図 4 学ぶために必要な科目・学問学ぶために必要な科目 3
情報
ロボットを動かすプログラム、センサーで測った値の処理、作る前に試すシミュレーション。いまの機械づくりには、高校の情報 I・II で学ぶプログラミングとモデル化が欠かせません。

ひとことで言うと
からくり人形に、目と頭を付ける
からくり人形は、歯車やカムで決められた動きをくり返します。そこにセンサーという目と、マイコンとプログラムという頭を付けると、周りに合わせて動きを変えられます。機械工学で情報を学ぶのは、機械に「測って、考えて、動く」力を持たせるためです。

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メカトロニクス: 機械と電子と情報を組み合わせる
「メカトロニクス」は、機械(メカニクス)と電子(エレクトロニクス)を合わせた言葉です。北九州市の安川電機が 1969 年に商標として出願し、1972 年に登録されました。日本で生まれた言葉が、いまは機械工学の分野の名前として広く使われています。
いまの機械の多くは、体にあたる機構、目にあたるセンサー、頭にあたるマイコンとプログラム、手足にあたるモーターでできています。日本学術会議の参照基準も、情報科学の知識を取り入れて新しい機械技術が生まれつつあることを、大切な視点として挙げています。
高校の情報 I では、全員がプログラミングと、モデル化・シミュレーションを学びます。機械系の学科でも、多くの大学で 1 年からプログラミングの授業があります。高校で書いた短いプログラムが、そのまま大学の学びの入口になります。
機構・センサー・マイコン・プログラムがそろって、いまの機械になります。
図解機械の中の 5 つの層
- 使う人の操作ボタンや画面で目標を伝える
- プログラム測った値から次の動きを決める
- マイコンプログラムを動かす小さなコンピュータ
- センサーとモーター周りを測り、体を動かす
- 機構と部品歯車・リンク・車輪などの体

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センサーとマイコン: 測って、動かす
センサーは、温度・明るさ・加速度・距離などを、コンピュータが扱える信号に変える部品です。文部科学省の「情報 I」の研修用教材は、身近な例として、スマートフォンの加速度センサーや自動車の超音波センサーを挙げています。
中学校の技術・家庭科では、計測・制御のプログラミングを学びます。情報 I の研修用教材は、イギリスで教育用に作られた小さなコンピュータ micro:bit を例にしています。加速度センサーの値に合わせて、LED の表示を変えるプログラムです。センサーの値を読み、条件で分けて、LED やモーターを動かす。これが計測と制御の基本の形です。
読み取る速さも大切です。秒速 10 m(時速 36 km)で走るロボットが、0.1 秒ごとにセンサーを読むとします。次に読むまでに 1 m 進むので、障害物に気づくのが最大で 1 m 遅れます。1 秒に 100 回読めば 10 cm です。速い機械ほど、速く測って速く判断するプログラムが要ります。
「測る・判断する・動かす」をプログラムで書くのが、制御の第一歩です。
図解センサーを読む間に進む距離
- 10.1 秒ごとに読む: 10 × 0.1 = 1 m 進む
- 20.01 秒ごとに読む: 10 × 0.01 = 0.1 m 進む
- 3判断や計算にかかる時間も、同じように距離になる


03
シミュレーション: 作る前にコンピュータで試す
情報 I では、現象を式や規則で表すモデル化と、それをコンピュータで動かすシミュレーションを学びます。機械工学では、部品の強さや空気の流れを、作る前にシミュレーションで確かめます。試作の回数を減らし、時間と費用を節約できます。
2020 年、理化学研究所と神戸大学の坪倉誠さんのチームが、スーパーコンピュータ「富岳」を使う研究を始めました。せきや会話で出る飛沫が、電車の中などの室内でどう広がるかを計算し、対策を考える研究です。計算には、空気の流れと熱を求めるソフトウェアを使います。
流れの計算では、空間を細かな箱に分け、箱ごとに空気の速さや温度を求めます。縦 4 m・横 4 m・高さ 2.5 m の部屋を、1 cm 角の箱に分けてみます。箱の数は 400 × 400 × 250 = 4,000 万個です。これを短い時間ごとに何度もくり返すので、速いコンピュータと、むだのないプログラムが必要になります。
シミュレーションを使うと、作る前に問題を見つけて直せます。
図解シミュレーションのくり返し
- 1モデルを作る形や条件を式と数値で表す
- 2計算するプログラムで時間を進める
- 3実験と比べる風洞や試験の結果と照らし合わせる
- 4直すずれの原因を探してモデルを改良

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ロボットのプログラム: 線をたどって走る
ロボットの競技の基本の課題に、床の黒い線をたどって走るライントレースがあります。床に向けた 2 つの光のセンサーで、線の上か外かを見分けます。左のセンサーが線にかかったら左へ、右なら右へ曲がる。この分岐をくり返すだけで、ロボットは線に沿って進みます。
これは、情報 I で学ぶ順次・分岐・反復の組み合わせです。ただし、曲がり方が強すぎると左右にふらつき、弱すぎるとカーブで線から外れます。ずれの大きさに合わせて曲がり方を変えると、なめらかに走れます。ここから先が、大学の制御工学で学ぶ内容です。
ロボカップジュニアのレスキューリーグも、ライントレースが基本の競技です。公式サイトは「初心者でも始めやすい」「高価な部品がなくても活躍できる」と紹介しています。大学に入ると、ロボコンのサークルやロボットの研究室で、こうした経験をさらに深められます。
分岐とくり返しを組み合わせるだけで、ロボットは周りに合わせて動けます。

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苦手でも大丈夫: どこから始めるか
プログラミングが初めてでも、心配はいりません。機械系の学科でも、1 年の授業で基本から学ぶ大学が多くあります。高校のうちは、情報 I の教科書のプログラミングの章を、自分の手で打ち込んで動かすことから始めてください。
まずは、変数・条件分岐・くり返しの 3 つを使えるようにします。次に、表計算ソフトや Python で、簡単なシミュレーションを作ってみます。センサーとマイコンに触れたいなら、ブラウザで動く MakeCode for micro:bit が手軽です。本体がなくても、画面の中で試せます。
大学では、プログラミングに加えて、数値計算や制御の授業で、数学と物理の式をプログラムに直す練習をします。このサイトの高校の「情報」のページと、大学の「情報学」のページもあわせて読むと、学びのつながりが見えてきます。
変数・分岐・くり返しの 3 つから始めれば、ロボットのプログラムまで届きます。
図解学び始めのおすすめの順番
- 1情報 I の基本変数・分岐・くり返し
- 2シミュレーション表計算や Python で現象を再現
- 3センサーとマイコン測った値で LED やモーターを動かす
- 4大学で数値計算と制御のプログラム
高校生のうちに試せること
MakeCode で micro:bit を動かす
ブラウザで使える無料の MakeCode for micro:bit では、画面の中の micro:bit をブロックやプログラムで動かせます。揺らしたときに反応するブロックを使い、加速度センサーで表示が変わるプログラムを作りましょう。本体がなくても試せます。
MakeCode for micro:bit文部科学省の教材で計測・制御を読む
文部科学省は、高校の先生向けに「情報 I」の研修用教材を公開しています。第 3 章には、センサーとアクチュエータのしくみや、micro:bit を Python で動かす例が載っています。教科書の先を知りたいときに読んでみましょう。
文部科学省「情報 I」教員研修用教材ロボカップジュニアに挑戦する
自律型のロボットで競うロボカップジュニアには、サッカー・レスキュー・OnStage の 3 つの競技があり、誰でも参加できます。レスキューリーグはライントレースが基本で、初心者でも始めやすいと紹介されています。
ロボカップジュニア・ジャパン
「情報」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 218 件から探せます。
ロボットエンジニア育成プロジェクト
金沢工業大学(石川県)
ロボット
レスキューロボットプロジェクトSAZANKA
名古屋工業大学(愛知県)
ロボット
2020年結成。
農業支援ロボット開発プロジェクト
金沢工業大学(石川県)
ロボット

ロボットプロジェクト
金沢工業大学(石川県)
ロボット
Team_Roboconは1996年、Team_RIDは2004年発足。

神奈川大学ロボットプロジェクト
神奈川大学(神奈川県)
横浜キャンパス・ロボット
2023年創立。
ロボコンプロジェクト
長岡技術科学大学(新潟県)
よくある質問
情報 I しか学んでいなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。情報 II は選んで学ぶ科目なので、学んでいない人も多くいます。情報 I で、変数・分岐・くり返しを使って短いプログラムを書いた経験があれば、大学のプログラミングの授業の十分な出発点になります。
機械工学科と情報学科では、プログラミングの学び方が違いますか?
情報学科では、プログラムそのものの作り方や、速く解く手順(アルゴリズム)を深く学びます。機械工学科では、ロボットの制御や、強さ・流れのシミュレーションなど、物を動かしたり確かめたりする道具として使うことが中心です。




