図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 3
高 3: 読み比べて書く
高 3 では、評論と小説、資料と文章のように複数の文章を読み比べ、根拠を示して書く力を仕上げます。古文・漢文は古典探究で読み深め、1 月には 90 分・200 点の大学入学共通テストで 3 年間の力を試します。

ひとことで言うと
旅の計画は、時刻表と天気予報を見比べて立てる
時刻表だけ、天気予報だけを見ても、よい旅の計画は立てられません。2 つを見比べて初めて、何時の電車に乗ればよいかが決まります。高 3 の国語も、複数の文章を見比べて、1 つの答えを組み立てます。

01
読み比べ: 複数の文章から、1 つの答えを組み立てる
高 3 の国語で大切になるのが、複数の文章を読み比べる力です。論理国語では、論理的な文章や実用的な文章を読み、内容や形式を批評したり討論したりします。文学国語では、設定した題材に関連する複数の作品をもとに、自分の見方を深めます。
大学入学共通テストも、この力を重視しています。大学入試センターの問題作成方針は、大問ごとに 1 つの題材で作るだけでなく、異なる種類や分野の文章を組み合わせた問題も検討するとしています。記録、要約、説明、論述、話合いといった言語活動も重視します。
2026 年 1 月の本試験の第 3 問は、その分かりやすい例です。M さんが、好きな絵本『イワシ むれで いきる さかな』の工夫について文章を書く、という設定でした。資料は、科学絵本の編集者へのインタビュー記事、絵本の抜粋、イワシに関する別の本の抜粋です。
問われたのは、資料を見直して下書きの表現をより具体的に直すことや、段落の趣旨に合わない箇所を削ることでした。編集者は、絵本に込めるメッセージを「イワシは群れて生きる」の一行に絞ったと語っています。資料の言葉を根拠に、自分の文章を直していく力が試されたのです。
複数の資料を読むときは、まず方針、次に根拠の順に探すと整理できます。
図解資料を使って下書きを直す(第 3 問の流れ)
- 1方針をつかむ編集者の話から、伝えたいことの絞り方を知る
- 2根拠を探す絵本の本文で、方針が表れた場面を探す
- 3表現を直すあいまいな言葉を、資料に合わせて具体的に
- 4削る段落の趣旨に合わない文を取り除く

02
古文・漢文を読み深める: 句形は今の言葉にも残っている
古典探究は、古文と漢文の両方を、一方に偏らないように読む科目です。教材には、日本人がつくった漢詩や漢文である日本漢文も含まれます。歌論や俳論、芸術論など、古典の中の論理的な文章も取り上げます。
漢文でつまずきやすいのが、句形です。中でも「未」「将」「当」「猶」は、1 つの字を 2 度読む再読文字です。「未」は「いまだ〜ず」と読み、「まだ〜ない」という意味になります。「これまでに一度もなかった」ことを表す「未曾有(みぞう)」も、「未だ曾て有らず」と読み下せる並びです。
「猶」は「なほ〜ごとし」と読みます。よく使う「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」は、『論語』の「先進」篇にある孔子の言葉で、やりすぎは足りないのと同じようによくない、という意味です。句形は、読み方と意味を、今の言葉の例と組にして覚えると忘れにくくなります。
日本漢文は、共通テストにも出ています。2026 年 1 月の本試験の漢文は、江戸時代後期の漢学者、長野豊山(1783〜1837)の『松陰快談』でした。問題の注は、唐の詩と宋の詩のどちらを手本にするかが、江戸時代の漢学者の間で重要な問題だったと説明しています。古文は、平安時代の『うつほ物語』からの出題でした。
再読文字は、読み方・意味・今の言葉の例を組にすると覚えやすくなります。
図解再読文字の読み方と意味(例)
未
- いまだ〜ず
- まだ〜ない
- 未曾有(いまだかつてない)
猶
- なほ〜ごとし
- ちょうど〜のようだ
- 過ぎたるは猶及ばざるがごとし


03
記述と小論文: 問いの形に合わせて、根拠をつなぐ
共通テストの国語は、すべてマークシートで答えます。一方、大学ごとの個別試験では、記述式の問題や小論文を出すところがあります。東京大学は、選択式の設問では測りにくい国語の主体的な運用能力を測るため、国語の解答をすべて記述式にしていると説明しています。
東京大学は、2026 年度の「出題の意図」も公表しています。第一問の評論では、具体的な論述と抽象的な論述の両方を含む文章を正確に読み、簡潔に記述する力を試しました。高 2 で練習した、抽象的な中心の文と具体的な文を組にして読む力が、ここで生きます。
記述問題では、まず問いの形を確かめます。「なぜか」と聞かれたら「〜から。」で、「どういうことか」と聞かれたら言い換えの形で結びます。次に本文から根拠を 2 つほど探し、自分の言葉でつないで 1 文にします。
例えば、第 3 問の資料をもとに「編集者が絵本のメッセージを一つに絞るのはなぜか」と問われたとします。答えは「読者は小さな子どもで、多くの内容を盛り込むと、どれも伝わらなくなるから。」のようになります。本文の言葉をそのまま並べず、つないで言い直すのがこつです。
記述の答えは、問いの形・根拠・つなぎ方の 3 つで組み立てます。
図解記述問題の答えを組み立てる(例)
- 1問いの形を確かめる(なぜか → 〜から。)
- 2根拠を探す(読者は小さな子ども)
- 3もう 1 つ探す(多く盛り込むと伝わらない)
- 42 つをつないで、自分の言葉で 1 文にする

04
共通テストの国語: 90 分で 5 つの大問
大学入学共通テストの国語は、90 分・200 点です。出題範囲は高 1 で学ぶ現代の国語と言語文化で、近代以降の文章と古典(古文・漢文)が出ます。2027 年 1 月の試験は、近代以降の文章が 3 問で 110 点、古典が 2 問で 90 点(古文・漢文 各 45 点)です。
2026 年 1 月の本試験では、大問 5 つの配点が 45 点・45 点・20 点・45 点・45 点で、問題冊子は 51 ページでした。第 1 問は美術をめぐる評論、第 2 問は遠藤周作の小説「影に対して」、第 3 問が絵本の資料を使った問題です。
志望する大学によっては、近代以降の文章だけなど、特定の分野の得点だけを使う場合があります。その場合も、試験時間は 90 分です。どの分野を使うかは、志望校の募集要項で確かめてください。
過去 3 年分の問題と正解は、大学入試センターのサイトで見られます。90 分を計って 1 回分を解き、大問ごとにかかった時間を記録すると、どこに時間を使いすぎているかが分かります。

05
高 3 の 1 週間: 過去問と記述を組み合わせる
高 3 では、古典探究や論理国語などの授業に加えて、共通テストや個別試験に向けた演習が増えます。授業の科目や時間数は、高校によって異なります。下の図は、高 3 の 1 週間の例です。
過去問を解いたら、正解した問題も含めて、その選択肢を選んだ根拠が本文のどこにあるかを確かめます。根拠に線を引きながら見直すと、記述問題で根拠を探す練習にもなります。
選んだ根拠が本文のどこにあるかを確かめると、記述の力も伸びます。
図解高 3 の 1 週間(例)
- 月古典探究(漢文)再読文字を、今の言葉と組にする
- 火評論の読み比べ論理国語・2 つの文章の主張を比べる
- 水記述の練習「なぜか」の問いに 60 字で答える
- 木古典探究(古文)物語を、人物の関係図をかいて読む
- 金資料の問題下書きと資料を見比べて直す
- 土・日過去問を 90 分大問ごとの時間を記録して見直す
高校生のうちに試せること
共通テストの過去問を 90 分で解く
大学入試センターのサイトでは、過去 3 年分の試験問題と正解を見られます。90 分を計って国語を 1 回分解き、大問ごとにかかった時間を記録しましょう。時間がかかった大問から復習してください。
大学入試センター 過去 3 年分の試験問題大学の「出題の意図」を読む
東京大学は、個別試験の国語で何を見ようとしたかを「出題の意図」として公開しています。志望する大学にも同じような公表がないかを調べ、評論・古文・漢文でどんな力が問われているかを書き出しましょう。
東京大学 令和 8(2026)年度 解答等の公表「未」を使う言葉を集める
「未定」「未来」「未曾有」のように、「未」を使う言葉を 5 つ集め、「いまだ〜ず」の意味とつながるかを確かめましょう。「当然」「将来」なども、辞書で成り立ちを調べてみてください。
60 字の記述を毎日 1 問
評論を読んだら、「筆者がそう考えるのはなぜか」を 60 字以内でまとめましょう。「〜から。」で結び、本文の言葉をつないで言い直すのがルールです。
「高 3: 読み比べて書く」に関連するコミュニティ
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よくある質問
論理国語や古典探究は、共通テストの範囲ではないのですか?
共通テストの国語の出題範囲は、現代の国語と言語文化です。ただ、論理国語で練習する読み比べや、古典探究で読み深める古文・漢文の力は、共通テストの問題を解く力にもなります。個別試験では、記述式の問題で問われることもあります。
共通テストの国語は、全部の大問を解く必要がありますか?
志望する大学によっては、近代以降の文章だけなど、特定の分野の得点だけを使う場合があります。その場合も試験時間は 90 分です。どの分野を使うかは、志望校の募集要項で確かめてください。
記述問題が苦手です。何から始めればよいですか?
まず問いの形を確かめ、「なぜか」と聞かれたら「〜から。」で結ぶ練習から始めてください。本文から根拠を 2 つ探してつなぐだけでも、答えの骨組みになります。書いた答えを先生や友だちに読んでもらうと、足りない根拠が見えてきます。
