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図 2 6 年間の流れ(医学教育モデル・コア・カリキュラム)6 年間の流れ 2

2〜3 年: からだと病気を学ぶ

解剖学・生理学・生化学でからだの正常なしくみを、病理学・微生物学・薬理学で病気と薬のしくみを学ぶ 2 年間です。献体による人体解剖実習を通して、医学を学ぶ責任と感謝の気持ちも育てます。

明るい実習室で顕微鏡をのぞく医学生たちと、人体の上半身の模型を囲んで臓器の位置を確かめ合う学生たち

ひとことで言うと

正しい動きを知ってから、故障を直す

自転車を修理するには、まずブレーキやギアが正しく動くしくみを知る必要があります。医学も同じです。からだが正常に働くしくみを先に学び、そのあとで病気という「故障」の原因と、薬などの直し方を学びます。

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基礎医学: 正常なからだから病気へ

2〜3 年の中心は基礎医学です。多くの大学では、まず解剖学・生理学・生化学で、からだの形・はたらき・分子のしくみを学びます。そのあと病理学・微生物学・免疫学・薬理学に進み、病気が起きるしくみと薬の効き方を学びます。

島根大学の 2025 年度の 3 年の科目一覧では、薬理学(基礎)に 68 時間、病理学に 42 時間が当てられています。ウイルス学や微生物学の実習、法医学、環境保健医学など、社会医学の科目も並びます。少人数で課題に取り組む「医学チュートリアル」も、3 年から 4 年にかけて続きます。

この時期の学びは、4 年の共用試験 CBT に直結します。試験を行う機構の出題基準によると、CBT は主に基礎医学と社会医学の目標を評価します。医師国家試験は主に社会医学と臨床医学を評価し、2 つの試験で役割を分け合っています。

2〜3 年の基礎医学は、4 年の CBT と臨床医学の土台になります。

図解からだから病気、薬へ(学ぶ順の例)

  1. 1解剖学からだの形と位置関係
  2. 2生理学心臓や神経のはたらき
  3. 3生化学からだの中の化学反応
  4. 4病理学病気で組織がどう変わるか
  5. 5薬理学薬がどこにどう効くか
指先でつまんだスライドガラスに、薄く切って紫色に染めた切片が 2 つのっている様子
染色した切片をのせたスライドガラス。組織学や病理学の実習では、こうした標本を顕微鏡で観察し、正常な組織と病気の組織の違いを確かめます。写真: Waughd(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

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人体解剖実習: 献体への感謝とともに学ぶ

解剖学の実習では、亡くなったあとに自分のからだを医学の教育に役立ててほしいと、生前に意思を示した方々のご遺体から学びます。これを献体といいます。1983 年に制定された献体法は、献体の意思は「尊重されなければならない」と定めています。

岡山大学の 2022 年の発表によると、医学科の解剖実習は 2 年の 9 月下旬から 12 月上旬に行われました。その前の 1 年間に、からだの構造を学ぶ解剖(系統解剖)のために、105 名の方が献体されています。

実習は、教科書の図をなぞるだけの時間ではありません。命を預かる仕事に就く重みを知る時間でもあります。多くの大学では毎年、献体された方々を慰霊する式が開かれます。広島大学の 2025 年度の予定では、2 年生が慰霊祭に全員出席し、3 年生は御遺骨の返還式に臨みます。

岡山大学の慰霊祭では、学生の代表が感謝のことばを述べます。学ばせていただいたことへの感謝を言葉にすることも、この実習の大切な一部です。

図解人体解剖実習の流れ(例)

  1. 1事前に学ぶ教科書と模型で構造を予習する
  2. 2実習に臨む敬意をもって構造を確かめる
  3. 3記録するスケッチと記録で振り返る
  4. 4慰霊祭献体された方々に感謝を伝える
  5. 5御遺骨の返還実習のあと、ご遺族のもとへ
胸とおなかの中が見えるように作られた、人体の上半身のプラスチック模型
解剖学の学習に使われる人体模型の例。教科書の図だけではつかみにくい臓器の前後や上下の位置関係を、立体で確かめられます。写真: RWhitwam(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

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研究室配属: 研究者の仕事を体験する

基礎医学の研究室に入って、研究を体験する授業を置く大学があります。島根大学の 2025 年度の 3 年の科目一覧には、「研究室配属」が 150 時間の科目として載っています。広島大学では「医学研究実習」の発表会と表彰式が開かれ、2025 年度は 4 年の 7 月に予定されています。

研究室では、教員や大学院生と一緒に問いを立て、実験の計画を考えます。データを取り、結果から何が言えるかを整理して発表します。授業で学んだ知識が、まだ答えの出ていない問いにつながる体験です。

病気のしくみには、まだ分かっていないことが多くあります。分からないことを自分で確かめる経験は、臨床医になっても、研究者になっても生きてきます。

図解研究の進め方(例)

  1. 1問いを立てるなぜ起きるのかを言葉にする
  2. 2計画する比べる条件と方法を決める
  3. 3実験する細胞や組織でデータを取る
  4. 4考える結果から言えることを整理する
  5. 5発表する質問を受けて次の問いへ

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2〜3 年の 1 週間: 講義と実習が続く毎日

下の図は、2 年生の 1 週間の例です。講義に加えて、解剖学や生理学の実習が週に何度も入り、教養が中心だった 1 年から生活が大きく変わります。実際の科目や曜日は、大学によって異なります。

英語で医学を学ぶ授業も増えます。島根大学の 3 年には、「医学英語Ⅱ」と「英語論文読解演習」が置かれています。新しい治療法の多くは英語の論文で発表されるので、早くから慣れておくと強みになります。

解剖実習が続く時期は、実習とその日の復習で一日が終わることもあります。部活と両立するには、試験や実習の山場がいつ来るかを先輩に聞き、練習の量を前もって調整しておくと計画を立てやすくなります。

図解2 年生の 1 週間(例)

  1. 月解剖学講義のあと実習室で構造を確かめる
  2. 火生理学心電図や筋肉の反応を測る実習
  3. 水生化学・組織学顕微鏡で組織の標本を観察する
  4. 木解剖学班で実習を進めて記録する
  5. 金医学英語英語の教科書を読んでまとめる
  6. 土・日部活・復習図を描きながら名前を覚える

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つまずきやすい点と乗り越え方

2〜3 年でつまずきやすいのは、覚える量の多さです。骨や筋肉、血管、神経の名前に加えて、病気や薬の名前が次々に出てきます。名前だけを覚えようとすると、すぐに忘れてしまいます。

乗り越えるこつは、つながりで覚えることです。生理学で学んだ心臓のはたらきは、病理学の心臓の病気や、薬理学の薬の効き方につながっています。白い紙に図を描き、友人に口で説明してみると、分かっていない所がはっきりします。

進級の試験が続く時期でもあります。一人で抱えず、同じ班の仲間と教え合うことが、4 年の CBT に向けた力にもなります。

クイズ基礎医学の学びクイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1献体法で「尊重されなければならない」と定められているのは?

  2. Q2共用試験 CBT が主に評価するのは、どの領域の目標?

  3. Q3島根大学の 2025 年度の 3 年で、「研究室配属」に当てられた時間は?

0 / 3 問に回答

高校生のうちに試せること

  • からだの部品を 3D で見る

    ライフサイエンス統合データベースセンターの「BodyParts3D/Anatomography」では、心臓などの立体モデルを部位ごとに表示し、向きを変えて見られます。心臓の壁や血管がどう重なっているかを、いろいろな向きから確かめましょう。

    BodyParts3D/Anatomography
  • 運動の前後で脈を数える

    安静時と、その場で 1 分間足踏みをしたあとの脈拍を、15 秒数えて 4 倍にして比べましょう。何分で元に戻るかを記録すると、生理学で学ぶ心臓と血管のはたらきを体で感じられます。

  • 顕微鏡で自分の細胞を見る

    先生に相談して学校の顕微鏡を借り、ほおの内側を綿棒で軽くこすって染色し、観察しましょう。核や細胞の形をスケッチすると、組織学の実習で行う観察の練習になります。

  • 献体法の条文を読む

    e-Gov 法令検索で「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」を開くと、短い条文で献体の決まりが書かれています。どんな思いを守るための法律なのかを、自分の言葉でまとめましょう。

    献体法(e-Gov 法令検索)

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よくある質問

解剖実習が不安です。どんな気持ちで臨めばよいですか?

不安を感じる人は少なくありません。実習の前には教科書や模型で予習し、献体された方々への敬意をもって臨みます。不安なときは一人で抱えず、教員や同じ班の仲間に話してみてください。

2〜3 年から研究に関わることはできますか?

研究室配属のように、研究を体験する授業を置く大学があります。島根大学では、2025 年度の 3 年に 150 時間の研究室配属があります。時期や長さは大学によって異なるので、志望校のカリキュラムで確かめてください。

2 年と 3 年で学ぶ内容は決まっていますか?

解剖学・生理学・生化学を先に、病理学・薬理学などをあとに学ぶ大学が多いですが、時期や科目名は大学によって異なります。岡山大学のように、解剖実習を 2 年の秋に行う大学もあります。