図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 1
高 1: 近現代を世界とつなぐ
高 1 では、全員が「歴史総合」を学びます。近代から今までの日本を、世界の動きと合わせて見ていく科目です。年表や統計、写真などの資料を読み、「なぜ?」という自分の問いを立てるところから学びが始まります。

ひとことで言うと
自分の家の「いつから?」を調べる
家の時計やカレンダー、冷蔵庫の中の食べ物には、それぞれ広まった時期と理由があります。歴史総合は、身の回りの「いつから?」「なぜ?」を、日本と世界の近現代の歴史につなげて考える科目です。

01
高 1 の科目: 全員が学ぶ「歴史総合」
高校の地理歴史科で、全員が学ぶ歴史の科目が「歴史総合」です。標準は 2 単位で、2022 年 4 月以降に高校に入学した人から学んでいます。それまでの地理歴史科は、世界史・日本史・地理の A と B の 6 科目でできていました。歴史総合は、今の学習指導要領で新しくつくられた科目です。
中学の社会の歴史的分野では、日本の歴史の大きな流れを、世界の歴史を背景に学びました。歴史総合では、世界とその中の日本を、互いに関わり合うものとして捉えます。たとえば日本の開国を、産業革命や中国の開港と並べて考えます。
歴史総合は、4 つの大きな単元でできています。最初の「歴史の扉」では、身近な事柄と歴史のつながりや、資料の扱い方を学びます。続く 3 つの単元が、近現代の大きな変化を表す「近代化」「国際秩序の変化や大衆化」「グローバル化」です。
3 つの単元は、どれも「〜への問い」という学習から始まります。交通と貿易、学校教育、生活様式の変化、食料と人口などの資料を読みます。そして、気になったことや疑問を、自分の問いとして書き表します。
歴史総合は、近現代の日本と世界を合わせて見る、全員が学ぶ科目です。
図解中学の歴史と高 1 の歴史総合
中学の歴史的分野
- 古代から現代までを順にたどる
- 日本の歴史の大きな流れをつかむ
- 世界の歴史は背景として学ぶ
高 1 の歴史総合
- 近代から現代に絞って学ぶ
- 世界とその中の日本を合わせて見る
- 資料から自分の問いを立てる

02
歴史の扉: 「時間を守る」は、いつから?
学校の始業や電車の発車は、分単位で決まっています。学習指導要領の解説は、歴史総合の最初の学習の例として、ある問いを挙げています。「現代の社会では時間厳守を重視するが、それはなぜか、いつ頃からそうなったのだろうか」という問いです。
時刻を知らせた記録は、古代からあります。『日本書紀』には、660 年に中大兄皇子が水時計(漏刻)を初めて造ったとあります。671 年には、天智天皇が新しい台に漏刻を置き、鐘と太鼓で時を告げました。今の暦に直すと、6 月 10 日にあたります。
6 月 10 日の「時の記念日」は、この出来事にちなんだ日です。決まったのは 1920 年でした。東京教育博物館(今の国立科学博物館)の「時」展覧会には、約 22 万人が訪れました。その会期中に時間を守ろうという呼びかけが行われ、6 月 10 日が記念日になりました。当日は 5 万枚のビラがまかれ、正午に東京中の鐘が鳴らされたといいます。
ここから、「なぜ 1920 年ごろに、時間を守ろうと呼びかける必要があったのか」という問いが生まれます。解説は、ヨーロッパの働き方の変化や、明治に来日した外国人の日本人についての記録を、資料の例に挙げています。工場や学校が広がったことと関係があるのではないか、といった仮説を立てて、資料で確かめていきます。
身近な「当たり前」に「いつから? なぜ?」と問うのが、歴史総合の入口です。
図解時を知らせる・守るの歩み
- 1660 年中大兄皇子が漏刻を造る
- 2671 年漏刻を置き、鐘と太鼓で時を告げる
- 31920 年「時」展覧会の会期中に記念日が決まる
- 4今分単位の時間割と時刻表


03
グラフを読む: 食料自給率から、自分の問いを立てる
グローバル化の単元では、人と資本の移動や、食料と人口などの資料を読みます。解説は、食料自給率を示す統計を資料の例に挙げています。ここでは、農林水産省のグラフを読んでみます。
カロリーベースの食料自給率は、国内で食べる食料のカロリーのうち、国産でまかなえる割合です。1965 年度は 73% でしたが、2000 年度には 40% まで下がりました。その後は大きく変わらず、2025 年度は 37% です。農林水産省は、米の消費が減り、畜産物や油脂類の消費が増えたことなどを理由に挙げています。
数字は、数え方によって変わることもあります。2025 年度の豚肉の自給率は 5% です。ところが、輸入したえさで育てた分も国産に数えると、49% になります。グラフを読むときは、何をどう数えた数字かを確かめます。
読み取ったら、問いにします。「なぜ 1965 年度からの 35 年で、食生活が大きく変わったのか」「ほかの国でも同じ変化があったのか」。比べたり、つなげたりする問いは、続く授業で調べるテーマになります。
グラフは、変化の大きい時期と、何を数えた数字かを確かめてから問いにします。
図解食料自給率のグラフから問いを立てる(例)
- 1大きく変わった時期を探す(1965〜2000 年度)
- 2変わらなくなった時期を探す(2000 年代から)
- 3別の資料と重ねる(米が減り、肉や油が増えた)
- 4「なぜ?」「ほかの国は?」の形に直す

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つまずきやすい点: 年号の暗記だけにしない
歴史総合でつまずきやすいのは、出来事と年号を覚えることだけに追われてしまうことです。学習指導要領も、近現代の歴史の変化を大きくつかむことに重点を置き、個別の出来事の理解にとどまらないよう求めています。
コツは、出来事を見るときの見方を決めておくことです。解説は、時期や年代、推移、比較、相互の関連、現在とのつながりを挙げています。「時の記念日」で試します。まず、いつか(1920 年)と、何が変わったか(時間を守る呼びかけ)を確かめます。次に、ほかの国ではどうか(ヨーロッパの働き方)、今とどうつながるか(時間割)を考えます。
高 1 で学ぶ歴史総合は、大学入学共通テストにも出ます。『歴史総合,日本史探究』と『歴史総合,世界史探究』は、どちらも歴史総合の内容を含みます。高 1 の授業のノートが、高 3 の受験勉強の土台になります。
出来事は「いつ・何が変わった・ほかでは・今と」の順に見ると整理できます。

05
高 1 の 1 週間: 授業で読み、家で問いを育てる
歴史総合は標準 2 単位なので、授業は週に 2 回ほどです。どの学年で学ぶかは、高校によって異なります。下の図は、高 1 の 1 週間の例です。
授業で配られた資料は、その日のうちに 1 つだけ見直し、気づいたことを 1 行書き足します。ニュースで見た出来事が年表のどこにつながるかを探すと、近現代の歴史が今の話題と結びついて見えてきます。
授業の資料を家で 1 つ見直すだけでも、問いが育ちます。
図解高 1 の 1 週間(例)
- 月歴史総合の授業グラフを読み、問いを 1 つ書く
- 火中学の教科書授業に出た時代を 10 分見直す
- 水ニュースと年表今日の話題を年表のどこかにつなぐ
- 木歴史総合の授業班で問いを比べ、調べる順を決める
- 金資料の見直し資料の作り手と時期をメモする
- 土・日身近な「いつから?」家や町で、始まりを調べたい物を探す
高校生のうちに試せること
食料自給率のグラフに「なぜ?」を 3 つ書く
農林水産省の発表資料には、1965 年度からの食料自給率のグラフが載っています。下がった時期と横ばいの時期に印をつけ、「なぜ?」で始まる問いを 3 つ書き出しましょう。
農林水産省「令和 7 年度食料自給率について」時の記念日の由来を、原文と合わせて読む
国立天文台暦計算室のページには、『日本書紀』の漏刻の記事の原文が載っています。「始打候時 動鐘鼓」などの文字を手がかりに、671 年に何があったかを確かめましょう。
国立天文台 暦Wiki「時の記念日」家の中の「いつから?」を 1 つ調べる
時計、カレンダー、パン、牛乳など、身の回りの物を 1 つ選びましょう。日本でいつごろ広まったかを百科事典や図書館で調べ、歴史総合のどの単元とつながりそうかを考えてください。
「高 1: 近現代を世界とつなぐ」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 45 件から探せます。
よくある質問
世界史が苦手でも、歴史総合は大丈夫ですか?
大丈夫です。歴史総合は、日本と世界を合わせて見る科目です。中学で学んだ日本の出来事を手がかりに、同じころ世界で何が起きていたかを足していくと、つながりが見えてきます。地名や人名は、地図や年表と一緒に確かめてください。
歴史総合は、大学入学共通テストに出ますか?
出ます。『歴史総合,日本史探究』と『歴史総合,世界史探究』は、どちらも歴史総合の内容を含みます。『地理総合/歴史総合/公共』という科目もあり、3 つのうち 2 つを選んで答えます。どの科目が必要かは、志望校の募集要項で確かめてください。
高 2 で日本史探究を選ぶか迷っています。
日本史探究は、歴史総合の後に選んで学ぶ科目です。原始・古代から現代まで、日本の歴史を資料から深く学びます。選べる科目や学年は高校によって異なるので、先生に相談しながら、志望する学部の入試科目も確かめておくと安心です。

