大学カタログ

図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 4

その先: 大学で生かす

高校の地学は、大学の地球惑星科学・天文学・気象学・海洋学などに続きます。野外を歩いて地質図を描く実習、気象庁の職員として学ぶ大学校、地盤と防災を扱う工学、理科の先生や学芸員の資格まで、地学を生かす道はいろいろあります。

山あいの谷で地層にハンマーを当てる大学生たち、気象観測の機器が並ぶ芝生で空を見上げる学生、ドームの開いた天文台で望遠鏡を操作する学生

ひとことで言うと

ガイドブックの旅から、自分で歩く旅へ

ガイドブックを読むと、行く前から見どころが分かります。実際に歩くと、本に載っていない道や景色に出会えます。高校の地学が教科書で地球を知る学びなら、大学の地球科学は、自分で歩いて調べ、まだだれも描いていない地図をつくる学びです。

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地学が続く学問: 地球惑星科学・天文学・気象学・海洋学

大学で地学を専門に学ぶなら、理学部の地球科学科や地球惑星科学科などに進む道があります。学科の名前や分け方は、大学によって異なります。天文学は物理学科や天文学科で、気象学や海洋学は地球物理学の分野として学ぶ大学もあります。

大学の地球科学では、物理と数学がいっそう大切になります。気象庁の職員を育てる気象大学校も、地球科学を物理学の一分野として教えるので、物理や数学の学力が必要だと説明しています。一方で、気象学や地震学、火山学は入学後に基礎から学ぶので、予備知識は必要ないとしています。

地学の知識は、工学にも生きています。建物やトンネル、ダムをつくる建築学や土木工学では、地盤の性質や地震の揺れ方、土砂災害の起こりやすさを知ることが、安全な設計の土台になります。このページの図 4 の「建築学」も参考になります。

高校の地学は、理学の地球科学だけでなく、工学の防災や地盤の分野にも続いています。

図解高校の地学が続く学問(例)

高校の地学
  • 地質学地層・岩石・化石から大地の歴史を読む
  • 地球物理学地震波・重力・地磁気で地球の中を探る
  • 火山学マグマと噴火のしくみ・火山の防災
  • 気象学大気の運動と天気・気候の予測
  • 海洋学海流・潮汐・海と大気のやりとり
  • 天文学星・銀河・宇宙の始まりを観測する
  • 惑星科学探査機のデータで惑星や小惑星を調べる
  • 防災・地盤工学揺れに強い建物と安全な土地利用

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地質調査の実習: 2 週間歩いて、自分の地質図を描く

地質学を学ぶ学科では、野外で地層や岩石を調べる実習が大きな柱です。例として、名古屋大学理学部の地球惑星科学科を見てみます。必修の「地質調査(春)」は 8 単位の演習で、先に「地質調査法」に合格した学生が受けます。

春休みの 2 週間、約 5 人で 1 つの班をつくり、指定された地域を歩いて調べます。集めた情報から、地質図・断面図・層序表(地層の重なりの表)をつくります。そして、その地域の地質と成り立ちを、論文の形の報告書に 1 人ずつまとめます。

報告書をまとめる前には発表会があり、調べた地域の地質について議論します。指摘された課題は、もう一度現地に行って調べ直します。高校で学んだ走向と傾斜、柱状図、地質図の読み方が、この実習の基本の道具です。教科書で見た地質図を、自分で描く側に回るのが、大学の地質学の面白さです。

大学の地質学では、自分の足で集めたデータから、地域の地質図と成り立ちの物語をつくります。

図解地質調査の実習の流れ(名古屋大学の例)

  1. 1地質調査法調べ方を学び、合格する
  2. 2現地を歩く春休みに 2 週間、約 5 人の班で
  3. 3地図にまとめる地質図・断面図・層序表をつくる
  4. 4発表と議論課題が出たら、もう一度現地へ
  5. 5報告書地域の地質と成り立ちを論文の形に
黒い背景の上に置かれた縦長の木の板。上の部分にオレンジの枠の丸い方位磁針と目盛り、下の部分に細長い気泡の水準器がはめ込まれている
地層の向きや傾きを測るクリノメーター。方位磁針で地層の面がのびる向き(走向)を、振り子の針で傾き(傾斜)を読み取ります。高校の野外観察から大学の地質調査まで使われる道具です。写真: Osumi Akari(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

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気象学: 気象大学校で学ぶ、高校の地学の続き

気象学を学ぶ道の 1 つに、千葉県柏市の気象大学校があります。国土交通省設置法にもとづく国土交通省所管の学校なので、「大学」ではなく「大学校」と呼ばれます。教育の内容は大学設置基準に準じていて、卒業すると学士(理学)の学位を得られます。

専門の授業には、高校の地学の続きが並びます。分野は、気象学・地震火山学・地球環境科学の 3 つです。気象学では気象力学や大気物理学、数値予報論を、地震火山学では地震学や火山学、地球電磁気学を学びます。地球環境科学には、地球化学や海洋物理学、気候システムの授業があります。その土台として、微分積分学や線形代数学、力学や電磁気学、流体力学を学びます。

このほかに、気象業務の基礎を学ぶ特修課程があり、防災行政論や観測実習、職場実習などを 500 時間以上履修します。学内には、地方気象台の現業室に見立てて情報端末を並べた「Kashiwa 気象台」という部屋もあり、予報の現場に近い演習ができます。学生は国家公務員として給与を受けながら学び、卒業後は気象庁で働きます。

気象大学校では、高校の地学の大気・地震・海の内容を、物理と数学を土台に深く学びます。

図解高校の地学と、気象大学校の専門の授業

高校の地学

  • 大気の運動と気象
  • 地震・火成活動・地磁気
  • 海水の運動・地球環境

気象大学校の専門

  • 気象力学・大気物理学・数値予報論
  • 地震学・火山学・地球電磁気学
  • 海洋物理学・地球化学・気候システム
青空の下、緑の木々の向こうに横長の校舎が建ち、右奥に白い球形の屋根をのせた塔がそびえている
千葉県柏市にある気象大学校の校舎(左)。右に写っている白い球形の屋根の塔は、気象レーダーです。写真: RESPITE(Public domain・Wikimedia Commons)

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資格と進路: 理科の先生・学芸員・地質や防災の技術者

地学を学んだ人の進路は、幅広くあります。多くの理学部や教育学部には、中学・高校の理科の教員免許の課程があります。科学館や博物館で働く学芸員の資格も、大学で博物館に関する科目を修めると得られます。どの資格が取れるかは、大学によって異なります。

国や自治体の研究機関、気象庁、気象会社などで、地学の知識を生かして働く人もいます。建設コンサルタントや地質調査の会社、資源やエネルギーの会社に進む人もいます。仕事の具体的な姿は、このページの図 3 で紹介しています。「天気を予報する」「地震・火山から命を守る」「大地を調べて安全につくる」「宇宙を探る・伝える」の 4 つです。

地学の知識は、教える・伝える・見守る・調べてつくる、いろいろな仕事につながっています。

クイズ大学と地学のクイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1気象大学校を卒業するために、教育課程で必要な単位は?

  2. Q22027 年 8 月に、国際地学オリンピックが開かれる都市は?

  3. Q3名古屋大学の「地質調査(春)」で、班ごとに現地を調べる期間は?

0 / 3 問に回答

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高校生のうちに: 国際地学オリンピックが日本にやってくる

2027 年 8 月、島根県松江市で第 20 回国際地学オリンピックが開かれます。日本での開催は、2016 年の三重大会に続いて 2 回目です。参加予定は約 30 か国で、各国の高校生 4 人が、筆記試験や実技試験、国を混ぜたチームでの野外調査に挑みます。

日本代表は、日本地学オリンピックの予選と本選を通して選ばれます。一次予選は小学 1 年生から高校 3 年生まで受けられ、地学の授業がない学校の人も挑戦できます。志望する大学の地球科学系の学科のページで、野外実習や取れる資格を調べておくと、高校で何を学べばよいかが見えてきます。

多くの大学は、高校生向けのオープンキャンパスで、学科の説明会や模擬授業を開いています。地球科学系の学科では、研究室を公開し、岩石や化石の標本、観測の装置を見せていることもあります。野外実習でどこへ行くのか、どんな資格が取れるのかを、学生や先生に直接聞いてみてください。

高校生のうちに試せること

  • 名古屋大学のシラバスで、地質調査の実習を読む

    名古屋大学のシラバスでは、「地質調査(春)」の目的や内容、成績のつけ方を読めます。参考書の欄に並ぶ野外調査の入門書を図書館で探し、どんな道具を持って、どんな記録を取るのかを調べてみましょう。

    名古屋大学 シラバス「地質調査(春)」
  • 気象大学校の授業科目の一覧を読む

    気象大学校のサイトでは、教養・基礎・専門の授業科目の一覧を見られます。高校の地学の単元と、気象力学や地震学、海洋物理学などの授業の名前を線で結び、どの単元がどの授業につながるかを確かめましょう。

    気象大学校「教育方針」
  • 国際地学オリンピック 2027 の概要を読む

    地学オリンピック日本委員会のサイトで、2027 年の国際大会の日程や試験の内容を見られます。各国の高校生がどんな野外調査に挑むのかを読み、日本地学オリンピックへの挑戦も考えてみましょう。

    地学オリンピック日本委員会「IESO2027 大会概要」(PDF)
  • 物理学・建築学・情報学のページを読み比べる

    このサイトの大学の学問のページで、「物理学」「建築学」「情報学」を読み比べましょう。地震波や天気の計算、建物の耐震など、高校の地学のどの単元がどの学問につながるかを書き出すと、学科選びの手がかりになります。

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よくある質問

高校で地学を学んでいなくても、地球科学の学科に進めますか?

多くの大学では、入学後に基礎から学べます。気象大学校も、気象学や地震学、火山学は基礎から教えるので予備知識は必要ないとし、むしろ物理や数学の学力が必要だとしています。受験科目は大学によって異なるので、募集要項で確かめてください。

大学で天文学を学ぶには、どの学科に進めばよいですか?

大学によって異なります。理学部の天文学科のほか、物理学科や地球惑星科学科などで学べる大学もあります。志望校の学科のページで、研究室の分野や授業の名前を確かめてください。

地学を学ぶと、どんな仕事に就けますか?

理科の先生や学芸員、気象庁などの公務員、気象会社、建設コンサルタントや地質調査の会社、資源・エネルギーの会社などがあります。大学院に進んで研究を続け、大学や研究所の研究者になる人もいます。