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図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 1

高 1: 地学基礎で地球を知る

高校の地学は、2 単位の「地学基礎」から始まります。地球の形と中身、火山と地震、大気と海、46 億年の歴史と防災までを、資料を読み、計算し、観察して確かめる 1 年です。

教室で地球の断面の模型と地球儀を囲む高校 1 年生たち、窓の外に見える煙を上げる火山と青い海、空に渦を巻く雲

ひとことで言うと

健康診断と、生まれてからの成長記録

健康診断では、身長や体の中の様子を、今の時点で測ります。成長記録を見ると、その体がどう変わってきたかが分かります。地学基礎も、今の地球の姿を測る「地球のすがた」と、46 億年の変化をたどる「変動する地球」の 2 つでできています。

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高 1 の科目: 2 単位の地学基礎で、地球の「今」と「歴史」を学ぶ

高校の理科では、物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎のうち 3 科目を学ぶのが基本です。「科学と人間生活」を含めて 2 科目を学ぶ形もあります。地学基礎は標準 2 単位で、1 年で学ぶなら授業は週 2 回ほどです。学習指導要領は学ぶ学年を決めておらず、どの学年で学ぶかは学校によって異なります。

内容は 2 つに分かれます。前半の「地球のすがた」では、地球の形と大きさ、内部の層構造、プレートの運動、火山と地震、大気と海の動きを学びます。後半の「変動する地球」では、宇宙・太陽系・地球の誕生、化石と地質時代、地球温暖化などの地球環境、日本の自然の恵みと災害を学びます。

学習指導要領の解説は、一つひとつの現象を単に覚えるのではなく、時間と空間の広がりの中でとらえるよう求めています。宇宙の誕生から今の地球までの流れの中に、それぞれの現象を位置付けていきます。地学では野外の物から得られる情報が出発点になることが多いため、地層や岩石などの実物に触れる学習も大切にしています。

地学基礎は、地球の今の姿と 46 億年の変化を、時間と空間の広がりの中で学ぶ科目です。

図解地学基礎で学ぶこと

地学基礎
  • 地球の形と大きさ赤道半径と極半径・エラトステネス
  • 地球の内部地殻・マントル・外核・内核
  • プレートの運動広がる・沈み込む・すれ違う境界
  • 火山と地震マグマと火成岩・海溝付近の地震
  • 大気の構造対流圏から熱圏まで・温室効果
  • 大気と海の循環偏西風・貿易風・深層の循環
  • 地球の誕生と歴史ビッグバン・化石・地質時代
  • 環境と防災温暖化・エルニーニョ・自然災害
曇り空の下、高台から見下ろした広い平地に、町と緑の田畑が広がり、その奥に雲のかかった山々が連なっている
熊本県の阿蘇山のカルデラを、外側の高台から見下ろした景色。噴火のあとに地面が陥没してできた大きなくぼ地の中に、町や田畑が広がっています。地学基礎では、こうした火山の地形をマグマの性質と結び付けて学びます。写真: t-mizo(CC BY 2.0・Wikimedia Commons)

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中学の理科から: 地球の大きさを、2 つの町の緯度で測る

地学基礎は、中学の理科の第 2 分野の続きです。中 1 の「大地の成り立ちと変化」では、火山・地震・地層を学びました。中 2 の「気象とその変化」では天気を、中 3 の「地球と宇宙」では天体の動きと太陽系を学んでいます。地学基礎では、これらをプレートの運動や地球規模の大気と海の流れ、46 億年の歴史とつないで学び直します。

最初の単元は、地球の形と大きさです。紀元前 3 世紀のエラトステネスは、夏至の正午の太陽の高さに目を付けました。ほぼ同じ子午線上にあるシエネ(今のアスワン)とアレキサンドリアでは、その高さが違ったのです。高さの差と 2 つの町の間の距離から、地球 1 周の長さを数 % の誤差で求めたとされます。

同じ考え方は、今は地図で試せます。学習指導要領の解説は、南北に離れた 2 地点の緯度の差と距離を、衛星測位の受信機や地図で調べ、地球の大きさを求める例を挙げています。下の例のように、緯度 1 度あたりの距離を 360 倍すれば、1 周の長さが出ます。

地球は、厳密には球ではありません。日本の測量の基準になっている GRS80 という地球楕円体では、赤道半径が 6,378.137 km、扁平率が約 298 分の 1 です。計算すると、極半径は赤道半径より約 21 km 短く、地球は少しつぶれた形をしています。

地図と算数で地球の大きさを測ると、地球が少しつぶれた形だと分かってきます。

図解緯度の差から、地球 1 周の長さを求める(例)

入力南北に 333 km 離れた 2 つの地点。緯度の差は 3.0 度
  1. 1緯度 1 度あたりの距離 = 333 km ÷ 3.0 = 111 km
  2. 21 周は 360 度なので、111 km × 360
  3. 3= 39,960 km
  4. 4GRS80 から計算した子午線の 1 周(約 40,008 km)と比べる
結果地球 1 周は約 4 万 km。地図と算数で、地球の大きさが分かる

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資料を読む: 水深 1,000 m の海で、津波は秒速 100 m

地学基礎では、資料や図を読み、式を使って考える問題がよく出ます。令和 8 年度(2026 年 1 月)の共通テストの地学基礎には、海底の水圧センサーで津波をとらえる観測システムの問題が出ました。問題文は、このような観測システムが日本列島の周りに設置されつつあると説明しています。

問題では、海の深さを h〔m〕として、津波の速さを √(10h)〔m/s〕としています。水深 1,000 m なら √10,000 で、秒速 100 m です。時速にすると 360 km になります。観測点から 90 km 離れた町には 900 秒、つまり約 15 分で届きます。

実際に、防災科学技術研究所の S-net は、地震計と水圧計を一体にした観測装置を、東日本の太平洋沖の海底 150 か所に置いています。装置をつなぐケーブルは全長約 5,500 km です。2017 年 4 月からは、日本海溝の外側を含むすべての海域で運用されています。

気象庁は、予想される津波の高さが 0.2 m 以上 1 m 以下でも、災害のおそれがあれば津波注意報を出します。海の中では、人が速い流れに巻き込まれるおそれがあるからです。同じ問題では、津波が海底から海面までの海水全体を動かすことも問われました。式と数字で考えると、注意報の意味が分かります。

√(10h) という短い式から、津波の速さと、避難にかけられる時間が見えてきます。

図解津波が届くまでの時間(令和 8 年度 共通テスト 地学基礎から)

入力水深 1,000 m の海。海底の観測点から町まで 90 km
  1. 1速さ = √(10 × 1,000) = 100 m/s
  2. 2時速にすると 360 km
  3. 390,000 m ÷ 100 m/s = 900 秒
  4. 4900 秒 = 15 分
結果町に届く約 15 分前に、海底の観測点で津波をとらえられる(正解は 15 分)
暗い展示室で、黒い台の上に置かれたオレンジ色の球形の観測装置。細い棒や金具が取り付けられている
東京大学地震研究所がつくった海底地震計。国立科学博物館で展示されています。海の底に置いて、陸からは測りにくい海の下の地震を記録します。写真: Theodore Xu(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

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つまずきやすい点とコツ: 用語は「どこで・いつ・なぜ」とセットで

つまずきやすいのは、用語の多さです。プレートの境界、火成岩の種類、地質時代の名前など、覚える言葉がたくさん出てきます。言葉だけを覚えようとすると、すぐに忘れてしまいます。

コツは、用語を「どこで起きるか・いつ起きたか・なぜそうなるか」とセットにすることです。たとえば海溝は、プレートが沈み込む場所で、大きな地震が起こりやすい場所でもあります。言葉と場所と理由をつなぐと、地図や断面の図を見ただけで説明できるようになります。

スケールの感覚も、つかみにくい点です。地球の赤道の直径は約 1 万 2,756 km で、雲や雨が起こる対流圏は地上から高さ 10〜16 km です。地球を直径約 1.3 m の球に縮めると、対流圏の厚さは 1〜1.6 mm ほどです。天気は、地球の表面の薄い膜の中で起きています。

図と式の行き来にも、慣れが必要です。津波の式のように数字を入れて答えを出したら、その答えが図や身近な感覚と合うかを確かめる習慣をつけると、計算の間違いにも気付きやすくなります。

用語は場所・時間・理由とセットにし、数字は身近な大きさに置きかえて確かめます。

クイズ高 1 の地学クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1地球の自転の向きはそのままで、公転の向きだけが逆になったら、太陽はどちらから昇る?

  2. Q2水深 4,000 m の海を進む津波の速さは、時速およそ何 km?(速さは √(10h) m/s とする)

  3. Q3地球を直径約 1.3 m の球に縮めると、赤道半径と極半径の差(約 21 km)はどのくらい?

0 / 3 問に回答

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高 1 の 1 週間: 授業は週 2 回、ニュースの地図を毎日見る

地学基礎を 1 年で学ぶなら、授業は週 2 回ほどです。単位数や時間割は、学校によって異なります。下の図は、高 1 の 1 週間の例です。

地学は、毎日のニュースと結び付けやすい科目です。天気予報の天気図、地震や火山のニュース、月の満ち欠けは、どれも授業の内容とつながっています。気になったニュースを 1 つ選び、授業で習った言葉で説明してみると、理解が深まります。

学校の外にも、学べる場があります。日本ジオパークネットワークによると、2026 年 4 月の時点で日本ジオパークは 48 地域あります。そのうち 11 地域は、ユネスコ世界ジオパークにも認定されています。火山や地層を、地域のガイドの説明を聞きながら見られます。

授業の言葉で身近なニュースを説明すると、地学基礎が自分のことになります。

図解高 1 の 1 週間(例)

  1. 月地学基礎(授業)プレートの境界の種類を図で学ぶ
  2. 火数学 I平方根と三角比の計算に慣れる
  3. 水5 分の復習用語 3 つを「どこで・なぜ」で書く
  4. 木地学基礎(実習)岩石の標本を観察してスケッチ
  5. 金ニュースを読む地震や天気のニュースを地図で確かめる
  6. 土・日外で観察近くの崖や川原で石や地層を探す

高校生のうちに試せること

  • 地理院地図で、2 地点の緯度の差と距離を測る

    国土地理院の地理院地図では、地図上の場所の緯度・経度を表示でき、2 点の間の距離も測れます。南北にほぼ並ぶ 2 つの町を選び、緯度の差と距離から地球 1 周の長さを計算しましょう。北の地域と南の地域で、結果が少し違うかも確かめてください。

    国土地理院「地理院地図」
  • 共通テストの地学基礎の津波の問題を解く

    大学入試センターのサイトで、令和 8 年度の本試験の『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』の問題を見られます。地学基礎の第 4 問の津波の問題を、このページの例と同じ順番で解きましょう。水深を変えると到達時間がどう変わるかも計算してみてください。

    大学入試センター 令和 8 年度 本試験の問題
  • 近くのジオパークを地図で探す

    日本ジオパークネットワークのサイトで、全国の日本ジオパークの場所を見られます。家から行ける地域を探し、そこで見られる火山や地層、化石などの見どころを調べましょう。出かけるときは、天気と足元に気を付けてください。

    日本ジオパークネットワーク

「高 1: 地学基礎で地球を知る」に関連するコミュニティ

研究室・部活・サークルなど、全国の 68 件から探せます。

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よくある質問

地学基礎を開いていない学校もあるのですか?

理科の基礎の科目のうち、どれを開くかは学校が決めるので、地学基礎がない学校もあります。地学オリンピック日本委員会の日本地学オリンピックの一次予選は、原則として地学基礎の教科書の内容から出題され、自宅からオンラインで、無料で受けられます。学ぶきっかけにできます。

地学基礎は、文系の人も学べますか?

学べます。地学基礎は理科の基礎の科目の 1 つで、文系・理系の区別はありません。津波の速さのように平方根を使う計算も出るので、数学 I の計算に慣れておくと安心です。大学入試でどの科目を使えるかは、志望校の募集要項で確かめてください。

中学の理科の地学の分野が苦手でした。大丈夫ですか?

大丈夫です。地学基礎は、中学で学んだ火山・地震・天気・天体を、もう一度広い見方で学び直す科目です。分からない言葉が出たら、中学の教科書の同じ分野のページを開いて確かめると、つながりが見えてきます。