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図 1 情報の広がり情報の広がり 5

発展: 情報 II

情報 I の後に選んで学ぶ科目です。データサイエンス、情報システムの開発、コンテンツの制作を学び、最後に自分で決めたテーマで探究に取り組みます。ここでは、それぞれの学びが実際にどんな作業になるのかを紹介します。

教室でノートパソコンを囲み、グラフや地図、画面の設計図を見ながら役割を分担して作業する高校生たち

ひとことで言うと

基礎練習を終えて、試合に出る

情報 I で学ぶプログラミングやデータの分析は、部活でいえば基礎練習です。情報 II では、それを組み合わせて、本物のデータで予測したり、チームで 1 つのシステムを作ったりします。最後は自分でテーマを決める探究で、練習の成果を試合のように使います。

01

データサイエンス: 中古住宅の値段を、広さから予測する

情報 II のデータサイエンスでは、データから予測のための式(モデル)を作ります。文部科学省の教員研修用教材は、回帰と分類の違いを天気で説明しています。「明日の最高気温は何℃まで上がるか」と数を予測するのが回帰です。「今日より高いか低いか」を当てるのが分類です。

予測したい値を目的変数、予測に使う値を説明変数といいます。「情報 I」の教員研修用教材は、中古住宅の取引価格を、土地や床面積の広さから予測する例を挙げています。情報 II で学ぶ重回帰分析は、説明変数を 2 つ以上にして、いくつもの要因をまとめて扱う方法です。

式ができると、条件を変えたときの値を予測できます。どの要因がどれだけ値段に効いているかも、式から読み取れます。「情報 II」の教材は、スポーツの成績の評価や不動産の取引価格に予測モデルを使う分野が、次々に生まれていると紹介しています。

最初の一歩は、何が何に影響しそうかを図に描くことです。教材は、魚の骨のような形の特性要因図を使って、予測したい値と、その要因の候補を洗い出す演習から始めています。

予測したい値と、その要因を言葉にするところから、データサイエンスは始まります。

図解中古住宅の値段を予測する(考え方)

入力予測したい値(目的変数): 中古住宅の取引価格
  1. 1要因の候補を挙げる: 土地の広さ・床面積など
  2. 2データから、価格を表す式を求める
  3. 3式を見て、どの要因がよく効くかを読む
結果条件を入れると価格を予測でき、要因の効き方も分かる

02

情報システム: スマートフォンが自分の位置を知るしくみ

情報システムの内容では、社会で動いているシステムのしくみを調べ、小さなシステムを設計して作ります。解説が例に挙げるものの 1 つが、スマートフォンの位置情報のシステムです。

スマートフォンは、GPS 衛星の電波だけでなく、携帯電話の基地局や、近くの無線 LAN の機器の情報も使って、自分の位置を求めます。これを地図の情報システム(GIS)と組み合わせると、道案内や近くの店の検索のようなサービスになります。いくつものシステムを組み合わせると、より便利なサービスが生まれます。

一方で、位置は大切な個人情報です。解説は、利用者が位置情報の利用を止められるオプトアウト方式などの制度や、システムの中での個人情報の扱い方も取り上げるよう求めています。

設計を表す図も学びます。流れ図のほかに、いくつかの処理が同時に進む様子を表す図や、ものの状態の移り変わりを表す図を、目的に合わせて使い分けます。たとえば信号機は、青・黄・赤の 3 つの状態が決まった順に移り変わる、と図に表せます。

システムは、しくみの便利さと、個人情報の守り方を両方考えて設計します。

図解信号機の状態の移り変わり

  1. 1青進んでよい
  2. 2黄原則として止まる
  3. 3赤止まる

03

コンテンツの制作: 記録とアンケートで Web ページを直す

コンテンツの内容では、文字・音声・静止画・動画を組み合わせた作品を、チームで制作して発信します。作って終わりではなく、発信した後に評価して直すところまでが学習です。

解説は、Web 上のアンケートやアクセスの記録から数で評価し、コンテンツを改善する例を挙げています。たとえば文化祭の紹介ページで、多くの人が最初の画面だけ見て閉じていたとします。知りたい情報が見つからなかったのなら、日程や地図をページの最初に移す、といった直し方が考えられます。

直した後も、もう一度記録を見て効果を確かめます。計画・実行・評価・改善をくり返す PDCA サイクルで、数字を根拠に直すのがこの内容の特徴です。評価の基準を段階ごとに表にしたルーブリックを使い、自分たちの作品を評価する方法も学びます。

見る人の動きを数で確かめると、思い込みではなく根拠をもって直せます。

図解文化祭の紹介ページを直す(例)

入力文化祭の紹介ページを公開した
  1. 1アクセスの記録: 多くの人が最初の画面で閉じている
  2. 2アンケート: 日程がすぐに見つからなかった
  3. 3改善: 日程と地図をページの最初に移す
結果直した後の記録で、効果があったかを確かめる

04

問題発見・解決の探究: 高校生の研究を学会で発表する

科目の最後は、自分でテーマを決める探究です。解説は、物理や数学の現象をシミュレーションする、コンビニの来店記録から季節や時間帯ごとの傾向を探す、といったテーマの例を挙げています。情報 I と情報 II で学んだことを、総合して使います。

探究の成果は、学校の外でも発表できます。情報処理学会は、中高生が情報学の研究を発表する「中高生情報学研究コンテスト」を、毎年 3 月の全国大会で開いています。第 9 回は 2027 年 3 月 6 日に、名城大学で開かれる予定です。

総務省統計局などが開く「統計データ分析コンペティション」には、高校生の部があります。地域別の統計をまとめた教育用のデータセット(SSDSE)を使って分析し、課題を解決するアイデアを論文にまとめます。2018 年度から毎年開かれています。

大学では、データサイエンス系や情報系の学部の授業に直接つながります。情報 II を学べなかった人も、多くの大学では 1 年生向けの入門の授業から始められます。

クイズ情報 II クイズ

本文を思い出しながら答えてください。

  1. Q1「明日の最高気温は何℃まで上がるか」を予測する方法は?

  2. Q2中古住宅の価格を広さから予測するとき、「価格」を何という?

  3. Q3利用者が、位置情報などの利用を止められるしくみを何という?

0 / 3 問に回答
青空の下に建つ、横に長い大きな庁舎
東京・新宿区にある総務省統計局。国勢調査などの統計を作り、高校生も参加できる統計データ分析コンペティションを、統計センターなどと開いています。写真: Abasaa(Public domain・Wikimedia Commons)

高校生のうちに試せること

  • 不動産の取引価格で、価格と広さの関係を見る

    国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の不動産の取引価格を地域ごとに調べてダウンロードできます。住んでいる市区町村の中古マンションなどの価格と面積を表計算ソフトに入れ、散布図を描いて関係を見てみましょう。

    国土交通省「不動産情報ライブラリ」
  • 統計データ分析コンペティションの受賞論文を読む

    2026 年度の論文の募集は終わっていますが、過去の受賞論文がサイトで公開されています。どんなデータから、どんな提案をしているかを読み、来年度の募集に備えましょう。

    統計データ分析コンペティション
  • 特性要因図を描いてみる

    「部活の大会で勝つ」「テストの点を上げる」など、良くしたいことを 1 つ決めましょう。それに影響しそうな要因を、魚の骨の形の図に書き出すと、どんなデータを集めればよいかが見えてきます。

「発展: 情報 II」に関連するコミュニティ

研究室・部活・サークルなど、全国の 74 件から探せます。

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よくある質問

学校に情報 II がない場合、どうすればよいですか?

文部科学省の教員研修用教材のように、無料で公開された資料で自分で学べます。コンテストへの参加や、大学の公開講座も学ぶ機会になります。多くの大学では、情報系の学部でも 1 年生の入門の授業から始めます。

情報 II は大学入学共通テストに出ますか?

共通テストの「情報」で出題されるのは「情報 I」で、2027 年 1 月の試験も同じです。情報 II で深めた力は、情報 I の問題を解くときや、総合型選抜などで探究の成果を説明するときに生かせます。