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図 2 6 年間の流れ(医学教育モデル・コア・カリキュラム)6 年間の流れ 3

4 年: 診療の基本と共用試験

症状や臓器ごとの臨床医学を学び、医療面接や診察を模擬患者やシミュレーターで練習する 1 年です。全国共通の共用試験(CBT と OSCE)に合格すると、白衣を着て病院での臨床実習に進みます。

シミュレーション室で模擬患者の話を聞く医学生と、マネキン型のシミュレーターの胸に聴診器を当てる学生

ひとことで言うと

仮免許をとって路上教習へ

自動車教習所では、教習所の中で運転を練習し、検定に合格すると仮免許を受けて、指導員と一緒に公道を走れます。医学部の 4 年も同じです。シミュレーターと模擬患者で練習し、共用試験に合格すると、指導医のもとで病院の実習に進めます。

01

臨床医学の講義: 症状から病気を考える

4 年では、循環器・呼吸器・消化器のように、臓器ごとに病気の診断と治療を学ぶ講義が中心になる大学が多くあります。広島大学の 2025 年度の 4 年には、症候から診断と治療を考える「症候診断治療学」と、「臨床実習入門プログラム」が組まれています。

臨床医学で大切なのは、「胸が痛い」「熱が下がらない」といった症状から、考えられる病気を絞り込む考え方(臨床推論)です。共用試験 CBT には、医療面接・身体診察・検査と進むたびに情報を選び、病気を絞り込む形式の問題があります。共用試験を行う機構は、これを日本独自の試験形式としています。

答えを覚えるより、考える順番を身につけることが、病院での実習でそのまま役に立ちます。

図解症状から病気を絞り込む(例)

入力「階段を上ると胸が苦しい」と話す患者さん
  1. 1医療面接で、いつ・どんなときかを聞く
  2. 2身体診察で、脈と心臓の音を確かめる
  3. 3必要な検査を選んで結果を読む
  4. 4症状が起きるしくみを説明する
結果情報が増えるたびに、考えられる病気を絞り込む

02

医療面接と診察の練習: 模擬患者とシミュレーター

臨床実習の前には、患者役の人を相手に、話の聞き方や診察の手順をくり返し練習します。患者役を務めるのは、訓練を受けた模擬患者です。共用試験の機構が認定した標準模擬患者は、2024 年 8 月の時点で 951 名います。

機構の学修・評価項目には、細かな注意点が並びます。患者さんは「次の方どうぞ」ではなく姓と名で呼び入れ、同じ目の高さであいさつします。話を聞いている間は、時計を見る、ペンを回す、頬杖をつくといった動作に注意します。

心臓や肺の音は、シミュレーターでも練習します。人形の胸に聴診器を当てて、病気のときの音を何度でも聞き比べられます。同じ診察を、相手を思いやりながら何度も練習できるのが、シミュレーション教育の強みです。

図解質問のしかたを比べる

開かれた質問

  • 例: 今日はどうされましたか
  • 患者さんが自由に話せる
  • 面接の初めや、話を広げたいときに

閉じた質問

  • 例: 痛むのは右側ですか
  • はい・いいえで答えられる
  • 症状をくわしく確かめたいときに
診察台に横たわる男性の上半身の人形と、台の横に取り付けられた機械の箱
心臓や血管の病気の診察を練習するシミュレーター「ハーヴェイ」の古い型。胸に聴診器を当てて、心臓の音を聞く練習ができます。写真: Gene Hobbs(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

03

共用試験: CBT と OSCE という全国共通の関門

共用試験は、臨床実習に出る前に、全国の医学部が共通で行う試験です。2023 年 4 月から公的な試験になりました。合格すると「臨床実習生(医学)」と認められ、病院で臨床実習を行う資格を得ます。

CBT は、コンピュータで知識を問う試験です。機構がためている約 28,000 題の問題からランダムに出題され、成績は項目反応理論(IRT)という方法で計算されます。そのため、隣の席の人と同じ問題とは限りません。

OSCE は、技能と態度を確かめる実技の試験です。2023 年度は、医療面接、全身状態とバイタルサイン、頭頸部・胸部・腹部・神経の診察、基本的な手技、救急の 8 課題が必須でした。課題ごとに、模擬患者やシミュレーターを相手に診察します。

2023 年度は 9,380 名が受験し、不合格は 3.4% でした。受けた学年は、82 大学のうち 78 大学が 4 年、4 大学が 3 年です。

図解CBT と OSCE

CBT

  • 知識を問う
  • コンピュータの画面で解く
  • 問題はランダムに出題される

OSCE

  • 技能と態度を確かめる
  • 模擬患者やシミュレーターが相手
  • 2023 年度は 8 課題が必須

04

白衣を着て病院へ: 4 年の 1 週間と臨床実習の始まり

下の図は、共用試験に向けて準備する 4 年生の 1 週間の例です。広島大学の 2025 年度の予定では、CBT が 9 月、臨床実習前の OSCE が 11 月です。12 月には、臨床実習の説明会と白衣の着衣式が予定されています。

香川大学は、2025 年 12 月 19 日に 4 年生の臨床実習開始式を行うと発表しました。式では、医学部長から臨床実習生(医学)の証が、附属病院長から白衣が手渡されます。学生は翌年 1 月から約 1 年半、県内の医療機関と附属病院で実習します。

部活やアルバイトとの両立がいちばん難しくなるのは、CBT の前です。試験の日から逆算して、復習の計画を早めに立てておくと、直前に慌てずにすみます。

図解4 年生の 1 週間(例)

  1. 月循環器の講義心臓の病気の診断と治療を学ぶ
  2. 火呼吸器の講義胸の画像の見方を練習する
  3. 水医療面接の練習模擬患者と話し、評価を受ける
  4. 木診察の練習シミュレーターで心音を聞き比べる
  5. 金症候の演習班で症状から病気を考える
  6. 土・日CBT の復習2〜3 年の基礎医学を総ざらい
緑色の布の上に並べられた、色や形の違う聴診器
いろいろな聴診器。4 年の診察の練習では、聴診器の当て方や、心臓と肺の音の聞き分け方をくり返し練習します。写真: melvil(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

05

つまずきやすい点と乗り越え方

4 年でつまずきやすいのは、CBT の範囲の広さです。2〜3 年で学んだ基礎医学から、4 年の臨床医学までが範囲になります。直前に詰め込もうとすると、量に圧倒されてしまいます。

OSCE では、手順を覚えても、本番で緊張して言葉が出なくなることがあります。友人どうしで患者役と医師役を交代し、評価項目を見ながら指摘し合うと、本番に近い練習になります。機構は、試験のための「形だけの診察」ではなく、なぜその診察が必要かを考えながら身につけてほしいと呼びかけています。

身体診察の課題では、医学科の下級生が患者役を務める大学もあり、2023 年度は 30 大学でした。1・2 年のうちに先輩の試験を手伝うと、試験の流れを前もって知ることができます。

クイズ4 年の学びクイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1共用試験 CBT の問題の出し方として正しいのは?

  2. Q2医療面接で、話を聞いている間に注意する動作として挙げられているのは?

  3. Q3OSCE の身体診察で医学生が患者役をする場合、なるべく何年生がよいとされている?

0 / 3 問に回答

高校生のうちに試せること

  • 開かれた質問で家族に話を聞く

    家族に「最近、体調はどう?」と開かれた質問で話しかけ、さえぎらずに最後まで聞きましょう。聞き終えたら内容を短くまとめて伝え、合っているかを確かめると、医療面接の基本の練習になります。

  • OSCE の評価項目を読む

    共用試験の機構は、医療面接や診察で確かめる項目を公開しています。医療面接の章を開き、あいさつや質問のしかたで大切にされていることを 3 つ書き出しましょう。

    医学生共用試験 OSCE 公開資料(CATO)
  • IRT のしくみを読む

    機構の「IRT って何?」は、会話の形で CBT の採点のしくみを説明した資料です。視力検査のたとえを読み、人によって問題が違っても公平に測れる理由を考えましょう。

    IRT って何?(CATO)
  • 胸骨圧迫のテンポをつかむ

    OSCE の救急の評価項目では、胸骨圧迫のテンポを 1 分間に 100〜120 回としています。スマートフォンのメトロノームを 110 に合わせ、手拍子でテンポを体に覚えさせましょう。

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よくある質問

共用試験に合格できなかったらどうなりますか?

本試験で基準に届かなかった人には、再試験があります。2023 年度は CBT の再試験を 743 名が受け、31.5% が基準に届きませんでした。合格するまで臨床実習には進めないので、早めの準備が大切です。

OSCE の模擬患者はどんな人ですか?

訓練を受けて、患者の役を演じる人です。機構が認定した標準模擬患者は、2024 年 8 月の時点で 951 名です。機構のほか、大学などの 57 の団体が養成しています。身体診察の課題では、医学科の下級生が患者役を務める大学もあります。

白衣を受け取る式はどの大学でもありますか?

臨床実習の始まりに合わせて、白衣を授与する式を開く大学があります。広島大学の白衣着衣式や、香川大学の臨床実習開始式がその例です。式の名前や時期は大学によって異なります。