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図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 4

宇宙を探る・伝える

天文台や研究所で星や惑星を観測して宇宙のなぞを調べたり、科学館やプラネタリウムで星空の面白さを伝えたりする仕事です。高校の地学で学ぶ天体の動きと、恒星の明るさや色の読み方が、研究にも解説にも生きています。

山の上の天文台のドームから星空へ向く望遠鏡と、明るさのグラフを見つめる若い研究者、プラネタリウムのドームの下で星を指して案内する若い解説員と見上げる親子が、一続きに描かれた様子

ひとことで言うと

遠くの窓の明かりが、ふっと暗くなる

夜、遠くのビルの窓の明かりを見ていると、人が窓の前を横切った瞬間に、明かりがほんの少し暗くなります。天文学者は、星の明るさのわずかな変化から、その前を横切る惑星を見つけます。プラネタリウムの解説員は、こうした発見の面白さを、星空の下で物語にして伝えます。

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どんな仕事?: 星を測る人と、星を伝える人

宇宙に関わる仕事には、大きく 2 つの方向があります。1 つは、大学や国立天文台などの研究機関で、望遠鏡のデータから星や惑星、銀河を調べる研究者です。もう 1 つは、科学館やプラネタリウム、公開天文台で、星空や宇宙の話を一般の人に伝える人です。

2 つの仕事は、はっきり分かれているわけではありません。群馬県立ぐんま天文台の口径 150 cm の望遠鏡は、天文学の研究用に設計されています。その一方で、来館者が目で直接のぞける接眼部も備えています。研究と、星を見せることが、同じ望遠鏡で行われているのです。

どちらの仕事でも、高校の地学で学ぶ「天体の動き」と「恒星の明るさと色」が土台になります。星の位置と明るさを、数字で正確に扱える力が、研究と解説の共通の出発点です。

研究も解説も、星の位置と明るさを正確に扱うことから始まります。

図解宇宙を探る人・伝える人

研究者

  • 望遠鏡のデータを解析する
  • 星や惑星の性質を調べる
  • 論文を書き、国際会議で発表する

プラネタリウムの解説員

  • その日の星空を解説する
  • 季節の番組や観望会を企画する
  • 最新の発見を分かりやすく伝える
ドームの中に立つ、緑色の骨組みの大きな反射望遠鏡と、側面に取り付けられた黒い観測装置
群馬県立ぐんま天文台(群馬県高山村)の口径 150 cm の反射望遠鏡。カメラや分光器などの観測装置のほかに、来館者が目でのぞける接眼部があります。写真: 禁樹なずな(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

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研究の現場: 星が 1% 暗くなる瞬間に、惑星を見つける

太陽以外の恒星を回る惑星を「系外惑星」といいます。太陽に似た恒星を回る系外惑星は、1995 年に初めて見つかりました。見つけた 2 人の研究者は、2019 年のノーベル物理学賞を受けています。NASA によると、確認された系外惑星の数は 2025 年 9 月に 6,000 個に達しました。

よく使われる探し方が「トランジット法」です。惑星が恒星の前を横切ると、恒星の明るさがわずかに下がります。木星くらいの惑星なら、半径は太陽の約 10 分の 1 です。隠れる面積は約 100 分の 1 なので、明るさは約 1% 下がります。地球くらいの大きさなら、約 0.01% しか下がりません。

研究者は、恒星の明るさを長い時間測り続け、規則正しくくり返す小さな「暗さの谷」を探します。谷の深さから惑星の大きさを、くり返す間隔から公転の周期を見積もります。地学で学ぶ恒星の明るさの扱い方が、新しい世界を見つける道具になっているのです。

恒星の明るさのわずかな変化が、遠い惑星の存在を教えてくれます。

図解明るさの記録から惑星を探す(例)

入力ある恒星の明るさを、宇宙望遠鏡で数か月記録したデータ
  1. 1明るさを時間の順に並べてグラフにする
  2. 2約 1% 下がる谷が、3 日おきに現れるのを見つける
  3. 3恒星の黒点など、ほかの原因ではないか確かめる
  4. 4谷の深さと間隔から、惑星の大きさと周期を見積もる
結果木星くらいの大きさで、3 日で 1 周する惑星の候補

03

伝える現場: 1937 年から続く、日本のプラネタリウム

ドームに本物そっくりの星空を映すプラネタリウムは、1923 年にドイツで生まれました。日本で最初のプラネタリウムは、1937 年 3 月に開館した大阪市立電気科学館の投影機です。1989 年 5 月に引退するまでの 52 年間で、のべ 1,100 万人が星空を楽しみました。2023 年 3 月には、日本天文学会が「日本天文遺産」に認定しています。

日本天文学会の『天文月報』(2021 年 9 月号)によると、プラネタリウムの数は、日本がアメリカに次いで世界 2 位です。全国のプラネタリウムを訪れた人は、2019 年度に約 830 万人でした。同じ年のサッカーの J1 リーグの観客数(634 万人)より多い人数です。

プラネタリウムを専門とする職種は、科学館などの学芸員です。地学で学ぶ天球や日周運動、季節による星座の移り変わりは、毎日の解説の中身そのものです。その日の夜空を、解説員がその場で話しながら案内する投影もあります。来た人の質問に、天文学の知識ですぐに答えられるのが、この仕事の面白さです。

プラネタリウムは、多くの人が宇宙に出会う入口です。

クイズ宇宙の仕事のクイズ

答えを 1 つ選んでください。

  1. Q1恒星の前を木星くらいの惑星が横切ると、恒星の明るさはおよそどれだけ下がる?

  2. Q2日本で最初のプラネタリウムが登場した年は?

  3. Q32019 年度に全国のプラネタリウムを訪れた人は、約何人?

0 / 3 問に回答
黒い金属の骨組みの上に、丸い投影球と細長い筒が組み合わさった大きなプラネタリウム投影機が展示されている
大阪市立科学館に展示されている、日本で最初のプラネタリウム投影機(カール・ツァイス社の II 型)。1937 年から 52 年間、電気科学館のドームに星を映しました。写真: Wiki0001(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

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科学館のプラネタリウム解説員の 1 日(例)

ここでは、市立の科学館でプラネタリウムを受け持つ、若手の学芸員の 1 日の例を紹介します。施設の大きさや働き方によって、仕事の中身は大きく異なります。日本天文学会の『天文月報』で紹介された調べでは、1 つのプラネタリウムの運営に関わるスタッフは平均 4〜5 人です。解説から番組づくり、受付までを、少ない人数で分け合っています。

朝は投影機の点検と、その日の星空の確かめから始まります。午前は学校の団体向けに、授業の内容に合わせた学習投影をします。午後は一般向けの投影で、今夜見える惑星や、話題の天文現象を解説します。夜には、屋上の望遠鏡で月や惑星を見る観望会を開くこともあります。

解説の準備では、地学で学ぶ天体の動きを、実際の日付と時刻に当てはめて考えます。月の満ち欠けや惑星の位置、日の入りの時刻を確かめます。来館者が帰り道に空を見上げたとき、話した星が本当に見えるように組み立てるのです。

その日の空に合わせて、話す中身を毎日組み立て直します。

図解プラネタリウム解説員の 1 日(例)

  1. 9:00投影機の点検ランプや映像の動きを確かめる
  2. 10:00学習投影小学校の団体に月と星の動きを解説
  3. 12:00昼休み
  4. 13:00番組の準備来月の星空と天文現象を調べる
  5. 14:30一般投影今夜の星空を、その場で話して案内
  6. 18:30観望会屋上の望遠鏡で月や惑星を見せる

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向いている人と入り方・その先

高校のうちは、地学で天体の動きと恒星の性質を学び、実際の夜空で確かめておくと、大学の天文学がぐっと身近になります。研究を目指すなら、物理と数学(微分・積分や対数)は欠かせません。英語の論文を読む力も、少しずつ必要になります。

大学では、理学部の物理学科や天文学科、地球惑星科学科などで天文学を学べます(学科の名前や内容は大学によって異なります)。研究者になるには、大学院で博士号をとり、大学や研究機関で研究を続ける道が一般的です。

科学館やプラネタリウムで働くには、大学で博物館に関する科目を修めて学芸員の資格をとるのが一つの道です。募集の数は多くないので、大学の天文部や科学館のボランティアで、人に星空を案内する経験を積んでおくと力になります。

夜空を見上げるのが好きな人、知ったことを人に話したくなる人に向いています。研究者として新しい天体を見つける人もいれば、解説員として毎年何万人もの人に宇宙の入口を開く人もいます。

夜空を見上げる好奇心と、人に伝える楽しさが原動力です。

図解高校から宇宙の仕事へ(例)

  1. 1高校で学ぶ地学・物理・数学と、実際の夜空
  2. 2大学で学ぶ天文学・物理学・地球惑星科学
  3. 3大学院へ研究者を目指すなら博士課程
  4. 4資格をとる解説員を目指すなら学芸員
  5. 5宇宙を届ける発見する人・伝える人として働く

高校生のうちに試せること

  • 系外惑星探しに参加する

    「Planet Hunters TESS」は、市民が参加できる系外惑星探しの研究です。NASA の宇宙望遠鏡 TESS が記録した恒星の明るさのデータから、惑星が横切った跡を探します。無料で参加でき、画面は英語ですが、グラフの「暗さの谷」を探す作業から始められます。

    Planet Hunters TESS(Zooniverse・英語)
  • 環境省の星空観察で、夜空の明るさを確かめる

    環境省は、毎年夏と冬に、肉眼やデジタルカメラで星空を観察する取り組みを呼びかけています。天の川がどこまで見えるかを記録し、町の明かりと星の見え方の関係を確かめましょう。

    星空観察(環境省)
  • 近くのプラネタリウムで、今夜の星空を聞く

    日本プラネタリウム協議会のサイトには、全国のプラネタリウムの一覧があります。近くの館の投影を見て、紹介された星や惑星を、帰り道に実際の空で探しましょう。

    全国のプラネタリウム(日本プラネタリウム協議会)

「宇宙を探る・伝える」に関連するコミュニティ

研究室・部活・サークルなど、全国の 215 件から探せます。

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よくある質問

天文学の研究者になるのは、とても難しいのですか?

大学院で博士号をとり、数の限られた研究の職を目指すので、簡単な道ではありません。ただ、天文学で身につけるデータの解析や観測機器の知識は、メーカーや IT の会社、科学館などでも生かせます。進む道は 1 つではありません。

プラネタリウムの解説員になるには、どんな勉強が必要ですか?

天体の動きや恒星の性質など、地学と物理の天文の分野が土台です。プラネタリウムを専門とする職種は学芸員なので、大学で学芸員の資格をとっておくと道が広がります。人前で話す経験も、大きな力になります。

地学を学んでいなくても、天文の道に進めますか?

進めます。天文学の研究には、物理と数学が特に大切です。地学で学ぶ天体の動きや恒星の性質は、大学の天文学の入り口です。地学基礎だけでも学んでおくと、授業の内容がつかみやすくなります。