指定校推薦・公募推薦・総合型選抜で出す志望理由書は、大学が「この人は入学後にどう学ぶのか」を確かめるための書類です。2027 年度入試では、総合型選抜の出願が 9 月から始まり、学校推薦型選抜の出願は 11 月 1 日以降に始まります(文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」2026 年 5 月)。出願が 11 月にある高 3 の人も、まだ先の高 2 の人も、書き始める前に集める材料は同じです。この記事は、募集要項から「何を書かせ、何を見ると書いているか」を読み取り、材料集めの手順にしました。例文やテンプレートは載せていません。

実施要項は志望理由書をどう位置づけているか

文部科学省の実施要項は、志望理由書にあたる書類を次のように位置づけています(同じく 2026 年 5 月)。

  • 総合型選抜: 「入学志願者自らの意志で出願できる公募制という性格に鑑み、志願者本人の記載する資料を必ず評価に活用する」。ここでいう本人が書く資料は「活動報告書、大学入学希望理由書及び学修計画書等」です
  • 記載内容: 「各大学が、学部等の教育内容を踏まえ、入学志願者に対し、入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させる」
  • 学校推薦型選抜: 本人が書く資料は、総合型と並べて「プレゼンテーションなどにより積極的に活用する」とされています。調査書を主な資料にしつつ、推薦書にはアドミッション・ポリシーに対応する本人の学習歴や活動歴を書く決まりです

つまり志望理由書は、大学の問いに答える書類です。日程や面接の決まりは 2027 年度の推薦・総合型選抜の記事、選抜の違いは学校推薦型選抜の記事に書きました。

5 校の 2027 年度入試で、設問・字数・見る点を比べる

国公私立と選抜の種類を混ぜて、各大学の募集要項や様式から設問と字数を原文のとおりに拾いました。

大学・選抜書かせること字数・様式見ると書いている点
京都大学 法学部 学校推薦型選抜(特色入試)「学びの設計書(志望理由書)」。「法学部のアドミッション・ポリシーならびに、法学部が特色入試で求める人物像を読み、あなたが法学部で学びたいことや、卒業後の進路などについて、自由に述べてください」所定様式(法学部用)で本人が作成。字数は要項に書かれていません第 1 次選考は提出書類で行う
横浜市立大学 総合型選抜(自己推薦)「概要 2」。「概要 1 の内容を踏まえて、将来の目標や希望とその理由、それを実現するための大学入学後の学びの構想」を志望した理由とともに所定の用紙(片面 2 枚)に黒のボールペンで手書き、推薦者の署名も必要問題発見・解決能力、目標設定能力、筋道を立てて説明する力。書類と面接の両方で評価
早稲田大学 人間科学部 指定校推薦3 点を織り込む。カリキュラム・ポリシーを踏まえた志望理由、入学後の勉学の志向(具体的な授業名・教員名)、学びの先の将来の抱負本人が自筆、横書き 1,600 字以上 2,000 字以内、黒のボールペン、最後に字数を書く「入学志望学科と本人の興味・関心が一致していることを重視する」
立命館大学 経営学部 AO 選抜「英語重視方式」①学びたいテーマと高校での活動を踏まえた志望理由、②卒業後の国際的視野でのキャリアビジョンオンライン出願システムに直接入力、それぞれ 1,200 字程度「大学入学後の学習意欲・関心、大学卒業後のキャリアビジョンの考え方」を評価。面接は出願書類をもとに行う
文京学院大学 学校推薦型選抜・総合型選抜志望理由、中学卒業以降に力を注いだ活動、入学後に勉強したいことや将来の進路字数は公式サイトで確かめられませんでした志望理由書の内容は点数化し、合否判定に使う(保健医療技術学部を除く)

表の出典は、各大学の 2027 年度の募集要項・様式・受験生サイトです(記事の下に一覧)。

この表から読み取れることが 3 つあります。

1 つ目は、どの大学も「入学後」を書かせていることです。立命館大学の経営学部は卒業後のキャリアビジョン、横浜市立大学は入学後の学びの構想、早稲田大学は授業名と教員名を求めています。

2 つ目は、書いたことが面接で使われることです。立命館大学の個人面接は「出願書類(『志望理由書』・『出願者申告書』等)をもとに」行われ、横浜市立大学は面接の最初の 10 分で、提出した概要 1・概要 2 をもとに発表します。京都大学の教育学部の特色入試は、口頭試問で「学びの報告書及び学びの設計書に記載された内容に関する試問」を行い、探究力、洞察力、学修への意欲などを評価するとしています。

3 つ目は、大学の資料を読むことが前提になっている点です。京都大学の設問は、アドミッション・ポリシーと求める人物像を読むところから始まります。早稲田大学はカリキュラム・ポリシーを踏まえることを求めます。文部科学省の実施要項は、アドミッション・ポリシーに「入学志願者に高等学校段階までにどのような力を培うことを求めるのか」「そうした力をどのような基準・方法によって評価・判定するのか」を可能な限り具体的に書くよう大学に求めています。

推薦・総合型選抜の志望理由書について、5 校の設問・字数・見る点の表、材料を集める 5 段の手順、生成 AI の扱いの違いを 1 枚にまとめた図。

図: 志望理由書の設問と見る点・材料集めの 5 段・生成 AI の扱い(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省の実施要項と各大学の 2027 年度募集要項・様式)

生成 AI の扱いは大学ごとに違う

生成 AI の扱いは、大学によって違いました。

立命館大学の 2027 年度 AO 選抜入学試験要項は、経営学部「英語重視方式」をはじめ、各方式の出願書類の注意事項に、次のように書いています。

出願書類は志願者本人が作成したものに限ります。高等学校等に作成を依頼する書類はその限りではありません。作成にあたって、生成 AI 等を用いることは認めません。生成 AI を用いて作成した内容を本人が作成したものとして提出した場合、不正行為とみなすことがあります。

一方、近畿大学の情報学部の総合型選抜(2027 年度)の入学試験要項は、出願書類の注意事項に「各出願書類作成における一連の過程で、生成 AI の活用を認めます」と書いています。この選抜は、情報関連分野に強い関心があり、プログラム作成の経験を積んでいる人が対象です。

禁止の大学も許可の大学もあります。出願する選抜の募集要項で、出願書類の注意事項を必ず読んでください。

書く前に集める材料 5 段の手順

ここからは、上の大学の資料が求めていることに合わせた、材料集めの手順です。大学の案内がある部分はその言葉を引き、ほかは編集部の提案です。

1. アドミッション・ポリシーとカリキュラム・ポリシーを読み、使われている言葉を書き出す。 京都大学の設問も早稲田大学の注意書きも、この 2 つの資料を読むことが出発点です。大学のページから志望学部・学科の分を探し、「求める学生像」「高校で学んでおいてほしいこと」「どんな教育課程で学ぶか」の言葉をノートに写します。

2. カリキュラムとシラバスから、入学後に取りたい授業を 2〜3 つ選ぶ。 早稲田大学は「具体的な授業名・教員名を挙げて」述べることを求めています。文部科学省の実施要項も、大学が学部等の教育内容を踏まえて「入学後に学びたい内容・計画」を書かせるとしています。

3. 大学案内以外の資料で、学びたい分野を掘り下げる。 横浜市立大学は概要 2 について、「『大学案内』だけでなく様々な参考資料などを参照して、内容を深めることが求められます」と書いています。文京学院大学の受験生サイトも、書き方のアドバイスの最初に「大学について調べる」を挙げ、「大学のプログラムや研究に具体的に触れると説得力が増します」と書いています。立命館大学の経済学部「英語重視方式」は、参考にした文献を「文献リスト」として示すことまで求めています。大学カタログの研究室の一覧や、得意な科目から探すページで、教員の研究テーマや関連する分野の入口を見つけられます。

4. オープンキャンパスや説明会で、自分の目で見た材料を足す。 公式の資料で、志望理由書にオープンキャンパスの内容を書くよう求めている例は、この記事では確かめられませんでした。編集部の提案として、授業の雰囲気や教員の話で気づいたことをメモしておくと、資料だけでは出てこない具体例になります。

5. 自分の経験を振り返り、大学の言葉とつなぐ。 実施要項は、活動報告書に「総合的な探究の時間」や理数探究の課題研究、生徒会活動、部活動、ボランティア、資格・検定、留学などを書くよう例示しています。横浜市立大学は、概要 1 の活動について、結果だけでなく「結果に至る『過程』や行動の『意義』も重視する」と書いています。立命館大学は、高校での活動経験を「志望動機を持つに至った」ものとして書かせます。経験は何をしたかで終わらせず、何に気づき、なぜその学部に進みたくなったのかまで振り返ります。その経験と、手順 1〜3 で集めた大学の言葉をつなぐと、「入学後にこう学びたい」の材料がそろいます。

高 3 は出願まで、高 2 は今からできること

高 3 で 11 月に出願する人は、まず自分が受ける選抜の募集要項を手元に置き、設問と字数、様式(手書きか入力か)を確かめます。早稲田大学の人間科学部は自筆、横浜市立大学は手書き提出が必須でした。学校推薦型選抜は、出願が 11 月 1 日以降です。文京学院大学の公募制学校推薦型選抜(専願制)は、出願期間が 11 月 1 日〜5 日(消印有効)、試験日が 11 月 14 日です。京都大学の法学部の学校推薦型選抜は、出願が 11 月 5 日〜11 日で、学校長の推薦が要ります。手順 1 と 2 を先に済ませ、書いたものは担任や進路の先生に読んでもらう時間も取ります。

高 2 の人は、時間があるぶん、手順 3〜5 を試せます。2027 年度の入試は 2026 年度の高 3 が受けるもので、いまの高 2 が受けるのは 2028 年度入試です。設問は年度ごとに変わりますが、アドミッション・ポリシーの読み方や分野の調べ方、経験の振り返りは使えます。探究の時間や部活動の記録を残しておくと、活動報告書や志望理由書の材料になります。志望校の候補は大学カタログの大学の一覧から探せます。サイトの使い方は大学カタログとはにあります。

よくある迷い

指定校推薦でも志望理由書は読まれますか。

早稲田大学人間科学部の指定校推薦入学試験には、「推薦入学志望理由書」が様式として用意され、1,600 字以上 2,000 字以内で書く決まりです。指定校推薦だからといって、志望理由書が要らないわけではありません。大学によって違うので、受ける大学の要項で確かめてください。

字数が足りなくて書くことがありません。

上の表のとおり、1,200 字程度から 2,000 字までの大学があります。書くことが少ないと感じるときは、材料集めが足りていない可能性があります。手順 2 と 3 に戻り、授業名や教員の研究、読んだ資料を足してください。

志望理由書と面接で話す内容は同じでよいですか。

立命館大学や横浜市立大学のように、書類をもとに面接を行う大学があります。食い違わないようにし、書いた材料は自分の言葉で説明できるところまで理解しておきます。