ
  3. 3プログラミングコンピュータのしくみ・モデル化
  4. 4ネットワークとデータセキュリティ・データベース・分析
博物館に展示された、真空管がびっしり並ぶ大きな棚と、タイプライターの置かれた操作卓
東京の国立科学博物館に保存されている FUJIC。真空管を約 1,700 本使い、1956 年 3 月に完成した日本で最初の電子計算機です。写真: Daderot(CC0・Wikimedia Commons)

02

中学の技術から: 計測・制御とネットワークのプログラミング

高校の情報は、中学校の技術・家庭科(技術分野)の「情報の技術」の続きです。中学校では、センサーで測った値で機械を動かす、計測・制御のプログラミングを学びます。今の学習指導要領では、ネットワークを使った双方向性のあるコンテンツのプログラミングも加わりました。

たとえば「室温が 28℃を超えたら扇風機を回す」が計測・制御の考え方です。情報 I では、これを土台に、関数でプログラムを整理したり、ほかのプログラムが用意した機能(API)を呼び出したりします。気象データのような、実際のデータを扱うプログラムも書きます。

授業で使うプログラミング言語は学校によって違います。大学入試センターの資料は、同じ手順を Python、JavaScript、VBA、Scratch で書き比べています。Scratch はブロックを組み立てて書く言語です。中学でブロックの形しか使っていなくても、考え方は同じです。

中学で学んだ計測・制御のプログラミングが、情報 I の出発点です。

図解中学の技術と高校の情報 I

中学: 情報の技術

  • 計測・制御のプログラミング
  • ネットワークを使う双方向のコンテンツ
  • 情報のデジタル化

高 1: 情報 I

  • 関数でプログラムを整理する
  • API やライブラリを呼び出す
  • モデル化とシミュレーション
  • データの収集・整理・分析

03

プログラミングの授業: 1 週間でいちばん暑い日を探す

情報 I のプログラミングでは、変数、条件分岐、繰り返しから始めて、配列や関数へと進みます。学習指導要領の解説は、気象データなどを使って、合計・平均・最大値・最小値を求める活動を例に挙げています。探索や並べ替えといった、決まった手順(アルゴリズム)も学びます。

下の例は、1 週間の最高気温から、いちばん高い値を探す Python のプログラムです。1 日目の値を仮の最大にして、2 日目から順に比べ、大きい値が出たら入れかえます。たった 6 行ですが、変数・繰り返し・条件分岐・配列がすべて入っています。

同じ手順で、部活の記録の最高や、テストの平均も求められます。データが 7 個でも 7 万個でも、プログラムはほとんど変わりません。手で数えると大変な作業を、まちがえずにくり返せるのがプログラムの強みです。

プログラミングの後には、モデル化とシミュレーションも学びます。解説は、金利の計算や人口の増減、インフルエンザの流行などを式で表し、条件を変えて試す例を挙げています。コンピュータを使う場合と使わない場合の両方を体験し、モデルが違うと結果も変わることを確かめます。

最大値や平均を求める短いプログラムに、基本の書き方がすべて入っています。

図解1 週間でいちばん暑い日を探す(Python の例)

入力kion = [22, 25, 19, 28, 24, 21, 26](7 日分の最高気温・℃)
  1. 1saidai = kion[0](1 日目を仮の最大にする)
  2. 2for i in range(1, 7):(2 日目から 7 日目まで順に見る)
  3. 3if kion[i] > saidai:(仮の最大より高ければ)
  4. 4saidai = kion[i](最大を入れかえる)
結果print(saidai) で 28 と表示される(4 日目がいちばん暑い)

04

つまずきやすい 4 つ: 変数・繰り返し・配列・関数

最初につまずきやすいのは、変数の「=」です。プログラムの x = x + 1 は、数学の等式ではありません。「右の計算をして、その結果を左の x に入れる」という意味です。x が 5 なら、実行した後の x は 6 になります。

繰り返しでは、回数が 1 つずれるまちがいがよく起きます。配列では、Python の番号(添字)が 0 から始まることに注意します。7 日分の配列なら、最初は kion[0]、最後は kion[6] です。番号のついたロッカーが並んでいると考えると、配列のイメージがつかみやすくなります。

関数は、数学の y = f(x) に似ています。文部科学省の教員研修用教材は、関数に渡す x を引数、返ってくる y を戻り値と呼ぶと説明しています。よく使う処理を関数にしておけば、何度でも呼び出せて、プログラムも読みやすくなります。

どこでつまずいても、コツは同じです。1 行実行するごとに変数の値がどう変わるかを表に書き出すか、print で表示して確かめます。予想した値と実際の値がずれた行に、まちがいがあります。

変数の値を 1 行ずつ追いかけると、どこで考えがずれたかが見えてきます。

クイズ高 1 の情報クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1日本で最初の電子計算機 FUJIC は、もともと何のために作られた?

  2. Q2x が 5 のとき、x = x + 1 を実行すると、x の値はいくつ?

  3. Q3Python で kion = [22, 25, 19, 28] のとき、kion[3] の値は?

0 / 3 問に回答
駅の構内の壁ぎわに並ぶ、扉に番号のついたコインロッカー
神奈川県横須賀市の京急汐入駅のコインロッカー。配列は、番号のついたロッカーに値を 1 つずつしまうしくみに似ています。写真: Vantey(Public domain・Wikimedia Commons)

05

高 1 の 1 週間: 授業は週 2 回、復習は 5 分から

情報 I を 1 年で学ぶ場合、授業は週に 2 回ほどです。単位数や学ぶ学年は学校によって異なります。下の図は、高 1 の 1 週間の例です。

授業で書いたプログラムは、その日のうちにもう一度打ち直すと身につきます。うまく動いたら、数字を 1 つ変えて、結果を予想してから実行してみてください。予想と結果が違ったところに、まだ分かっていない点があります。

数学 I の「データの分析」とも内容が重なります。平均や分散を数学で手計算し、情報で表計算ソフトやプログラムを使って求めると、両方の理解が深まります。

結果を予想してから実行すると、分かっていない点が見つかります。

図解高 1 の 1 週間(例)

  1. 月情報 I(変数)x = x + 1 の動きを表で追う
  2. 火5 分の打ち直し授業のプログラムをもう一度動かす
  3. 水数学 I(データ)平均と分散を手で計算する
  4. 木情報 I(配列)繰り返しで最高気温の最大を探す
  5. 金探究・部活練習の記録を表計算にまとめる
  6. 土・日数字を変えて試す結果を予想してから実行する

高校生のうちに試せること

  • 授業・解説動画でプログラムをつくる

    文部科学省は、情報 I の授業・解説動画とワークシートを無料で公開しています。「100 連ガチャをプログラムして作ろう!」など、身近な題材の回があります。動画を止めながら、自分でも書いてみましょう。

    文部科学省 授業・研修用コンテンツ(情報 I)
  • 自分の記録で最大値と平均を求める

    1 週間の歩数や睡眠時間、部活の記録などを 7 個以上メモしましょう。このページの例のプログラムを書きかえて、最大値と平均を求めてください。データを入れかえても、同じプログラムがそのまま使えることを確かめられます。

  • 変数の動きを表に書く

    授業で書いたプログラムを 1 つ選び、1 行実行するごとに変数の値がどう変わるかを表に書きましょう。表の最後の値とプログラムの結果が一致すれば、プログラムを読めている証拠です。

  • 身のまわりの「もし」を探す

    自動ドア、街灯、エアコンなどの動きを、「もし〜なら〜する」の形で 3 つ書き出しましょう。中学の技術で学んだ計測・制御が、身のまわりのどこで使われているかが見えてきます。

「高 1: 情報 I で基礎を学ぶ」に関連するコミュニティ

研究室・部活・サークルなど、全国の 59 件から探せます。

研究室をすべて見る(9 件)

よくある質問

中学でプログラミングが苦手でした。情報 I についていけますか?

情報 I は、中学校の技術で学んだ内容を土台に、変数や条件分岐といった基本から順に進みます。つまずいたら、変数の値を 1 行ずつ表に書き出すと、どこで考えがずれたかが分かります。

情報 I は、必ず高 1 で学ぶのですか?

情報 I は原則として 1 つの学年でまとめて学びますが、どの学年で学ぶかは学校によって異なります。高 2 で学ぶ学校もあるので、自分の学校の教育課程を確かめてください。

プログラミングのほかに、情報 I では何を学びますか?

情報モラルや法律、伝わる形を考える情報デザイン、ネットワークと情報セキュリティ、データベースとデータの分析も学びます。4 つの内容のうち、得意なところから取り組めます。