図 1 情報学の広がり情報学の広がり 5
応用: AI・データサイエンス
写真に写った物を見分ける、話した言葉を文字にする、外国語を訳す。データから規則を見つけて、人の判断や作業を助けるしくみをつくる分野です。

ひとことで言うと
例題をたくさん解いて、解き方のコツをつかむ
数学の問題集をたくさん解くと、初めて見る問題でも解き方の見当がつくようになります。機械学習も、大量の例題(データ)から規則を見つけ、初めて見るデータに答えを出します。ただし、答えを丸暗記しただけでは、新しい問題は解けません。

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機械学習: データから規則を見つける
機械学習は、人がルールを 1 つずつ書く代わりに、データからコンピュータに規則を見つけさせる方法です。迷惑メールの振り分けは、「迷惑」と「普通」に分けた大量のメールから、見分け方を学んでつくられています。
考え方は古く、1959 年には IBM のアーサー・サミュエルが、チェッカーというボードゲームのプログラムを発表しました。対戦をくり返して、つくった本人より強くなるまで学ぶプログラムです。2016 年には、DeepMind の AlphaGo が囲碁の世界トップ棋士、李世乭(イ・セドル)九段に 4 勝 1 敗で勝ちました。
大切なのは、学習に使ったデータだけでなく、初めて見るデータでも正しく答えられるかです。練習問題の答えを丸暗記したような状態を過学習と呼び、これを防ぐ工夫が研究されています。
データサイエンスは、統計と機械学習を使ってデータから意味を引き出す分野です。2017 年には滋賀大学に日本初のデータサイエンス学部ができました。2021 年度からは、数理・データサイエンス・AI の教育プログラムを文部科学省が認定しています。
AI の性能は、どんなデータで学んだかに大きく左右されます。


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画像・音声の認識: 見る・聞くコンピュータ
スマートフォンの顔認証、写真アプリでの人物ごとの整理、話しかけると答える音声アシスタント。どれも、画像や音声を認識する技術を使っています。
コンピュータにとって、写真は画素ごとの明るさを表す数の並びです。そこから線や角、模様、さらに目や耳の形と、段階を追って特徴をとらえます。この方法の源流とされるのが、日本の研究者、福島邦彦さんが 1979 年に発表したネオコグニトロンです。
2012 年、写真に写った物を当てる国際的なコンテスト(ImageNet の大会)で、深層学習を使ったチームが優勝しました。上位 5 つの答えに正解がない割合は 15.3% で、2 位のチームの 26.2% を大きく引き離し、深層学習が広がるきっかけになりました。
音声の認識も同じように進歩し、会議の文字起こしや動画の自動字幕に使われています。医療では、X 線や CT の画像から病気が疑われる所を示し、医師の診断を助ける研究も進んでいます。
AI の答えは確率です。まちがえることがある前提で使います。
図解写真から「ネコ」と答えるまで
- 1画素ごとの明るさを数の並びにする
- 2線や角などの小さな特徴を見つける
- 3目・耳・ひげなどの形を組み合わせる
- 4学んだ動物の特徴と比べる

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自然言語処理: 翻訳と対話
自然言語処理は、日本語や英語のような人の言葉をコンピュータで扱う分野です。翻訳、検索、文章の要約、対話をする AI などに使われています。
日本語は英語と違い、単語の間にすき間がありません。「すもももももももものうち」を「すもも/も/もも/も/もも/の/うち」と区切るように、文を単語に分ける処理が最初の仕事になります。
2016 年 11 月、Google 翻訳はニューラルネットワークを使う翻訳を日本語にも取り入れ、訳の自然さが大きく上がりました。2017 年に Google の研究者らが発表した Transformer という仕組みは、いまの大規模言語モデルの土台になっています。
2022 年 11 月に公開された ChatGPT のような生成 AI は、次に来る言葉を予測することをくり返して文章をつくります。もっともらしいまちがいを書くことがあるため、大切なことは出典で確かめる必要があります。
言葉を数の並びとして扱うことが、自然言語処理の出発点です。
図解対話する AI が答えるまで
- 1区切る文を単語や文字のかたまりに分ける
- 2数にする意味を表す数の並びに置きかえる
- 3予測する次に来る言葉の確率を計算する
- 4くり返す1 語ずつ足して文章にする

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ロボット: 感じて、考えて、動く機械
ロボットは、センサーで周りを感じ、コンピュータで考え、モーターで動く機械です。工場で部品を組み立てる腕のロボットから、床を掃除するロボット、倉庫で棚を運ぶロボットまで、形はさまざまです。
日本はロボット研究の歴史が長い国です。1973 年、早稲田大学の加藤一郎教授のチームが WABOT-1 を完成させました。2 本の足で歩き、手で物をつかみ、簡単な日本語で会話できる人間型ロボットでした。
1997 年には名古屋で、ロボットのサッカー大会「ロボカップ」の最初の世界大会が開かれました。2050 年までに、人のワールドカップの優勝チームに勝てるロボットのチームをつくることを目標にしています。
ロボットをつくるには、機械・電気・情報の知識を組み合わせます。情報学では、カメラの映像から周りの地図をつくる、動きの計画を立てるなど、ロボットの頭脳にあたる部分を主に学びます。
図解ロボットが動くしくみ
- 1感じるカメラやセンサーで周りを測る
- 2考えるどこへどう動くかを計算する
- 3動くモーターで腕や車輪を動かす
- 4確かめる動いた結果を測り直す

高校生のうちに試せること
Teachable Machine で AI を育てる
Google の Teachable Machine では、カメラで写した写真や声を使って、物を見分ける AI をつくれます。コードを書く必要はありません。グーとパーを見分けさせ、まちがえやすい見せ方を探してみましょう。
Teachable Machine生成 AI の答えを出典で確かめる
調べ学習のテーマについて生成 AI に質問し、答えに出てくる年や数字を、公式サイトや本で確かめてみましょう。どんな所でまちがえやすいかが分かります。使える年齢は、サービスの利用規約で確認してください。
ロボカップジュニアに出る
19 歳以下が参加できる、自分でプログラムしたロボットの大会です。サッカー・レスキュー・OnStage(ダンスなどの表現)の競技があり、地区の大会から全国大会、世界大会へとつながっています。
ロボカップジュニア・ジャパンなるほど統計学園で統計の基本を学ぶ
総務省統計局のサイトで、グラフの作り方やデータの特徴のとらえ方を、初級と上級に分けて学べます。データサイエンスの入り口になります。
なるほど統計学園
「応用: AI・データサイエンス」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 419 件から探せます。
機械知能システム B
広島大学(広島県)
先進理工系科学研究科 機械工学プログラム・機械工学・江口 透 准教授
生産システム、生産の計画と管理、生産スケジューリングなどを研究している。
ヒューマンセンタードビジョン研究室
筑波大学(茨城県)
メディア工学・知能情報工学
先端マグネト材料学分野
東北大学(宮城県)
工学研究科知能デバイス材料学専攻・先端マグネト材料学・手束 展規 教授
知能集積回路工学
広島大学(広島県)
先進理工系科学研究科 量子物質科学プログラム・集積回路工学・亀田 卓 教授
無線通信ネットワーク、IoT、6G & Beyond 5Gなどを研究している。
ロボット機構学グループ
大阪大学(大阪府)
基礎工学研究科システム創成専攻・ロボット機構学・多田隈 建二郎 教授

自然言語処理研究室
九州大学(福岡県)
情報学・冨浦 洋一 教授
農業支援ロボット開発プロジェクト
金沢工業大学(石川県)
ロボット
レスキューロボットプロジェクトSAZANKA
名古屋工業大学(愛知県)
ロボット
2020年結成。

神奈川大学ロボットプロジェクト
神奈川大学(神奈川県)
横浜キャンパス・ロボット
2023年創立。

ロボットプロジェクト
金沢工業大学(石川県)
ロボット
Team_Roboconは1996年、Team_RIDは2004年発足。

データサイエンスプロジェクト
金沢工業大学(石川県)
データサイエンス
2024年発足。
ロボットエンジニア育成プロジェクト
金沢工業大学(石川県)
ロボット
よくある質問
数学はどのくらい必要ですか?
機械学習のしくみは、線形代数・微分積分・確率統計で表します。高校の数学 I・A・II・B・III・C の内容が土台になり、大学 1・2 年で続きを学びます。使うだけなら数学を知らなくても試せますが、しくみを理解して改良するには数学が欠かせません。
データサイエンス学部と情報学部の違いは?
データサイエンス学部は、統計とデータの分析を中心に、ビジネスや社会の課題に生かすことに重心を置くところが多くあります。情報学部では、AI に加えて、コンピュータやネットワークのしくみも幅広く学びます。重なる科目も多いので、大学ごとのカリキュラムで確認してください。
生成 AI が使えれば、学ばなくてもよくなりますか?
生成 AI の答えが正しいかを判断し、目的に合わせて使いこなすには、その分野の知識が必要です。AI のしくみを知っていると、得意なことと苦手なことを見分けて使えます。