図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 3
高 3: 結び付く世界と今の課題
高 3 の世界史探究では、世界が一つの市場で結び付き、二つの世界大戦を経て今の地球世界になるまでを学びます。最後は自分でテーマを決めて今の課題を探究し、1 月の大学入学共通テストで、高 1 からの力を試します。

ひとことで言うと
過去の天気図から、明日の天気を考える
天気予報は、これまでの天気図の動きをもとに、明日の空を予想します。高 3 の世界史探究も、歴史の流れを手がかりに、平和や格差、科学技術といった今の世界の課題を考えます。

01
高 3 の世界史探究: 結合・変容から、地球世界の課題へ
世界史探究の後半は、「諸地域の結合・変容」と「地球世界の課題」の 2 つの大項目です。結合・変容では、世界市場の形成と諸地域の結合、帝国主義とナショナリズムの高まり、第二次世界大戦と諸地域の変容を学びます。
解説は、この時代の資料として、公文書や手紙・日記、歴史書、芸術作品や風刺画、写真や映像、統計、年表や地図を挙げています。資料の種類が多い時代なので、絵や風刺画も、描いた人の立場を考えて読むことが大切になります。
地球世界の課題では、国際機構の形成と平和への模索、経済のグローバル化と格差の是正、科学技術の高度化と知識基盤社会を学びます。解説によると、扱うのはおおむね 20 世紀後半から形づくられてきた課題です。最後に、科目のまとめとして、自分で主題を決めて探究します。
高 3 では、世界が結び付いた歴史をたどり、今の課題につなげます。
図解高 3 で学ぶ 2 つの大項目
諸地域の結合・変容
- 世界市場の形成と諸地域の結合
- 帝国主義とナショナリズム
- 第二次世界大戦と諸地域の変容
地球世界の課題
- 国際機構の形成と平和への模索
- 経済のグローバル化と格差の是正
- 科学技術の高度化と知識基盤社会
- 主題を決めて探究する

02
因果と比較で読む: パリの集合住宅は、なぜ変わった?
高 3 でつまずきやすいのが、近現代の出来事が一気に増え、年号の暗記に追われることです。解説は、出来事を時期や推移、類似と差異、原因と結果、現代とのつながりに着目して捉えるよう求めています。覚える前に、「なぜ変わったのか」「ほかの地域ではどうか」と問うのがコツです。
2026 年 1 月の共通テストの第 1 問に、よい例がありました。資料は、19 世紀前半のパリの典型的な集合住宅を、建物を縦に切った断面で描いた図です。問題文のノートは、2 階や 3 階は間取りが広く調度品も豪華で、4 階や 5 階は狭く調度品も少ないと読み取っています。
19 世紀半ば以降、皇帝の主導でパリの大規模な改造が行われると、この住み方は姿を消していきます。1872 年の地区ごとの社会階層の分布からは、別の住み分けが読み取れます。正解は、工業化が進むなかで、富裕層と労働者層の住み分けが「垂直的」から「地域的」に移った、という文でした。
この大問は、続けて江戸・東京の都市の変化も取り上げました。パリと東京を並べると、近代化と都市の変わり方を比べる問いが立ちます。
「なぜ変わった?」「ほかではどう?」と問うと、出来事が因果と比較でつながります。
図解資料から因果を読む(2026 年 第 1 問から)
- 1断面図: 2・3 階は広く豪華、4・5 階は狭い
- 2同じ建物の上下で住み分けていた(垂直的)
- 3パリ改造の後、地区ごとに分かれた(地域的)
- 4背景を考える: 工業化の進展


03
地球世界の課題の探究: 自分でテーマを決める
世界史探究の最後は、自分で主題を決める探究です。解説は、①紛争解決や共生、②経済格差の是正や経済発展、③科学技術の発展や文化の変容の中から主題を決めるとしています。3 つが互いにつながっていることにも、気付くよう求めています。
解説には、主題の例も載っています。①なら「戦争違法化の歴史的経緯と平和に向けた取組」、②なら「福祉国家の成立の歴史的経緯とその課題」です。福祉国家なら、中世ヨーロッパのキリスト教の慈善や、中世イスラームの喜捨の資料を集めます。17 世紀以降のヨーロッパの救貧制度や、19 世紀後半以降の社会保障制度の資料も並べます。地域も時代もまたいで、1 つのテーマを通して読むのです。
進め方は、見通しを立て、今の状況を資料でつかみ、仮説を立ててから、考察・構想して発表や討論をする、という順です。解説は、複数の資料で裏付けを取ることや、論証があいまいな点はそれを明記することを求めています。
探究の主題は、古代から今までをたどれるテーマを選ぶと深まります。
図解探究の進め方(解説から)
- 1主題を決める3 つの中から、理由をはっきりさせて
- 2見通しを立てる何をどこまで明らかにするか
- 3現状をつかむ今の課題を資料で整理する
- 4仮説を立てるこれまでの学習から予想する
- 5考察・構想歴史的な経緯を踏まえて考える
- 6発表・討論よりよい社会を展望する

04
共通テスト「歴史総合,世界史探究」: マンガから税まで、テーマで横断
大学入学共通テストの『歴史総合,世界史探究』は、60 分・100 点です。地理歴史と公民の 6 科目から、最大 2 科目を選んで受けます。問題作成方針は、歴史総合で学んだことと、それを基に世界史探究で学んだことを問うとしています。時代や地域を超えて、特定のテーマについて考える問題も検討するとしています。
2026 年 1 月の本試験は大問 5 つで、答える数は 32 でした。第 1 問(25 点)は歴史総合の授業の場面で、近現代の都市の変容を扱いました。第 2〜5 問のテーマは、法のあり方、歴史に触れるきっかけ、さまざまな「帝国」、税制度と社会の変容です。法の大問には、唐の法、中世ヨーロッパの慣習法、19 世紀末のエチオピア周辺にあったイスラーム法に基づく法廷の記録、古代ローマの法が並びました。
第 3 問では、フランス革命を描いたマンガ『ベルサイユのばら』が資料になりました。バスティーユ襲撃の場面を、アメリカ独立戦争への参戦による財政難や、ロベスピエールらによる反対派の粛清と、年代順に並べる問題です。
第 5 問には、モンゴル帝国のクビライの命令が出ました。上都の商税を取引価格の 30 分の 1 から 60 分の 1 に、大都の商税を 30 分の 1 から 40 分の 1 にする、という内容です。分母が大きくなると税は軽くなるので、どちらも減税です。数字の向きを落ち着いて読むことも、資料を読む力です。
共通テストは、時代や地域をまたぐテーマで、知識と資料を結びつける力を試します。

05
高 3 の 1 週間: テーマで復習をつなぐ
高 3 では、結合・変容と地球世界の課題の授業、探究の発表に加えて、共通テストの演習が増えます。授業の進み方は、高校によって異なります。下の図は、高 3 の 1 週間の例です。
共通テストは、法や帝国、税のように、時代と地域をまたぐテーマで出題されます。復習のときも、「税」「都市」「法」などのテーマを 1 つ決め、古代から現代まで、地域を変えながら例を集めると、横断の問題に慣れていきます。
1 つのテーマで古代から現代までの例を集めると、横断の問題に強くなります。
図解高 3 の 1 週間(例)
- 月世界史探究の授業原因と結果を矢印で 1 枚にまとめる
- 火テーマ別の復習「税」の例を古代から現代まで集める
- 水探究主題の資料を 2 つ集め、作り手を確かめる
- 木世界史探究の授業国際機構の資料を、戦前と戦後で比べる
- 金大問を 1 つテーマ型の大問を解き、根拠に線を引く
- 土・日発表の準備仮説と根拠を、3 枚のスライドにまとめる
高校生のうちに試せること
共通テストの大問を「テーマ」で解く
大学入試センターのサイトで、過去 3 年分の問題を見られます。『歴史総合,世界史探究』から大問を 1 つ選び、どの時代とどの地域が並んでいるかを書き出してから解きましょう。
大学入試センター 過去 3 年分の試験問題探究の主題の候補を 3 つ書く
紛争解決や共生、経済格差の是正や経済発展、科学技術の発展や文化の変容から 1 つずつ、気になる主題を書きましょう。それぞれを「なぜ?」で始まる問いにして、古代から今までの例を 1 つずつ探してください。
風刺画を 1 枚、描き手の立場で読む
教科書や資料集の風刺画を 1 枚選び、誰が、いつ、どの国の誰に向けて描いたかを調べましょう。描かれた人物の大きさや位置にも注目すると、描き手の主張が見えてきます。
「高 3: 結び付く世界と今の課題」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 36 件から探せます。
よくある質問
共通テストを、日本史と世界史の両方で受けられますか?
受けられます。地理歴史と公民の 6 科目から最大 2 科目を選べるので、『歴史総合,日本史探究』と『歴史総合,世界史探究』の組み合わせも選べます。2 科目を受けるときの試験時間は 130 分(うち解答は 120 分)です。必要な科目は、志望校の募集要項で確かめてください。
近現代の授業が終わるのが遅く、心配です。
進み方は高校によって異なります。近現代は高 1 の歴史総合でも学んでいるので、そのノートが土台になります。2026 年の共通テストでも、第 1 問(25 点)は歴史総合の授業を場面にした問題でした。
探究のテーマは、どうやって選べばよいですか?
新聞やニュース、授業で気になった今の課題から選びます。解説は、よい主題の条件を 2 つ挙げています。その課題が人類や地球世界にとってなぜ重要かがはっきりしていることと、古代から今までの歴史的な経緯をたどれることです。

