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図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 2

地震・火山から命を守る

地震や火山の活動を 24 時間見守り、揺れや噴火の情報を出したり、地域の避難の計画をつくったりする仕事です。高校の地学で学ぶ地震波やプレート、火山とマグマのしくみが、情報の一つひとつを支えています。

監視室で波形のモニターを見守る若い職員、穏やかに湯気を上げる火山の中腹で観測機器を点検する若い技術者、公民館で住民と地域の地図を囲む防災の担当者が、一続きに描かれた様子

ひとことで言うと

毎日の体温で、いつもと違う変化に気づく

体温や脈を毎日測っていると、いつもと違う変化にすぐ気づけます。地震や火山の担当も、地面の揺れや傾きなどを休まず測り、ふだんとの違いを探します。気づいた変化は、分かりやすい情報にして地域に届けます。

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どんな仕事?: 見守る・知らせる・備える

地震や火山から命を守る仕事には、大きく 3 つの立場があります。気象庁の地震・火山の担当は、観測データを 24 時間見守り、地震の情報や噴火警報を出します。自治体の防災の担当は、その情報を受けて住民に避難を呼びかけ、地域の防災計画をつくります。大学や研究所の研究者は、地震や噴火のしくみを調べ、観測の方法を新しくしていきます。

どの立場でも、高校の地学で学ぶ「地震波の伝わり方」「プレートの動き」「マグマが地表に出てくるしくみ」が土台になります。目に見えない地下の動きを、データから思い描く力が欠かせません。

見守る人・知らせる人・備える人がつながって、命を守ります。

図解地震・火山を見守る 3 つの立場

気象庁の担当

  • 地震計や傾斜計のデータを見守る
  • 震度や震源の情報を出す
  • 噴火警報や噴火警戒レベルを出す

自治体の防災担当

  • 情報を受けて避難を呼びかける
  • 避難の計画や訓練を考える
  • 火山防災協議会で話し合う

研究者

  • 地震や噴火のしくみを調べる
  • 新しい観測の方法をつくる
  • 昔の地震や噴火の跡を調べる

02

地震の担当: 揺れから約 1 分半で、震度を知らせる

地震が起きると、気象庁は全国の震度計のデータから、まず「震度速報」を出します。震度 3 以上の揺れを観測したとき、地震の発生から約 1 分半後に、全国を 188 に分けた地域の名前と震度を伝えます。続いて、震源の場所や地震の規模(マグニチュード)を発表します。

震源を決めるしくみは、地学基礎で学ぶ考え方と同じです。地震の波には、先に届く P 波と、遅れて届く S 波があります。2 つの波が届く時間の差から震源までの距離が分かり、いくつもの観測点の結果を重ねると、震源の位置が決まります。この関係は、地震学者の大森房吉の名から「大森公式」と呼ばれます。

震度の測り方にも歴史があります。かつて震度は、人が感じた揺れや周りの様子から決めていました。1996 年 4 月からは、震度計で自動的に測っています。震度は 0 から 7 までで、5 と 6 は弱と強に分かれるため、全部で 10 の階級があります。数字を出すだけでなく、その地域で何が起きていそうかを考えて伝えるのも、担当者の大切な役目です。

地学基礎の震源の求め方が、毎日の地震の情報の土台です。

図解地震のあと、情報が出るまで

  1. 1揺れを観測全国の震度計が揺れを自動で測る
  2. 2震度速報約 1 分半後に震度 3 以上の地域を伝える
  3. 3震源を決めるP 波と S 波が届いた時刻から計算する
  4. 4震源と規模震源の場所とマグニチュードを発表
  5. 5各地の震度市町村ごとの震度をくわしく伝える

03

火山の担当: 111 の活火山のうち、51 火山を 24 時間見守る

日本には 111 の活火山があります。気象庁は、そのうち 51 の火山を 24 時間体制で見守っています。火山には、地震計や傾斜計、空気の振動を測る空振計、GNSS、監視カメラなどを置いています。これを「常時観測火山」といいます。監視の拠点は、東京の本庁と、札幌・仙台・福岡の管区気象台にある「火山監視・警報センター」です。

火山の担当は、地学で学ぶ火山のしくみを手がかりにデータを読みます。地下でマグマが動くと、火山の下で小さな地震が増えたり、山がわずかにふくらんで傾斜計の値が変わったりすることがあります。こうした変化を総合して、噴火警報や「噴火警戒レベル」を発表します。

噴火警戒レベルは、警戒が必要な範囲と、とるべき行動を 5 段階で示すしくみで、2007 年 12 月に始まりました。2026 年 3 月時点で、51 火山のうち 49 火山で使われています。どの段階でどこを立ち入り禁止にし、だれが避難するか。それは、自治体や気象台、火山の専門家などでつくる「火山防災協議会」が、ふだんから一緒に決めています。

小さな変化を積み重ねて読み、段階に分けて伝えます。

クイズ地震と火山のクイズ

答えを 1 つ選んでください。

  1. Q1気象庁の震度の階級は、全部でいくつ?

  2. Q21996 年 3 月まで、震度はどうやって決めていた?

  3. Q3日本にある活火山の数は?

0 / 3 問に回答
岩の多い山の斜面のふもとに建つ木造の小さな観測所と、その前に立つ 2 人の人物を写した白黒写真
1913 年に撮られた浅間火山観測所。1911 年 8 月 26 日に浅間山の中腹に建てられた、日本で最初の火山観測所です。建設を強く働きかけた一人が、大森公式の大森房吉でした。8 月 26 日は今、「火山防災の日」になっています。写真: 気象庁浅間山火山防災連絡事務所(CC BY 4.0・Wikimedia Commons)

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火山の監視を担当する職員の 1 日(例)

ここでは、管区気象台の火山監視・警報センターで働く若手職員の、日勤の 1 日の例を紹介します。監視は交代で 24 時間続けられていて、勤務の形や仕事の中身は、職場や時期によって異なります。

朝は、夜勤の担当から、夜のあいだの地震の回数や気になる変化を引き継ぎます。日中は担当する火山のデータを一つずつ確かめ、火山の活動の様子を解説する文をまとめます。気象庁の火山機動観測班は、常時観測火山以外の火山も含めて現地に出向き、計画的に観測を行っています。

地学で学ぶ火山の形やマグマの性質の違いは、火山ごとの「くせ」を理解する手がかりです。噴火の前に何が起きたかは、火山によっても、同じ火山の噴火ごとにも違います。担当する火山の歴史を知っておくことも、仕事の大切な一部です。

データの変化と火山の歴史の両方から、今の状態を判断します。

図解火山の監視の担当の 1 日(例)

  1. 8:45引き継ぎ夜の地震の回数や変化を聞く
  2. 9:30データの確認地震計・傾斜計・カメラの記録を見る
  3. 11:00解説の文をつくる火山の活動を分かりやすくまとめる
  4. 12:00昼休み
  5. 13:30自治体と打ち合わせ避難の計画と連絡の手順を確かめる
  6. 15:30機動観測の準備現地調査に持っていく機材を点検する
  7. 17:30引き継ぎ夜勤の担当に注意する点を伝える
青空の下、松林の向こうにそびえる山頂から、白い噴煙が少し上がっている桜島
有村溶岩展望所(鹿児島市)から見た桜島。気象庁が 24 時間体制で見守る常時観測火山の一つです。写真: Raita Futo(CC BY 2.0・Wikimedia Commons)

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向いている人と入り方・その先

高校のうちは、地学基礎で地震と火山のしくみ、地球の内部の構造を学んでおくと、大学の授業がぐっと身近になります。物理の波と力学、数学の三角比や対数も土台です。マグニチュードが 1 大きくなると、地震のエネルギーは約 32 倍になります。こうした数の感覚は、数学の対数でつかめます。

大学では、理学部の地球惑星科学科や地球科学科で地震学や火山学を学べます。工学部の土木や建築では、地震に強いまちづくりを学べます。防災を名前に掲げる学部や学科もあります(学科の名前や内容は大学によって異なります)。気象庁には国家公務員の採用試験を経て入り、総合職には「数理科学・物理・地球科学」という区分もあります。自治体の防災の担当には、行政職や技術職として入ります。

研究者になるには、大学院で地震や火山の研究を続けるのが一般的です。2024 年 4 月からは、国の「火山調査研究推進本部」が、火山の調査研究の方針をまとめています。細かい変化に気づける人、落ち着いて人に伝えられる人に向いています。経験を積むと、火山や地震の解説を担う専門家や、地域の防災計画をまとめる立場になります。

地下の動きを思い描く力と、伝える力の両方が求められます。

図解高校から地震・火山の仕事へ(例)

  1. 1高校で学ぶ地学基礎・物理・数学の対数
  2. 2大学で学ぶ地球惑星科学・防災・土木
  3. 3仕事に入る気象庁・自治体・研究所
  4. 4経験を積む監視・機動観測・防災訓練
  5. 5地域を守る解説の専門家や防災計画の中心へ

高校生のうちに試せること

  • 自分の町の震度の記録を調べる

    気象庁の「震度データベース検索」では、全国の観測点で記録された過去の地震の震度を調べられます。家や学校の近くの観測点を選び、どんな地震でどのくらい揺れてきたかを確かめましょう。

    震度データベース検索(気象庁)
  • 行きたい山の噴火警戒レベルを確かめる

    気象庁の「火山登山者向けの情報提供ページ」では、火山ごとの噴火警戒レベルや最新の解説を見られます。遠足や旅行で行く山が活火山かどうか、出かける前に調べる習慣をつけましょう。

    火山登山者向けの情報提供ページ(気象庁)
  • 地域防災計画で、想定されている地震を読む

    多くの市区町村は、地域防災計画やハザードマップをサイトで公開しています。自分の町でどんな地震や火山の災害が想定されているかを読み、地学で学んだプレートや火山のしくみで理由を説明してみましょう。

「地震・火山から命を守る」に関連するコミュニティ

研究室・部活・サークルなど、全国の 60 件から探せます。

研究室をすべて見る(27 件)

よくある質問

地震の予知はできるのですか?

日時と場所、規模を特定して地震を予知することは、今の科学では難しいとされています。そのため、どこでどのくらいの地震が起こりやすいかを、長い目で見積もる研究が進められています。起きた直後に素早く知らせるしくみも、改良が続いています。

火山の仕事は、火山の近くに住まないとできませんか?

火山の監視は、東京と札幌・仙台・福岡の火山監視・警報センターで行われています。データは離れた場所でも見られますが、機動観測で現地に出向くこともあります。大学の火山の観測所など、火山の近くで働く人もいます。

防災の仕事に、文系から進むことはできますか?

できます。自治体の防災の担当には行政職の人も多く、避難の計画づくりや住民への説明を担います。地震や火山のしくみを地学基礎で理解しておくと、専門家の話を住民に分かりやすく伝えられます。