
ひとことで言うと
部活の部長は、辞めたい部員の理由を聞く
練習がきつくて辞めたいという部員がいたら、よい部長は理由をていねいに聞きます。練習の量なのか、人間関係なのか、勉強との両立なのか。理由が分かれば、打つ手も見えてきます。人事の仕事は、これを会社の何百人、何千人を相手に行うものです。

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どんな仕事?: 人が育ち、長く働ける職場をつくる
人事の仕事は、新しい仲間を迎える採用から始まります。入社した人の研修を計画し、一人ひとりの力が生きる部署への配置を考えます。給料や休みの制度を整え、評価のしくみをつくるのも人事の役目です。
最近は、さまざまな人が力を出せる職場づくりが大きなテーマです。子育てや介護をしながら働く人、外国から来た人、障害のある人など、事情の違う人がともに働けるしくみが求められています。
社員の声を集めることも欠かせません。社員アンケートを毎年行い、仕事のやりがいや職場の雰囲気を調べる会社もあります。どんな質問をして、結果をどう読むかに、社会調査の力が生きます。
人事は、会社という小さな社会を整える仕事です。
図解人事の仕事
- 採用説明会や面接で新しい仲間を迎える
- 育成研修や面談で力を伸ばす
- 配置一人ひとりに合う部署を考える
- 制度づくり給料・休み・評価のしくみを整える
- 職場の調査社員の声を集めて改善につなげる

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社会学が生きる場面: 辞める理由をデータで探す
厚生労働省によると、2022 年 3 月に大学を出て就職した人のうち、33.8% が 3 年以内に仕事を辞めています。せっかく迎えた仲間が早く辞めてしまうのは、会社にとって大きな課題です。
辞める理由は、人によってさまざまです。給料、仕事の中身、人間関係、家庭の事情など、いくつもの理由が重なることもあります。アンケートで全体の傾向をつかみ、インタビューで一人ひとりの事情を聞く。社会学で学ぶ調査の組み立て方が、そのまま生きます。
社会学には、職場を 1 つの小さな社会として見る見方があります。「今の新人は辛抱が足りない」という思い込みも、部署や入社した年ごとに分けて確かめると、違う姿が見えるかもしれません。思い込みを疑うところから、よい対策が生まれます。
思い込みではなく、データと声から理由を探すことが大切です。
図解新入社員が早く辞めるのを防ぐ(例)
- 1部署ごと・入社した年ごとに辞めた人の数を比べる
- 2社員アンケートで、やりがいや悩みを聞く
- 3若手社員や辞めた人に、くわしく話を聞く
- 4理由に合わせて、研修や相談の場を見直す

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変わる働き方: 男性の育休は 2 人に 1 人へ
働き方は、この 30 年で大きく変わりました。厚生労働省の調査では、男性の育児休業の取得率は 1996 年度に 0.12% でした。2025 年度の調査では 50.9% と、初めて 50% を超えています。
法律も後押ししています。2025 年 4 月からは、従業員が 300 人を超える会社に、男性の育児休業の取得率などの公表が義務づけられました。人事は、制度を整えるだけでなく、実際に休みを取りやすい職場をつくることが求められています。
女性の働き方も変わりつつあります。2025 年度の同じ調査では、女性の正社員のうち、総合職の割合(41.0%)が初めて一般職(40.1%)を上回りました。一方で、課長以上の管理職に占める女性は 13.8% にとどまっています。数字の変化と、まだ残る差の両方を見ることが大切です。
制度と意識の両方が変わるなかで、人事の役割が広がっています。

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人事担当者の 1 日(例)
ここでは、会社の人事部で採用と研修を受け持つ担当者の 1 日の例を紹介します。
採用の時期には、大学生向けの説明会や面接が続きます。会社のよいところだけでなく、大変なところも正直に伝えることが、入社した後のすれ違いを防ぎます。
社員と面談して、悩みや希望を聞くこともあります。聞いた話は、本人の了解なしに広めません。人の秘密を守ることは、社会調査でも人事でも、同じくらい大切です。
人の話を聞く力と、数字で職場を見る力の両方が生きます。
図解人事担当者の 1 日(例)
- 9:00連絡の確認応募者や社員からのメールに返事をする
- 10:00採用面接学生の話を聞き、強みを探る
- 12:00昼休み
- 13:00研修の準備新入社員の研修の内容を見直す
- 15:00社員との面談働き方の悩みや希望を聞く
- 16:30データの分析社員アンケートを部署ごとに比べる

05
研究者の道: 大学院で働き方や家族を調べる
社会学をもっと深めたい人は、大学院に進みます。多くの場合、修士課程(2 年)と博士課程(3 年)で研究を重ね、博士の学位を目指します。その後、大学の教員や研究機関の研究員として、教えたり調べたりする道があります。
働き方を研究する国の機関には、労働政策研究・研修機構(JILPT)があります。2003 年にできた厚生労働省所管の独立行政法人で、労働について幅広く調査・研究し、その成果を公開しています。
研究のテーマは、このページの数字の中にもあります。男性の育休が広がると、家族の暮らしはどう変わるのか。女性の管理職が少ないのはなぜか。人事の現場で出会う疑問を、時間をかけて確かめるのが研究者の仕事です。
人事で出会う疑問は、そのまま研究の問いにもなります。
図解社会学の研究者への道(例)
- 1学部で学ぶゼミと卒業論文で調査を経験
- 2修士課程調査の方法を深め、論文を書く
- 3博士課程新しい発見を論文で発表する
- 4大学・研究機関教えながら研究を続ける
高校生のうちに試せること
会社の「働きやすさ」の数字を調べる
厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」では、企業が公表した女性管理職の割合や、男女の育児休業の取得率などを調べられます。気になる会社をいくつか選んで、数字を比べてみましょう。
女性の活躍推進企業データベース(厚生労働省)業種ごとの離職のちがいを見る
厚生労働省のページには、新しく就職した人の 3 年以内の離職率が、業種や会社の大きさごとに載っています。違いがある理由を、自分なりに考えてみましょう。
新規学卒者の離職状況(厚生労働省)会社の採用ページを読み比べる
興味のある会社の採用ページを 3 社分読み、研修や休みの制度、社員の声がどう紹介されているかを比べましょう。会社が何を大切にしているかが見えてきます。
「人事・研究」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 25 件から探せます。
よくある質問
人事の仕事に就くには、どんな学部がよいですか?
決まった学部はありません。社会学部のほか、経営学部や法学部、心理学部などからも人事の仕事に就く人がいます。社会学で学ぶ調査の方法や、組織や労働の研究は、職場の課題を考えるときに役立ちます。
入社してすぐに人事部に配属されますか?
会社によって異なります。新入社員のうちから人事部に配属される会社もあれば、営業などを経験してから人事に移る会社もあります。現場を知っていることが、人事の仕事に生きる場面も多くあります。
社会学の研究者になるには、何年くらいかかりますか?
大学の 4 年間のあと、多くの場合は修士課程 2 年と博士課程 3 年を経て、博士の学位を目指します。その後、大学や研究機関の研究職に応募します。進み方は人によって異なります。