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図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 2

高 2: 地学で大地と歴史を学ぶ

高 2 からは、4 単位の「地学」で地学基礎の内容を深めます。方位磁針のずれから地球の磁気を、顕微鏡で岩石の中の鉱物を、崖の地層から大地の歴史を読み解く 1 年です。

海沿いの高い崖のしま模様の地層の前で、木のクリノメーターを地層に当てる高校生、ノートにスケッチする高校生、方位磁針と地図を見比べる高校生

ひとことで言うと

刑事ドラマの現場検証

刑事ドラマでは、現場に残った足跡や指紋から、何が起きたかを順番に組み立てます。地学の手がかりは、岩石の中の鉱物、地層の重なり、岩石に残った磁気です。目の前の石から、何百万年も前の出来事を推理していきます。

01

高 2 の科目: 4 単位の地学と、開いている学校のこと

4 単位の「地学」は、原則として地学基礎を学んだ後に学びます。地学の内容が、地学基礎を発展させ、深めたものだからです。内容は「地球の概観」「地球の活動と歴史」「地球の大気と海洋」「宇宙の構造」の 4 つです。学ぶ学年や順番は学校によって異なります。このページでは、高 2 で前半の 2 つを学ぶ場合を例にします。

地学を開いている高校は、まだ多くありません。令和 8 年度の共通テストの受験者は、物理の 14 万 5,203 人に対し、地学は 2,701 人でした。それでも、令和 4 年度の 1,350 人からは、4 年でおよそ 2 倍に増えています。

解説は、地球の特徴を、長い時間の流れと広い空間の中で、多くの現象がつながり合いながら変わり続けることだと説明しています。地学は、学んだ知識をまとめて、現代の地球観・宇宙観の基礎を身に付ける科目です。

地学は、地学基礎で学んだ地球の姿を、証拠を集めて深く説明し直す科目です。

図解地学基礎と地学で学ぶこと(大地と歴史)

地学基礎(2 単位)

  • 地球が厳密には球でないこと
  • プレートの運動と火山・地震
  • 地層と化石・地質時代の区分
  • 日本の自然の恵みと災害

地学(4 単位)

  • 重力と地磁気・ジオイド
  • マグマの発生・変成岩・造山帯
  • 地層の観察と地質図の読み方
  • 付加体と日本列島の成り立ち

02

地球の形・重力・地磁気: 方位磁針の N は、真北を指さない

地学の最初の内容は「地球の概観」です。重力は、地球の引力と、自転による遠心力を合わせた力で、緯度によって大きさが少し違います。地下に重い岩石や軽い岩石があると、重力の値がわずかに変わります。この違い(重力異常)から、地下の構造を推定できます。

身近に確かめやすいのが地磁気です。国土地理院は、地図の北と方位磁針の北がずれていると説明しています。このずれの角度が偏角です。2020.0 年値では、東京付近で約 7 度 40 分、札幌付近で約 9 度 40 分、西にずれています。那覇付近も、約 5 度 30 分西にずれています。偏角の値は、スマートフォンの電子コンパスにも使われています。

地磁気の向きは、偏角のほか、方位磁針の針が水平から下に傾く角度(伏角)などで表します。マグマが冷えて固まるとき、岩石はそのときの地磁気の向きを記録します。この古地磁気から、地磁気の極が逆転してきたことや、岩石ができた場所の緯度が分かります。

令和 8 年度の共通テストの地学では、北緯 30 度から動かないホットスポットでできた海山の問題が出ました。プレートが動き、海山は 1,000 万年ごとに並んでいきます。岩石が覚えているのは、今いる場所ではなく、できた場所の緯度です。

地磁気は、方位磁針のずれとして身近にあり、岩石の中には過去の記録として残っています。

図解海山の伏角を読む(令和 8 年度 共通テスト 地学から)

入力北緯 30 度で動かないホットスポット。1,000 万年ごとにできた 5 つの海山が、プレートに運ばれて並ぶ
  1. 1問題の表で、北緯 30 度の伏角は 49 度
  2. 2どの海山も、同じホットスポットでできた
  3. 3岩石は、できたときの地磁気の向きを残す
  4. 4今は離れた場所にある海山でも、記録は変わらない
結果5 つの海山の伏角は、年代によらずすべて 49 度(正解は横一直線のグラフ)

03

火成岩と変成岩: 火山灰の鉱物を数えて、マグマを当てる

「地球の活動」では、プレートテクトニクス、地震と地殻変動、火成活動、変成作用と変成岩を学びます。日本列島のように島弧と海溝が並ぶ場所では、沈み込むプレートから水が供給され、マントルの岩石の一部が溶けてマグマができます。そのしくみも扱います。

岩石の中を見る道具が、偏光顕微鏡です。光が通るほど薄く削った岩石の「薄片」を、偏光板を通して見ると、鉱物ごとに色や明るさが変わって見えます。解説は、偏光顕微鏡で変成岩の組織や鉱物を観察し、結晶質石灰岩(大理石)と石灰岩を比べる例を挙げています。

令和 8 年度の共通テストの地学には、火山灰の鉱物を調べる高校生の場面が出ました。鉱物の写真を AI に読み込ませて数えたところ、AI は輝石と角閃石を区別できませんでした。そこで、割れやすい面(へき開)が交わる角度に注目します。輝石は約 90 度、角閃石は約 120 度です。

数え終わった表では、長石が 8,567 粒、石英が 4,230 粒と多く、輝石はわずか 5 粒でした。この組み合わせから、火山灰のもとはデイサイト質のマグマだと判断できます。AI の結果も、最後は鉱物の性質で確かめるという問題でした。

鉱物の形や割れ方は、岩石とマグマの生い立ちを語る手がかりです。

図解火山灰の鉱物から、マグマを当てる(令和 8 年度 共通テスト 地学から)

入力粒の数: 長石 8,567・石英 4,230・黒雲母 458・角閃石 156・輝石 5
  1. 1AI は、輝石と角閃石を区別できなかった
  2. 2へき開の角度で見分ける(輝石 約 90 度・角閃石 約 120 度)
  3. 3石英や黒雲母が多く、輝石はごくわずか
  4. 4二酸化ケイ素の多いマグマの特徴と合う
結果火山灰のもとは、デイサイト質のマグマ
顕微鏡で見た岩石の断面。白・灰色・青みがかった色・茶色の鉱物の粒が、パズルのように組み合わさっている
黒雲母と角閃石を含む花こう岩の薄片を、2 枚の偏光板を通して見た写真。同じ種類の鉱物でも、結晶の向きによって明るさや色が変わって見えます。写真: Darla Sondrol(CC0・Wikimedia Commons)

04

地層の観察と地質図: 崖のしま模様から、300 万年をたどる

「地球の歴史」では、地層の観察、地質図の読み方、地球環境の移り変わり、日本列島の成り立ちを学びます。野外では、地層の面がのびる方向(走向)と傾き(傾斜)を、クリノメーターで測ります。測った値を地図に書き込むと、地層が地下でどう広がっているかが見えてきます。

地層の観察に向いた場所の 1 つが、千葉県の屏風ケ浦です。文化庁の解説によると、銚子市から旭市まで約 10 km、落差約 60 m の崖が続きます。約 300 万年前〜40 万年前に海で積もった犬吠層群の上に、香取層や関東ローム層が不整合で重なっています。かつての侵食の速さは年に 50〜100 cm と、急激でした。

学校の近くに露頭がなくても、学べます。解説は、博物館を利用したり、建物に使われている石材を観察したりする工夫を挙げています。地域の地質図を使い、断面図を描いて地下の構造を考える学習もあります。

日本列島の成り立ちでは、海洋プレートが沈み込むときに、海底の堆積物などが陸側に付け加わってできた「付加体」を学びます。今の地質の分布から、日本列島が次第に成長してきたことや、昔のプレートの動きが今とは違っていたことに気付けます。

地層は、下から上へと読む時間の記録です。

図解地層を調べて、地質図にするまで

  1. 1露頭を探す崖・川原・建物の石材を観察する
  2. 2走向と傾斜クリノメーターで地層の向きを測る
  3. 3柱状図を描く地層の重なり・厚さ・化石を記録
  4. 4地層の対比火山灰の層などを目印に結び付ける
  5. 5地質図と断面図地下の広がりと、できた順を描く
青空の下、海沿いに切り立った高い崖。崖の面には、黄土色と茶色の地層がしま模様に重なっている
千葉県の屏風ケ浦。約 10 km にわたって海沿いの崖が続き、2016 年に国の名勝と天然記念物に指定されました。下の古い地層の上に、新しい地層が重なっています。写真: Saigen Jiro(CC0・Wikimedia Commons)

05

つまずきやすい点と、学校の外の学び: 日本地学オリンピック

高 2 の地学でつまずきやすいのは、立体で考えることです。走向と傾斜、地質図と断面図は、紙の上の線から地下の 3 次元の形を思い浮かべる必要があります。粘土で色の違う層を重ねた模型をつくり、切って断面を見ると、地図と断面の関係がつかみやすくなります。

もう 1 つは、時間の長さです。地層の年代は万年や億年の単位で、数字の大きさを実感しにくいものです。自分で年表を描き、教科書に出てきた出来事を書き込んでいくと、順番と間隔が見えてきます。

学校の外では、地学オリンピック日本委員会の日本地学オリンピックに挑戦できます。2027 年 3 月の本選(茨城県つくば市)では、記述式の問題に加えて、岩石・鉱物・化石の標本の鑑定試験が予定されています。試験の結果は、北海道大学・東京大学・名古屋大学などの総合型選抜や学校推薦型選抜に利用できる場合があります。

立体と時間の大きさは、模型や年表で手を動かすとつかめます。

クイズ高 2 の地学クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1国土地理院の 2020.0 年値で、東京付近の方位磁針の N は、真北からどちらにずれる?

  2. Q2輝石と角閃石のうち、割れやすい面(へき開)が約 120 度で交わるのは?

  3. Q3千葉県の屏風ケ浦の崖が、かつて侵食で削られていた速さは、1 年あたりどのくらい?

0 / 3 問に回答

高校生のうちに試せること

  • 住んでいる場所の偏角を調べ、方位磁針で確かめる

    国土地理院の地磁気測量のページから、住んでいる場所の偏角を調べられます。方位磁針で北を測り、地図の北とのずれが偏角に近いかを確かめましょう。近くに鉄の柱や電気製品があると針がずれるので、開けた場所で測ってください。

    国土地理院「地磁気測量」
  • 地質図 Navi で、自分の町の地下を見る

    産業技術総合研究所の地質図 Navi では、日本全国の地質図を地図の上で見られます。家や学校の場所を探し、どの時代のどんな岩石や地層の上に町があるかを調べましょう。色の境目が、地層や岩石の境目です。

    産業技術総合研究所「地質図 Navi」
  • 日本地学オリンピックに申し込む

    第 19 回の申し込みは、2026 年 11 月 15 日までウェブで受け付けています。一次予選は 12 月 20 日に自宅からのオンライン試験で行われ、参加費は無料です。過去の問題も公式サイトで見られるので、1 回分を解いてみましょう。

    地学オリンピック日本委員会
  • 駅や建物の石材で、化石の模様を探す

    駅や公共の建物の壁や床には、石灰岩などの磨いた石が使われていることがあります。石の面をよく見て、貝や巻き貝のような断面の模様を探しましょう。見つけたら写真に撮り、どんな生き物か調べてみてください。通る人のじゃまにならないように気を付けましょう。

「高 2: 地学で大地と歴史を学ぶ」に関連するコミュニティ

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よくある質問

学校に地学の授業がありません。どうすればよいですか?

地学基礎の教科書や資料集を使って、自分で読み進める方法があります。日本地学オリンピックの一次予選は、原則として地学基礎の教科書の内容から出題され、自宅から無料で受けられます。多くの大学の地球科学系の学科では、入学後に基礎から学べます。

地学は、暗記の科目ですか?

覚える用語はありますが、それだけではありません。大学入試センターの令和 9 年度試験の問題作成方針は、『地学』で、観察や実験、調査の結果を数学的な手法も使って分析する力や、初めて見る資料から考える力を問うとしています。用語は、資料を読むための道具として覚えると身に付きます。

野外観察で、石を持ち帰ってもよいですか?

解説は、自然環境を守るため、岩石などの採取は必要最小限にするよう求めています。天然記念物の場所など、採取が制限されている所もあります。観察は写真とスケッチを中心にし、安全のため先生や大人と一緒に出かけてください。