図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 2
高 2: 選んで深める
高 2 からは、論理国語・文学国語・国語表現・古典探究の 4 つの選択科目を学びます。評論を批判的に読んで論じる、小説を書き換えて創作する、メールや企画書で人に伝える、古文と漢文を読み深めるなど、科目ごとに伸ばす力がはっきり分かれています。

ひとことで言うと
部活で、ポジション別の練習が始まる
高 1 では、全員で同じ基礎練習をしました。高 2 からは、守備・攻撃・作戦のように、ポジションごとの練習が加わります。どの練習に多くの時間を使うかは、学校のカリキュラムと自分の進路によって変わります。

01
4 つの選択科目: それぞれ何を伸ばすか
高 1 の現代の国語と言語文化で身につけた力を土台に、高 2 からは選択科目を学びます。論理国語・文学国語・国語表現・古典探究の 4 つで、標準はどれも 4 単位です。4 単位は、50 分の授業 140 回分にあたります。
4 つの科目は、伸ばす力で分かれています。論理国語は論理的に書いたり批判的に読んだりする力、文学国語は深く共感したり豊かに想像したりして書き読む力、国語表現は人と伝え合う力を伸ばします。古典探究は、古文と漢文を主体的に読み深める科目です。
時間の配分も違います。論理国語は読むことに 80〜90 単位時間、書くことに 50〜60 単位時間を充てます。文学国語は読むことが 100〜110 単位時間です。国語表現は書くことが 90〜100 単位時間で、4 科目の中でいちばん長く書く科目です。
どの科目を開くか、何年生で何単位ずつ学ぶかは、高校によって異なります。科目選択の説明で、自分の高校の組み合わせを確かめてください。
4 つの選択科目は、伸ばす力と時間の配分がそれぞれ違います。
図解高 2 からの 4 つの選択科目
- 論理国語評論を批判的に読み、短い論文を書く
- 文学国語小説や詩歌を読み、創作して批評し合う
- 国語表現インタビューやメールで人と伝え合う
- 古典探究古文と漢文を調べながら読み深める

02
論理国語: 評論の抽象語は、具体的な文から読む
評論を読むと、「蓋然性」「パラダイム」のような、ふだん使わない言葉が出てきます。高 2 でつまずく人が多いのが、この抽象的な言葉です。論理国語の解説は、「定量・定性的」「変数」なども、学術的な学習の基礎を学ぶために必要な語句の例に挙げています。
論証のための言葉もあります。「妥当」「示唆」「矛盾」は判断の過程を、「仮説」「検証」「定義」「根拠」は論証の方法を表します。「場」「テキスト」のように、ふだんの言葉が評論では特別な意味で使われることもあります。
コツは、抽象的な文の近くにある具体的な文を探すことです。解説によると、論証する文章の段落は、最も抽象度の高い中心の文と、それを支えるいくつかの具体的な文でできています。分からない言葉があっても、具体的な文を読めば、中心の文の言いたいことに近づけます。
例えば「蓋然性」は、確からしさの度合いを表す言葉です。数で表したものが確率です。「明日は雨が降る蓋然性が高い」と言い換えてみると、降水確率の高い天気予報の場面が浮かびます。新しい言葉は、自分で例文を 1 つ作ると、使える言葉になります。
抽象的な中心の文は、近くの具体的な文と組にして読むと分かります。
図解抽象的な文を、具体的な文で読み解く(例)
- 1辞書で意味を確かめる(蓋然性 = 確からしさの度合い)
- 2同じ段落から、具体的な文を探す
- 3中心の文を、自分の言葉に言い換える
- 4身近な場面で例文を作る

03
文学国語: 視点を変えて、場面を五感で書く
文学国語では、小説や詩歌を読むだけでなく、自分でも書きます。解説が挙げる活動には、小説や詩歌を創作して批評し合う、登場人物の心情や情景の描写を書き換える、古典を題材に小説を書く、などがあります。
書き換えの例として解説が示すのが、三人称の小説の一場面を、ある登場人物の一人称で書き直す活動です。視点を変えると、その人物の心の中の描写は自然と詳しくなります。例えば「彼は黙って窓の外を見ていた。」は、「ぼくは何も言えずに、窓の外ばかり見ていた。」のように変わります。
場面の設定の読み方では、解説は潜水の場面を例に挙げています。見えるものは潮の流れに漂う海藻、聞こえるものはチューブを通して大きく聞こえる呼吸音です。匂いはマスクの防水剤、感覚は口にはめたマウスピースのぎこちなさです。五感で書かれたものを拾うと、人物の置かれた状況が見えてきます。
この読み方は、書くときにもそのまま使えます。自分で場面を描くときは、見えるもの・聞こえるもの・匂い・手ざわりを 1 つずつ書き足すと、読み手がその場にいるように感じられます。
視点と五感を意識すると、読むときも書くときも場面がくっきりします。
図解視点を変えて書き換える(例)
- 1語り手を、登場人物の「ぼく」にする
- 2「ぼく」の気持ちを表す言葉を足す
- 3見えているものを「ぼく」の目で書く
- 4書き換える前と後を比べて話し合う


04
国語表現: インタビューと依頼のメールで伝え合う
国語表現は、実社会で人と伝え合う力を伸ばす科目です。話す・聞く活動には、異なる世代の人や初対面の人へのインタビューや、議論の記録をもとに話合いの仕方を批評する活動があります。書く活動では、企画書や報告書、紹介・連絡・依頼の手紙や電子メールを書きます。
例えば、卒業した先輩に、部活の後輩向けの講話を頼むメールを書くとします。件名は「部活動での講話のお願い(〇〇高校 吹奏楽部)」のように、用件と差出人が分かる形にします。本文は「〇〇高校 2 年の〇〇です。」と名乗ってから、何を・いつ・なぜお願いしたいかを書きます。
最後に、返事がほしい期限とお礼を書いて結びます。解説は、読み手からの助言を踏まえて自分の文章を捉え直すことも求めています。書いたメールを友だちに読んでもらい、何を頼まれているかがすぐ分かったかを聞くと、直すところが見えてきます。
古典探究は、古文と漢文の両方を、一方に偏らないように読む科目です。くわしくは、高 3 のページで紹介します。
依頼のメールは、件名・名乗り・用件・期限・お礼の順に書くと伝わります。

05
高 2 の 1 週間: 読む・書く・伝えるを組み合わせる
選択科目の単位の分け方は、高校によって異なります。例えば論理国語を週 2 時間、文学国語か古典探究を週 2 時間学ぶなら、国語の授業は週 4 回です。下の図は、高 2 の 1 週間の例です。
評論は、知らない言葉に印をつけながら最後まで読み、段落ごとに中心の文に線を引くと、筋道が見えてきます。小説を書き換えた文章は、前と後を並べて読み合うと、文体や視点の違いがよく分かります。
段落ごとに中心の文を探すと、長い評論も筋道で読めます。
図解高 2 の 1 週間(例)
- 月評論を読む論理国語・段落の中心の文に線を引く
- 火小説を書き換える文学国語・三人称から一人称へ
- 水短い論文を書く論理国語・根拠を 2 つ示して論じる
- 木書き換えの読み合い文学国語・前と後を並べて話し合う
- 金言葉ノート評論で出合った抽象語を 3 つ調べる
- 土・日メールの練習依頼のメールを書いて家族に読んでもらう
高校生のうちに試せること
抽象語の言葉ノートを作る
評論や新聞で出合った「蓋然性」「示唆」「定義」などの言葉を 10 個集め、辞書の意味と、自分で作った例文をノートに書きましょう。1 週間後に、例文を見ずに使えるかを確かめてください。
好きな小説の一場面を一人称で書き直す
三人称で書かれた小説から 1 場面を選び、登場人物の 1 人を「わたし」にして書き直しましょう。見えるもの・聞こえるもの・匂いを 1 つずつ足すと、場面がくっきりします。
依頼のメールを 1 通書く
部活の先輩や地域の人に話を聞く場面を想定して、件名・名乗り・用件・期限・お礼のそろった依頼のメールを書きましょう。友だちに読んでもらい、何を頼まれているかすぐ分かったかを聞いてください。
「ことばの疑問」を読む
国立国語研究所のサイト「ことば研究館」には、ふだんの言葉の疑問に研究者が答える記事が並んでいます。気になる題を 1 つ選んで読み、分かったことを家族に説明してみましょう。
国立国語研究所「ことば研究館」
「高 2: 選んで深める」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 259 件から探せます。
よくある質問
論理国語と文学国語は、どちらか一方しか学べませんか?
高校によって異なります。両方を開く高校もあれば、どちらかを選ぶ高校もあります。どちらも標準は 4 単位ですが、何年生で何単位ずつ学ぶかも高校ごとに決めます。科目選択の説明で確かめてください。
評論の言葉が難しくて、読む気がなくなります。
知らない言葉があっても、まず最後まで読んでみてください。論証する文章の段落は、中心の文と具体的な文でできています。具体的な文から読むと、抽象的な中心の文の意味が見えてきます。調べた言葉は、例文を作ると使える言葉になります。
国語表現は、どんな人に向いていますか?
人前で話すことや、メール・企画書のように実社会で使う文章を書く力を伸ばしたい人に向いています。インタビューや話合いの活動もあります。書くことに 90〜100 単位時間を充て、4 つの選択科目の中でいちばん長く書く科目です。
