図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 3
法律家(法曹)
弁護士・裁判官・検察官として、裁判などの場で人の権利を守り、争いを解決する仕事です。司法試験に合格し、約 1 年の司法修習を終えるとなれます。

ひとことで言うと
試合の審判と、両チームの代表
スポーツの試合では、審判が中立の立場でルールを当てはめ、両チームはそれぞれの言い分をぶつけます。刑事裁判でも、裁判官が中立の立場で判断し、検察官と弁護人がそれぞれの立場から主張します。立場の違う 3 者がそろうことで、公正な判断に近づきます。

01
3 つの法律家: 弁護士・裁判官・検察官
法律の専門家として裁判に関わる弁護士・裁判官・検察官は、まとめて「法曹」と呼ばれます。3 つとも、同じ司法試験に合格し、同じ司法修習を受けてから、それぞれの道に進みます。
弁護士は、依頼を受けた人の代理人として、裁判や交渉で権利を守ります。裁判官は、中立の立場で証拠を調べ、法律を当てはめて判決を出します。検察官は、事件を捜査し、裁判にかける(起訴する)かどうかを決め、法廷で犯罪の事実を証明します。
日本弁護士連合会の『弁護士白書 2025 年版』によると、弁護士は 46,243 人(2025 年 3 月末)です。裁判官(簡易裁判所の判事を除く)は 2,753 人、検察官(副検事を除く)は 2,013 人で、法曹の約 9 割を弁護士が占めます。
弁護士のうち女性は 9,407 人で、1990 年の 766 人から約 12 倍に増えました。
同じ試験と修習を経て、立場の違う 3 つの仕事に分かれます。
図解法曹三者の仕事
弁護士
- 依頼した人の代理人になる
- 交渉や裁判で権利を守る
- 刑事事件で弁護人になる
裁判官
- 中立の立場で判断する
- 証拠を調べて事実を決める
- 判決や決定を書く
検察官
- 事件を捜査する
- 起訴するかどうかを決める
- 法廷で犯罪を証明する

02
弁護士の仕事: 暮らしのすぐそばで
弁護士のところには、相続、離婚、交通事故、借金、職場のトラブルなど、暮らしのさまざまな困りごとが持ち込まれます。話を聞いて事実を整理し、法律に照らしてどんな解決の道があるかを説明します。
裁判になる前に、相手との交渉でまとまることも少なくありません。刑事事件では、疑いをかけられた人の弁護人として、警察署で話を聞いたり、法廷で意見を述べたりします。会社の顧問として、契約や経営の相談にのる弁護士もいます。
かつては、近くに弁護士がいない地域がたくさんありました。1993 年には、地方裁判所の支部の管内で弁護士が 0 人か 1 人の「ゼロワン地域」が 74 か所ありました。
日本弁護士連合会は、弁護士の少ない地域に事務所を開く取り組みなどを続けてきました。2025 年 12 月 1 日の時点で弁護士ゼロの地域はなくなり、1 人だけの地域も 1 か所になっています。だれもが弁護士に相談できる社会を目指す取り組みです。
法律の知識で、困っている人に「次の一歩」を示す仕事です。
図解弁護士に届く相談(例)
- 相続遺産の分け方を話し合う
- 家族離婚や子どもの養育費
- 交通事故けがや壊れた物の賠償
- 借金返し方を整理する
- 職場残業代や解雇のトラブル
- 刑事事件疑われた人の弁護人になる

03
裁判官と検察官: 法廷の外の時間が長い
テレビでは法廷の場面が目立ちますが、裁判官の仕事の多くは法廷の外にあります。横浜地方裁判所の裁判官は高校生の質問に答えて、法廷にいる時間より、部屋で文章を書いたり証拠の書類を見たりする時間のほうが長いと話しています。
横浜地方裁判所のほかの裁判官たちによると、この裁判所では、担当する事件は受け付けた順番で決まり、裁判官が選ぶことはありません。定期的に異動があるので、引っ越しが手早くなるそうです。
検察官は、警察などから送られた事件を調べ、証拠を集めて、裁判にかけるかどうかを決めます。法廷では、被告人が罪を犯したことを証拠で証明します。検察官が働く検察庁は、法務省に置かれた機関です。
法廷に立つ前の、地道に調べて書く時間が判断を支えています。


04
若手弁護士の 1 日(例)
ここでは、地方の都市の法律事務所で働く若手弁護士の 1 日の例を紹介します。扱う事件や働き方は、事務所や地域によって大きく異なります。
民事裁判では、裁判所と弁護士の事務所などをインターネットで結ぶウェブ会議も使われています。午後は、依頼した人の話をていねいに聞くところから、事件の解決の道筋を考えます。
夕方からは、裁判所に出す書面(準備書面)を書きます。主張を筋道立てて文章にする力は、大学のゼミやレポートで鍛えられます。
話を聞く力と、文章で主張する力の両方が求められます。
図解若手弁護士の 1 日(例)
- 9:00予定の確認その日の期日や相談を確かめる
- 10:00ウェブ会議で期日民事裁判の手続きに参加する
- 12:00昼休み
- 13:00法律相談相続の悩みを聞き、道筋を説明する
- 15:00警察署で接見疑いをかけられた人の話を聞く
- 17:00書面を書く裁判所に出す準備書面をまとめる

05
なるまで: 司法試験と司法修習
法律家になるには、まず司法試験に合格します。受けるには、法科大学院を修了するか、だれでも受けられる司法試験予備試験に合格する必要があります。法科大学院の在学中でも、決まった条件を満たせば受けられます。
2026 年の試験は 7 月に 4 日間行われました。短答式は憲法・民法・刑法の 3 科目で、論文式は公法系・民事系・刑事系に、倒産法や労働法、知的財産法などから選ぶ 1 科目が加わります。2025 年は 3,837 人が受験し、1,581 人が合格しました。
合格すると、約 1 年の司法修習を受けます。司法研修所で学んだあと、全国の実務修習地で、民事裁判・刑事裁判・検察・弁護の 4 分野を 2 か月ずつ、実際の事件に触れながら学びます。最後の試験(司法修習生考試)に合格すると、判事補(裁判官)・検事・弁護士になる資格を得ます。
2024 年に修習を終えた 1,826 人のうち、裁判官になったのは 90 人、検察官は 82 人、弁護士は 1,455 人でした。人の話にじっくり耳を傾けられる人、筋道を立てて考え、文章で伝えるのが好きな人に向いています。
司法試験のあとも、約 1 年かけて実務を学んでから法律家になります。
図解法律家への道
- 1法学を学ぶ法学部・法科大学院など
- 2受験資格を得る法科大学院の修了か予備試験の合格
- 3司法試験短答式と論文式(2026 年は 7 月)
- 4司法修習約 1 年、裁判所や事務所で学ぶ
- 5法曹になる弁護士登録や、裁判官・検察官に任官
高校生のうちに試せること
司法試験の問題をのぞいてみる
法務省のサイトでは、司法試験の問題が公開されています。2026 年の論文式の問題を 1 つ開き、どんな出来事について何を答えるよう求めているかを読んでみましょう。全部分からなくても、法律家が向き合う問いの形が見えてきます。
令和 8 年司法試験問題(法務省)法務史料展示室を見学する
東京・霞が関の法務省旧本館(赤れんが棟)にある展示室です。平日の午前 10 時から午後 6 時まで無料で公開していて、10 人以上で行くときは予約が必要です。
法務史料展示室の利用案内(法務省)ジュニア・ロースクールに参加する
各地の弁護士会では、夏休みなどに中学生・高校生向けの「ジュニア・ロースクール」を開いています。模擬裁判などを通して、弁護士から直接法律を学べます。住んでいる地域の弁護士会のサイトで探してみましょう。
「法律家(法曹)」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 26 件から探せます。
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よくある質問
司法試験は、何回でも受けられますか?
受けられる期間に限りがあります。法科大学院の修了か予備試験の合格で受験資格を得た場合、その後の最初の 4 月 1 日から 5 年間です。この期間の中なら、毎年受けられます。
法律家は、毎日法廷に立っているのですか?
いいえ。裁判官も弁護士も、書面を読んだり書いたりする時間が長い仕事です。弁護士は、裁判にならずに交渉でまとまる事件や、相談だけで終わる事件も多く扱います。
弁護士の仕事は、AI に置きかわりませんか?
判例を探したり書類を整理したりする作業は、コンピュータが手伝う場面が増えています。一方で、依頼した人の気持ちをくみ取り、事情に合わせて解決の道を考え、相手を説得するのは人が受け持つ仕事です。

