図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 3
教育・図書館・博物館
国語や英語の先生として作品の面白さを教室で伝えたり、司書や学芸員として本や資料を守り、人に届けたりする仕事です。大学で教員免許や司書・学芸員の資格を取って目指します。

ひとことで言うと
作品と人を出会わせる案内人
どんなに面白い本も、手に取られなければ読まれません。先生は授業で、司書は図書館のカウンターで、学芸員は展示室で、作品と人が出会うきっかけをつくります。3 つとも、作品の世界の入口に立つ案内人の仕事です。

01
3 つの仕事: 教室・図書館・博物館で作品を手渡す
中学校や高校の国語の先生は、小説や詩、古文・漢文の授業を通して、言葉の力と作品の面白さを生徒に伝えます。英語の先生も、英語で書かれた物語や詩を教材に使います。授業のほかに、担任や部活動の顧問も受け持ちます。
図書館の司書は、本や資料を選んで集め、分類して並べ、利用する人が必要な情報にたどり着けるように手伝います。調べものの相談に答えるレファレンスや、子どもへの読み聞かせも大事な仕事です。
博物館の学芸員は、資料を集めて保存し、調べて、展示や講座で伝えます。作家の原稿や手紙、愛用品を集めて展示する文学館でも、学芸員が働いています。
文部科学省の調査では、2024 年 10 月時点で全国に図書館が 3,400 館、博物館が 1,346 館あり、どちらも過去最多です。図書館で働く司書は 2 万 2,405 人、博物館と博物館に似た施設の学芸員はあわせて 9,442 人です。
どの仕事も、作品の面白さを知っている人だからこそ伝えられます。
図解作品と人をつなぐ仕事
- 国語の先生小説や古典の面白さを授業で伝える
- 英語の先生英語の物語や詩を教材に読む
- 図書館司書本を選び、調べものを手伝う
- 司書教諭学校図書館で読書と学びを支える
- 学芸員原稿や資料を集め、展示で伝える


02
国語・英語の先生: 作品の面白さを授業にする
国語の授業は、教科書の作品をただ読むだけではありません。生徒が自分で問いを立て、話し合い、考えを書けるように、先生は 1 時間ごとの流れを組み立てます。
たとえば、高校 1 年の「言語文化」の教科書の多くに載っている、芥川龍之介の『羅生門』があります。「下人はなぜ最後にあの行動を選んだのか」を本文から考える授業なら、生徒ごとにちがう読みが出てきます。
大学で学ぶ文学理論や作品研究は、こうした問いをつくる力になります。作品が書かれた時代の背景や、ほかの作品との比べ方を知っていると、生徒の意外な読みにも根拠をもって応えられます。
公立学校の先生になるには、教員免許を取ったうえで、都道府県などの採用試験に合格する必要があります。2024 年に行われた試験(2025 年度採用)の倍率は、中学校が 3.6 倍、高校が 3.8 倍で、どちらも過去最低でした。採用される人の数は前の年より増えています。
作品を深く読んだ経験が、生徒の問いを引き出す授業につながります。
図解授業づくりの流れ(例)
- 1作品を何度も読み、つまずきそうな言葉を調べる
- 2「下人の心はどこで変わったか」という問いを決める
- 3班で話し合い、本文から根拠を探す時間をとる
- 4考えを 200 字にまとめて発表し合う

03
司書と学芸員: 本と資料を守り、届ける
全国の図書館では、2023 年度に約 5 億 9,390 万冊の本が貸し出されました。国民 1 人あたり 4.8 冊です。司書は、どの本を買うか、どう並べれば手に取ってもらえるかを考え、展示や読書会で本との出会いをつくります。
学校にも図書館があります。学級が 12 以上ある学校には、学校図書館を受け持つ先生である司書教諭を置くことが法律で決められています。司書教諭には、教員免許を持つ先生が講習(5 科目 10 単位)を受けてなります。学校図書館の仕事を専門にする学校司書を置くよう努めることも、法律に書かれています。
学芸員は、展示を考えるだけでなく、資料を傷めないように温度や湿度、光を管理し、資料の価値を調べて論文にまとめます。文学館では、原稿に残る書き直しの跡から、作家が作品を仕上げるまでの考えの動きを読み解くこともあります。
資料を守ることと、人に届けることの両方が専門職の仕事です。


04
高校の国語の先生の 1 日(例)
ここでは、高校で国語を教える先生の 1 日の例を紹介します。1 日に数時間の授業を受け持ち、そのあいだに授業の準備や生徒の相談に応じます。
放課後は、部活動の指導や小テストの採点、次の授業の準備にあてます。文芸部の顧問として、部誌づくりやコンクールへの応募を手伝う先生もいます。
働き方は学校によって異なります。文部科学省は、先生の仕事を見直して働きやすくする取り組みを、各地の教育委員会と進めています。
授業の外でも、生徒と言葉や作品をめぐって関わる時間があります。
図解高校の国語の先生の 1 日(例)
- 8:10職員の打ち合わせ今日の予定や生徒の様子を共有
- 8:40朝のホームルーム担任のクラスで出欠と連絡
- 9:00授業「言語文化」1 年生と古文を声に出して読む
- 11:00授業「文学国語」2 年生と小説の結末を話し合う
- 13:30授業の準備次の単元のプリントをつくる
- 15:40文芸部の顧問部誌の原稿を読み、感想を伝える
- 17:00採点と記録小テストを採点し、記録する

05
資格の取り方とその先
国語や英語の教員免許は、大学で教職課程の科目を取り、教育実習に行って取ります。中学校の免許には、7 日間以上の介護等体験も必要です。文学部の多くの学科で国語や英語の免許を取れますが、取れる教科は大学や学科によって異なります。
司書の資格は、大学で「図書館に関する科目」を 13 科目 24 単位以上取って卒業すると得られます。学芸員の資格は、「博物館に関する科目」9 科目 19 単位を取って卒業すると得られます。どちらも専攻の科目に加えて取るので、1 年生のうちから計画を立てておくと安心です。
ただし、資格を取っただけで働けるわけではありません。公立図書館の司書は、自治体の採用試験を受けて図書館に配属され、初めて司書として働きます。学芸員は博物館ごとに募集され、専門分野の知識が求められるため、大学院で研究を深めてから応募する人もいます。
経験を積むと、先生は学年主任や教頭・校長に、司書は図書館長に進む道があります。学芸員は、展覧会全体を企画してまとめる立場になります。
資格の科目は早めに計画すると、文学の勉強と両立しやすくなります。
図解3 つの資格の取り方
教員免許
- 教職課程の科目を取る
- 教育実習に行く
- 採用試験に合格して先生に
司書
- 図書館の科目 13 科目以上
- 卒業すると資格が得られる
- 自治体などの採用試験を受ける
学芸員
- 博物館の科目 9 科目 19 単位
- 博物館実習を含む
- 博物館ごとの募集に応募する
高校生のうちに試せること
司書の調べ方をのぞいてみる
国立国会図書館のレファレンス協同データベースでは、全国の図書館に寄せられた質問と、司書がどう調べて答えたかの記録を読めます。気になる言葉で検索してみましょう。
レファレンス協同データベース(国立国会図書館)ビブリオバトルを開く
お気に入りの本を 1 人 5 分で紹介し、最後に「いちばん読みたくなった本」に全員で投票する書評ゲームです。クラスや図書委員会で開くと、本の魅力を伝える難しさと楽しさが分かります。
ビブリオバトル公式ルール図書館の展示コーナーを観察する
近くの公共図書館や学校図書館の展示コーナーで、本の選び方や並べ方、説明の文を観察しましょう。誰に何を届けたいのかを考えると、司書の工夫が見えてきます。
10 分の授業をしてみる
好きな詩や短い小説を 1 つ選び、友だちに 10 分で面白さを伝える授業をしてみましょう。問いを 1 つ用意して話し合うと、教える側の楽しさが分かります。
「教育・図書館・博物館」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 105 件から探せます。

読み聞かせ隊
長崎大学(長崎県)
読み聞かせ
学教職協働「ピア・カフェ」プロジェクト
上智大学(東京都)
ピアサポート

国立歴史民俗博物館
千葉県
高校生向け大学生向け研究者向け
研究機関
日本の歴史・考古・民俗を研究し展示する、大学共同利用の博物館。
専修大学図書館ボランティアCompass
専修大学(東京都)
ボランティア

独立行政法人国立科学博物館
東京都
高校生向け大学生向け研究者向け
研究機関
自然史と科学技術史の研究・標本収集・展示を行う国立の博物館。
教師としての実践力向上プログラム
金沢工業大学(石川県)
教職
よくある質問
文学部でも、国語や英語の先生になれますか?
なれます。多くの文学部では、日本文学の学科で国語の、英米文学の学科で英語の、中学校・高校の免許を取れる課程を開いています。取れる教科は学科によって異なるので、志望校のカリキュラムで確かめてください。
司書と学芸員の資格は、両方取れますか?
両方の課程を開いている大学では、同時に取る人もいます。どちらも専攻の科目に加えて取るので、時間割に余裕をもって計画することが大切です。
本が好きなら、司書に向いていますか?
本が好きなことは大きな力になります。そのうえで司書には、利用する人の話を聞き、データベースなども使って答えを探す力が求められます。人と本をつなぐのが好きな人に向いています。