図 2 6 年間の流れ(医学教育モデル・コア・カリキュラム)6 年間の流れ 4
5〜6 年: 病院で学ぶ
大学病院や地域の病院で、診療チームの一員として患者を受け持つ診療参加型臨床実習が中心の 2 年間です。臨床実習後 OSCE やマッチング、医師国家試験を経て、医師としての第一歩を踏み出します。

ひとことで言うと
見習いから、少しずつ任される
飲食店のアルバイトでも、最初は先輩の横で仕事を覚え、慣れるにつれてレジや調理を任されます。臨床実習も同じです。指導医のもとで小さな役割から始め、できることが増えるほど、任される仕事が広がります。

01
診療参加型臨床実習: 診療チームの一員になる
5〜6 年の中心は、病院での臨床実習です。コア・カリキュラムは、医学生が指導医や研修医、看護師などの診療チームに加わり、一定の役割と責任を担う「診療参加型」を基本としています。2023 年 4 月からは、共用試験に合格した医学生が、医師の指導監督のもとで医業を行えることが医師法で定められました。
コア・カリキュラムは、医学生の役割の例をいくつも挙げています。外来で患者さんの話を先に聞いておく予診や、受け持ち患者の病気について根拠となる知見を調べることです。検査に付き添って、患者さんの不安を和らげる役割もあります。そのうえで、医学生が担える役割は、指導医が思っているより大きいとも述べています。
入院患者を受け持つと、毎朝その患者さんを診察し、指導医に報告して、診療録の形で記録を書きます。記録は指導医に読んでもらい、署名を受けます。下の図は、その 1 日の例です。
図解臨床実習の 1 日(例)
- 8:00受け持ち患者を診察夜の間の変化を記録で確かめる
- 9:00指導医に報告状態と検査の結果を口頭で伝える
- 10:00回診チームで患者さんを回る
- 13:00検査や手技採血の見学や検査への付き添い
- 15:00カンファレンス受け持ち患者を発表して話し合う
- 17:00記録と自習記録に指導医の署名を受ける

02
診療科を回る: 3 週間以上ずつ腰をすえて
臨床実習では、いくつもの診療科を順に回ります。コア・カリキュラムは、6 つの診療科で、原則として 1 科あたり連続 3 週間以上の配属を求めています。内科・外科・小児科・産婦人科・精神科・総合診療科です。救急科も、原則 3 週間以上です。
1 つの診療科に長くいるのは、同じ指導医から続けて評価を受け、できることに応じて役割を広げていくためです。4 週間以上続けて学ぶ診療科を、1 つ以上確保することも大切だとしています。大学病院だけでなく、学外の医療機関で学ぶことも勧められています。
救急科では、どの診療科に進んでも必要になる、急いで対応すべき患者さんの見分け方や初期対応を学びます。専門に分かれる前に、医療の全体を見わたせるのが、この時期の実習です。
図解臨床実習で回る主な診療科(例)
- 内科各専門科を含む。連続 3 週以上
- 外科各専門科を含む。連続 3 週以上
- 小児科・産婦人科子どもと妊娠・出産の医療
- 精神科こころの病気の診療
- 総合診療科臓器を問わず全身をみる
- 救急科原則 3 週間以上


03
6 年の夏から秋: 臨床実習後 OSCE とマッチング
臨床実習を終えると、6 年で臨床実習後 OSCE(Post-CC OSCE)を受けます。臨床研修を始めるのにふさわしい力が身についたかを確かめる試験です。機構の評価項目には、患者さんから聞いた話と診察の結果をまとめ、最も考えられる病気とその根拠を報告することも含まれています。
並行して、卒業後に臨床研修を受ける病院を決めるマッチングが進みます。2026 年度の日程は、参加の登録が 6 月 4 日から 7 月 30 日、希望の順位の登録が 9 月 10 日から 10 月 8 日です。学生は病院の採用試験を受け、その中から希望の順位を決めます。組み合わせの結果は 10 月 22 日に発表されます。
希望の順位は、学生と病院の双方が登録します。学生は、選考を受けた病院の中から、本当に研修してよいと思うプログラムだけを登録するよう求められています。
図解6 年生の 1 年(例)
- 1臨床実習診療科を回って仕上げる
- 2マッチング登録6〜7 月に参加を登録する
- 3臨床実習後 OSCE臨床研修に進む力を確かめる
- 4卒業試験大学ごとに行われる
- 5マッチング結果10 月に研修先が決まる
- 6医師国家試験2 月に 2 日間で受ける

04
医師国家試験と臨床研修: 医師としての第一歩
6 年の 2 月には、医師国家試験があります。第 120 回は 2026 年 2 月 7 日と 8 日の 2 日間で行われ、9,980 人が受けて 9,139 人が合格しました。合格率は 91.6%、新卒者に限ると 94.7% です。
合格するには、いくつかの基準を同時に満たす必要があります。必修問題では 200 点中 160 点以上、つまり 8 割以上の得点が求められます。それ以外の一般・臨床の問題では、300 点中 224 点以上が必要です。さらに、医師として選んではいけない選択肢(禁忌肢)を選んだ数が、3 問以下でなければなりません。
合格して医師免許を受けると、2 年以上の臨床研修が始まります。厚生労働省の通知では、内科は 24 週以上、救急部門は 12 週以上です。外科・小児科・産婦人科・精神科・地域医療は、それぞれ 4 週以上研修します。一般外来での研修も 4 週以上行います。
図解第 120 回医師国家試験の合格基準
必修問題
- 200 点中 160 点以上
- 8 割以上の得点が必要
- 臨床実地問題は 1 問 3 点
一般・臨床問題
- 300 点中 224 点以上
- 各 1 問 1 点
- 必修問題とは別に判定
禁忌肢
- 選んだ数が 3 問以下
- 得点が高くても超えると不合格
- 医師として避けるべき選択

05
つまずきやすい点と乗り越え方
5〜6 年でつまずきやすいのは、実習と試験勉強の両立です。実習中は朝が早く、受け持ち患者のことを調べるうちに夜になる日もあります。国家試験に向けた勉強の時間をどう確保するかが課題になります。
乗り越えるこつは、実習で出会った患者さんの病気を、その日のうちに教科書で確かめることです。目の前の患者さんと結びついた知識は忘れにくく、国家試験の臨床の問題にもそのまま生きます。
患者さんの病状が重いときや、思うように話せなかったときは、気持ちが沈むこともあります。一人で抱え込まず、指導医や同じ班の仲間と振り返ることが大切です。コア・カリキュラムも、実習での経験を記録して振り返ることを重視しています。
高校生のうちに試せること
医師国家試験の問題を 1 問読む
厚生労働省は、第 120 回医師国家試験の問題と正答を公開しています。問題文を 1 問読み、どんな情報から答えを選ぶのかを考えましょう。今は解けなくても、医師に求められる知識の形が分かります。
第 120 回医師国家試験問題および正答(厚生労働省)マッチングの決まり方を試す
医師臨床研修マッチング協議会のサイトには、希望の順位から組み合わせが決まる手順の図解があります。友人 3 人と架空の病院 2 つで希望の順位を書き、図解と同じ手順で組み合わせを決めてみましょう。
組合せ決定のアルゴリズム図解(JRMP)研修医の 1 週間を調べる
地域の大きな病院のウェブサイトには、研修医向けのページを置いているところがあります。1 週間の予定や回る診療科を読み、医学部を卒業したあとの毎日を思い描きましょう。
「5〜6 年: 病院で学ぶ」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 126 件から探せます。
脳神経外科学
広島大学(広島県)
医系科学研究科 医学分野(臨床系)・臨床医学・堀江 信貴 教授
中枢神経再生、間葉系幹細胞、微小重力環境などを研究している。

救命救急・災害医学分野
岡山大学(岡山県)
医歯薬学総合研究科 医学系講座・救急医学・中尾 篤典 教授
水素など医療ガスの臓器保護効果や、心停止後の体温管理などを基礎・臨床の両面から研究する。

救急集中治療医学
新潟大学(新潟県)
医学部 医学科 医学系列(臨床系)・救急集中治療医学・西山 慶 教授

循環器内科学分野
岡山大学(岡山県)
医歯薬学総合研究科 医学系講座・循環器内科学・湯浅 慎介 教授
AIやマルチオミクス、幹細胞、ゲノム編集を使い、心臓・血管の病気の病態解明と治療法開発に挑む。
消化器・移植外科学
広島大学(広島県)
医系科学研究科 医学分野(臨床系)・臨床医学・大段 秀樹 教授
胃癌、大腸癌、肝癌などを研究している。

精神神経病態学分野
岡山大学(岡山県)
医歯薬学総合研究科 医学系講座・精神医学・髙木 学 教授
学生団体・機関はまだ掲載していません
よくある質問
臨床実習では、本当に患者さんを診察するのですか?
はい。共用試験に合格した医学生は、医師の指導監督のもとで、決められた範囲の医業を行えます。病院は、学生が診療に加わることを患者さんに説明し、同意を得たうえで実習を行います。
国家試験に不合格になったらどうなりますか?
翌年以降に、もう一度受けることができます。第 120 回では、全体の合格率 91.6% に対し、新卒者の合格率は 94.7% でした。
研修先の病院は、どうやって決まりますか?
6 年生の多くは、医師臨床研修マッチングに参加します。病院の採用試験を受けたあと、学生と病院がそれぞれ希望の順位を登録し、組み合わせが決まります。2026 年度は 10 月 22 日に結果が発表されます。
