図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 4
4 年: 卒業研究・卒業設計
研究室に所属して、4 年間の集大成となる卒業論文や卒業設計に取り組みます。テーマも敷地も自分で決めた卒業設計は、学内の講評会や全国の卒業設計展で、多くの人の前で発表されます。

ひとことで言うと
脚本から自分たちで決める卒業公演
演劇部の卒業公演では、脚本選びから舞台装置や照明まで、自分たちで決めて本番に臨みます。卒業設計も同じで、テーマ・敷地・建物の使い方まで自分で決め、図面と模型にまとめて講評の舞台に立ちます。

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研究室に入る: 卒業論文と卒業設計
4 年になると、研究室に所属します。早稲田大学の建築学科では、建築計画・建築史・都市計画の建築芸術分野と、環境設備・構造・生産の建築工学分野に研究室が分かれています。4 年生は、それぞれの研究室で卒業論文に取り組みます。フィールドワークや資料の収集、実験と解析を通して、自分で見つけた課題に答えを出します。
卒業設計は、自分で選んだテーマを建築の案にまとめ、図面と模型で提案するものです。早稲田大学のように卒業論文と卒業設計の両方に取り組む大学もあり、どちらに取り組むかは大学によって異なります。
早稲田大学の卒業計画(卒業設計)は、2005 年から 3 人で取り組む共同設計です。3 人は必ず違う系の研究室から集まり、計画・史・都市計画・環境設備・構造・生産の各系から原則 1 人までです。違う専門の仲間と 1 つの建築をまとめる、社会に出てからの仕事に近い経験です。完成した案は、全グループが学科の全教員の前で発表し、特に優れた数点は年度末に大隈講堂で発表されます。
どちらも、自分で課題を見つけて計画的に進める力が試されます。
図解卒業論文と卒業設計
卒業論文
- 自分で問いを立てる
- 調査・実験・資料で答えを出す
- 論文にまとめて審査を受ける
卒業設計
- テーマと敷地を自分で決める
- 建物の案を図面と模型にする
- 講評会や設計展で発表する

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卒業設計: テーマも敷地も自分で決める
4 年の設計は、課題を与えられる設計から、自分で問いを立てる設計に変わります。信州大学の 4 年前期の「建築・デザイン工学設計製図Ⅲ」(2026 年度)では、テーマも敷地もすべて自分で決める「自由設計」を選べます。
進め方は、テーマの発表、エスキス、基本計画の発表、中間講評会、図面と模型の制作、最終講評会の順です。途中には、受講生どうしのエスキス大会や、大学院生(修士 1・2 年)を交えたエスキス大会もあります。中間講評会では、意匠だけでなく構造と設備も見られます。
この授業は 2 単位で、授業 30 時間に対して自習 60 時間、合わせて 90 時間の学修が必要だと案内されています。授業の外で考え、つくる時間が、授業の 2 倍あるということです。
テーマは、社会の課題と自分の関心が交わるところから生まれます。毎日通る商店街や家族が暮らす町など、身近な場所を歩いて見つけた疑問が出発点になります。
図解自由設計の進み方(信州大学の例)
- 1テーマの発表第 1 週。何を問うかを示す
- 2エスキス大会受講生どうし、大学院生とも
- 3基本計画の発表第 6 週。案の骨格を示す
- 4中間講評会第 10 週。意匠・構造・設備
- 5制作図面と模型を仕上げて提出
- 6最終講評会第 15 週。作品を発表する

03
卒業設計展: 全国の作品が仙台に集まる
卒業設計は、学内の講評会のあと、学外の卒業設計展に出す人もいます。代表的な大会が、仙台の「せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦」です。2003 年に第 1 回が開かれ、2026 年で 24 回目でした。
大会は仙台建築都市学生会議の学生が運営し、学校の推薦も出展料もいりません(模型の運送料は出展者の負担)。2026 年は全国から 449 作品がせんだいメディアテークに集まり、届いた模型はすべて展示されました。予選で 100 選、セミファイナルで 10 選が選ばれ、3 月 8 日のファイナルの公開審査で日本一・日本二・日本三が決まりました。
ファイナルは会場で観覧でき、YouTube でも生配信されました。2026 年の日本三は、早稲田大学の 3 人のチームの作品です。大会の案内には、京都・東京・横浜・名古屋・福岡など、前後して開かれる各地の設計展も載っています。
図解各地の設計展(2026 年・大会の案内から)
- 仙台せんだいデザインリーグ
- 京都Diploma×KYOTO'26
- 東京全国合同卒業設計展「卒、26」
- 横浜赤れんが卒業設計展 2026
- 名古屋NAGOYA Archi Fes 2026
- 福岡Design Review 2026


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その先: 大学院と一級建築士
卒業後は、建設会社や設計事務所などに就職する人と、大学院に進む人に分かれます。早稲田大学では、卒業論文の研究が、大学院の修士論文や修士計画に発展することも多いとしています。
建築士の資格への道も、4 年間の学びとつながっています。国土交通省によると、2020 年の建築士試験から、受験の要件だった実務の経験が、免許登録の要件に変わりました。指定科目を修めて大学を卒業すれば、卒業後すぐに一級建築士の試験を受けられます。
国土交通省の資料の例では、建築学科を卒業した人は、試験の合格と 2 年の実務の経験で一級建築士の免許を登録します。実務の経験は、試験の前でも後でも、登録までに積めばよくなりました。
さらに、2026 年 7 月 31 日に改正建築士法が公布されました。一定の単位を修めた卒業見込みの最終学年の学生が、在学中に試験を受けられるようになります。施行は公布から 3 年以内に政令で定める日です。いまの高校生が大学 4 年生になるころには、在学中に受験できる制度が始まっている見込みです。
図解一級建築士になるまで(建築学科を卒業する例)
- 1大学 4 年間指定科目を修めて卒業する
- 2試験卒業後すぐに受けられる
- 3実務 2 年試験の前後どちらでもよい
- 4免許の登録実務の経験を確かめて登録
- 5これから在学中の受験も始まる予定

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つまずきやすい点と乗り越え方
4 年でつまずきやすいのは、卒業設計のテーマが決まらないことです。何でも選べるからこそ迷います。気になる場所を 3 つ選んで実際に歩き、そこで見つけた疑問を書き出すと、テーマが絞れてきます。
提出前は、作業が一度に集中します。中間講評会の指摘を早めに受け、図面と模型の作業の量を見積もっておくと、最後の数週間に追われずにすみます。卒業論文と卒業設計の両方がある大学では、2 つの締め切りを 1 枚の予定表にまとめておくと安心です。
高校生のうちに試せること
卒業設計日本一決定戦の公開審査を見る
せんだいデザインリーグのファイナル(公開審査)は毎年 3 月に開かれ、2026 年は YouTube でも生配信されました。審査員が模型を前にどんな質問をし、学生がどう答えるかに注目して見てみましょう。
せんだいデザインリーグ 2026(公式)全国の卒業設計の題を眺める
日本建築学会の全国大学・高専卒業設計展示会は、2026 年度は 5 月から 12 月まで各地を巡回しています。学会のサイトに出展作品の一覧が載っているので、どんなテーマが選ばれているかを見てみましょう。
2026 年度の出展作品(日本建築学会)3 人で 1 つの建物を考える
早稲田大学の卒業計画のように、友だち 3 人で 1 つの建物を考えてみましょう。1 人は間取り、1 人は骨組み、1 人は光と風の通り道を受け持ち、1 枚の絵にまとめます。役割の違う意見をまとめる難しさと面白さが分かります。
「4 年: 卒業研究・卒業設計」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 47 件から探せます。

建築史・建築芸術研究室
横浜国立大学(神奈川県)
都市科学部 建築学科・建築史・大野敏 教授
国内外の歴史的建築や都市を調べ、保存や地域づくりに生かす。

都市・建築史研究室
九州大学(福岡県)
都市・建築学・堀 賀貴 教授
都市・建築計画学
広島大学(広島県)
先進理工系科学研究科 建築学プログラム・建築学・田中 貴宏 教授
都市環境、GIS、福祉施設などを研究している。
建築史学分野
京都大学(京都府)
工学研究科建築学専攻・建築史学

建築デザイン系 (AD系)
横浜国立大学(神奈川県)
都市科学部 建築学科・建築意匠・建築デザイン・西沢立衛 教授
建築から都市までのデザインを扱い、大学院ではY-GSAで建築家を育てる。

建築計画学
岡山大学(岡山県)
工学部 環境・社会基盤系 都市環境創成コース・建築計画・堀 裕典 准教授
住まいや地区の文化を受け継ぐ仕組み、建築の計画史・法制度とその運用を研究する。
学生団体・機関はまだ掲載していません
よくある質問
卒業設計は一人で取り組みますか?
大学によって異なります。早稲田大学の卒業計画は 3 人の共同設計です。せんだいデザインリーグにも、共同設計者の全員が応募資格を満たしていれば、複数の学生による作品を出展できます。
大学院に進まないと、一級建築士になれませんか?
なれます。指定科目を修めて大学を卒業すれば、卒業後すぐに試験を受けられます。試験の前後に実務の経験を積み、免許を登録します。
卒業設計展には、誰でも出展できますか?
せんだいデザインリーグの 2026 年の応募資格は、大学・高専・専門学校で都市・建築デザインの卒業設計をしている学生です。学校の推薦や出展料はいりませんが、模型の運送料は出展者の負担です。

