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図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 1

高 1: 数学 I・A で土台をつくる

高校の数学は、全員が学ぶ数学 I と、数学 A から始まります。二次関数、三角比、データの分析、確率など、中学の数学を広げて、身の回りの「いちばん」や「どのくらい」を計算で確かめられるようになる 1 年です。

校舎の壁ぎわでロープを張って長方形の場所を囲む高校生たち、教室でくじを順に引く高校生たち、厚紙の三角錐を手に取って調べる高校生

ひとことで言うと

自転車に乗れると、行ける場所が広がる

中学の数学は、歩いて行ける範囲の地図でした。数学 I・A は自転車のようなもので、二次関数や三角比を使うと、同じ道具でずっと遠くまで行けます。広さの「いちばん」も、くじの当たりやすさも、計算で確かめられるようになります。

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高 1 の科目: 数学 I と数学 A

高校に入ると、数学は数学 I と数学 A の 2 つの科目に分かれます。数学 I は高校生全員が学ぶ科目で、標準は 3 単位です。数と式、図形と計量、二次関数、データの分析の 4 つを学びます。

この 4 つは、中学の「数と式」「図形」「関数」「データの活用」の 4 つの領域を引き継いでいます。中 3 の y = ax² は二次関数へ、三平方の定理は三角比へ、中 2 の箱ひげ図は分散や相関係数へとつながります。中学の数学の続きなので、つまずいたら中学の単元に戻れば大丈夫です。

数学 A は標準 2 単位で、図形の性質、場合の数と確率、数学と人間の活動の 3 つから、学校が選んで教えます。数学と人間の活動では、ユークリッドの互除法や二進法、数を使ったゲームやパズルも扱います。数学 A は、数学 I と同じ時期か、そのあとに学ぶのが原則です。

大学入学共通テストの『数学 I、数学 A』では、数学 A は図形の性質と場合の数と確率の 2 つから出題されます(令和 9 年度試験の出題方法)。

数学 I の 4 つの内容は、中学の 4 つの領域の続きです。

図解高 1 で学ぶ内容(数学 I・A)

数学 I・A
  • 数と式式の展開・因数分解・一次不等式
  • 図形と計量三角比・正弦定理・余弦定理
  • 二次関数グラフ・最大と最小・二次不等式
  • データの分析分散・相関係数・仮説検定の考え方
  • 図形の性質(A)三角形や円の性質と作図
  • 場合の数と確率(A)順列・組合せ・期待値
  • 数学と人間の活動(A)互除法・二進法・ゲームとパズル

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二次関数: ロープで囲む長方形の「いちばん広い」形

二次関数で最初に出会う山場は、グラフの頂点を求める「平方完成」です。式を y = a(x − p)² + q の形に直すと、グラフは y = ax² を横に p、縦に q だけずらした放物線だと分かります。頂点の座標 (p, q) が、最大や最小の答えになります。

下の例は、校舎の壁を 1 辺にして、長さ 20 m のロープで長方形の場所を囲む問題です。正方形にすれば広くなりそうに思えますが、答えは縦 5 m・横 10 m の長方形です。壁がロープ 1 本分の役目を果たすので、横に長いほうが得になります。

式を平方完成した瞬間に、答えがグラフの頂点として見えてきます。学習指導要領の解説は、コンピュータを使う学習も例に挙げています。y = ax² + bx + c の a、b、c を少しずつ変え、グラフがどう動くかを観察する学習です。

平方完成は、グラフの頂点を見つけて最大・最小を求める道具です。

図解壁とロープで、いちばん広い長方形を囲む

入力校舎の壁を 1 辺にして、長さ 20 m のロープで長方形を囲む
  1. 1壁と垂直な辺を x m とすると、壁と平行な辺は (20 − 2x) m
  2. 2面積 S = x(20 − 2x) = −2x² + 20x
  3. 3平方完成すると S = −2(x − 5)² + 50
  4. 4グラフは上に凸の放物線で、頂点は (5, 50)
結果縦 5 m・横 10 m のとき、面積は最大の 50 m²

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三角比: つまずきやすい単元と、立体版の三平方の定理

高 1 でつまずく人が多いのが、図形と計量の三角比です。sin・cos・tan という新しい記号が一度に出てきて、どの辺とどの辺の比なのかが混ざりやすいからです。

コツは、いつも直角三角形を描き、角 θ を左下、直角を右下に置いてから考えることです。30°・45°・60° は三角定規の形なので、この 3 つの角で辺の比を自分で描いて確かめると覚えやすくなります。慣れたら、正弦定理と余弦定理で、直角のない三角形にも広げます。

三角比が分かると、思いがけない発見もできます。学習指導要領の解説は、課題学習の例として、1 つの頂点に 3 つの直角が集まる三角錐を挙げています。直角をはさむ 3 つの面の面積を 2 乗して足すと、残りの面の面積の 2 乗に等しくなるのです。「四平方の定理」と呼ばれることもあります。

下の図は、3 本の辺の長さがどれも 1 の場合の確かめ方です。正三角形の面積を sin 60° で求めるところで、三角比が活躍します。

三角比は、直角三角形を描いて、どの辺の比かを確かめるところから始めます。

図解立体版の三平方の定理を確かめる

入力1 つの頂点に 3 つの直角が集まる三角錐(直角をはさむ 3 辺はどれも 1)
  1. 1直角をはさむ 3 つの面は、どれも面積 1/2 の直角二等辺三角形
  2. 2残りの面は、1 辺が √2 の正三角形
  3. 3その面積は (1/2) × √2 × √2 × sin 60° = √3/2
  4. 4(1/2)² × 3 = 3/4、(√3/2)² = 3/4
結果S₁² + S₂² + S₃² = S₄² が成り立つ(四平方の定理)

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確率と図形: くじは何番目に引いても同じ

数学 A の場合の数と確率では、並べ方や選び方を数える方法を学び、それを使って確率を求めます。平均してどのくらいになるかを表す期待値も、ここで学びます。

直感が外れやすいのも確率です。5 本のうち当たりが 1 本のくじを、5 人が順に引くとします。先に引くほうが有利に思えますが、計算すると違います。2 番目の人が当たる確率は、1 番目が外れる 4/5 と、残り 4 本から当たりを引く 1/4 をかけて 1/5 です。3 番目以降も同じで、何番目に引いても当たる確率は 1/5 です。

図形の性質では、三角形の外心や重心、円に内接する四角形の性質などを、作図や証明を通して学びます。江戸時代には、図形の問題を色あざやかな絵馬に書いて神社やお寺に納める「算額」が広まりました。国立国会図書館によると、算額は約 1,000 件が残り、そのうち江戸時代のものは約 400 件です。

クイズ高 1 の数学クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1校舎の壁を 1 辺にして、20 m のロープで長方形を囲む。面積がいちばん大きい形は?

  2. Q2当たり 1 本を含む 5 本のくじを、5 人が順に引く。当たる確率がいちばん高いのは?

  3. Q3直角が 3 つ集まる三角錐。直角をはさむ 3 つの面の面積を S₁、S₂、S₃、残りの面を S₄ とすると?

0 / 3 問に回答
木の額に、四角を 3 つ並べた図、円を囲む六芒星の図、六角形の入った三角形の図と、問題の文章が墨で書かれている
奈良市の円満寺に納められた、1844 年(天保 15 年)の算額。三角形の中の六角形など、3 つの図形の問題と答えが書かれています。写真: Misakubo(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

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高 1 の 1 週間と、授業の外で試せること

数学 I が週 3 時間、数学 A が週 2 時間なら、1 週間に数学の授業が 5 回ほどあります。単位数や時間割の組み方は学校によって異なります。下の図は、高 1 の 1 週間の例です。

数学 I には「課題学習」が位置付けられています。身の回りの題材から問いを立て、予想し、解いて、振り返る学習です。学習指導要領の解説は、黄金比を美しいと感じるかどうかをアンケートで確かめることや、指や拳を使って角度や距離をおおまかに測ることを例に挙げています。

授業の外でも挑戦できます。数学オリンピック財団の日本数学オリンピックは、大学教育を受けていない 20 歳未満なら応募できます(受験料が必要です)。試験の範囲に、微積分・確率統計・行列は含まれません。過去の問題は公式サイトで無料で見られるので、高 1 の数学からでも取り組めます。

分からなかった 1 問を週末に解き直すだけでも、次の単元が楽になります。

図解高 1 の 1 週間(例)

  1. 月数学 I(二次関数)平方完成でグラフの頂点を求める
  2. 火数学 A(場合の数)樹形図で並べ方を数える
  3. 水数学 I(三角比)三角定規の形で辺の比を確かめる
  4. 木数学 A(確率)くじの当たりやすさを計算する
  5. 金数学 I(データ)部活の記録の分散を表計算で出す
  6. 土・日復習・部活間違えた問題を 1 問だけ解き直す

高校生のうちに試せること

  • 厚紙で四平方の定理を確かめる

    厚紙で、1 つの頂点に 3 つの直角が集まる三角錐を作りましょう。3 本の辺の長さを 3 cm・4 cm・5 cm のように変えて 4 つの面の面積を計算し、面積の 2 乗の関係が成り立つかを確かめてください。

  • くじ引きを実験で確かめる

    5 枚のカードの 1 枚に印をつけ、5 人で順に引く実験を 20 回くり返しましょう。何番目の人が何回当たったかを表にまとめ、計算の 1/5 に近づくかを確かめてください。

  • 数学オリンピックの過去問を解く

    数学オリンピック財団の公式サイトでは、日本数学オリンピックの過去の予選・本選の問題を見られます(解答はついていません)。微積分を使わない問題なので、高 1 でも 1 問から挑戦しましょう。

    数学オリンピック財団 JMO の概要と過去の問題
  • 江戸時代の算額を調べる

    国立国会図書館のサイト「江戸の数学」で、算額の歴史を読みましょう。近くの神社やお寺に算額が残っていないかを、自治体の文化財のページで調べてみるのもおすすめです。

    国立国会図書館「江戸の数学」コラム 算額

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よくある質問

中学の数学が苦手でも、数学 I についていけますか?

数学 I の 4 つの内容は、中学の 4 つの領域の続きです。二次関数でつまずいたら中 3 の y = ax²、三角比なら三平方の定理と、つながる中学の単元に戻ると理解しやすくなります。

数学 A は、学校によって学ぶ内容が違うのですか?

数学 A は、図形の性質・場合の数と確率・数学と人間の活動の 3 つから、学校が選んで教える科目です。共通テストの数学 A は、図形の性質と場合の数と確率の 2 つから出題されます。

文系に進むつもりでも、数学 I・A は大切ですか?

数学 I は全員が学ぶ科目です。共通テストの『数学 I、数学 A』を課す文系の学部もあり、大学の統計の授業ではデータの分析の知識を使います。志望校の募集要項で確かめてください。