図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 3
高 3: 近現代と今の課題
高 3 の日本史探究では、近現代の日本を地域の変化と合わせて深め、最後に「現代の日本の課題」を自分で探究します。1 月には、60 分・100 点の大学入学共通テストで、高 1 からの力を試します。

ひとことで言うと
商店街の「今」を、昔の写真から考える
シャッターの閉まった店が増えた商店街も、昔の写真を見ると、にぎわっていた時期が分かります。いつ、なぜ変わったのかを調べると、これからを話し合う材料になります。高 3 の日本史探究は、こうして今の課題を歴史から考えます。

01
高 3 の日本史探究: 近現代を、地域と日本から深める
日本史探究の最後の時代が「近現代の地域・日本と世界」です。開国と明治維新から、二つの世界大戦、戦後の改革と高度経済成長、そして今までを扱います。歴史総合でも学んだ時代ですが、学習指導要領は、その成果を踏まえて、より発展的に学ぶよう求めています。
違いは、地域に目を向けることです。解説は、歴史総合で学んだ大きな変化が、地域にどんな影響を与え、どんな課題を生み、人々がどう対処したかを探究するよう求めています。自分の町の鉄道や工場、学校がいつできたかも、十分な入口になります。
近現代は、使える資料の種類がとても多い時代です。学習指導要領は、日記、書簡、自伝、公文書、新聞、統計、写真、地図、映像や音声、生活用品の移り変わりなどを挙げています。立場の違う資料を並べて、批判的に読む力が求められます。
高 3 では、歴史総合で学んだ近現代を、地域の目で見直します。
図解近現代の学びの流れ(日本史探究)
- 1近代への転換開国と新しい政権の成立をつかむ
- 2資料から仮説近代の特色について仮説を立てる
- 3画期と構造地域・日本・世界の関係を整理する
- 4現代の課題自分で主題を決めて探究する

02
現代の日本の課題の探究: 身の回りから主題を立てる
日本史探究の最後に置かれているのが「現代の日本の課題の探究」です。持続可能な社会の実現を視野に入れ、地域や身の回りの出来事と関連させて、自分で主題を決めます。観点は「社会や集団と個人」「世界の中の日本」「伝統や文化の継承と創造」の 3 つです。
解説は、観点ごとに例を挙げています。たとえば、地域の祭りに参加した体験から「社会の変化は伝統文化にどのような影響を与えてきたのか」と問います。参加した人への聞き取りなどから、「祭礼の表現や装飾は、時代の価値観を反映しているのではないか」と仮説を立てます。
資料は、博物館や資料館、図書館、公文書館、デジタルアーカイブで集めます。現地を歩くフィールドワークも勧められています。答えの決まっていない今の課題に、歴史の資料で筋道をつけるのが、高校の日本史の仕上げの学習です。
主題は、身の回りの「気になる今」から立てると、資料も集めやすくなります。
図解3 つの観点と、探究の例(解説から)
社会や集団と個人
- 問い: 話し合いの決め方はどう変わった?
- 資料: 中世の村や近世の町の文書
- 仮説: 社会の変化が自治の形を変えた
世界の中の日本
- 問い: 世界の動きは地域の産業を変えた?
- 資料: 地元企業の海外の拠点の数
- 仮説: 海外の戦争や景気が関わる
伝統や文化の継承と創造
- 問い: 社会の変化は祭りをどう変えた?
- 資料: 参加した体験と聞き取り
- 仮説: 飾りに時代の価値観が表れる

03
災害から地域の資料を救う: 1995 年に生まれた「史料ネット」
地域の歴史を調べるには、資料が残っていなければなりません。1995 年の阪神・淡路大震災のあと、被災地で歴史資料を救い出す民間の団体「史料ネット」が生まれました。国などの指定を受けていない資料も含めて、地域の歴史資料を守る活動です。
その後も、2003 年に宮城県、2004 年に新潟県で史料ネットがつくられ、2011 年の東日本大震災の後にも各地で結成されました。2004 年には内閣府などの検討委員会が、指定されていない文化遺産も含めて守る考え方をまとめています。2026 年 1 月の共通テストには、この流れを表にした問題が出ました。
神戸大学文学部の中に事務局がある歴史資料ネットワークは、水にぬれた資料も修復できると呼びかけ、簡単な手当ての方法を公開しています。被災した資料の整理作業には、ボランティアも参加しています。災害と資料の保存は、現代の日本の課題の探究の主題にもなります。
資料が残っているから、地域の歴史を調べられます。

04
共通テスト「歴史総合,日本史探究」: 60 分で資料を読み解く
大学入学共通テストの『歴史総合,日本史探究』は、60 分・100 点です。問題作成方針は、教科書などで扱われていない資料から得られる情報と、授業で学んだ知識を結びつける問題などを含めて検討するとしています。仮説を立てて資料で確かめる問題や、時代を超えて 1 つのテーマを考える問題も挙げています。
2026 年 1 月の本試験は大問 6 つで、答える数は 34 でした。第 1 問(25 点)は、歴史総合の授業で災害の歴史をまとめる場面です。第 2〜6 問は各 15 点です。テーマは、漁業の歴史、『伴大納言絵巻』と古代の政治、中世の女性と政治、近世の城、近現代の政治のリーダーシップでした。漁業の問題は、縄文時代から江戸時代までを 1 つのテーマで通して問うものです。
めずらしい形の問題もありました。古代の 2 つの出来事のうち、政治の転換のきっかけと考える方を自分で選び、その理由を答える問題です。どちらを選んでも、それに合う正しい理由が選択肢にありました。仮説を立てて根拠を示す、日本史探究の学び方そのものです。
資料の性格を見抜く問題も出ました。1615 年の大名家の文書は、「〜とも申し候」と、聞いた話を並べた書き方です。注は「雑説」を「様々なうわさ」と説明しています。幕府の命令ではなく、大名が手に入れたうわさの記録と読むのが正解でした。
共通テストは、知識と資料を結びつけて考える力を試します。
図解資料の性格を見抜く(2026 年 第 5 問から)
- 1「〜とも申し候」は「〜とも言われています」
- 2「雑説」は、注によると様々なうわさ
- 3命令の形ではなく、聞いた話を並べている
- 4書いたのは誰で、なぜ残したかを考える


05
高 3 の 1 週間: 過去問と探究を組み合わせる
高 3 では、近現代の授業と現代の課題の探究に加えて、共通テストの演習が増えます。授業の進み方や時間数は、高校によって異なります。下の図は、高 3 の 1 週間の例です。
過去問は、大学入試センターのサイトで過去 3 年分が公開されています。正解した問題も含めて、選んだ根拠が資料のどこにあるかを確かめます。間違えた選択肢は、どの部分が誤りかに線を引くと、同じ形の問題が出たときに見抜けます。
選んだ根拠を資料の中で確かめると、得点と読む力が一緒に伸びます。
図解高 3 の 1 週間(例)
- 月日本史探究の授業近現代の資料を立場ごとに読み比べる
- 火大問を 1 つ10 分を目安に解き、根拠に線を引く
- 水課題の探究地域の資料館の資料で主題を深める
- 木日本史探究の授業戦後の変化を、戦前と比べる
- 金誤りの選択肢どこが誤りかを 1 行で書く
- 土・日過去問を 60 分大問ごとの時間を記録して見直す
高校生のうちに試せること
共通テストの過去問を 60 分で解く
大学入試センターのサイトで、過去 3 年分の問題と正解を見られます。『歴史総合,日本史探究』を 60 分で 1 回分解き、大問ごとにかかった時間を記録しましょう。時間のかかった大問から見直してください。
大学入試センター 過去 3 年分の試験問題史料ネットの「資料の修復方法」を読む
歴史資料ネットワークのサイトでは、水にぬれた資料の簡単な手当ての方法を紹介しています。家にある古い写真や手紙を思い浮かべながら読み、災害のときに資料を守るために何ができるかを考えましょう。
歴史資料ネットワーク(史料ネット)地域の祭りや行事の「昔と今」を聞き取る
地域の祭りや学校の行事について、家族や地域の人に昔の様子を聞きましょう。聞いた話と今の様子を比べて違いを 3 つ書き出し、「なぜ変わったのか」という問いにしてください。
家族の写真を、教科書の年表に並べる
家族に、子どものころの写真や手紙が残っていないか聞いてみましょう。写真の年と場所を確かめ、教科書の同じ年の出来事と並べると、自分の家の歴史が近現代の歴史につながります。
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よくある質問
日本史で共通テストを受けると、歴史総合も出ますか?
出ます。『歴史総合,日本史探究』では、歴史総合で学んだことと、それをもとに日本史探究で学んだことが問われます。2026 年 1 月の本試験では、第 1 問(25 点)が歴史総合の授業を場面にした問題でした。
近現代の授業が、受験に間に合うか心配です。
進み方は高校によって異なります。近現代は歴史総合でも学んでいるので、高 1 のノートや教科書を見直すと土台になります。過去問で近現代の大問を先に解き、分からなかった所から授業の内容を確かめるのも 1 つの方法です。
現代の日本の課題の探究では、何をまとめるのですか?
自分で決めた主題について、資料をもとに立てた仮説と、調べて分かったことをまとめ、表現します。学習指導要領の解説は、地域の祭りや企業の海外進出、話し合いの決め方の変化などを例に挙げています。まとめ方は、高校や先生によって異なります。

