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図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 3

高 3: 数学 III・C で深める

数学 III で極限・微分法・積分法を学び、高校の数学を仕上げる 1 年です。高 1・高 2 で学んだ関数や図形が極限と積分で 1 つにつながり、1 月の大学入学共通テストと、その後の個別試験に向けて力をまとめます。

冬の夕方の自習室で問題に向かう高校 3 年生たちと、窓の外の山の上で空を向く大きなパラボラアンテナ

ひとことで言うと

ジグソーパズルの最後のピースがはまる

高 1・高 2 で集めた二次関数、三角関数、数列、微分は、まだばらばらのピースでした。数学 III の極限と積分で、それらが 1 枚の絵としてつながります。高 3 は、ピースがはまっていく手ごたえを味わえる 1 年です。

01

高 3 の科目: 数学 III と数学 C の後半

数学 III は、数学に強い関心がある人や、将来数学が必要な分野に進む人のための科目です。今の学習指導要領で標準 3 単位になり、極限、微分法、積分法の 3 つを学びます。数学 II のあとに学ぶのが原則です。

極限では、数列や関数が限りなく近づく値を調べ、無限に続く足し算の和を求めます。微分法では、三角関数・指数関数・対数関数の微分や、積・商・合成関数の微分を学びます。積分法では、面積や体積、曲線の長さを求めます。自然対数の底 e も、数学 III で初めて登場します。

数学 C の平面上の曲線と複素数平面は、以前は数学 III で学んでいた内容です。放物線・楕円・双曲線、媒介変数や極座標による曲線の表し方、複素数を平面上の点として扱う方法を学びます。学年の割り振りは学校によって異なります。

数学 III・C は、高 1・高 2 で学んだ関数と図形を、極限と積分でつなぐ科目です。

図解高 3 で学ぶ数学 III と数学 C

数学 III

  • 極限: 数列・関数・無限級数
  • 微分法: 三角・指数・対数関数の微分
  • 積分法: 面積・体積・曲線の長さ

数学 C(後半)

  • 放物線・楕円・双曲線
  • 媒介変数と極座標
  • 複素数平面とド・モアブルの定理

02

極限: 周の長さは無限なのに、面積は有限

極限でつまずく人が多いのは、「限りなく近づく」という言葉が、計算の答えとどう結びつくのかが見えにくいからです。具体的な図形で確かめると、無限の不思議さが手で触れるように分かります。

1904 年、スウェーデンの数学者コッホは、線分を 3 等分して真ん中に正三角形の 2 辺を立てる操作をくり返す曲線を考えました。正三角形の 3 辺に同じ操作を続けると、雪の結晶のような「コッホ雪片」ができます。1 回ごとに辺の数は 4 倍、辺の長さは 1/3 になるので、周の長さは 4/3 倍ずつ増え、限りなく大きくなります。

ところが、面積は限りなく大きくはなりません。元の三角形の面積を S とすると、付け足す面積は S/3、4S/27、16S/243 … と、公比 4/9 の等比数列になります。この無限等比級数の和は 3S/5 なので、面積は元の三角形の 8/5 倍で止まります。

無限に続く足し算でも、和が決まった値になることがある。これが分かると、極限は図形の性質を確かめる道具に変わります。学習指導要領の解説も、規則に基づいて作られる図形の面積の和などを、極限の題材に挙げています。

無限等比級数は、公比が −1 より大きく 1 より小さければ、和が 1 つの値に決まります。

図解コッホ雪片の面積(元の正三角形の面積を S とする)

入力正三角形の各辺に、1/3 の大きさの正三角形を付け足し続ける
  1. 1周の長さは 1 回ごとに 4/3 倍になり、限りなく大きくなる
  2. 2付け足す面積は S/3、4S/27、16S/243 …
  3. 3公比 4/9 の無限等比級数。和は (S/3) ÷ (1 − 4/9) = 3S/5
  4. 4元の面積 S に 3S/5 を足す
結果面積は 8S/5。元の三角形の 1.6 倍で止まる

03

積分法: 転がる車輪の点が描く曲線の長さ

数学 III の積分法では、置換積分や部分積分を使って、いろいろな関数を積分します。計算が長くなりやすく、つまずく人が多い単元です。式を立てる前に、何を細かく分けて足し合わせているのかを図に描くと、迷いにくくなります。

積分で求められるのは、面積や体積だけではありません。曲線の長さも、短い線分に分けて足し合わせると求められます。題材にしやすいのがサイクロイドです。自転車のタイヤの空気を入れる口(バルブ)が、タイヤが転がるにつれて描く曲線です。

サイクロイドは、数学 C で学ぶ媒介変数を使うと x = r(θ − sin θ)、y = r(1 − cos θ) と表せます。数学 III の曲線の長さの求め方で 1 回転分を計算すると、長さはちょうど 8r です。円周の 2πr(約 6.28r)とは違い、π を含まないすっきりした値になります。

1658 年にこのサイクロイドの長さを求めたのが、のちにロンドンのセント・ポール大聖堂を設計したイギリスのクリストファー・レンです。数学 C の媒介変数と数学 III の積分がつながる、高校の数学の総仕上げのような問題です。

積分は、細かく分けて足し合わせることで、面積・体積・曲線の長さを求める道具です。

図解サイクロイドの長さを積分で求める

入力半径 r の円が 1 回転するとき、円周上の 1 点が描く曲線
  1. 1媒介変数で x = r(θ − sin θ)、y = r(1 − cos θ)
  2. 2dx/dθ = r(1 − cos θ)、dy/dθ = r sin θ
  3. 3√{(dx/dθ)² + (dy/dθ)²} = 2r sin(θ/2)(0 ≦ θ ≦ 2π)
  4. 42r sin(θ/2) を 0 から 2π まで積分すると 8r
結果長さは 8r。円周 2πr より長い
青空を背に、柱の並ぶ胴の上にそびえる石造りの大きな丸屋根
ロンドンのセント・ポール大聖堂の丸屋根。設計したクリストファー・レン(1632〜1723 年)は、1658 年にサイクロイドの長さを求めた数学者でもありました。写真: Julian Herzog(CC BY 4.0・Wikimedia Commons)

04

数学 C の曲線: 放物線のアンテナと、楕円の軌道

数学 C の平面上の曲線では、放物線・楕円・双曲線を「点や直線からの距離」で定義し直します。放物線は、1 つの点(焦点)と 1 本の直線(準線)から等しい距離にある点の集まりです。

この性質から、放物線の軸に平行に入ってきた電波は、放物線の形の鏡で反射して焦点に集まります。長野県佐久市にある JAXA の臼田宇宙空間観測所では、直径 64 m の鏡をもつパラボラアンテナで、遠くの宇宙探査機と交信しています。

楕円は 2 つの焦点からの距離の和が一定の点の集まりで、惑星は太陽を焦点の 1 つとする楕円の軌道を回ります。双曲線は 2 つの焦点からの距離の差が一定の点の集まりで、2 か所に音が届いた時間の差から、音の出た場所の候補を絞るときに使えます。

クイズ高 3 の数学クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1コッホ雪片の面積は、元の正三角形の面積の何倍?

  2. Q2半径 r の円が 1 回転するとき、円周上の点が描くサイクロイドの長さは?

  3. Q3パラボラアンテナで、軸に平行に入ってきた電波が集まる場所は?

0 / 3 問に回答
緑の山を背に、青空へ向けて傾いた白く大きな皿の形のアンテナ
長野県佐久市にある JAXA 臼田宇宙空間観測所の 64 m アンテナ。1984 年 10 月に開設され、宇宙探査機への指令の送信や、観測データの受信に使われてきました。写真: Kohei Fujii(CC BY-SA 2.0・Wikimedia Commons)

05

共通テストへの備えと、高 3 の 1 週間

大学入学共通テストの数学は、2 つの試験に分かれています。令和 9 年度試験では、数学①の『数学 I、数学 A』と、数学②の『数学 II、数学 B、数学 C』が、どちらも 70 分・100 点です。数学 III は出題されません。

大学入試センターのサイトでは、過去 3 年分の試験問題が公開されています。70 分を計って 1 回分を解き、どの単元で時間を使ったかを記録すると、残りの数か月で何を復習すればよいかが見えてきます。

理工系の学部では、個別試験で数学 III まで出題する大学があり、答えまでの過程を記述する試験もあります。共通テストの対策と並行して、途中の式を人が読める形で書く習慣をつけておくと、どちらの試験でも力になります。下の図は、高 3 の 1 週間の例です。

時間を計って解き、どこで時間を使ったかを記録すると、復習の順番が決まります。

図解高 3 の 1 週間(例)

  1. 月数学 III(積分法)回転体の体積を求める
  2. 火数学 C(曲線)楕円と双曲線の焦点を求める
  3. 水数学 III(微分法)合成関数の微分を練習する
  4. 木演習(数学①)70 分を計って過去問を 1 回分解く
  5. 金演習(数学②)選ぶ 3 項目を決めて解き比べる
  6. 土・日記述の練習途中の式を省かずに書いて見直す

高校生のうちに試せること

  • 共通テストの過去問を 70 分で解く

    大学入試センターのサイトで、過去 3 年分の試験問題を見られます。時間を計って 1 回分を解き、大問ごとにかかった時間を記録しましょう。

    大学入試センター 過去 3 年分の試験問題
  • コッホ雪片を描いて計算する

    大きな正三角形を描き、各辺に小さな正三角形を 2 回まで付け足しましょう。周の長さと面積を手で計算し、周が 4/3 倍ずつ増えることと、付け足す面積の公比が 4/9 になることを確かめてください。

  • 空き缶でサイクロイドを描く

    空き缶のふちに印をつけ、定規に沿ってまっすぐ転がしながら、印の位置を紙に少しずつ写しましょう。点をなめらかに結んでサイクロイドを描き、糸で測った長さが缶の半径の約 8 倍になるかを確かめてください。

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よくある質問

数学 III を学ばないと、理系の学部に入れませんか?

共通テストの数学には数学 III は含まれません。ただ、理工系の学部では個別試験で数学 III まで出題する大学があり、入学後の微分積分の授業も数学 III の内容を土台にします。志望校の募集要項で出題範囲を確かめてください。

共通テストの数学②では、4 つの項目からどれを選べばよいですか?

令和 9 年度試験では、数列・統計的な推測・ベクトル・平面上の曲線と複素数平面から 3 つを選んで解きます。学校の授業で学んだ単元と、過去問を解いて時間内に解き切れた単元から選ぶのが基本です。

数学 C の「数学的な表現の工夫」は試験に出ますか?

共通テストの数学②で出題される数学 C の内容は、ベクトルと平面上の曲線と複素数平面です。数学的な表現の工夫では、行列や離散グラフ、工夫された統計グラフを扱い、大学の線形代数やグラフ理論の入口になります。