図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 3
高 3: 探究と受験に生かす
高 3 では、情報で身につけた力を、総合的な探究の時間と大学入学共通テストで使います。データで問いを確かめる探究と、60 分・100 点の「情報 I」への備えを並べて進める 1 年です。

ひとことで言うと
そろえた道具箱を、自分の問いで使う
情報 I・II で、データを集める・整える・調べる・伝えるという道具をそろえました。高 3 は、その道具箱を持って自分の問いに向かう 1 年です。共通テストは、道具の使い方を確かめる点検の日にあたります。

01
探究の時間: 暑さ指数のデータで部活の練習を考える
総合的な探究の時間は、卒業までに 3〜6 単位を学ぶ時間です。解説は、課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現という探究のプロセスを示しています。このうち情報の収集から表現までは、情報 I で学んだことがそのまま使えます。
たとえば「部活の練習中の熱中症を防ぐには」という問いを立てたとします。環境省の熱中症予防情報サイトでは、2010 年以降の暑さ指数(WBGT)の実況値を CSV でダウンロードできます。暑さ指数は、気温・湿度・日射などの周りの熱から求める指標で、1954 年にアメリカで提案されました。
日本スポーツ協会の指針では、暑さ指数 31 以上は「運動は原則中止」、28 以上 31 未満は「厳重警戒」です。地元の地点の 7・8 月の値から 31 以上になった日を数え、練習の時間帯と比べれば、数字を根拠に提案できる探究になります。
まとめ・表現では、情報 I で学んだ情報デザインが生きます。時間の変化なら折れ線グラフ、地点どうしの比較なら棒グラフのように、伝えたいことに合わせて形を選びます。使ったデータの出どころと取得した日も、発表資料に書き添えます。
探究のうち、情報の収集からまとめ・表現までは、情報 I の力がそのまま使えます。
図解暑さ指数のデータで探究する(例)
- 1環境省のサイトから地元の地点の CSV を取る
- 2表計算で 7・8 月の値を日付順に並べる
- 331 以上(運動は原則中止)になった日を数える
- 4練習の時間帯の値と比べてグラフにする


02
共通テスト「情報 I」: 60 分・100 点、大問は 4 つ
大学入学共通テストの「情報 I」は、2025 年 1 月の試験から始まりました。試験時間は 60 分、配点は 100 点で、すべての問題に答えます。受験者は、1 回目の令和 7 年度が 27 万 9,718 人、令和 8 年度は 30 万 5,202 人でした。
令和 7・8 年度の本試験は、どちらも大問 4 つの構成でした。第 1 問は 4 つの小問で、デジタル署名や記憶装置、情報セキュリティなどの知識を幅広く問います。第 2 問は A・B の 2 つの題材、第 3 問はプログラミング、第 4 問はデータの活用です。
題材は身近な場面です。令和 7 年度の第 2 問 B は、集金のときに用意するおつりの千円札の枚数を、シミュレーションで考える問題でした。令和 8 年度の第 2 問 B は、ゲームの画面でキャラクターの画像を背景に重ねるしくみを、ビットの計算で考える問題です。
令和 8 年度の第 3 問は、文化祭でゲームを体験する人の待ち時間を求めるプログラムでした。第 4 問は、気象庁のオープンデータで桜の開花日を分析する問題です。平均点は令和 7 年度が 69.26 点、令和 8 年度が 56.59 点でした。
第 3 問のプログラミングと第 4 問のデータの活用で、配点の半分を占めます。
図解共通テスト「情報 I」の大問(令和 7・8 年度)
- 1第 1 問(20 点)小問 4 つ・知識を幅広く
- 2第 2 問(30 点)A・B の 2 題材・情報システムなど
- 3第 3 問(25 点)プログラミング・表記を読む
- 4第 4 問(25 点)データの活用・表とグラフ

03
プログラムの表し方: 共通テスト用プログラム表記
授業で使うプログラミング言語は、学校によって違います。そこで共通テストでは、受験者が初めて見ても理解できる、大学入試センター独自のプログラム表記を使います。2022 年に試作問題が公表されたときに、「共通テスト用プログラム表記」の例示も示されました。
表記の特徴は、日本語が混ざることです。繰り返しは「i を 1 から 3 まで 1 ずつ増やしながら繰り返す:」、条件分岐は「もし … ならば:」と書きます。配列の名前は大文字で始め、繰り返しや条件の範囲は「|」と「⎿」で示します。
気をつけたいのが配列の添字です。例示では、特に説明がなければ添字は 0 から始まります。一方、令和 7・8 年度の本試験の第 3 問は、どちらも問題文に、添字は 1 から始まると書かれていました。問題文の説明を先に確かめる習慣が、点数を守ります。
配列の添字が 0 からか 1 からかは、問題文の説明で確かめます。
図解同じ手順を 2 つの書き方で(最高気温の最大)
Python(授業の例)
- kion = [22, 25, 19, 28]
- saidai = kion[0]
- for i in range(1, 4):
- if kion[i] > saidai:
- saidai = kion[i]
- print(saidai)
共通テストの表記
- Kion = [22, 25, 19, 28]
- saidai = Kion[0]
- i を 1 から 3 まで 1 ずつ増やしながら繰り返す:
- | もし Kion[i] > saidai ならば:
- ⎿ ⎿ saidai = Kion[i]
- 表示する(saidai)

04
過去問の使い方: 第 3 問と第 4 問を分けて練習する
大学入試センターのサイトでは、過去 3 年分の試験問題と正解が公開されています。情報 I は令和 7 年度に始まりました。令和 7・8 年度の本試験と追・再試験のほか、2022 年に公表された試作問題も練習に使えます。
まず、第 3 問だけを 20 分ほどで解いてみてください。プログラムの穴埋めでは、変数の値を表に書きながら 1 行ずつ追うと、まちがいが減ります。第 4 問は表やグラフを読む問題なので、数学 I の「データの分析」で学んだ箱ひげ図や散布図の読み方も生きます。
平均点は、令和 7 年度と 8 年度で 12 点以上違いました。点数だけで一喜一憂せず、どの大問で時間を使ったかを記録すると、残りの期間に何を復習すればよいかが見えてきます。

05
高 3 の 1 週間: 探究と演習を並べて進める
情報 I を高 1 や高 2 で学んだ場合、高 3 には情報の授業がないこともあります。そのときは、探究の時間と自分で進める演習が、情報の力を使う場になります。下の図は、高 3 の 1 週間の例です。
第 1 問のような知識の問題は、教科書の太字の用語を、自分の言葉で説明できるかで確かめられます。デジタル署名や可用性のような用語は、身近な例と一緒に覚えると忘れにくくなります。
大問ごとにかかった時間を記録すると、復習の順番が決まります。
図解高 3 の 1 週間(例)
- 月探究の時間暑さ指数のデータを表に整える
- 火第 1 問の用語デジタル署名などを例で説明する
- 水第 3 問を 20 分変数の値を表に書きながら解く
- 木探究の時間グラフにして班で話し合う
- 金第 4 問を 20 分表とグラフから言えることを書く
- 土・日60 分で 1 回分大問ごとにかかった時間を記録する
高校生のうちに試せること
令和 8 年度の第 3 問を 20 分で解く
大学入試センターのサイトで、令和 8 年度の本試験の問題を見られます。「情報 I」の第 3 問(文化祭のゲーム体験の待ち時間)を 20 分で解き、プログラムの各行で変数がどう変わるかを確かめましょう。慣れたら、60 分で 1 回分に挑戦してください。
大学入試センター 令和 8 年度 本試験の問題授業のプログラムを共通テストの表記に書きかえる
授業で書いたプログラムを 1 つ選び、共通テスト用プログラム表記に書き直しましょう。「〜を〜から〜まで 1 ずつ増やしながら繰り返す:」のような書き方です。配列の添字を 0 から始めるか 1 から始めるかも、先に決めて書きます。
地元の暑さ指数を数える
環境省の熱中症予防情報サイトで、住んでいる地域に近い地点の暑さ指数の実況値を CSV でダウンロードしましょう。去年の 7・8 月に 31 以上だった日を表計算で数え、部活の予定と比べてみてください。
環境省 熱中症予防情報サイト(データのダウンロード)
「高 3: 探究と受験に生かす」に関連するコミュニティ
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よくある質問
共通テストの「情報 I」は、プログラムが書けないと解けませんか?
プログラムを一から書く問題ではなく、問題文の説明を読み、選択肢から穴埋めや動きを考える問題です。表記は初めて見ても分かるように作られていますが、授業でプログラムを動かした経験があると読みやすくなります。
探究のテーマが決まりません。どこから始めればいいですか?
身近な「困った」や「なぜ」を 1 つ書き出し、それを確かめるのに使えそうな公開データを探してみてください。総合的な探究の時間の解説も、探究のプロセスの中でとりわけ課題の設定を丁寧に扱うよう求めています。
共通テストの点数は、大学でどう使われますか?
国立大学協会は、共通テストで「情報」を加えた 6 教科 8 科目を課すことを原則としています。ただし配点や扱いは大学や学部、入試の方式によって異なるので、志望校の募集要項で確かめてください。



